パイプドHD株式会社

ブランドなど:スパイラル
上場廃止 (2022/10/31) 株式の併合 情報・通信業システムスタンダードTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31585 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第2四半期連結累計期間におけるわが国の経済状況は、景気は緩やかに持ち直しており、先行きについては、感染対策に万全を期し経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって景気が持ち直してゆくことが期待されています。しかしながら、海外景気の下振れによる国内景気の下押しリスクや、物価上昇による影響や供給面での制約に注意が必要な状況です。

デジタル市場においては、総務省の令和3年「通信利用動向調査」によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は70.4%に達しており、クラウドサービスを利用して「効果があった」とする企業の割合は88.2%となりました。働き方改革に伴う生産性向上や業務効率化の需要拡大、セキュリティ対策への関心の高まり、テレワークの導入拡大等が求められる中、企業はビジネスモデルや組織の変革に迫られ、社会におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっており、当社グループにとって追い風とも言える事業環境が継続しております。

当社グループは、「未来に最適を」という経営理念を掲げ、社会がより良い未来へと向かうために、本当に必要とされるITサービスを提供することを目指して事業に取り組んでおります。

前連結会計年度に「中期経営計画2023」の業績見通しを1年前倒しで概ね達成したため、「中期経営計画2023」の最終年度に当たる当連結会計年度は、単年度の業績のみに固執せず、未来最適の観点から、先々を見据えた事業の選択と集中、グループ外企業との提携やM&A、必要な投資とそのリターンの検討等を弛まず行い、長期的なグループの更なる発展の種蒔きに取り組んでおります。

当第2四半期連結累計期間の主な活動としては、令和4年3月にWebのインテグレーションに強みを持つ株式会社ネモフィラの株式を取得し、同4月より同社を当社の連結子会社としました。

同5月に当社連結子会社の株式会社エルコインから当社連結子会社の株式会社VOTE FORへ電子地域通貨プラットフォームを事業譲渡し、株式会社エルコインを解散する等、当社グループ内での合理化を進めております。

同6月にいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われる株式会社ミライサイテキグループによる当社の発行済普通株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」)に賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨を取締役会で決議いたしました。なお、当該取締役会決議は、本公開買付け及びその後の一連の手続を経て当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものであります。

同8月に本公開買付けは成立し、その結果、株式会社ミライサイテキグループが新たに当社の親会社及び主要株主である筆頭株主に該当することとなりました。また、同8月18日を基準日として同10月6日に臨時株主総会を開催する旨、並びに、株式併合、単元株式数の定めの廃止及び定款の一部変更に関する議案を付議する旨を決定しました。さらに、上記臨時株主総会で株式併合に関する議案が原案どおり承認可決することを条件として、同11月1日付で自己株式を消却する旨を決定しました。

事業面では、クラウドセグメントのローコード開発プラットフォーム「スパイラル®」案件の持続的な受注、株式会社ネモフィラの連結子会社化によるソリューションセグメントの業績伸長、広告セグメント及びCRMソリューションセグメントの成長等により業績が拡大しました。

以上の結果、当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は4,438百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益は996百万円(同20.9%増)、経常利益は1,003百万円(同14.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は601百万円(同6.3%増)となりました。

また、収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております詳細は第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)に記載のとおりです

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

1)ホリゾンタルDX

「スパイラル®」を中心とするローコード開発基盤の更なる充実、新たなクラウドサービスの開発、パートナーとの連携強化を軸に、幅広い業種や分野のDXを支援しております。各セグメントの詳細は以下のとおりです。

 

①クラウド

昨今の人手不足社会における課題解決の一助として、顧客企業・団体のコスト低減・業務効率化に資するシステムの開発・提供等を行っております。売上高は2,889百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益は1,004百万円(同5.0%減)となりました。その主なサービスは以下のとおりです。

 

ⅰ)ローコード開発プラットフォーム「スパイラル®」

主に自治体における新型コロナウイルス関連案件は前連結会計年度で一巡しましたが、社会的なITニーズの高まりや社内の営業及びエンジニアの質や量の高まりにより、高難易度の案件を継続的に受注し、業績拡大に寄与しました。しかしながら、新型コロナウイルス関連案件の利益率が取り分け高かったことから、営業利益は減少しました。

なお、「スパイラル®」の有効アカウント数は3,963件となりました。

ⅱ)その他の主なサービス

・コールセンタープラットフォーム「BizBase®」

 

②ソリューション

顧客企業・団体におけるITを活用した業務最適化や顧客との接点機会創出及び強化を支援するサービスの提供や、顧客に応じた最適なITシステムの開発請負等を行っております。売上高は424百万円(前年同期比126.2%増)、営業利益は95百万円(同60.7%増)となりました。その主なサービスは以下のとおりです。

ⅰ)Webシステムの開発請負、運営支援

Webのインテグレーションに強みを持つ株式会社ネモフィラの連結子会社化により、Web制作・開発案件を高いレベルで多く受注できるグループ体制が整い、業績の伸長に寄与しました。

ⅱ)ECサイト・アプリの構築、運営及びコンサルティング

 

2)バーティカルDX

建設、美容、政治・行政、タウンマネジメント等の各分野に特化してDXの推進を支援しております。各セグメントの詳細は以下のとおりです。

①xTech

IT技術の利活用により企業や団体の垣根を越えて情報を共有することで、業界に革新的なサービスを創出することが期待できる事業を行っております。売上高は89百万円(前年同期比3.4%減)、営業損失は4百万円(前年同期の営業利益は1百万円)となりました。その主なサービスは以下のとおりです。

ⅰ)ArchiTech:BIMパートナーサービス・BIMデータマネジメント

ⅱ)BeauTech:お客様と美容師のための電子カルテアプリ「美歴®」

 

②社会イノベーション

個々の企業や業界の内部にある問題の解決だけでなく、それらの枠を超えて存在する社会的課題の解決を図ることを目的とした公益性の高い事業を行っております。売上高は56百万円(前年同期比54.8%増)、営業損失は2百万円(前年同期の営業損失は18百万円)となりました。その主なサービスは以下のとおりです。

ⅰ)自治体広報紙プラットフォーム「マイ広報紙®」

令和4年8月の掲載自治体数は996で、国内の自治体数の5割を超えております。

ⅱ)インターネット投票関連事業及び政治・選挙プラットフォーム「政治山®」

茨城県つくば市の協力のもと、内閣府のスーパーシティ調査事業に採択された「公職選挙におけるインターネット投票の実現に向けた技術的検証」の取組みを進めております。また、令和4年8月に開催された内閣府主催の「Super City Smart City Forum 2022」に出展し、販路拡大に寄与しました。

ⅲ)地域密着型Webサイト「I LOVE 下北沢」及び「I LOVE 下北沢アプリ」の提供並びにネット社会における地域・商店街の活性化支援事業

ⅳ)下北沢の電子地域通貨「シモキタコイン®」

 

3)カスタマーエンゲージメント

既存のネット広告を活用した集客支援と、集客後のCRMをシームレスに支援するサービスを提供しております。各セグメントの詳細は以下のとおりです。

①広告

顧客サービスの認知度、集客力、ブランド力の向上等を目的としたプロモーション設計や広告コンテンツの制作・開発・運用、インターネット広告の代理販売等を行っております。

株式会社電通の「2021年日本の広告費」によると、令和3年の総広告費は、新型コロナウイルス感染症の影響緩和を受け6兆7,998億円(前年比10.4%増)と大きく回復しました。インターネット広告費は、2兆7,052億円(同21.4%増)となり、マスコミ四媒体広告費の総計を初めて上回り、広告市場全体の成長を後押ししました。

売上高は624百万円(前年同期比44.7%増)、営業利益は259百万円(同53.8%増)となりました。なお、広告の売上高については、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額で表示(ネット表示)しており、広告枠の仕入高控除前の総額で表示(グロス表示)した場合の売上高は4,001百万円となります。その主なサービスは以下のとおりです。

ⅰ)アフィリエイトASP一括管理サービス「スパイラルアフィリエイト®」

既存案件において成果を挙げたことからお預かりする運用予算が拡大し、案件の大型化に寄与しました。

ⅱ)その他インターネット広告の代理販売

 

②CRMソリューション

企業が保有する顧客情報を活用して戦略的にCRMを運用するために、専属のデータサイエンティストの知見とセキュアな環境の提供をとおして、企業のデジタルマーケティングを包括的に支援しております。売上高は353百万円(前年同期比10.6%増)、営業利益は19百万円(前年同期の営業損失は45百万円)となりました。その主なサービスは以下のとおりです。

ⅰ)デジタルCRM

ⅱ)その他CRMソリューション

 

4)グループ共通

各セグメントの事業とは直接結びつかない純粋持株会社の管理費用、グループ採用及び育成に係る費用、投資損益等で構成されるセグメントです。

「中期経営計画2023」では、すべての年度で新卒採用や中途採用等、育成枠の採用を行うことを掲げており、当連結会計年度も施策を継続しております。育成枠として、令和4年4月に9人を新卒採用、同6月に16人、同9月に13人を中途採用しました。

MBOに係る各種アドバイザー費用等として125百万円を計上しました。

営業損失は375百万円(前年同期の営業損失は399百万円)となりました。

 

財政状態は次のとおりであります。

(資産)

当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ671百万円減少し、8,666百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少1,059百万円、流動資産その他の増加158百万円、有形固定資産の増加78百万円、無形固定資産の増加76百万円、投資有価証券の増加80百万円によるものです。

(負債)

当第2四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,300百万円減少し、2,549百万円となりました。これは主に、短期借入金の減少1,100百万円、未払金の増加129百万円、賞与引当金の減少115百万円、長期借入金の減少212百万円によるものです。

(純資産)

当第2四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ628百万円増加し、6,116百万円となりました。これは主に、新株予約権の行使による資本金の増加13百万円及び資本準備金の増加13百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加601百万円及び剰余金の配当による利益剰余金の減少110百万円、非支配株主持分の増加111百万円によるものです。

なお、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等の適用により利益剰余金の当期首残高は4百万円減少しております

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,062百万円減少し、5,039百万円となりました。

当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果得られた資金は、634百万円となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益の計上911百万円、減価償却費95百万円、減損損失98百万円、賞与引当金の減少額115百万円、未払消費税等の減少額55百万円、法人税等の支払額392百万円、法人税等の還付額130百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果支出した資金は、94百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出73百万円、無形固定資産の取得による支出42百万円、投資有価証券の取得による支出69百万円、関係会社株式の売却による収入29百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入62百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果支出した資金は、1,619百万円となりました。これは主に、借入れによる収入1,000百万円、借入金の返済による支出2,535百万円、ストックオプションの行使による収入27百万円、配当金の支払額110百万円によるものです。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期連結累計期間において、当社及び連結子会社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

当第2四半期連結累計期間における研究開発費の金額は184百万円であります。

なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況について重要な変更はありません。