売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E30877 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績に関する説明

 当第3四半期連結累計期間におけるサイバー・セキュリティ業界は、警察庁と内閣サイバーセキュリティセンター及び、米国家安全保障局、米連邦捜査局等の日米当局から合同で、中国のサイバー攻撃グループ「Black Tech(ブラックテック)」によるサイバー攻撃に関する注意喚起がなされる等、増大するサイバー脅威に対する日米間の協力体制の具体化が進みました。「Black Tech」は2010年頃から日本を含む東アジアと米国の政府や産業等を標的に情報窃取を目的としたサイバー攻撃を繰り返しているとされており、安全保障におけるサイバー・セキュリティの問題は、外交戦略においても重要な要素となっています。日本政府においては、国家安全保障戦略に明記された、サイバー安全保障分野に係る法制度の整備や運用の強化を図るため、自由民主党経済安全保障推進本部等が中心となり「サイバー安全保障分野における早急な法整備を求める緊急決議」を取りまとめる等、安全保障におけるサイバー・セキュリティの体制整備に向けた取り組みが一層加速しています。

 このような環境の中、当第3四半期連結累計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。

 

○サイバー・セキュリティ事業

(ナショナルセキュリティセクター)

 ナショナルセキュリティセクターにおきましては、国際情勢の緊張と比例してサイバー攻撃のリスクが高まっており、サイバー領域における安全保障は重要な課題となっています。我が国においては、国家安全保障及び経済安全保障の両面で政府が主導する取り組みが急速に進んでおり、引き続き需要が拡大しています。当社グループにおいては、防衛産業及び関連組織向けにセキュリティ調査・研究案件を中心に実施した他、高度なスキルを持つ技術者の育成及び採用の強化など、ナショナルセキュリティセクターの中長期に渡る需要増加を取り込める体制構築を進めております。

 この結果、当第3四半期連結累計期間におけるナショナルセキュリティセクターの売上高は324,475千円(前年同期比323.1%増)となりました。

 

(パブリックセクター)

 パブリックセクターにおきましては、経済安全保障の実現に向けた各省庁の取り組みを背景に、セキュリティ調査・研究などの案件が大幅に増加しています。当社グループにおいては、NICTの推進する実証事業のサポートの他、官公庁を中心にセキュリティ調査・研究などサービス案件を実施しました。また、パブリックセクターに特化したチームによる販売活動や、官公庁や地方自治体への販売に強みを持つ販売パートナーとの連携強化による、OEM製品及びマネージドサービスの提供など販売拡大施策を進めております。

 この結果、当第3四半期連結累計期間におけるパブリックセクターの売上高は549,322千円(前年同期比40.1%増)となりました。

 

(プライベートセクター)

 プライベートセクターにおきましては、販売パートナーによる個人・小規模事業者向けのOEM製品の販売は好調に推移していますが、現状では前連結会計年度におけるFFRI yaraiのライセンス数減少の影響を補うまでには至っていない状況です。なお、当連結会計年度においては、引き続き戦略的販売パートナーとの連携強化を進めております。サービス案件につきましては、「FFRIセキュリティ マネージド・サービス」の販売を進めた他、セキュリティ調査・研究サービス及び車載セキュリティの関連案件等を実施しました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間におけるプライベートセクターの売上高は441,981千円(前年同期比8.0%減)となりました。

 

○ソフトウェア開発・テスト事業

 ソフトウェア開発・テスト事業におきましては、品質保証業務を中心に堅調に推移した他、将来的なサイバー・セキュリティ関連業務の提供に向けた人材の育成を進めております。

 この結果、当第3四半期連結累計期間におけるソフトウェア開発・テスト事業の売上高は340,948千円(前年同期比8.4%増)となりました。

 

 その他、NTTコミュニケーションズ株式会社との合弁会社である株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズにおきましては、案件増加に伴い人材の確保・育成を積極的に進めた結果人件費が増大しており、持分法による投資利益8,129千円(前年同期比60.8%減)を計上しております。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高1,656,728千円(前年同期比31.1%増)、営業利益227,450千円(前年同期は営業損失12,868千円)、経常利益240,370千円(前年同期比1,833.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益174,796千円(前年同期比2,244.1%増)となりました。

 なお、当社グループは売上高に占めるセキュリティ・サービスの割合が増加しているため、売上高が下期に集中する傾向にあります。

 

②財政状態に関する説明

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は2,623,380千円となり、前連結会計年度末に比べ507,400千円増加いたしました。主な増加要因は契約資産の増加465,850千円と売上債権の回収による売掛金の減少198,270千円による売掛金及び契約資産の増加267,580千円、売上債権の回収による現金及び預金の増加223,614千円等であります。固定資産は525,723千円となり、前連結会計年度末に比べ14,066千円増加いたしました。主な増加要因は投資その他の資産の増加27,576千円、有形固定資産の増加8,638千円であり、主な減少要因は無形固定資産の減少22,148千円であります。

 この結果、総資産は3,149,104千円となり、前連結会計年度末に比べ521,466千円増加いたしました。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,212,320千円となり、前連結会計年度末に比べ343,810千円増加いたしました。主な増加要因はセキュリティ・プロダクトにおける契約の増加等による契約負債の増加327,034千円等であります。固定負債は12,930千円となり、前連結会計年度末に比べ2,956千円増加いたしました。主な増加要因は資産除去債務の増加2,956千円であります。

 この結果、負債合計は1,225,250千円となり、前連結会計年度末に比べ346,766千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は1,923,853千円となり、前連結会計年度末に比べ174,700千円増加いたしました。主な増加要因は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加174,796千円であり、主な減少要因は自己株式の取得による減少95千円であります。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、135,442千円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、開発用パソコンの購入費用及び開発用ソフトウェアの購入費用の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらについては主に自己資金により対応しております。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 なお、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は1,982,523千円となっており、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。