売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00660 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、コロナ禍からの経済活動の正常化が進み雇用・所得環境が改善しているなかで、個人消費や設備投資が増加基調にあり、緩やかな回復が続きました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や円安などによる原材料・エネルギー価格の高止まり、及び世界的な金融引き締めに伴う影響などへの懸念から、依然として景気の先行は不透明な状況です。

 当連結会計年度は当社グループの第4次中期事業計画(2021年度から2023年度までの3カ年計画)の最終年度となり、連結業績は前連結会計年度から回復途上にありますが、当初の数値計画に対してはギャップが生じる見通しです。

 これに対し、今後の成長基盤とするために紙・板紙事業から成長が期待できるホーム&パーソナルケア事業への構造転換を強力に推進しています。加えて、営業面では紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業のほぼ全ての製品での改定後の販売価格の維持、生産面ではエネルギー構成や生産体制の最適化、及び省力化を含む聖域なきコストダウンを着実に進めています。

 当第3四半期連結累計期間の連結業績は、以下のとおりです。

売上高

503,774百万円

(前年同四半期比   4.8%増)

営業利益

11,092百万円

(前年同四半期は営業損失△17,927百万円)

経常利益

6,569百万円

(前年同四半期は経常損失△20,969百万円)

親会社株主に帰属する

四半期純利益

2,016百万円

(前年同四半期は親会社株主に帰属する

四半期純損失△24,041百万円)

 

 セグメントの状況は、次のとおりです。

 なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後の報告セグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

① 紙・板紙

売上高

265,245百万円

(前年同四半期比   6.8%増)

セグメント利益

12,377百万円

(前年同四半期はセグメント損失△10,680百万円)

 紙・板紙事業においては、新聞用紙は、発行部数及び頁数の減少により販売数量は前年同期から減少しましたが、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。

 洋紙事業(新聞用紙を除く)は、更なるグラフィック用紙の需要減少によってチラシやパンフレット用途の洋紙を中心に販売数量は前年同期から減少しましたが、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。

 板紙・段ボールは、主要用途である食料品や日用品の値上げによって国内需要が低迷し、輸出についても中国をはじめとする国際市場の停滞の影響を受けたことで販売数量は前年同期から減少しましたが、国内での価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。

 これらの結果、紙・板紙事業では、売上高及びセグメント利益は前年同期を上回りました。

 

② ホーム&パーソナルケア

売上高

220,291百万円

(前年同四半期比   4.3%増)

セグメント損失(△)

△3,338百万円

(前年同四半期はセグメント損失△9,353百万円)

 ホーム&パーソナルケア事業において国内事業では、衛生用紙は、ソフトパックティシューや長尺トイレット等の付加価値品の販売を進めるとともに、原燃料価格や物流経費等の高騰が続く厳しい事業環境のなかで、生活者の理解を得ながらトップメーカーとして価格改定の浸透を推進しました。紙加工品は、生活者の要望を反映した新商品、著名人やアウトドアブランドとのコラボレーション商品及び人気キャラクターを採用したデザイン企画品を連続して市場に投入し、好評を得ました。また、2023年9月に立ち上げた新ブランド「エリエール Pet キミおもい」によって、ペットケア市場に本格参入しました。この結果、国内事業全体としては、新型コロナウイルスの5類感染症移行に伴う除菌関連商品やマスクの需要減少等、市場環境の変化により販売数量が減少した商品カテゴリーがあったものの、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。

 一方、海外事業では、中国は、同国経済低迷や出生人口の減少、及びALPS処理水に伴う買い控えの影響を受けたことに加え、生活者の購買動向や市場形態の変化への対応が遅れた影響もあり、販売金額は前年同期を下回りました。これに対し、ブラジルでは、各商品の価格改定の浸透に加え、衛生用紙、ベビーケア、フェミニンケアにおける付加価値品の販売が伸長し、トルコでは、各商品の価格改定の浸透に加えて販売数量も増加したことでそれぞれの販売金額は前年同期を上回りましたが、海外事業全体の販売金額は前年同期を下回りました。

 これらの結果、ホーム&パーソナルケア事業では、売上高は前年同期を上回りましたが、セグメント利益は、中国事業における収益悪化の影響が大きく、セグメント損失となりました。

 

③ その他

売上高

18,237百万円

(前年同四半期比   14.2%減)

セグメント利益

2,012百万円

(前年同四半期比   3.1%減)

 主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、売電事業の外部向けの販売減少等により、売上高は前年同期を下回りました。

 

<主要品種別販売数量・金額増減要因>

紙・板紙セグメント

品種

数量

金額

動向

新聞用紙

新聞発行部数及び頁数の減少、価格改定の浸透

洋紙

印刷・情報用紙の需要減少、価格改定の浸透

板紙・段ボール

段ボール等の需要減少、価格改定の浸透

 

ホーム&パーソナルケアセグメント(国内)

品種

数量

金額

動向

衛生用紙

ソフトパックティシュー、長尺トイレット等の付加価値品の

販売伸長、前年同期における価格改定前の需要増の反動、

価格改定の浸透

ベビーケア

少子化に伴う需要減少

大人用ケア

高付加価値パッドの販売伸長、価格改定の浸透

フェミニンケア

価格改定に伴う販売減少、企画品の販売伸長、価格改定の浸透

ウエットティシュー

トイレクリーナー新商品・詰替大容量の販売伸長、新型コロナ

ウイルスの5類感染症移行に伴う除菌関連商品の需要減少

ペットケア

ペット市場に本格参入

 

(2) 財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ23,597百万円増加し、947,129百万円となりました。

 負債は長期借入金(1年内返済予定を含む)の増加等により、前連結会計年度末に比べ9,408百万円増加し、688,269百万円となりました。

 純資産は為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ14,188百万円増加し、258,859百万円となりました。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.6ポイント上昇し、26.1%となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、2,469百万円です。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5) 主要な設備

 当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設等の計画は次のとおりです。

会社名

事業所名

(所在地)

セグメント

の名称

設備の

内容

投資予定額

資金調達

方法

着手及び完了予定

完成後の増加能力

総額

(百万円)

既支払額

(百万円)

着手

完了予定

いわき大王製紙

株式会社 本社工場

(福島県いわき市)

紙・板紙

発電設備の

再建

19,000

2,936

借入金等

2023年

11月

2025年

7月

発電能力

33,333kw