E26837 Japan GAAP
前期
6,599.2億 円
前期比
171.7%
当行グループ(当行及び当行の関係会社)は、2024年3月31日現在、当行、子会社2社及び関連会社24社から構成されており、当行は当行法その他の法令により定められた以下の業務を行っております。
(目的)
当行は、日本政府が全株式を保有する政策金融機関であり、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、以下に示した4つの分野について金融業務を行い、もって、日本及び国際経済社会の健全な発展に寄与することを目的としています。
・日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進
・日本の産業の国際競争力の維持及び向上
・地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進
・国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処
(企業理念、コーポレート・スローガン、行動原則)
当行は、当行法第1条に規定される目的の下、以下の「企業理念」、「コーポレート・スローガン」、「行動原則」を定め、業務を行っております。
・企業理念
国際ビジネスの最前線で、日本そして世界の未来を展きます。
現場主義:
海外プロジェクトの現場に密着し、早い段階から能動的な関与を行うことで、先駆的な付加価値を創造します。
顧客本位:
お客様の立場になって考え、その声を政策形成につなげることで、独自のソリューションを提供します。
未来志向:
安心で豊かな未来を見据え、高い専門性を発揮して、日本と世界の持続的な発展に貢献します。
・コーポレート・スローガン
・行動原則
一、公益の追求。日本と国際社会への貢献、その使命を全うします。
一、顧客の満足。お客さまの立場で悩み、考え、そして行動します。
一、プロとしての責任。いかなる仕事にも、主体的に取り組みます。
一、果敢なるチャレンジ。失敗を怖れず、新たな価値を創造します。
一、スピードとコスト。効率を意識し、仕事の質を高めていきます。
一、チームワーク。仲間と心をひとつに、大きな成果を追求します。
一、倫理観と遵法精神。JBICの一員としてモラルを持ちつづけます。
(業務の内容)
当行は、その目的を達成するため、当行法その他の法令により定められた業務について、以下を主要な業務として遂行しております。
(1)輸出金融:我が国プラント輸出の振興、我が国輸出者が他の先進諸国と競争する際の金融面での等しい競争条件の確保(注)を目的とし、日本企業が、発電・通信設備・船舶等のプラントや技術を海外に輸出する際に必要な資金の融資・保証。
(注)他の先進諸国においても公的輸出信用を利用しプラント等の輸出を政府が支援しております。
(2)輸入金融:我が国への資源の安定供給確保等を目的に、石油・LNG・鉄鉱石などの重要物資を輸入する際に必要な資金の融資・保証。なお、資源関係以外については我が国への輸入が不可欠である航空機等に関し保証制度を活用。
(3)投資金融:我が国の海外事業活動の促進を目的に、日本企業が海外において、現地生産、資源開発など事業を行う際に必要な長期事業資金の融資・保証。
(4)事業開発等金融:外国政府、外国政府機関等が実施する日本の貿易、投資等、海外経済活動のための事業環境整備に貢献する事業や、高い地球環境保全効果を有する事業等に必要な資金の融資・保証。
(5)ブリッジローン:国際収支上の理由及び緊急の必要がある場合に、国際機関等が経済支援資金を供与するまでの間貸し付ける短期融資。
(6)出資:海外において事業を行う日系合弁企業や日本企業が業務提携のために出資する外国企業等、日本企業・国際機関が参加するファンド等に対する出資。
(7)調査業務:上記の業務に必要な調査。
(経理の特徴)
(1)区分経理
当行は、一般業務及び特別業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理を行うこととされております(当行法第26条の2)。
また、当行が政府出資、借入れ及び社債発行により調達した資金は、かかる経理の区分に従って、業務勘定ごとに整理することとなります(当行法第4条及び第33条)。
(2)剰余金処分及び国庫納付
当行は、当行法第26条の2各号に掲げる業務に係るそれぞれの勘定において、毎事業年度の決算において計上した剰余金の額が、
① 0を上回るときは、当該剰余金のうち政令で定める基準により計算した額を準備金として政令で定める額となるまで積み立て、なお残余があるときは、その残余の額を当該事業年度終了後3カ月以内に国庫に納付しなければならないとされており(当行法第31条第1項)、
② 0を下回るときは、準備金を当該剰余金の額が0となるまで取り崩して整理しなければならないとされております(同条第2項)。
当行の剰余金は上記以外の方法をもって配当その他の処分を行ってはならないとされております(同条第5項)。
(日本国政府との関係)
(1)株式の政府保有
当行の発行済株式については、政府がその総数を常時保有することとされております(当行法第3条)。
(2)日本国政府による監督等
① 監督
財務大臣は、当行を、当行法等の定めるところに従い監督し、当行に対してその業務に関し監督上必要な命令をすることができます(当行法第38条)。また、財務大臣は、必要があると認めるときは、当行(業務等を委託した法人を含む。)に対して報告を求め、又はその職員に、当行を検査させることができます(当行法第39条)。
また、財務大臣は検査権限の一部を内閣総理大臣に委任することができ、内閣総理大臣は当該委任を受けた権限を金融庁長官に委任します(当行法第40条)。
② 役員の選任及び解任等
当行の取締役又は監査役の選任及び解任の決議は、財務大臣の認可を受けなければ、その効力は生じません(当行法第6条第1項)。また、当行の代表取締役の選定及び解職の決議についても、財務大臣の認可を受けなければ、その効力は生じません(同条第2項)。
③ 定款の変更の決議
当行の定款の変更の決議は、財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じません(当行法第41条第3項)。
④ 合併、会社分割、事業譲渡、解散等
当行を当事者とする合併、会社分割、株式交換、株式交付、事業の全部又は一部の譲渡及び譲受け並びに当行の解散については、当行が独自に決定することはできず、法律によって定められることになっております(当行法第42条)。
(3)財務面の関与
① 予算及び決算
(イ)予算
当行の予算は、政府関係機関予算として、財務大臣に提出され、閣議決定後に国の予算の議決の例によって、国会において議決されます(当行法第16条、第19条)。また、事業計画、資金計画(財政融資資金借入金、外国為替資金借入金、社債、一般会計出資金、貸付金等)についても、予算に添付して国会に提出されます(当行法第17条)。
(ロ)決算
当行は、財産目録を作成し、会社法第435条の規定に基づき作成する貸借対照表、損益計算書及び事業報告書とともに、財務大臣に提出することとされております(当行法第26条)。
また、貸借対照表、損益計算書及び財産目録(以下「貸借対照表等」という。)の提出をした後は、予算の区分に従い決算報告書を作成し、監査役の意見を付して財務大臣に提出することとされており、決算報告書は財務大臣により貸借対照表等を添えて内閣に送付され(当行法第27条)、会計検査院の検査を経て国会に提出されます(当行法第28条、第29条)。
② 政府からの借入れ及び政府保証債の発行
当行は、政府から借入れをすることができます(当行法第32条)。
また、政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和21年法律第24号)第3条の規定にかかわらず、予算をもって定める金額の範囲内において、当行の社債に係る債務又は外国通貨長期借入金の借入れに係る債務について、保証契約をすることができます(当行法第35条第1項)。
③ 借入金及び社債発行等の制限
当行は、各事業年度、社債の発行及び外国通貨長期借入金の借入れに係る基本方針を策定して包括的に財務大臣の認可を受けております(当行法第33条第4項)。
当行の短期借入金、外国通貨長期借入金及び政府からの借入金及び社債の元本額の合計は、当行の資本金及び準備金の合計額の10倍を超えてはならない(社債の借換えに必要な場合は除く。)こととされています(当行法第33条第6項、第7項)。
④ 出資金
政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、当行に出資することができます(当行法第4条)。
⑤ 検査
(イ)会計検査院の検査
当行に対しては、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第20条及び第22条に基づき、会計検査院による検査が行われております。検査結果は、毎年一回会計検査院から内閣を経由して国会に提出されます。
(ロ)財務大臣の検査
当行に対しては、財務大臣による検査が行われます(当行法第39条)。
(ハ)金融庁の検査
当行に対しては、金融庁による検査が行われます。財務大臣は、当行法第39条に規定する検査権限の一部を内閣総理大臣へ委任することができ、内閣総理大臣は当該委任を受けた権限を金融庁長官に委任します(当行法第40条)。
当連結会計年度における当行グループ(当行、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、生産、受注及び販売の状況は、当行グループにおける業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
① 財政状態及び経営成績の状況
各国は引き続き新型コロナウイルスのパンデミックからの回復途上にあるほか、ロシアによるウクライナ侵略は食料・エネルギー価格の高騰等を通じて世界経済に影響を及ぼしています。また、インフレに対処するための米国の金融引き締めは世界の経済活動を鈍化させ、特に開発途上国は債務コストの上昇に見舞われています。今後、新たなショックの発生がインフレ率を更に上昇させる可能性もあり、世界経済を取り巻く環境は依然として不透明感を増しています。
我が国経済は、上記の影響を受けつつ、パンデミック後の反動による需要増加や緩和的金融環境、政府の経済対策の効果等に支えられ、緩やかな回復を見込む一方、ウクライナ侵略、世界規模での気候変動・災害問題、エネルギー食糧問題を含む経済安全保障に対応したサプライチェーンの再構築、生成AIの普及にも象徴されるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の進展など、国内外の歴史的・構造的な変化と課題に直面しています。我が国企業には、こうした内外の情勢を踏まえた、海外における技術・ノウハウの獲得や新たな海外市場の獲得といった取組が求められています。
上記の環境変化に我が国経済や企業が対応できるかは、中長期的な成長を実現可能とする構造転換を着実に実施できるかにかかっており、日本政府は、持続可能な経済社会の実現へ向け「人への投資」や「GX・DX等への投資」等を謳った「新しい資本主義」を基本理念として掲げ、「経済財政運営と改革の基本方針2023」及び「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」(いずれも2023年6月16日閣議決定)を公表。また、「インフラシステム海外展開戦略2025(令和5年6月追補版)」(2023年6月1日改定)では、「新しい資本主義」を踏まえ、①DX等新たな時代の変革への対応の強化、②脱炭素社会に向けたトランジションの加速、③「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を踏まえたパートナーシップの促進、④コアとなる技術・価値の確保、⑤売り切りから継続的関与への多様化の促進、⑥質高インフラに向けた官民連携の推進が謳われており、具体的な施策として、株式会社国際協力銀行(JBIC)法の一部改正を通じたサプライチェーン強靱化の支援や、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の推進、スタートアップ企業支援など積極的なリスクテイクを通じた公的金融機関による支援拡充等が掲げられています。
このように、グローバルな環境変化が起こる中、当行は、当行法に基づき、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、(1)日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、(2)日本の産業の国際競争力の維持及び向上、(3)地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、(4)国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処、の4つの分野の業務を行い、日本及び国際経済社会の健全な発展に寄与することを目的とし、かかる分野における出融資保証案件への積極的な対応を行っております。
これらの業務を遂行するに当たり、当行は企業理念として、「国際ビジネスの最前線で、日本そして世界の未来を展(ひら)きます。」を掲げています。これは、当行にとってのコア・バリューである、「現場主義」「顧客本位」「未来志向」の3つを表すものです。当行にとって、「現場主義」とは、海外プロジェクトの現場に密着し、早い段階から能動的な関与を行うことで、先駆的な付加価値を創造することであり、「顧客本位」とは、お客様の立場になって考え、その声を政策形成につなげ、独自のソリューションを提供すること、そして、「未来志向」とは、安心で豊かな未来を見据え、高い専門性を発揮し、日本と世界の持続的な発展に貢献することです。
こうした理念を踏まえつつ、当行は今後10年先を見据えたあるべき姿として、「海図なき世界情勢の中で、日本の力で未来を築く『羅針盤』でありたい。」という中長期ビジョンを掲げるとともに、第4期中期経営計画(2021~2023年度)を策定し、SDGs・脱炭素社会の実現に向けたイノベーションや、不可逆的に進展するエネルギー変革・デジタル変革を見据え、「変革の時代の羅針盤」をテーマに、第4期中期経営計画で定めたそれぞれの目標の達成に取り組んできました。
当行は、2022年6月28日に閣議決定された「株式会社国際協力銀行法施行令の一部を改正する政令」に基づき、先進国向けの輸出金融及び先進国事業に対する投資金融につき対象分野を拡充したほか、2022年7月に創設した「グローバル投資強化ファシリティ」を活用し、日本企業による脱炭素化をはじめとする地球環境保全への貢献やサプライチェーンの強靱化、質の高いインフラの海外展開や新たな市場創出の支援に取り組むとともに、2022年6月及び7月に、サステナビリティの実現に向けた当行の取組を進めていく部署として「サステナビリティ統括部」を、脱炭素社会の実現やグリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現に必要となる水素やアンモニア等次世代エネルギーへの対応を一元的に行う部署として「次世代エネルギー戦略室」をそれぞれ新設しております。また、新設のサステナビリティ統括部を中心に、当行としてはじめてのTCFD提言に基づく気候関連情報開示を行うとともに、サステナビリティ関係のガバナンス強化として、取締役会の諮問機関として「サステナビリティ・アドバイザリー委員会」、経営会議の委任を受けた審議機関として「サステナビリティ委員会」を新設いたしました。かかる体制の下、サステナビリティ関連では、新設のサステナビリティ統括部を中心に、2022年10月に当行としてはじめてのTCFD提言に基づく気候関連情報開示を行うとともに、2023年4月には当行人権方針の公表を行いました。
また、日本経済を取り巻く国際情勢の変化等を踏まえ、当行の機能強化を通じ、日本の産業の国際競争力の維持・向上に資するサプライチェーンの強靱化やスタートアップ等の日本企業のリスクテイク推進等を進めるとともに、ウクライナの復興を支援することを企図した「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律」が2023年4月14日に公布されました。同法は、当行の業務について、①日本企業のサプライチェーンや海外事業に必要な基盤を支える外国企業を事業開発等金融の対象に追加、②日本企業が物資を海外で引き取る場合も輸入金融の対象に追加、③日本企業のサプライチェーン強靱化のための海外事業資金を国内向け貸付けの対象に追加、④海外事業を行う国内のスタートアップ企業や中堅・中小企業への出資・社債取得等を業務に追加、⑤特別業務の対象分野に資源開発、新技術・ビジネスモデルの事業化、スタートアップ企業への出資等を追加、⑥保証の対象に国際金融機関を追加するといった機能強化を行うもので、⑥は2023年4月15日に、その他は2023年10月1日に施行されました。
上記の取組の結果、当連結会計年度の当行の出融資保証等承諾実績は、2兆379億円となりました。セグメント区分ごとの当連結会計年度の経営成績並びに当行グループの財政状態及び経営成績の状況の概要につきましては、以下のとおりとなりました。
〔一般業務〕
日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進する取組として、本邦企業によるLNGの安定調達に必要な資金や日本の鉄鋼産業における鉱物資源の長期的安定確保及び脱炭素化の支援に必要な資金に対する融資を行いました。
日本の産業の国際競争力の維持及び向上に向けた取組として、「グローバル投資強化ファシリティ」等も活用し、様々な案件に対する支援を行いました。インフラ分野では、英国における海底送電プロジェクト等への融資を行いました。海外M&Aの分野では、サプリメント等の健康食品の製造・販売事業を行う豪州法人買収案件や眼科領域に特化した治療薬の研究開発を行うバイオ医薬品企業の米国法人の買収案件に対する融資を行うなど、海外における事業拡大や新たな事業展開を支援しました。また、イノベーション支援として、北部ヨーロッパ地域のスタートアップ企業との連携を通じた日本企業のサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を支援するため、JBIC IG Partners等により設立された、主に同地域のサステナビリティ×デジタル分野のスタートアップ企業を投資対象とするファンドへ出資しました。中堅・中小企業の海外事業展開については、ASEAN諸国や中国等の各国において、現地通貨建て融資も活用しつつ積極的な支援を行いました。
地球環境の保全を目的とする海外における事業を促進する取組として、「グローバル投資強化ファシリティ サステナビリティ推進ウインドウ」を活用し、ベナンにおける太陽光発電事業や台湾における洋上風力発電事業に対する融資を行いました。
経営成績につきましては、当連結会計年度は上記取組等を通じ、貸出金利息等の資金運用収益1兆204億円等を計上した結果、経常収益は、前連結会計年度比4,735億円増加し、1兆1,313億円となりました。一方、借用金利息等の資金調達費用9,018億円等を計上した結果、経常費用は、同5,660億円増加し、1兆683億円となりました。結果、経常利益は、同924億円減少し、630億円となり、特別損益等を含めた親会社株主に帰属する当期純利益は、同934億円減少し、621億円となりました。
〔特別業務〕
経営成績につきましては、当連結会計年度は、貸出金利息の減少により資金運用収益1,648百万円等を計上した結果、経常収益は、前連結会計年度比438百万円減少し、1,796百万円となりました。一方、資金調達費用895百万円等を計上した結果、経常費用は、同322百万円増加し、1,592百万円となりました。結果、経常利益は、同760百万円減少し、203百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、同760百万円減少し、203百万円となりました。
〔当行グループ〕
当行グループは、当連結会計年度末時点において、一般業務及び特別業務のみから構成され、業務規模では一般業務が大宗を占めていることから、当行グループの経営成績等の状況の概要は、一般業務に近いものとなっております。
経営成績につきましては、当連結会計年度は、貸出金利息等の資金運用収益1兆220億円等を計上した結果、経常収益は、前連結会計年度比4,731億円増加し、1兆1,330億円となりました。一方、借用金利息等の資金調達費用9,027億円等を計上した結果、経常費用は、同5,663億円増加し、1兆697億円となりました。結果、経常利益は、同932億円減少し、632億円となり、特別損益等を含めた親会社株主に帰属する当期純利益は、同942億円減少し、623億円となりました。
財政状態につきましては、資産の部の当連結会計年度末残高は、貸出金が増加したこと等により、前連結会計年度末比1兆4,992億円増加した結果、21兆6,571億円となりました。主な内訳は、貸出金16兆4,234億円、支払承諾見返1兆5,225億円、現金預け金2兆5,653億円となっております。負債の部の当連結会計年度末残高は、借用金や社債が増加したこと等により、同1兆4,635億円増加した結果、18兆6,720億円となりました。主な内訳は、借用金9兆1,939億円、社債6兆6,368億円、支払承諾1兆5,225億円となっております。純資産の部の当連結会計年度末残高は、資本金が増加したこと等により、同356億円増加した結果、2兆9,850億円となりました。主な内訳は、資本金2兆2,118億円、利益剰余金1兆1,086億円となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、預け金の純増等による支出額が増加したこと及び借用金の純増等による収入額が減少したこと等により、前連結会計年度比7,181億円支出が増加し、3,067億円の支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入が増加したこと等により、同355億円収入が増加し、244億円の収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、国庫納付による支出額が増加したこと等により、同546億円支出が増加し、230億円の収入となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、同2,592億円減少し、9,466億円となりました。
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
〔一般業務〕
経営成績につきましては以下のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支は、借用金利息の増加等により資金調達費用が増加したものの、貸出金利息の増加等により資金運用収益も増加したため、前連結会計年度比93億円増加し、1,185億円の黒字、役務取引等収支は、同65億円増加し、255億円の黒字、その他業務収支は、同89億円増加し、515億円の黒字となり、連結粗利益は、同248億円増加し、1,957億円の黒字となりました。これから営業経費255億円を控除した結果、連結実質業務純益は、同232億円増加し、1,701億円の黒字となりました。更に、以下の「経営成績等に重要な影響を与える要因」に記載のとおり、与信関係費用が1,300億円増加した結果、その他経常収支及び特別損益等を含めた親会社株主に帰属する当期純利益は、同934億円減少し、621億円となりました。
財政状態につきましては、資産の部の当連結会計年度末残高は、現金預け金及び貸出金が増加したこと等により、前連結会計年度末比1兆4,935億円増加した結果、21兆3,201億円となりました。主な内訳は、貸出金16兆3,999億円、支払承諾見返1兆5,225億円、現金預け金2兆2,706億円となっております。負債の部の当連結会計年度末残高は、借用金及び社債が増加したこと等から、同1兆4,628億円増加した結果、18兆6,655億円となりました。主な内訳は、借用金9兆1,897億円、社債6兆6,368億円、支払承諾1兆5,225億円となっております。純資産の部の当連結会計年度末残高は、資本金が増加したこと等により、同306億円増加し、2兆6,546億円となりました。主な内訳は、資本金1兆8,835億円、利益剰余金1兆1,079億円となっております。
経営成績等に重要な影響を与える要因
3[事業等のリスク](2)① 信用リスクに記載のとおり、与信先である各国・各地域の政治・経済等の動向や、それらに伴う個別与信先の財務状況等につき大幅に悪化した場合には、当行の不良債権や与信関係費用が増加する可能性があり、経営成績等に重要な影響を与える要因となります。
当連結会計年度の与信関係費用は、前連結会計年度比1,300億円悪化し、1,143億円の繰入れとなりました。主な要因は、前連結会計年度においては、貸倒引当金を191億円戻入しましたが、当連結会計年度においては、償却債権取立益を115億円計上したものの、大型案件の債務者区分下方遷移等により、貸倒引当金を1,259億円繰入れたこと等によるものです。なお、当連結会計年度末時点で、総与信残高18兆1,390億円に対して、銀行法及び金融再生法に基づく債権は6,443億円となり、不良債権比率3.55%となりました。
また、個別出資先の財務状況等により、当行の当該出資に係る有価証券関連損益は大幅に変動する可能性があり、経営成績等に重要な影響を与える要因になります。
当連結会計年度の出資に係る有価証券関連損益(上記の株式等償却は除く。)は、主に、株式等売却益31億円を計上したほか、一部の出資先からの有価証券利息配当金及び一部の出資先が計上した利益の取込等に伴う組合出資に係る持分損益を合わせて197億円の利益を計上した一方、連結子会社が保有する有価証券に係る評価損の取込等による株式等売却損85億円を計上した結果、145億円の利益計上となりました。
〔特別業務〕
経営成績につきましては、以下のとおりであります。
当連結会計年度の資金運用収支は、貸出金利息が減少したこと等により資金運用利益が減少した結果、前連結会計年度比586百万円減少し、753百万円の黒字、役務取引等収支は、同222百万円減少し、278百万円の赤字、その他業務収支は、同129百万円増加し、99百万円の黒字、連結粗利益は、同679百万円減少し、574百万円の黒字となりました。これから営業経費419百万円を控除した結果、連結実質業務純益は、同645百万円減少し、155百万円の黒字となり、その他経常収支及び特別損益等を含めた親会社株主に帰属する当期純利益は、同760百万円減少し、203百万円となりました。
財政状態につきましては、資産の部の当連結会計年度末残高は、現金預け金の増加に伴い、前連結会計年度末比56億円増加し、3,370億円となりました。主な内訳は、現金預け金2,946億円、貸出金234億円、有価証券165億円となっております。負債の部の当連結会計年度末残高は、その他負債が増加したこと等から、同6億円増加し、66億円となりました。主な内訳は、借用金42億円、その他負債23億円となっております。純資産の部の当連結会計年度末残高は、新たに出資金を受け入れたこと等により、同49億円増加し、3,304億円となりました。主な内訳は、資本金3,283億円となっております。
経営成績等に重要な影響を与える要因
3[事業等のリスク](2)① 信用リスクに記載のとおり、与信先である各国・各地域の政治・経済等の動向や、それらに伴う個別与信先の財務状況等につき大幅に悪化した場合には、当行の不良債権や与信関係費用が増加する可能性があり、経営成績等に重要な影響を与える要因となります。特別業務においては、期待収益は充分であるがリスクを伴う海外インフラ事業向けの貸付け等を行っており、一般業務に比べ相対的に与信関係費用が大きくなる可能性があります。
当連結会計年度の与信関係費用は、前連結会計年度比戻入額が113百万円減少したものの、45百万円の戻入れとなりました。なお、当連結会計年度末時点で、総与信残高は23,514百万円となりましたが、銀行法及び金融再生法に基づく債権はありません。
また、当連結会計年度の出資に係る有価証券関連損益は、特別業務の経営成績等に重要な影響を与えておりません。
〔当行グループ〕
経営成績につきましては、当連結会計年度の資金運用収支は、前連結会計年度比87億円増加し、1,193億円の黒字、役務取引等収支は、同63億円増加し、253億円の黒字、その他業務収支は、同90億円増加し、516億円の黒字となり、連結粗利益は、同241億円増加し、1,962億円の黒字となりました。これから営業経費259億円を控除した結果、連結実質業務純益は、同226億円増加し、1,703億円の黒字となりました。更に、与信関係費用が1,301億円増加した結果、その他経常収支及び特別損益等を含めた親会社株主に帰属する当期純利益は、同942億円減少し、623億円となりました。
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当行グループは、当連結会計年度末時点において、一般業務及び特別業務のみから構成されていることから、当行グループの経営成績等に重要な影響を与える要因は、上記の一般業務及び特別業務に記載の内容と同一となるため、記載を省略しております。また、当連結会計年度において、当行グループに占める業務規模では、一般業務が大宗を占めていることから、一般業務の経営成績等に重要な影響を与える要因が、当行グループに対してより強い影響があるものとなります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度の当行グループのキャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性については、一般業務においては、我が国企業の海外展開支援等を実施するための財務基盤強化を目的とした資金として、政府からの出資金を受け入れているほか、長期・安定的な資金調達として財政融資資金、外国為替資金、政府保証外債などによる資金調達を実施しております。特別業務においては、我が国企業の海外展開支援等を実施するための財務基盤強化を目的とした資金として、政府からの出資金を受け入れております。
当行グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
① 経営成績の状況
(イ)一般業務
a. 収支の状況
b. 与信関係費用
c. 資金運用/調達の状況
(注)1.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。また、平均残高は金融商品等差入担保金を含む数値であります。
2.資金調達勘定の平均残高は、金融商品等受入担保金を含む数値であります。
(ロ)特別業務
a. 収支の状況
b. 与信関係費用
c. 資金運用/調達の状況
(注)1.資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。また、平均残高は金融商品等差入担保金を含む数値であります。
2.資金調達勘定の平均残高は、金融商品等受入担保金を含む数値であります。
② 財政状態の状況
(イ)一般業務
a. 貸出金の状況(末残)
(参考)銀行法及び金融再生法に基づく債権の状況(連結、末残)
当行は銀行法(昭和56年法律第59号)及び金融再生法(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号))の適用はありませんが、以下は民間金融機関の基準に準じて算出したものであります。
(注)正常債権に対する一般貸倒引当金及び特定海外債権引当勘定は含んでおりません。
○業種別貸出の状況(末残・構成比)
(注)「国内店名義現地貸」とは非居住者に対して外貨又は円貨で貸付けを行う場合を指しております。
○国別融資の状況(末残・構成比)
(注)原則としてプロジェクトの所在国(輸出金融の場合は輸入者の所在国、輸入金融の場合は輸出者の所在国、その他の場合はプロジェクトや事業の所在国)により地域別分類を行っております。
b. 有価証券の状況(末残)
(ロ)特別業務
a. 貸出金の状況(末残)
(参考)銀行法及び金融再生法に基づく債権の状況(連結、末残)
当行は銀行法(昭和56年法律第59号)及び金融再生法(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号))の適用はありませんが、以下は民間金融機関の基準に準じて算出したものであります。
(注)正常債権に対する一般貸倒引当金及び特定海外債権引当勘定は含んでおりません。
○業種別貸出の状況(末残・構成比)
(注)「国内店名義現地貸」とは非居住者に対して外貨又は円貨で貸付けを行う場合を指しております。
○国別融資の状況(末残・構成比)
(注)原則としてプロジェクトの所在国(輸出金融の場合は輸入者の所在国、輸入金融の場合は輸出者の所在国、その他の場合はプロジェクトや事業の所在国)により地域別分類を行っております。
b. 有価証券の状況(末残)
当行は、銀行法第14条の2の適用を受けておりませんが、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号。以下「告示」という。)に基づく自己資本比率を算出しております。
なお、本表は、全国銀行協会の雛形に即した表示としております。
自己資本比率は、告示に定められた算式に基づき、単体ベースについて算出しております。
なお、当行は、国際統一基準を適用の上、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
単体自己資本比率(国際統一基準)