売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00058 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営者による当社グループの経営成績等の状況の分析は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであり、また、様々な要素により異なる結果となる可能性がある。

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間の世界経済は、各国・地域におけるインフレ率が減速傾向となり、政策金利は利上げから据え置きの局面に移行しつつある。成長のペースについては、依然として高い物価や金利の影響等により、鈍化や停滞が見られた。我が国経済においては、物価が緩やかに上昇したが、雇用・所得環境やインバウンド需要に持ち直しが見られるなど、底堅い回復が続いた。引き続き、国内外のインフレ及び金利の動向に加え、地政学的リスクの高まりに注視していく必要がある。

国内建設市場においては、建設需要が公共・民間ともに堅実な動きとなった。建設コストに関しては、資機材価格が総じて高い水準で推移する中、工事量の増加に伴い、労務費にも一部の職種において上昇が見られた。

こうした中、当第3四半期連結累計期間における当社グループの連結業績は、次のとおりとなった。

建設事業受注高は、国内、海外ともに増加し、前年同四半期連結累計期間比19.8%増の2兆923億円(前年同四半期連結累計期間は1兆7,461億円)となった。なお、当社の受注高は、開発事業等を含めて同16.7%増の1兆3,638億円(同1兆1,689億円)となった。

売上高は、当社及び海外関係会社における建設事業の売上高増加を主因に、前年同四半期連結累計期間比13.8%増1兆9,946億円(前年同四半期連結累計期間は1兆7,531億円)となった。

利益については、当社の建設事業、開発事業等の売上総利益に加え、国内関係会社の開発事業等の売上総利益が増加したことを主因に、営業利益は前年同四半期連結累計期間比9.5%増1,021億円(前年同四半期連結累計期間は932億円)となった。経常利益は、海外開発事業に係る営業外収益の減少等により、6.9%減1,128億円(同1,212億円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は同6.7%減766億円(同820億円)となった。なお、当第3四半期連結累計期間において政策保有株式を20銘柄売却(103億円)しており、投資有価証券売却益を特別利益に計上している。

当第3四半期連結累計期間における事業別業績の概況は、次のとおりである。

当社建設事業は、土木事業、建築事業ともに売上高が前年同四半期連結累計期間を上回り、売上総利益も増加している。土木事業の売上総利益率(13.2%)は前年同四半期連結累計期間(15.3%)を下回って推移しているが、当連結会計年度末までに竣工を迎える工事等における追加変更契約の締結や原価低減などにより損益が向上することを見込んでいる。建築事業の売上総利益率(9.6%)は、資機材価格が高止まりする状況下においても、前年同四半期連結累計期間(8.8%)を上回り、通期予想(9.7%)に対して順調に進捗している。開発事業等については、当期首に計画していた不動産販売案件の売却が順調に進み、業績に貢献している。

国内関係会社は、建設事業の売上高が増加し、売上総利益率も向上したことに加え、開発系関係会社が保有する販売用不動産の売却により、売上高、利益ともに前年同四半期連結累計期間を上回って推移している。海外関係会社の建設事業では、東南アジアの一部の工事においてコロナ禍の影響が残ったものの、当第2四半期連結累計期間の業績と比較して改善が見られる。開発事業等では、米国において流通倉庫を8件売却し、東南アジアにおけるホテル等運営事業の業績回復が進んだが、高水準であった前年同四半期連結累計期間の利益を下回った。今後当連結会計年度末までに、米国における開発物件の売却や建設事業の更なる損益改善などにより、海外関係会社業績の向上を見込んでいる。

 

 

セグメントの業績は次のとおりである。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載している。)

① 土木事業

(当社における建設事業のうち土木工事に関する事業)

 

売上高は、大型工事を中心に施工が順調に進捗していることから、前年同四半期連結累計期間比19.5%増2,610億円(前年同四半期連結累計期間は2,184億円)となった。

営業利益は、売上高増加の効果があったものの、売上総利益率の低下及び販管費の増加により、前年同四半期連結累計期間比3.0%減155億円(前年同四半期連結累計期間は160億円)となった。

 

② 建築事業

(当社における建設事業のうち建築工事に関する事業)

 

売上高は、生産施設やオフィス等の大型工事の施工が着実に進捗したことを主因に、前年同四半期連結累計期間比11.9%増8,587億円(前年同四半期連結累計期間は7,675億円)となった。

営業利益は、売上高の増加に加え売上総利益率が向上し、前年同四半期連結累計期間比36.2%増490億円(前年同四半期連結累計期間は360億円)となった。

 

③ 開発事業等

(当社における不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業)

 

当連結会計年度に計画している不動産販売案件の売却が着実に進んでいることから、売上高、営業利益ともに前年同四半期連結累計期間を上回り、売上高は前年同四半期連結累計期間比64.4%増525億円(前年同四半期連結累計期間は319億円)、営業利益は同72.9%増94億円(同54億円)となった。

 

④ 国内関係会社

(当社の国内関係会社が行っている事業であり、主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸
    事業等)

 

開発系関係会社が保有する販売用不動産の売却を主因に、売上高、売上総利益が増加し、売上高は前年同四半期連結累計期間比6.2%増2,701億円(前年同四半期連結累計期間は2,542億円)、営業利益は同73.5%増195億円(同112億円)となった。

 

⑤ 海外関係会社

(当社の海外関係会社が行っている事業であり、北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等)

 

売上高は、米国や大洋州の建設事業売上高が増加したことを主因に、前年同四半期連結累計期間比9.9%増6,363億円(前年同四半期連結累計期間は5,790億円)となった。

営業利益は、建設事業の売上総利益が増加したものの、米国における開発事業等の売上総利益が高水準であった前年同四半期連結累計期間を下回ったことを主因に、前年同四半期連結累計期間比65.6%減83億円(前年同四半期連結累計期間は242億円)となった。

 

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末比4,001億円増加し、3兆1,698億円(前連結会計年度末は2兆7,697億円)となった。これは、受取手形・完成工事未収入金等の増加1,310億円、棚卸資産(販売用不動産、未成工事支出金、開発事業支出金及びその他の棚卸資産)の増加840億円及び保有株式等の時価上昇による含み益の増加を主因とする投資有価証券の増加650億円があったこと等によるものである。

負債合計は、前連結会計年度末比2,948億円増加し、2兆34億円(前連結会計年度末は1兆7,085億円)となった。これは、有利子負債残高の増加2,162億円、支払手形・工事未払金等の増加317億円及び未成工事受入金の増加149億円があったこと等によるものである。なお、有利子負債残高は、7,540億円(前連結会計年度末は5,377億円)となった。

純資産合計は、株主資本9,112億円、その他の包括利益累計額2,423億円、非支配株主持分129億円を合わせて、前連結会計年度末比1,053億円増加1兆1,664億円(前連結会計年度末は1兆611億円)となった。

また、自己資本比率は、前連結会計年度末比1.6ポイント悪化し、36.4%(前連結会計年度末は38.0%)となった。

 

(注)短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債(1年内償還予定の社債を含む)及び長期借入金の合計額

 

(3) 目標とする経営指標

当連結会計年度の業績予想(2023年11月13日発表)は下記のとおりである。

なお、当社の完成工事総利益率予想は11.2%(土木15.6%、建築9.7%)である。

連結業績予想                                     (単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に

帰属する

当期純利益

当連結会計年度

2,610,000

144,000

153,000

107,000

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についての重要な変更はない。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は138億円である。