E01575 Japan GAAP
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間において、堅調な個人消費や企業による人工知能(AI)分野への活発な投資などを背景に世界経済は引き続き底堅さを維持しました。しかし、世界経済の先行きは米国による関税政策や米中対立などにより、不透明感が強まっています。
このような状況のなか、当社グループの総合エンジニアリング事業の海外マーケットにおいて、トランジションエネルギー分野(液化天然ガス(LNG)、石油精製、石油化学、化学、ガス処理、水素・燃料アンモニア、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2回収・貯留)、SAF、原子力関連分野等の各種プラントの設計・調達・建設)では、環境負荷が比較的少ない天然ガスやLNGの需要は引き続き高く、産油・産ガス諸国において新設のみならず既設プラントの増設などの設備投資計画が進展しました。先端技術産業分野(半導体、蓄電池関連作業、データセンターなどの各種インフラ設備・施設の設計・調達・建設)では、デジタル社会の進展に伴って半導体材料や蓄電池部材、データセンターなどのデジタル産業を支えるインフラ施設や関連施設の設備投資計画が、アジアなどを中心に着実に進展しました。
また、総合エンジニアリング事業の国内マーケットにおいて、ライフサイエンス分野や化学分野、原子力分野を中心に設備投資計画が進展しました。
一方で、金利上昇や建設費用等の増加により、顧客のCAPEX(資本的支出)が高止まりしたことから、一部の顧客において設備投資の最終決定時期を2025年度後半や2026年度以降に先送りする動きが見られました。こうした傾向は国内外の水素・燃料アンモニア、SAFといったサステナブル分野の案件でより顕著に見られ、CAPEX増加を受けて顧客は補助金交付や予算見直しに時間を要し、投資計画が後ろ倒しになる案件も出始めています。
機能材製造事業において、触媒・ファインケミカル分野では、触媒製品はアジアを中心に石油精製触媒などの需要が伸長しました。ファインケミカル製品は主力である半導体やエレクトロニクス市場が回復基調にあり、製品需要も堅調に推移しました。ファインセラミックス分野では、生成AIを中心とした半導体・電子材料関連市場は堅調に推移しました。
以上のような経営環境のもと、当社グループの当中間連結会計期間の経営成績等は、以下のとおりとなりました。
経営成績
受注高
この結果、当中間連結会計期間末の受注残高は、為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額を加え、1兆1,265億円となりました。
セグメント別状況
総合エンジニアリング事業
当社グループは、当連結会計年度においてトランジションエネルギー分野、先端技術産業分野を合わせた海外マーケットで5,000億円、国内マーケットで1,500億円の計6,500億円の受注目標を掲げています。当中間連結会計期間における受注高は海外469億円、国内551億円、合計1,020億円となりました。引き続き世界情勢や市場の動向を注視しながら、実現可能性が高く、確実に収益を上げることができる案件を選別し、受注目標達成に向けて取り組んでいます。
当中間連結会計期間において、海外マーケットのトランジションエネルギー分野では、伊Eni社が推進するモザンビーク向け浮体式液化天然ガス(FLNG:Floating LNG)設備に関する先行業務契約、LNG Canada社が推進するLNG Canada第2期拡張計画の基本設計のアップデート役務などを受注しました。
国内マーケットでは既存国内製油所や化学プラントの保全工事、それに伴う改修工事のほか、民間ロケット試験・燃料設備等の新設プロジェクト、医薬品製造工場の改修工事などを受注しました。
受注目標の達成に向けて、海外では下半期に複数の大型LNGプロジェクトのほか、国内では食品関連工場、医薬品工場、SAF製造プラントなどの案件受注を目指しています。
このほか先端技術産業分野では、半導体やデータセンター分野におけるグローバルリーダーであるExyte GmbHと当社グループの海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社が協業し、東南アジア地域の先端技術産業分野における新たな共同EPCブランド「Nixyte(ニキサイト)」を立ち上げて、案件の受注に向けて鋭意取り組んでいます。
また、当社は産業分野における二酸化炭素(CO2)回収技術のリーディングプロバイダーであるSLB Capturi社とその親会社であるSLB社との間で、燃焼後排ガスに含まれるCO2の回収に係る基本合意書を締結し、SLBグループとの戦略的な協業可能性に関する協議を開始しました。日揮グループは、SLBグループとの連携によるCO2回収設備のEPCプロジェクト受注に留まらず、エネルギーや環境をテーマとした調査、分析・評価、シミュレーションリスク評価等さまざまな手法を組み合わせた技術コンサルティングの提供も検討していく予定です。
国内EPC事業会社である日揮株式会社(以下、日揮という)は、日本企業11社とともにフュージョン(核融合)エネルギー発電の商業化を目指す米国コモンウェルス・フュージョン・システムズ社(以下、CFS社という)に出資しました。CFS社は、世界初となる商業用フュージョンエネルギー発電炉「ARC(アーク)」を米国バージニア州に建設する計画を推進しており、2030年代前半の運転開始を目指しています。日揮はこれまで培ってきたフュージョン発電炉に不可欠なトリチウム除去設備の建設実績や知見を活かして、CFS社とARCの実現に向けた協議を進めています。
加えて、日揮が開発・実証を進めるフィルム型次世代太陽電池向けの施工法「シート工法」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「太陽光発電導入拡大等技術開発事業/設置場所に応じた太陽光発電システム技術開発」に採択され、フィルム型太陽電池の大型化や長大化を実現するモジュール(フィルム型太陽電池と架台を組み合わせたもの)の開発などを通じて施工コストの削減を目指しています。ペロブスカイト太陽電池やカルコパイライト太陽電池といったフィルム型太陽電池の実証試験も、神奈川県内や北海道で実施しました。
触媒分野において、アジアを中心としたFCC触媒の需要増に伴い、同触媒製品の拡販を進めたほか、国内においてケミカル触媒の受託製造案件を取り込むなど、製品全体の販売は堅調に推移しました。ファインケミカル分野において、同分野の主力である半導体やエレクトロニクス市場が回復基調にあり顧客による生産調整も解消されはじめたことにより、ハードディスクや半導体向け研磨材向けシリカゾルなどの需要が堅調に推移しました。同分野の事業会社である日揮触媒化成株式会社は、ケミカルリサイクル用触媒、高速通信材料や半導体用機能性研磨粒子など新規ファインケミカル製品の今後の需要拡大に向けて、新たな設備投資計画の検討を進め、新たに取得した事業用地でのインフラやユーティリティー設備の導入を開始しました。
ファインセラミックス分野では、生成AIを中心とした半導体・電子材料関連市場は堅調に推移し、半導体製造装置関連製品やデータセンター向け電子材関連製品の需要が伸長しました。一方で米欧での電気自動車市場が減速し顧客の投資計画も見直しが行われたことにより、電気自動車向けパワー半導体用高熱伝導窒化ケイ素基板の需要が一時的に横ばいとなりました。同分野の事業会社である日本ファインセラミックス株式会社が宮城県富谷市において建設を進めていた、電気自動車向けパワー半導体の高熱伝導窒化ケイ素基板等の増産に向けた新工場が2025年春に完工しました。今後の顧客の製品需要の回復に備え、新工場の本格稼働を進めていく予定です。
報告セグメント以外の新規事業の取組みとして、廃食用油を原料とした国産SAF製造・供給事業において、当社は、大手食品事業者や自治体、ホテルチェーンなどと廃食用油の供給及び利用に関する基本合意書を締結し、引き続き原料の確保に取り組みました。当社グループの持分法適用会社でありSAF製造事業会社である合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYがコスモ石油堺製油所構内に建設していた大規模生産実証設備は、2024年12月に完工し、2025年度からパートナー企業を通じて、海外・国内の大手エアラインへのSAF供給を開始しています。
以上のような取組みのもと、当社グループの当中間連結会計期間のセグメント別の経営成績については、以下のとおりとなりました。
なお、当中間連結会計期間末の連結財政状態は、総資産が7,917億4百万円となり、前連結会計年度末比で75億29百万円の増加となりました。また、純資産は4,125億56百万円となり、前連結会計年度末比で202億95百万円増加となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末の連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較し285億74百万円減少し、3,041億86百万円となりました。また、当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益の210億68百万円に加え、仕入債務や契約負債など運転資本の増減などにより、結果として75億78百万円の減少(前中間連結会計期間は583億7百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、79億64百万円の減少(前中間連結会計期間は82億7百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより、103億49百万円の減少(前中間連結会計期間は147億22百万円の減少)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当社グループは、自らのパーパス(存在意義)を“Enhancing planetary health”と再定義し、パーパスを道標として長期経営ビジョン「2040年ビジョン」並びに中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025(BSP2025)」を2021年5月に策定しました。2021年度から2025年度の5年間は、「2040年ビジョン」の1stフェーズ、挑戦の5年間と位置づけ、BSP2025において「EPC事業のさらなる深化」、「高機能材製造事業の拡大」、「将来の成長エンジンの確立」を重点戦略とし、戦略投資に積極的に取り組むことで収益の拡大、多様化を進めてまいります。
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は43億63百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(参考)受注高、売上高及び受注残高
(単位:百万円)
(注)1.総合エンジニアリング事業の「当中間連結会計期間末受注残高」は、当中間連結会計期間における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額△42,578百万円を含んでおります。
2.機能材製造事業の「当中間連結会計期間末受注残高」は、当中間連結会計期間における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額△82百万円を含んでおります。
3.その他の事業の「当中間連結会計期間末受注残高」は、当中間連結会計期間における為替換算による修正及び契約金額の修正・変更等による調整額△21百万円を含んでおります。