売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05385 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと費用の効率化ならびに規制当局への対応簡素化を期待してCRO(Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関)へのアウトソーシング(外部委託)の動きが引き続き活発化しております。加えて核酸医薬、次世代抗体医薬、ペプチド医薬、遺伝子治療、細胞治療、再生医療などの新規創薬モダリティ(治療手段)の研究開発が本格化してきています。このようなトレンドを受け、CRO事業を主力事業とする当社は、“ダントツのCRO”としてクライアントから第一に指名される存在になることを目指しており、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上ならびに継続的な品質の向上に注力しております。

こうした状況の中、当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日)における売上高は主力のCRO事業がけん引し、17,984百万円と第3四半期連結累計期間として過去最高となり、前第3四半期連結累計期間に比べて1,613百万円(9.9%)の増加となりました。営業利益は、2023年4月に149名の新入社員(前年比109名増)が加わったことによる人件費増や動物代を含む試験材料費の上昇によるコストアップ等により2,535百万円と前第3四半期連結累計期間に比べて1,248百万円(33.0%)の減少となりました。経常利益は4,884百万円と前第3四半期連結累計期間に比べて1,995百万円(29.0%)の減少となりました。これは当第3四半期連結累計期間の為替差益が279百万円と、前第3四半期連結累計期間の為替差益1,185百万円と比べて906百万円減少したことなどが主因です。親会社株主に帰属する四半期純利益は3,794百万円と前第3四半期連結累計期間に比べて557百万円(12.8%)の減少となりました。

当社グループの従業員数(連結ベース/時間給・非常勤を除く)は、2023年12月31日現在で1,344名(2023年3月末比136人増)です。また、当社の女性従業員比率(連結ベース/臨時従業員も含む)は51.1%となっております。

当社グループは2023年12月31日現在において、当社、連結子会社24社及び持分法適用関連会社4社で構成されています。セグメント別の経営成績及びSDGs/ESGへの取組みは次のとおりです。

 

① CRO事業

CRO事業は、細胞・実験動物等を用いる非臨床試験(または前臨床試験)を受託する非臨床事業と、臨床試験を受託する臨床事業から構成されます。

非臨床事業の当第3四半期連結累計期間の売上高、利益は会社計画を下回りましたが、受注高は2023年10月に入り、海外顧客から当社への新規プロジェクトの問い合わせが増加しており、当第3四半期連結累計期間の受注高は第3四半期連結累計期間として過去最高となりました。当社がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。

 

・CROとして世界で唯一構築できている「自社グループ内における実験用NHP(Non-human Primates)繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増し、世界的な実験用NHPの枯渇により受注に繋がっております。本取組みを評価いただき、国内外顧客からの要望に応えて顧客専用NHPコロニーを顧客ごとに群編成して飼育しております。通常はNHP試験を受注後に当社予備飼育中のNHPを当該試験へ投入し実験を行いますが、当社NHPを予め購入していただき専用NHPコロニーを設置し、試験へ投入するまで当社にて顧客専用として飼育することで、いつでも実施したいタイミングでNHP試験を開始できます。よって、顧客専用コロニーは将来のNHP試験受注へ繋がります。また、国内でのNHP繁殖体制を強化し、輸入リスクの軽減と品質向上を目指しております。第3四半期には新規の繁殖・育成施設4棟が完成し、順次稼働を開始しています。

・生体試料中の医薬品等開発候補品(被験物質)やバイオマーカーの濃度分析をバイオアナリシスと呼びますが、新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を導入し、被験物質やバイオマーカーの評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内における実験用NHP繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、新たな創薬モダリティに関連した受注に繋がっております。

・2023年3月期には、これらの取組みを評価いただき国内製薬企業と新たなプリファード契約を締結し受注増に繋がっております。また、2024年3月期に入り海外大手製薬数社が新たな契約締結へ向けたデューデリジェンスを本格化しておりましたが、第3四半期に複数社からパイロットとなる受注を得ることができました。

 

・国内大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も順調に推移し、既に複数の企業から創薬段階の研究を受注しております。

・若手研究員を中心にサイエンスレベルの向上に注力し、業界に関連した資格や学位取得、学会・論文発表を会社として奨励・支援しております。顧客に対してより効果的で効率的な試験を提案できるCROを目指しており、第3四半期には複数の学会において研究成果の発表及び論文発表を行いました。また、韓国、日本国内においてSNBLセミナーを開催し、多くの顧客と科学的なディスカッションを行い、当社のこれらまでの経験や取組みを広くご理解いただきました。

 

上記取組みの結果、当第3四半期連結累計期間における非臨床事業の受注高は20,659百万円となり、前第3四半期連結累計期間に比べて1,381百万円(7.2%)の増加となりました。2023年12月末の受注残高は33,863百万円となりました(2023年3月末比4,614百万円増)。国内製薬企業、ベンチャー企業の受注高は順調に増加し、国内受注高は前第3四半期連結累計期間に比べて3,363百万円(29.6%)増加の14,730百万円となりました。海外からの受注額は、前第3四半期連結累計期間に比べて1,981百万円(25.0%)減少の5,928百万円となり、総受注額に占める海外受注比率は28.7%(前第3四半期連結累計期間は41.0%)となりました。

しかしながら、受注の先行指標である足元の問い合わせ状況は好転しており、欧米及びアジアからの問い合わせは増加しております。なお、2022年7月に連結子会社となった株式会社イナリサーチ(以下、イナリサーチ)の当第3四半期連結累計期間の受注高は2,692百万円となっております。

 

一方、臨床事業は、米国Wilmingtonに本拠を置くグローバル臨床CROであるPPD, Inc.(以下、PPD社)との合弁会社、株式会社新日本科学PPD(以下、新日本科学PPD)において、主に国際共同治験(グローバル・スタディ)の受託事業を展開しております。PPD社は、2021年12月に世界的な大手医療機器企業であるThermo Fisher Scientific Inc.グループに加わることにより、受注シナジーを高めることを目指しております。新日本科学PPDは、PPD社が受託した国際共同治験における日本エリアの実施を主力事業としており、グローバル企業でありながら、当社がこれまで長年培ってきた経営・教育ノウハウを取り入れ定着率の高い職場環境を整えることで、ハイレベルな受注残高を背景に、設立以来高い成長率を実現してきております。2019年にはランスタッドが選定する「働いてみたい注目成長企業 TOP5」に選出されております。

治験の推進にあたっては、Web会議システムやデバイスの普及進化に合わせて、医療機関へ訪問せずにデータ収集などを行う“リモートモニタリング”を組み合わせることにより効率化を図ってきております。また人材採用面では、設立当初から4月入社と併設する形で10月入社を希望する新卒者には半年間の奨学金を支給し海外語学留学等を通じGlobalな対応力や社会経験値を高めた上で入社できる制度を導入してまいりました。経験値を積んだグローバルキャリア組の積極採用と共に、新卒の春秋入社制度をバランス良く組み合わせつつ機動的な採用戦略を進めてまいりました。その結果、2015年4月のスタート時と比較しますと社員総数は間もなく約3倍の1,000名を越えてくる見通しとなります。

新日本科学PPDは営業利益率が40%を越える高収益企業として成長しつつあり、新日本科学PPDの当第3四半期連結累計期間の「持分法による投資利益」は2,011百万円(前第3四半期連結累計期間は1,611百万円)と大幅に増加しており、第3四半期連結累計期間として過去最高となりました。なお、新日本科学PPDは持分法適用関連会社(現在の当社持分は40%)であることから、連結損益計算書に及ぼす影響額については、営業外収益の項目に「持分法による投資利益」として計上されています。CRO事業においては、非臨床事業という収益エンジンのほかに、臨床事業という収益エンジンが加わり、成長を続けています。

 

CRO事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は、17,483百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ1,968百万円(12.7%)の増加となりました。同事業の営業利益は、4,342百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ111百万円(2.5%)の減少となり、売上高営業利益率は24.8%になっております。なお、イナリサーチの売上高は2,731百万円、営業利益は利益率の低い大型試験が売上計上されたという一時的要因等により前第3四半期連結累計期間に比べ242百万円の減益となる41百万円となっております。

 

② トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)

トランスレーショナル リサーチ事業(TR:Translational Research、以下TR事業)とは、自社研究開発のほか、国内外の大学、バイオベンチャー、研究機関などにおいて基礎研究から生まれる有望なシーズや新技術を発掘し、付加価値を高めて事業化または株式上場、あるいはM&Aにつなげる研究開発型の事業です。

1997年以来、TR事業の主軸として探求してきた当社経鼻投与基盤技術は、独自に発見した担体をベースにした粉体製剤技術と独自設計の投与デバイス(医療機器)を組み合わせたプラットフォーム技術であり、鼻粘膜からの速やかな薬物吸収に基づく即効性を特徴としており、加えて注射に比べて投与が簡易で製剤の室温保存も可能という強みがあります。

経鼻投与の事業化については、プロジェクトを数種に絞り込んでおります。当社連結子会社である株式会社SNLDでは、国内でパーキンソン病のオフ症状治療のための経鼻On-demand therapy(要求に応じた治療)薬(開発コード:TR-012001)の臨床第1相試験を実施しました。同試験では、合計21例の健常人を対象にTR-012001を経鼻投与し、その安全性および忍容性、ならびに薬物動態の評価を行い、2023年1月に終了いたしました。同年8月には臨床第2相前期試験の治験届をPMDAに提出しています。また、更なる利便性向上を企図した、TR-012001の改良製剤(TRN501)について2024年1月に臨床第1相試験の治験届を提出しております。よって、2つの臨床試験が、第4四半期に開始されることになります。

米国においては事業化に向けて大きな進展がありました。当社は経鼻偏頭痛治療薬(開発コード:STS101)の開発を進める米国Satsuma Pharmaceuticals,Inc.(以下、Satsuma社)に経鼻投与技術のライセンス供与をしていましたが、2023年4月16日にSatsuma社の買収に関する契約を締結、公開買付けを実施し、2023年6月8日に同社を完全子会社としました。Satsuma社は、2023年3月17日にFDA(米国食品医薬品局)に新薬承認申請書(NDA)を提出し、2024年1月17日にFDAから審査完了報告通知を受領しました。本審査完了報告通知には、STS101の安全性を含む臨床試験結果に関連した懸念は表明されず、追加の臨床試験も求められませんでしたが、主として製剤関連について追加の指摘事項があり、Satsuma社ではFDAと早期に協議のうえ、本剤の新薬承認の再申請を検討していく計画です。

もう1つの経鼻製剤開発プロジェクトとして、経鼻粘膜免疫作用を期待した経鼻ワクチンの研究に着手しています。多くのワクチンの目的は発症阻止または重症化予防ですが、当社が目指す経鼻ワクチンは、感染そのものを起こさせないこと(これを「遮断免疫」と言います)を狙って開発しています。2023年1月に近畿大学生物理工学部との間で、呼吸器感染症の流行を抑制しうる新規経鼻ワクチンを世界に先駆けて開発することを目的として、共同研究開発契約を締結しております。同年4月には社内に経鼻粘膜ワクチン研究開発センターを開設し、ターゲットとなる感染症を決めてワクチン素材候補を複数定め、非臨床社内インフラを有効活用しながら研究を開始しております。現在、経鼻免疫誘導に適するワクチン素材の探求を、動物試験で進めております。

上記の薬物の経鼻投与基盤技術を応用した創薬研究開発を行う一方、経鼻投与によって薬物の脳移行性を高める独自の送達技術(Nose-to-Brain送達技術:N2B-system)の研究も実施しています。鼻腔内の最も脳に近い領域(嗅部領域)に、選択的に粉末製剤を投与できる特殊な投与デバイス技術を開発し、ヒトに似た鼻腔構造を持つカニクイザルを用いて、血液脳関門を通過しにくい薬物を本技術で経鼻投与した時、脳内の特異的受容体に高効率に薬物が結合することをPETイメージング画像で評価しました。浜松医科大学との共同研究によって得られた本成果は2023年6月にドラッグデリバリー研究領域において権威のある科学雑誌Journal of Controlled Release,359(2023),pp384-399(インパクトファクター:11.4)に掲載されました。

来期以降、TR/SNLDの製剤開発と臨床開発とをさらに加速するため、さらに合理的なワクチン開発を行うスキームづくり、組織体制を海外にも求めていく準備を開始しました。

子会社の株式会社Gemseki(以下、Gemseki)は、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルベースで展開するとともに、同社を無限責任組合員としたファンドを組成し、ベンチャー企業への投資事業を行っております。ライセンス仲介事業においては、「BioJapan 2023」や「BIO-Europe 2023」等のバイオテクノロジー関連展示会・パートナリングイベントを活用し、有望な創薬シーズ・技術を有するアカデミアや企業等の新規顧客の探索と契約獲得、および既存顧客の創薬シーズ・技術の紹介活動に注力しました。複数の案件について秘密保持契約下での提携交渉が進展しており、顧客の創薬シーズや技術の導出・導入が円滑に進むように継続してサポートしてまいります。投資事業においては、新規の投資を実行いたしました。新たな投資案件の探索、検討および既存投資先への追加投資の検討・シナジー創出を継続的に実施しております。医薬品・医療機器を創出し育てていくために必要な支援を当社グループ内において、ワンストップで提供するとともに、当社グループ間でのシナジー創出を目指しております。

 

そうした中、TR事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は、9百万円(前第3四半期連結累計期間:12百万円)、営業損失は研究開発費の増加と、第3四半期からSatsuma社が連結業績に加わったことによる812百万円のコストアップ等により1,627百万円(前第3四半期連結累計期間:営業損失518百万円)となりました。

 

③ メディポリス事業(社会的利益創出事業)

当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(3,400,000㎡)の広大な敷地「メディポリス指宿」を保有しており、この自然資本(約9割が森林)を活用したメディポリス事業を社会的利益創出事業として展開しています。社会的利益創出事業は、企業理念である「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」ことを体現するものであり、当社は経済的利益のみならず、社会や環境課題といった視点から社会的利益を一体的に創出しています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した発電事業や人々のWellbeing(ウェルビーイング)、つまり全人的な健康の実現をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)などを行っております。

発電事業は、2015年2月より1,500キロワット級のバイナリー型地熱発電所を運営しています。地熱発電はCO2排出量がほぼゼロであり、日中夜間を通じて天候に左右されず、年間を通して安定的な発電が可能なベースロード電源として期待されています。当社の地熱発電所は高い設備稼働率を維持し、当社の年間消費電力量の約半分相当にあたる約1,000万kWhを発電、FIT(固定価格買取)制度にて売電しており、安定的な収入を計上しています。また、新規発電プロジェクトとして、ホテルで浴用や床暖房に使用している泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所(年間発電量は400万kWh)の計画を進めており、昨年度に発電所の完工および系統接続が完了しております。なお、本プロジェクトは今年度の売電開始に向けて最終的な調整段階に入っておりましたが、発電設備の初期不良が見つかり、現在、一部設備の新品交換を含めた修繕作業を行っております。修繕が完了し次第、売電を開始してまいります。本温泉発電所はFIT認定(期間15年、売電単価40円/kWh)取得済みであることから、遅延による本プロジェクトの期待収益に与える影響は軽微であります。

ホスピタリティ事業は、お客様のニーズに合わせる形でホテル施設(宿泊部屋総数74室)を宿泊棟と機能ごとに3つに区分しており、ヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」、研修滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」、メディポリス国際陽子線治療センターの患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」がそれぞれ稼働しております。なお、メディポリス国際陽子線治療センターは2011年1月に治療を開始して以来、6,100件を超えるがん患者さんの陽子線治療の実績を積み重ねています。ホスピタリティ事業を行っている意義は、主に2点あります。1つは、企業価値向上という視点で、人々のWellbeingに貢献する企業であるという点です。もう1つは、新日本科学における顧客へのおもてなしマインド向上への貢献という点にあります。ホスピタリティ事業を通して、新日本科学グループとしてのおもてなしマインドを一層強化し、それを主力のCRO事業にも還元していくことは、当社が世界で戦っていくうえで重要な役割を果たすことになると考えています。

 

メディポリス事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は、前第3四半期連結累計期間比横ばいの492百万円となりました。営業損益は、前第3四半期連結累計期間の発電事業における8年目法定定期点検にかかる費用が剥落したことにより100百万円の営業損失と前第3四半期連結累計期間(営業損失:167百万円)に比べて66百万円の赤字削減となりました。

 

④ SDGs/ESGへの取組み

2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」は、2030年までの達成を目指す世界中の人々が幸せに暮らせるように定められた世界共通の目標です。これは、当社創業以来の企業理念「環境・生命・人材を大切にする会社であり続ける」と、当社スローガン「わたしも幸せ、あなたも幸せ、みんな幸せ」そのものであり、当社はSDGs/ESGの取組みについて、業界のリーディングカンパニーであると自覚しております。

現在、2021年8月に取締役会の諮問機関として設置した「SDGs委員会」(委員長は独立社外取締役の戸谷圭子氏)において毎月活発な議論を行っており、その成果として作成したサステナビリティレポート及び各種ESGポリシー、TCFD提言に基づく情報開示等を自社WEBサイト上の専用ページ(https://www.snbl.co.jp/esg/)に開示しております。

2023年11月1日には「統合報告書2023」を発行しております。当社が創造していきたい未来として、2028Vision「ステークホルダーに寄り添い、幸せの連鎖を創造する」を掲げました。経営戦略では、2028年度の財務目標として「売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%」を目指すとしています。新たに重視する資本収益性の指標としてROE(自己資本利益率)とROIC(投下資本利益率)を掲げ、ともに10%以上を目指すとしました。2024年1月にコーポレートガバナンス報告書を更新し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を記載しております。当社は、2021年6月の改訂後のコーポレートガバナンス・コードの各原則(プライム市場向けの内容含む)のすべてを実施しています。

当社は、SDGs/ESGに関する継続的な取組みにより、各評価機関から高い評価を受けております。2022年6月にグローバルインデックスプロバイダーである英国FTSE Russellにより構築されたFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexの構成銘柄に選定されました。2023年6月に採用根拠となるESGスコアが更新され、昨年の2.5から3.1に上昇しています。MSCI ESGレーティングにおいては、2023年4月にHealth Care Equipment & Supplies(ヘルスケア機器・用品)の分野の企業として「A」評価を獲得しています。2023年8月には株式会社JPX総研及び株式会社日本経済新聞社が共同で算出を行っているJPX日経中小型株指数の構成銘柄に継続選定されております。また、2023年3月に経済産業省から健康経営優良法人「ホワイト500」に7年連続で選定されており、同年10月には女性活躍推進法に基づく厚生労働大臣認定の「プラチナえるぼし」を取得しました。

当第3四半期連結累計期間における株主/投資家との対話実績は、機関投資家ミーティングを233件(前年同期は225件)実施しました。また、個人投資家向け会社説明会を2023年11月に鹿児島市、2023年12月に福岡市において、いずれも代表取締役社長を発表者として実施しております。

当社は生物多様性の保全への取組みとして、レッドリストに登録されているニホンウナギの稚魚であるシラスウナギの人工生産研究を行っております。2019年に鹿児島県沖永良部島和泊町に研究施設を移し、天然海水による人工シラスウナギの生産を行っており、2023年5月に沖永良部島において和泊町長および漁協組合長などを招いて人工生産したウナギの試食会を開催しました。これまでに、小規模での生産では顕著な好実績が得られており、2024年3月期は生産規模拡大に向けた検討を進め、大量生産における新たな課題解決に取り組んでいます。

(資産、負債、純資産の状況)

 当第3四半期連結累計期間における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりです。

 

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ14,129百万円(24.7%)増加し、71,371百万円となりました。流動資産は、棚卸資産が4,606百万円(62.8%)増加したことや、現金及び預金が2,246百万円(21.3%)増加したこと、並びにその他(主に前払費用)が1,557百万円(116.0%)増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ9,543百万円(39.9%)増加して33,442百万円となりました。固定資産は、設備投資の増加等により有形固定資産が2,469百万円(13.1%)増加したことや投資有価証券が807百万円(6.7%)増加したこと、並びにのれんが526百万円(36.6%)増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ4,586百万円(13.8%)増加して37,928百万円となりました。

 

 負債は、前連結会計年度末に比べ10,235百万円(33.1%)増加し、41,118百万円となりました。流動負債は、受注拡大に伴い前受金が1,922百万円(23.9%)増加したことに対し、短期借入金が918百万円(10.3%)減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,350百万円(6.4%)増加して22,362百万円となりました。固定負債は、長期借入金が8,959百万円(94.5%)増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ8,885百万円(90.0%)増加して18,756百万円となりました。

 

 純資産は親会社株主に帰属する四半期純利益を3,794百万円計上しましたが、支払配当を2,081百万円行ったこと、為替換算調整勘定が2,181百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3,893百万円(14.8%)増加し、30,252百万円となりました。

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第3四半期連結累計期間において会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当社は、2022年10月に「統合報告書2022」を発行し、その中で当社が創造していきたい未来として「2028Vision」を新たに掲げました。当社の使命である「創薬と医療技術の向上を支援し、人類を苦痛から解放すること」を念頭に、多様なステークホルダーに寄り添い、事業を通してステークホルダーと共に経済的価値と社会的価値を一体的に創出することで、世の中に「幸せの連鎖を創造する」ことを目指してまいります。このビジョンの実現に向けては、「成長投資の強化」、「DX推進」、「人的資本の向上」の3つの取組みを重点的に推進していきます。経営戦略では「売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%」を2028年度の財務目標としております。更に、2023年11月発行の「統合報告書2023」では2028年度の財務KPIとして「ROE 10%以上」「ROIC 10%以上」を新たに設定しました。

 

(2028Vision)

ステークホルダーに寄り添い、幸せの連鎖を創造する

 

(財務目標)

2028年度 売上高500億円、経常利益200億円、売上高経常利益率40%、ROE 10%以上、ROIC 10%以上

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,302百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。