デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社

ブランドなど:WebARGUSxoBlos
情報・通信業システムプライムTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31573 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2023年7月1日~2024年3月31日)における経営環境は、足踏みもみられましたが、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、円安、資源高等に起因する原材料価格およびエネルギー価格の上昇による物価高もあり、個人消費動向や企業収益における不確実性も高く、引き続き先行きが不透明な状況となりました。

 

 当社が属する情報サービス産業においては、堅調なソフトウエア投資が続いており、2024年4月1日に公表された日銀短観(3月調査)による2024年度ソフトウエア投資計画(全産業・全規模合計)は、2023年度と比較し、6.6%増と引き続き拡大傾向を示しました。

 

 当社グループにとっても、DXの実現を加速するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、既存システムのクラウドシステムへの移行、システム開発のスピードアップを実現するローコード開発等の進展により、ビジネス参入機会の増加と事業領域の拡大に繋がりました。

 また、「サイバーセキュリティの対策強化」及び「業務効率化」のニーズは引き続き高まっており、これらに対して有効なソリューションを有する当社グループの追い風となりました。

 

 このような環境の下、当社グループでは、「5つの事業戦略」を掲げ、積極的な取り組みを継続しております。

 

  ・リノベーション(既存事業の改革による事業基盤の拡大・安定化)

  ・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)

  ・競合から協業へ(協業による事業拡大)

  ・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)

  ・人材調達・人材育成(採って育てる)

 

 また、当社は2021年8月20日に新中期経営計画及びDITグループの2030年ビジョンを発表しました。2030年ビジョンでは、「信頼され、選ばれるDITブランド」の構築に向けてDITの将来像(DIT Services:ワンランク上の価値提供、DIT Spirits:プロフェッショナル集団)を掲げると共にチャレンジ500(*)と銘打ち、次の経営目標を設定いたしました。

※画像省略しています。

 

 2030年6月期までの経営目標

 

オーガニックグロース

+新規事業・M&A等

売上高

300億円以上

500億円

営業利益

40億円以上

50億円

(*)チャレンジ500

2030年6月期に向け売上高500億円に挑戦!

 

 この2030年ビジョンの実現ステップとして、2022年6月期から2024年6月期を、次の成長を可能とする会社作り、仕組作りを推進することにより事業力を蓄える「事業構造改革の推進」の期間、2025年6月期から2027年6月期までの期間を、事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せる「成長軌道の実現」の期間、また、2028年6月期から2030年の期間を、全てのステークホルダーから信頼され、選ばれる「DITブランドの確立」の期間としています。

※画像省略しています。

 

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■2024年6月期第3四半期業績概要

 当第3四半期累計の売上・利益ともに旺盛な需要に対応し、過去最高の業績となりました。

 特に利益については、前期に発生した不採算案件収束のための引継ぎを行った第1四半期は前期比で減益でしたが、不採算案件の収束作業が完了した第2四半期からは増益基調に転じ、第3四半期累計期間においては、過去最高となりました。一方、昇給等の社員処遇改善に伴う費用及び事業規模拡大に伴う費用(関東地区・関西地区・愛媛事業所での増床費用、函館事業所の開設費用、M&A2社に伴う支払手数料)が増加し、利益は期初想定内に留まりました。

 

 2024年6月期は、今中期経営計画の最終年度にあたり、過年度から継続している「事業基盤の拡大・安定化」と「成長要素の拡大」の2軸をより強化した事業の推進を継続しています。

「事業基盤の拡大・安定化」については、ビジネスソリューション事業においては、売上は堅調に増加、利益については、前期の第3四半期に不採算案件の損失を計上していた反動もあり、大幅に増加しました。エンベデッドソリューション事業においては、引き続き、需要の高い車載関連事業に着実に対応し、売上・利益ともに伸ばすことができました。また、システム販売事業においては、インボイス制度導入を追い風にした駆け込み需要が第2四半期で一服したものの電子帳簿保存法改正対応の体制を強化し、順調に売上を伸ばすことができました。

「成長要素の拡大」については、独自技術による自社商品であるWebセキュリティソリューション「WebARGUS:ウェブアルゴス」(*1)及びExcel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos:ゾブロス」(*2)は、サブスクリプションライセンスの売上を着実に積み上げることができました。また、電子契約サービス関連の売上が伸び、業績に貢献し始めました。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高14,736,252千円(前年同四半期比8.9%増)、営業利益1,878,556千円(同22.2%増)、経常利益1,849,553千円(同19.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,240,512千円(同13.9%増)となりました。

 

  (*1)Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」は、ウェブサイ卜等の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しい方式のセキュリティソリューションです。改ざんの瞬間検知・瞬間復旧により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイト等を守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染などの被害拡大を防ぎます。

  (*2)Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」は、Excelベースの非効率な業務を自動化します。これにより短期間で劇的に業務を効率化することができます。(Excel®は、米国Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。)

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 なお、以下の事業別売上高、セグメント利益(営業利益)は、セグメント間の内部取引相殺前の数値であります。

①ソフトウエア開発事業

 ビジネスソリューション事業分野(業務システム開発、運用サポート)は、前年度の不採算案件の損失処理の反動から、売上・利益ともに大幅に前年を上回りました。

 業務システム開発では、金融の案件が回復基調を示し、公共、通信の案件及びローコード開発案件が増加しました。一方、医薬、ERPの案件が減少し、売上の伸びが想定内に留まりました。また、第3四半期では改善されつつありますが、ERP案件が受注サイクルの谷間にあたり待機工数が発生したこと及び不採算案件の収束作業後の技術者のローテーションに時間を要したことから、利益の伸びも想定内に留まりました。

 運用サポートでは、事業領域の拡張と前期グループ入りしたシンプリズム社の増収増益により、前期の最高業績を更に上回ることができました。

 

 エンベデッドソリューション事業分野(組込みシステム開発、組込みシステム検証)は、車載関連への戦略的シフトを一層強化し、売上・利益を順調に伸ばすことができました。

 組込みシステム開発では、半導体系が前年並みに留まりましたが、車載系の研究開発、家電系のIoT関連が想定以上に伸長しました。また、受注の期ズレが発生していた車載系の量産開発が第3四半期からスタートしました。その結果、売上・利益ともに前年を順調に上回りました。

 組込みシステム検証においては、車載系の検証業務が伸び、売上・利益ともに前年を着実に上回りました。

 

 自社商品事業分野は、自社商品のライセンスの積上げによる売上増及び電子契約サービス関連のライセンス売上及び周辺開発の売上増により、売上・利益ともに順調に伸ばすことができました。

 サイバーセキュリティビジネスについては、既存顧客のスケールアップによりライセンス売上が着実に増加し、売上・利益ともに前年を上回りました。また、脆弱性診断専門会社などと協業するなど、WebARGUSを核としたトータルセキュリティサービス(DIT Security)の拡販を進めるとともに、情報セキュリティで最大の脅威となっているランサムウェア攻撃等から重要データを確実に保護するセキュリティ製品「WebARGUS(ウェブアルゴス) for Ransomware(ランサムウェア)」について顧客となるターゲットを絞り込んだ営業を進めました。

 業務効率化ビジネスについては、既存顧客の他部署への横展開を推進するとともに前期から積み上げていたリード顧客の案件の取り込みに努め、売上・利益ともに前年を上回りました。

 コロナ禍のニューノーマルな社会でニーズが拡大した電子契約のアウトソーシング型サービス「DD-CONNECT」(ディ・ディ・コネクト)は、導入期から成長期に移行し、売上が増加し、利益に寄与し始めました。

 これらの結果、ソフトウェア開発事業の売上高は14,179,461千円(前年同四半期比8.7%増)、セグメント利益(営業利益)は1,823,025千円(同24.2%増)となりました。

 

②システム販売事業

 カシオ計算機株式会社製中小企業向け業務・経営支援システム「楽一」を主力とする販売ビジネスについては、2024年1月から義務化された「電子帳簿保存法改正に伴う電子データ取引データ保管」に向けた営業を強化するとともに、インボイス制度導入の駆け込み需要により第2四半期までに売上高は大幅に増加しましたが、第3四半期に入り法令改正対応が一服し、法令改正対応後の新規顧客開拓のための営業要員の増員等から費用が増加し、利益は減少することとなりました。

 これらの結果、システム販売事業の売上高は562,352千円(前年同四半期比8.6%増)、セグメント利益(営業利益)は55,531千円(前年同四半期比19.9%減)となりました。

 

当第3四半期連結会計期間末における財政状態の分析の状況は以下のとおりであります。

①流動資産

当第3四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ586,095千円増加し、7,964,345千円となりました。これは、主に売掛金及び契約資産が810,244千円並びにその他が86,955千円それぞれ増加し、現金及び預金が323,162千円減少したことによるものです。

②固定資産

当第3四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ936,815千円増加し、1,735,190千円となりました。これは、有形固定資産が43,066千円、無形固定資産が714,270千円及び投資その他の資産が179,479千円それぞれ増加したことによるものです。

③流動負債

当第3四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ640,157千円増加し、2,620,400千円となりました。これは、買掛金が197,820千円、賞与引当金が242,108千円及びその他が195,962千円それぞれ増加し、未払法人税等が19,801千円減少したことによるものです。

 

④固定負債

当第3四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ268,184千円増加し、458,193千円となりました。これは、主に長期借入金が185,145千円増加、株式給付引当金が20,902千円及びその他が35,724千円それぞれ増加したことによるものです。

⑤純資産

当第3四半期連結会計期間末に、前連結会計年度末に比べ614,568千円増加し、6,620,940千円となりました。これは、主に利益剰余金が594,613千円、自己株式が137,108千円及び非支配株主持分が99,768千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当社は、ソフトウェア開発事業の一環として、新製品・新技術の研究・開発に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間については、2,312千円の研究開発費を計上しております。