E15690 Japan GAAP
前期
926.4億 円
前期比
107.5%
当社グループは、当社と当社の子会社10社及び関連会社1社で構成されており、当社は純粋持株会社として子会社の事業活動の支配・管理を行っており、子会社が流通事業、運輸事業、観光事業、不動産事業、その他のサービス事業を行っております。
2024年3月31日現在における当社グループの事業内容は、次のとおりであります。
(1) 流通事業
長野県内でスーパーマーケット運営等の小売事業を行っております。
(子会社)
㈱デリシア、㈱マックドラッグ
(2) 運輸事業
鉄道事業の営業路線は、松本~新島々間(14.4キロ)の上高地線であり、松本市西部住民の輸送及び上高地、乗鞍高原方面への観光客の輸送を行っております。
自動車事業につきましては、長野県内を中心に乗合旅客自動車事業(一般生活路線・観光路線・高速バス)、貸切旅客自動車事業、乗用旅客自動車事業、自動車整備事業を行っております。
(子会社)
アルピコ交通㈱、アルピコタクシー㈱
(3) 観光事業
長野県内で、ホテル・旅館事業、サービスエリア事業、旅行事業、レジャー場事業を行っております。
(子会社)
アルピコ交通㈱、アルピコホテルズ㈱、アルピコ長野トラベル㈱、アルピコリゾート&ライフ㈱
(4) 不動産事業
不動産の賃貸及び売買事業、別荘分譲地管理事業を行っております。
(子会社)
アルピコ交通㈱、アルピコリゾート&ライフ㈱、アルピコ蓼科高原リゾート㈱
(5) その他のサービス事業
長野県内を中心に保険代理店事業等を行っております。
(子会社)
アルピコ保険リース㈱
以上述べた事項を図によって示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(注)当社(連結財務諸表提出会社)は、一般顧客との商品の販売・サービスの提供はありません。
(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型感染症の影響がほぼ解消され、外食・宿泊・レジャー等のサービス関連消費が力強い回復を示した他、生産や輸出についても全般的に堅調に推移しました。また、価格転嫁や賃上げが進みデフレ脱却の素地が整い、日銀によるマイナス金利政策も解除されました。一方で、運輸や観光業界では労働力不足の深刻化が継続しており、さらに、金利上昇に対する懸念が今後の経済の先行きを不透明にしております。
このような環境下において、当社グループは『アルピコグループ中期経営計画(Change & Challenge 2023)』の最終年度に当たって、3つの基本方針である「大胆な構造改革による生産性向上」「新たな事業価値の創造と実践」「企業文化の変革」に取り組むことで所期の成果を得ました。主要事業別では、流通事業においては、「新コンセプト店舗展開の開始」「店舗外販売チャネルの拡大」等に、運輸事業においては、「車両、人員配置の適正化」、「タクシー配車アプリの導入」等に、観光事業においては、「高付加価値化による客室単価向上」「新たな観光・旅行資源の開発」等に取り組みました。
この結果、当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結営業収益は99,620,488千円(前連結会計
年度:92,637,628千円)、連結営業利益は2,448,507千円(前連結会計年度:545,377千円)、連結経常利益は2,123,097千円(前連結会計年度:527,571千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は904,465千円(前連結会計年度:72,528千円)となり、前連結会計年度に比べて、連結営業収益は6,982,859千円増加、連結営業利益は1,903,129千円増加、連結経常利益は1,595,526千円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は831,937千円増加となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況は次のとおりであります。
流通事業の営業収益は74,851,192千円と、前期に比べ3,752,515千円増加(前期比5.3%増)となりました。また、営業利益は1,635,485千円と、前期に比べ338,037千円増加(前期比26.1%増)となりました。
運輸事業の営業収益は12,189,816千円と、前期に比べ1,481,953千円増加(前期比13.8%増)となりました。また、営業利益は882,965千円と、前期に比べ987,498千円改善(前期は104,533千円の営業損失)となりました。
観光事業の営業収益は11,173,321千円と、前期に比べ1,691,824千円増加(前期比17.8%増)となりました。また、営業利益は373,042千円と、前期に比べ528,898千円改善(前期は155,855千円の営業損失)となりました。
不動産事業の営業収益は1,312,373千円と、前期に比べ26,339千円増加(前期比2.0%増)となりました。また、営業利益は91,749千円と、前期に比べ28,601千円減少(前期比23.8%減)となりました。
その他のサービス事業の営業収益は366,968千円と、前期に比べ21,254千円増加(前期比6.1%増)となりました。また、営業利益は69,900千円と、前期に比べ214千円減少(前期比0.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ2,734,828千円増加(前期比101.8%増)し、5,422,212千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益908,101千円に、減価償却費3,105,270千円、減損損失1,159,559千円、仕入債務の増加額3,313,464千円等により、10,327,124千円の資金収入(前期比191.8%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,323,158千円、無形固定資産の取得による支出143,384千円、補助金収入421,420千円等により、3,062,184千円の資金支出(前期比23.9%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少額1,900,000千円、長期借入れによる収入6,100,000千円、長期借入金の返済による支出7,203,907千円、リース債務の返済による支出746,070千円等により、4,530,111千円の資金支出(前期比295.8%増)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
なお、販売の状況については、「(経営成績等の状況の概要) (1)財政状態及び経営成績の状況」における各事業の区分の業績に関連づけて示しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討等)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産総額は57,570,962千円となり、前連結会計年度末に比べ3,263,503千円増加いたしました。これは、主に当連結会計年度末が休日であったことに伴う現金及び預金の増加等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債総額は47,037,437千円となり、前連結会計年度末に比べ2,519,887千円増加いたしました。これは、主に当連結会計年度末が休日であったことに伴う買掛金の増加等によるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産額は10,533,525千円となり、前連結会計年度末に比べ743,616千円増加いたしました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払等によるものであります。
② 経営成績
(営業収益)
当連結会計年度における連結営業収益は、流通事業における商品価格の見直しによる単価の上昇、運輸事業における観光需要の取り込み、また、観光事業ではホテル旅館の宿泊稼働回復が顕著となり、これらを中心に売上回復に大きく寄与し、前連結会計年度に比べ7.5%増の99,620,488千円となりました。
(営業費)
当連結会計年度における運輸業等営業費及び売上原価は、流通事業を中心に増収に伴う影響等から、前連結会計年度に比べ6.2%増の70,234,106千円、販売費及び一般管理費は、売上・稼働が回復した運輸事業や観光事業で人件費が増加したこと等により3.7%増の26,937,874千円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、流通事業及び運輸事業で売上を大幅に伸ばしたことを主な要因に、前連結会計年度に比べ1,903,129千円増加し2,448,507千円(前連結会計年度は545,377千円の営業利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益が増加したこと等により、904,465千円(前連結会計年度は72,528千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、従来から認識していた、労働人口の減少、消費行動の変化、原材料価格や物価の動向、技術革新の加速等に加えて、感染症の流行や気候変動及び自然災害も大きな要因として認識しております。
これらの事業環境に対応すべく、長野県内における各事業シェアの拡大、保有・運営する施設と商品及びサービスの質の向上、新規事業開発、経営資源の効率活用や経営基盤の強化に取り組んでおります。
ここ数年の具体的な取組として、流通事業におきましては、マルチチャネル化による顧客・マーケットの拡大、深耕を進めており、移動販売「とくし丸」を34台運行、ネットスーパーを17拠点で展開しております。また、2023年4月には、既存店舗を業態変更し生鮮構成比を高めた新カテゴリーの「ミールズ店舗」1号店をオープンし、更に2023年8月にはスーパーでは長野県内初となる「セルフ型無人決済店舗」1号店を茅野市蓼科にオープンいたしました。運輸事業におきましては、2022年4月にアルピコタクシー株式会社を株式交換によりアルピコ交通株式会社の子会社とし経営の効率化を図っております。観光事業におきましては、2022年4月に中核会社の東洋観光事業株式会社を、ホテル・旅館の運営を担うアルピコホテルズ株式会社と、主に蓼科地区での別荘・ゴルフ場運営等を担うアルピコリゾート&ライフ株式会社との2社に分社化しそれぞれの専門性を十分発揮できる体制といたしました。
このような諸施策の実行に加えて、当社グループは以下の事業戦略を確実に実施してまいります。
・「M&Aの推進」「事業エリアの深耕・拡大」「新規事業の創出」による成長の加速
・柔軟で適応力のある組織を築る(つくる)ため各種取り組みの展開
・持続的な価値創造の最重要基盤である人材への投資を強化
・地域に根差す企業グループとして、持続可能な社会実現に貢献
(4) 資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、流通事業における仕入原価及び物流費、運輸事業における車両維持管理費、その他各事業における一般管理費等があります。また、設備資金需要としては流通事業における店舗への更新投資、運輸事業における車両更新投資、観光事業におけるホテル・旅館等に対する設備投資等があります。
(財務政策)
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、金融機関からの借入により資金調達を行い、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により効率的に資金を運用しております。また、運転資金及び設備資金につきましては、当社において一元管理しております。
当社グループの主要な事業資産に対しては、各事業を取り巻く事業環境を考慮したバランスのとれた投資を行うことで、回収効率を高め、当社グループの全体の有利子負債の削減を図っております。設備投資に当たってはリースも活用し資金繰りの平準化や効率化にも配意しております。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度の金利変動リスクに晒されないよう、借入の一部について金利スワップ等の手段を活用しております。
(5) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、長期経営方針として「ALPICO VISION 2035」を掲げ、ビジョンの実現に向けた具体的経営計画を「中期経営計画 2024-2026」として策定しております。
長期ビジョンでは、2035年のありたい姿を「『楽しさ・ときめき』を創出し、付加価値を高めることで、持続的な地域の発展に貢献している企業グループ」としております。
「中期経営計画 2024-2026」の取組骨子は以下のとおりです。
①成長戦略として「既存事業の成長」に加え、「M&Aの推進」「事業エリアの深耕・拡大」「新規事業の創出」に
取り組み、成長の加速、収益の拡大や事業規模・領域の拡大を図ります。
②構造改革に向け、「組織再編・事業集約」「不採算・低収益・重複事業のてこ入れ」「DX、ICT技術活用による
省力化、効率化」に取り組み、経営効率と地域社会の持続的な発展とのバランスを重視した改革を実施しま
す。
③サステナビリティ経営を実践するため、「人的資本経営の実施」「環境経営の展開」「地域活性化への貢
献」に取り組みます。
(6) セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(流通事業)
流通事業は、食品スーパー「デリシア」51店舗(フランチャイズ含む)と業務スーパー「ユーパレット」9店舗を運営しており、合計で60店舗を展開しております。これらに加え、マルチチャネル戦略として、移動販売「とくし丸」34台やネットスーパー17拠点を展開しており、また、2023年8月には長野県内初となる「セルフ型無人決済店舗」1号店を茅野市蓼科にオープンし、顧客基盤とマーケット及びチャネルの拡大を推進しております。更に、2023年4月には、既存店舗を業態変更し生鮮構成比を高めた新カテゴリーの「ミールズ店舗」1号店をオープンし新コンセプト店舗展開を開始しました。当連結会計年度は、商品価格の見直しによる単価の上昇等が貢献し、前期比で増収となりました。また、原材料価格や人件費等、コストの増加を増収によりカバーし、前期比で増益となりました。
これらの結果、流通事業の営業収益は74,851,192千円と、前期に比べ3,752,515千円増加(前期比5.3%増)となりました。また、営業利益は1,635,485千円と、前期に比べ338,037千円増加(前期比26.1%増)となりました。
(運輸事業)
バス事業は、上高地や白馬等の県内観光地への輸送を担う観光系路線の国内外からの需要取り込みを主な要因とし売上を大きく伸ばしました。
タクシー事業は、市街地での利用回復や観光需要の取り込み、2023年9月の運賃改定、乗合部門の受託拡大により前期比で増収となりましたが、乗務員の不足が業績回復の阻害要因となっております。
鉄道事業は、観光需要の回復により、前期比で増収となりました。
これらの結果、運輸事業の営業収益は12,189,816千円と、前期に比べ1,481,953千円増加(前期比13.8%増)となりました。また、営業利益は882,965千円と、前期に比べ987,498千円改善(前期は104,533千円の営業損失)となりました。
(観光事業)
ホテル・旅館事業は、松本市内5施設、諏訪市内1施設の全6施設において宿泊を中心に回復基調が強まる一方、労働力不足や競合激化が大きな課題となっております。
サービスエリア事業は、立寄り客の増加による需要回復や価格の見直しにより、前期比で増収となりました。
旅行事業は、修学旅行等の教育関連や単価の高い募集型ツアーの回復により、前期比で増収となりました。
また、茅野市蓼科のリゾート事業は、ゴルフ場の来場者数が好調に推移した他、2023年7月には新たにキャンプ場施設をオープンし増収に寄与しました。
これらの結果、観光事業の営業収益は11,173,321千円と、前期に比べ1,691,824千円増加(前期比17.8%増)となりました。また、営業利益は373,042千円と、前期に比べ528,898千円改善(前期は155,855千円の営業損失)となりました。
(不動産事業)
不動産事業は前期比で増収となりましたが、別荘分譲地管理事業で建築サービス売上が伸び悩み、また、テナント賃貸事業で新型感染症のワクチン接種会場としての利用が減少したことなどが響きました。
これらの結果、不動産事業の営業収益は1,312,373千円と、前期に比べ26,339千円増加(前期比2.0%増)となりました。また、営業利益は91,749千円と、前期に比べ28,601千円減少(前期比23.8%減)となりました。
(その他のサービス事業)
保険代理店事業は、前期比で増収となりましたが、人件費やその他経費の増加が利益を下押ししました。
これらの結果、その他のサービス事業の営業収益は366,968千円と、前期に比べ21,254千円増加(前期比6.1%増)となりました。また、営業利益は69,900千円と、前期に比べ214千円減少(前期比0.3%減)となりました。