売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05153 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

第1四半期連結会計期間より、IAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を適用しており、遡及適用後の数値で前第3四半期連結累計期間及び前連結会計年度との比較分析を行っております。この基準の適用による当要約四半期連結財務諸表に与える重要な影響はありません。なお、会計方針の変更の詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 重要性がある会計方針」に記載のとおりです。

 

(1)経営成績に関する経営者の説明および分析

地球温暖化が引き起こす気候変動により、深刻な大災害が世界各地で頻発しています。2023年11月より第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催され、世界の気温上昇を1.5度に抑えるという目標に対し、二酸化炭素など地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスを、2019年対比で2030年までに43%、2035年までに60%排出削減する必要があることが、採択された決定文書に明記されました。温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言する国や地域が増加し、GX(※1)に向けた取組みの成否が企業、ひいては国家の競争力に直結すると考えられる中、我が国においては「GX推進法」に基づき、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現することを目指し、脱炭素電源への転換等の取組みや、官民で150兆円のGX投資を行う等の方針が掲げられています。企業は継続的価値創造のためにデジタルを活用し、企業組織やビジネスモデルそのものを脱炭素型・社会課題解決型へ変容させることが求められています。

 

デジタルビジネスが活況を迎える一方で、企業がインターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材を自社で採用・育成することは難しく、人材不足が企業のデジタル推進を阻む大きな壁となっています。DX白書2023によると、日本企業の8割以上が、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材は質・量ともに不足していると回答しています(独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023、2023年3月16日発行)。

このような状況において、当社グループはミッション「“MEMBERSHIP”で、心豊かな社会を創る」を掲げ、デジタルビジネス運用支援を通じ、顧客企業の経営スタイルやマーケティング活動、サービスおよびプロダクトを「地球と社会を持続可能なもの」へと転換させることを目指しております。

 

<事業の概要>

第1四半期連結会計期間より、前期までのEMC事業とPGT事業を統合し、「DGT(Digital Growth Team)」サービスの提供を開始いたしました。DGTサービスとは、顧客企業のビジネスグロースに寄与するべく、データ分析やUX(※2)、エンジニアリング等も含む様々な専門スキルを持ったデジタルクリエイターが3名以上で顧客専任チームを編成し、顧客企業のデジタル化を顧客と共に実際に手を動かしながら推進・支援するハンズオンのサービスとなります。デジタルクリエイターがダイレクトに顧客企業のデジタルビジネスの成果向上を追求し、その運用を仮説検証型で継続的に支援いたします。また、運用を通じて顧客企業の炭素生産性(※3)向上を支援し、脱炭素につながるアクションを日々の運用業務で実施する取組みも開始しております。

2024年3月期は、DGTサービスの確立を目指し製販分離による営業体制を一層強化し、DGTモデル提供社数を拡大することで、デジタルクリエイターの稼働率を着実に高めてまいります。そのために、Web運用領域以外の高付加価値な先端技術領域に特化した社内カンパニーを積極的に立ち上げ、専門組織による全デジタルクリエイターのスキル育成および配置転換等を通じて、社内専門カンパニーのデジタルクリエイター数を拡充し、非Web運用領域における成長の加速と、収益力の向上を図ります。加えて、グループ全体の人材ポートフォリオを改善するために中途採用を戦略的に拡大し、サービス力向上の土台を築いてまいります。

 

当社グループは、「ネットビジネス支援事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

<連結決算の概況>

当第3四半期連結累計期間の売上収益は14,584百万円(前年同四半期比15.7%増)、営業損失は569百万円(前年同四半期は607百万円の営業利益)、税引前四半期損失は533百万円(前年同四半期は558百万円の税引前四半期利益)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は382百万円(前年同四半期は378百万円の親会社の所有者に帰属する四半期利益)となりました。

売上収益は前年同期比15.7%増、付加価値売上高(売上収益から外注・仕入を差し引いた社内リソースによる売上高)は前年同期比13.9%と伸長し、ともに過去最高を更新しました。

 

当第3四半期連結会計期間は、第4四半期の売上にかかる仕掛品の増加に加えて、高付加価値領域へのデジタルクリエイターの異動が計画比で遅れたことにより、付加価値売上高成長率が前年同期比で鈍化いたしました。しかしながら、来期以降の収益性の改善を見据えた方針および取組みにより、DGTモデル提供社数は141社(前期末比+25社)、全取引社数は427社(前期末比+77社)と顧客基盤は継続して拡大し、既存顧客に向けた高付加価値領域サービスの積極的な展開等により、DGTモデル提供顧客の内、売上規模上位50社の一社あたり付加価値売上高は前年同期比7.6%増と拡大しております。

 

<当社グループ全体の方針および取組み>

今後については、以下方針に基づき収益性改善を最優先に進めつつ、更なる付加価値売上高成長率の引き上げを目指してまいります。

 

1.先行投資型の採用抑制による収益性の改善

当第3四半期連結累計期間において、先行して実施した新卒採用投資が付加価値売上高成長率実績に比して過大となっているため、収益性改善のためには未稼働コストのコントロールが必要であると認識しております。具体的な取組みとして、新卒1年目を除く社員の稼働率目標値90%、営業利益率10%を回復するまで新卒社員採用を抑制いたします。

2025年3月期は新卒社員採用数を400名強に引き下げており(2024年3月期実績585名)、一定の利益率改善を図るものの、未稼働コストが継続して発生する見通しであり、営業利益率10%の回復には至らない見込みです。

2026年3月期以降は更に大幅に新卒社員の採用を抑制することで、付加価値売上高成長率15%および営業利益率10%以上を目指します。

 

2.成長率の引き上げに向けたサービス/営業/育成強化の取組みの継続

当期経営方針に則り、以下3点を強力に推進することで、付加価値売上高成長率の引き上げおよび営業利益率目標10%の早期達成を図ってまいります。

 

① DGTサービスの確立

- Web運用領域からデータ/AI/クラウド等の先進性の高いデジタルビジネス運用領域への転換

② 営業戦略の強化

- 既存顧客拡大に向けたアカウントマネジメントの強化

- 新規顧客獲得に向けた製販分離体制の確立

③ 人材ポートフォリオの改善、育成の強化

- 新卒社員採用の抑制、中途採用の継続強化

- データ/AI/クラウド等の高付加価値人材の育成強化

 

2025年3月期以降の収益性の改善を見据えて定めた上記方針および取組みの進捗について、高付加価値領域である専門カンパニーのデジタルクリエイター数や顧客基盤は前四半期比で拡大し、成果が出始めています。引き続きデータ分析や生成AIなどの先進性の高い人材育成の強化により、高付加価値領域のデジタルクリエイター数を拡充しDGTサービスを確立するとともに、高付加価値領域のサービスを既存顧客に積極的に展開することで、一社あたり付加価値売上高をさらに拡大してまいります。

 

デジタルテクノロジーの更なる進化や世界の脱炭素への取組み、および日本の人口減少の影響等を受け、企業のデジタル投資は一段と加速すると同時に、IT/デジタル人材の不足は更に拡大するものと捉えております。そのような環境において、当社グループは引き続き専門スキル育成等への人材投資を通じて、顧客への価値創造の源泉であるデジタルクリエイターのスキルの向上ならびに社員エンゲージメントの向上等、人的資本の拡充に取組み、DGTサービスによる「世界一のデジタルビジネス運用支援」を実現してまいります。

 

(※1)GX(グリーントランスフォーメーション):化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用するための変革やその実現に向けた活動のこと。経済産業省では、「2050年カーボンニュートラルや、2030年の国としての温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組みを経済の成長の機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に向けた、経済社会システム全体の変革」と定義。

(※2)UX(ユーザーエクスペリエンス):製品やサービスなどを利用するにあたって得られる「体験・経験」のこと。

(※3)炭素生産性:温室効果ガスの排出量あたりの国内総生産(GDP)のこと。当社では、商品やサービスの製造、販売、回収などの際に排出される炭素あたりの利益などを企業の炭素生産性として計測し、ビジネスモデル構築や運用支援を立案。

(2)財政状態の分析

資産、負債及び資本の状況

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は10,613百万円(前連結会計年度末比692百万円の減少)となりました。これは主として、その他の流動資産が478百万円、繰延税金資産が167百万円、棚卸資産が131百万円増加したものの、現金及び現金同等物が1,454百万円減少したことによるものです。

負債合計は、5,070百万円(前連結会計年度末比131百万円の増加)となりました。これは主として、未払法人所得税が151百万円、営業債務及びその他の債務が86百万円、契約負債が52百万円減少したものの、その他の流動負債が432百万円増加したことによるものです。

資本合計は、5,542百万円(前連結会計年度末比824百万円の減少)となりました。これは主として、資本剰余金が47百万円、資本金が40百万円増加したものの、利益剰余金が763百万円減少し、自己株式の取得により131百万円減少したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末より1,454百万円減少し、3,025百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において営業活動の結果使用した資金は、570百万円(前年同四半期は350百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、減価償却費及び償却費381百万円によるものであり、支出の主な内訳は、税引前四半期損失533百万円、法人所得税の支払額363百万円、棚卸資産の増加額131百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、80百万円(前年同四半期は1,129百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、投資の売却による収入26百万円によるものであり、支出の主な内訳は、敷金及び保証金の差入による支出61百万円、有形固定資産の取得による支出23百万円、投資の取得による支出22百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において財務活動の結果使用した資金は、802百万円(前年同四半期は563百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額391百万円、リース負債の返済による支出351百万円、自己株式の取得による支出132百万円によるものです。

 

(4)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

2023年10月27日に発表した2024年3月期通期の連結業績予想に変更はありません。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(7)従業員数

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数は559名増加し2,833名、臨時従業員数(平均雇用人員)は61名となりました。これは主に業務拡大に伴う採用によるものであります。

 

(8)主要な設備

前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。

(改修)

当第3四半期連結累計期間に完了した主要な設備の改修は次のとおりであります。

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

投資額(千円)

完了年月

本社

(東京都中央区)

ネットビジネス支援事業

事務所内装設備・什器等

77,547

2023.4