売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E22461 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、依然とした円安、国際的なインフレ、国内の物価上昇、不安定な国際情勢、地球規模でのエネルギーや環境問題など様々な複合要素の中、経済景況感の一定の改善が見られるものの、家計における景況感との乖離もあり、全体でいえば先行き含め好況とまではいえない状況にありました。

一方で、インバウンドはじめ国内外の観光を含めた人の交流、イベントなどは着実に増加しており、当社を取り巻くエンターテイメント業界やマーケティング業界においても良い風向になってきている面があります。

そのような中で、世界、そして日本においても、会社や個々人のパーパスへのより本質的な向き合い、実践、連帯が今後ますます重要になってくることが見込まれております。

その変化の中では、経済活動においても、企業やクリエイターと生活者との間における情緒的価値、感性価値を伴う共感を軸とした繋がりは、従来以上に重要な要素となり、当社独自の人の気持ちを繋ぐ感性AI、感性メタデータ活用先、活用方法は広がる社会環境にあります。

当社の既存の主力事業である感性AIを活用したエンターテイメント分野でのデータサービスは、音楽・映像のインターネット配信の需要の広がりを受けて、前年度より着実に成長しております。また感性AI技術の活用先は、エンターテイメント分野以外の美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など日々の暮らしに関わる領域に広がっており、インターネット媒体での記事・コンテンツのレコメンド(おすすめ)や広告などにおいて利活用が一層進んでおります。

また世界的に個人情報の保護に関する規制が今後より厳しくなる中で、従来は利活用出来ていたクッキー(個人のウェブサイトでの行動履歴)情報が以前のように使用できなくなる状況となります。これらの事業環境においては、履歴・属性情報に依存しない文脈(コンテキスト)を解釈する技術が極めて有効となります。そして、さらに重要なのは、当社技術は文脈(コンテキスト)を解釈するだけではなく、さらにその文脈(コンテキスト)の背景や元にある人の感性や感情的な動機を推測することを可能とする点となります。今後生成AIとの相互補完も積極的に行い、ますますの技術革新やデータ開発の拡張を進めてまいります。

当社の独自感性データ技術は、生活者視点でいえば、自分らしく生きる、社会と共に生きる、自らのライフスタイルを見つけてより良く暮らす、ウェルビーイングともいわれる、そうしたニーズを繋ぎ広げることに可能な技術です。企業視点から見ても、今後、より自社のフィロソフィー、カルチャー、ストーリー、こだわり、期待価値などを丁寧に訴求することで、自社の感性価値、情緒的価値に基づいた共感で繋がる生活者との長期的でより深いコミュニケーションが可能となります。それらの生活者と企業とのエモーショナルな繋がりを創ることにおいて、当社独自の感性AIの有用性があります。

その上で、中期的には、当社の既存主力事業であるエンターテイメント分野と新規事業である感性マーケティング分野を繋ぎ、日本全国の大企業から個人事業者や生産者と生活者とのコミュニケーション活動とエンターテイメントが持つ共感を増幅する力を掛け合わせ、アーティスト、クリエイター、企業、生産者、生活者、それぞれのフィロソフィーやストーリーを繋げる社会の実現に貢献してまいります。

当社の強みは、感性メタデータを活用した独自の感性AIの開発と音楽、映像を中心としたエンターテイメント分野を通じて人間が持つ感性や感情を体系的、網羅的、詳細にデータベース化を行い、国内最大級の感性データベースであるメディアサービスデータベース(以下「MSDB」といいます)として開発、運用しているところにあります。それらのデータ・技術開発を通じて、人間の感性と感情に寄り添う「セレンディピティ=偶然の幸せな出会い」を生む独自のサービスを創ります。

当社は、「データベース・サービスカンパニー」として、創業以来『人の気持ちをつなぐ』というビジョンのもと、コンテンツに紐づく情報をデータベース化したオリジナルのMSDBを開発し、主にインターネットサービス会社を対象に、データ提供、検索機能提供、レコメンド・パーソナライズ機能提供、データ分析などの多様なデータベース関連サービスの開発および提供を行っております。具体的には現在、「音楽データサービス」「映像データサービス」「感性ターゲティング広告サービス」の3事業を展開しております。

これらのサービスについては、ユーザーベースをもつパートナー企業への技術ライセンス提供として、KDDI株式会社、株式会社レコチョクを通じた株式会社NTTドコモ、LINEヤフー株式会社、楽天グループ株式会社、

LINE MUSIC株式会社、HJホールディングス株式会社(サービス名「Hulu」)、株式会社サイバーエージェント(サービス名「ABEMA」)、株式会社フジテレビジョン(サービス名「FOD」)、株式会社集英社、株式会社

世界文化ホールディングス、株式会社CCCメディアハウスなどのサービスにて利用されております。

開発・運用型売上ではなく、技術ライセンス収入主体への事業モデルの転換に向けたデータ・テクノロジーライセンス事業に一段と主力事業がシフトする一方で、研究開発やデータ開発を引き続き、売上の25%を目処に積極的な投資を実行しております。それら事業活動の結果として、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高723,598千円(前年同期比104.5%)、営業損失82,190千円(前年同期は70,317千円の営業損失)、経常損失78,634千円(前年同期は70,113千円の経常損失)、四半期純損失は、78,558千円(前年同期は55,677千円の四半期純損失)となりました。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期会計期間末における総資産は、966,979千円(前事業年度末比70,402千円減)となりました。

流動資産につきましては865,266千円(同84,103千円減)となり、増減の主な要因としましては、現金及び預金の減少(同20,750千円減)並びに売掛金の減少(同68,967千円減)などがあったことによります。

固定資産につきましては、投資有価証券の取得等により投資その他の資産が増加したことで、101,713千円(同13,701千円増)となりました。

負債は、239,595千円(同15,261千円増)となりました。増減の主な要因としましては、賞与支給による賞与引当金の減少(同21,699千円減)があった一方で、買掛金の増加(同7,295千円増)、未払金の増加(同16,615千円増)、その他流動負債の増加(同11,446千円増)などがあったことによります。

これらの結果、純資産は727,384千円(同85,663千円減)となり、自己資本比率は、前事業年度末の74.7%から71.3%となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更及び新たに定めた経営方針・経営戦略等はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、63,540千円であります。

なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)経営者の問題意識と今後の方針について

当第3四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者の問題意識と今後の方針について」に重要な変更はありません。