売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E32619 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績

 当第2四半期連結累計期間の外部環境は、金融引き締めが続く米国が雇用環境の改善や良好な個人消費により堅調な景気を維持している一方、中国経済は不動産投資の低迷に加え、米中対立に伴うサプライチェーンの見直しによる欧米向け輸出の伸び悩みや需要不足等により経済成長率が停滞している状況です。日本企業の業績については、個人消費の回復や製品単価の値上げ等により、24年3月期企業において業績が上振れする企業が増えてきているなど、明るい兆しが見えてきています。

 このような環境下、当社グループの主要対象市場である金融業界に係るトピックスとして、本年1月、金融庁より我が国の資産運用立国実現に向けたアクションプランが公表されました。この中で、個人金融資産の55%を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで更なる投資や消費を拡大し、成長と分配の好循環を実現していくことが重要と結論づけています。2022年11月に発表された「資産所得倍増プラン」、2023年4月の「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」に加え、今回の資産運用業・アセットオーナーシップ改革が新たに打ち出され、資産運用業の高度化やアセットオーナーの機能強化が具体的プランとして明らかにされています。

 当社はこれまで人生100年時代・大相続時代の到来に向け、金融機関のレガシーシステムのDX化、個人のゴールべースプランニングのDX化を推進してきましたが、まさに金融庁が公表したインベストメントチェーンのそれぞれのピースを当社が構築してきたといえます。当社のパーパスは「日本人の豊かな老後、円滑な相続・財産承継・事業承継の創造」でありますが、当社が掲げたパーパスが目指す先は、このたび発表された資産運用立国の実現という我が国の国家戦略のゴールと軌を一にするものと捉えております。私たちは、キャピタル・アセット・プランニングのパーパスを明確にしながら、新たな成長分野へ事業領域を拡げて持続的成長とプロフィットの拡大を推進してまいります。

 

当第2四半期連結累計期間の業績における主なトピックスは次のとおりです。

 

  当社グループの主たる事業であるシステム受託開発事業は、生命保険会社の新商品販売時期が4月と10月に集中することにより、売上高が3月(第2四半期)と9月(第4四半期)に偏重する傾向がありますが、当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高4,274,988千円(前年同四半期比7.7%増)となり、第1四半期に続き、第2四半期累計期間としては過去最大の売上高を計上しました。また、営業利益344,159千円(前年同四半期比91.6%増)、経常利益347,750千円(前年同四半期比84.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益185,718千円(前年同四半期比54.2%増)といずれも前年同四半期を大きく上回る各段階利益を計上し、コロナ前の成長軌道に復帰しました。

  業績回復の主要因は、第1に当社主力事業である生命保険会社各社の生保契約管理システムのオープン言語化・クラウド化等、レガシーシステムのDX化・再構築事業が継続したことです。第2に複数の生保が人生100年時代に対応して死亡保障中心のライフプランニングから変額保険等資産形成商品の投入を実行し、老後保障を加えた生涯設計プランニングを推進してシステム投資を再開したためであります。銀行向けには、岸田政権が推進する資産所得倍増プラン実行のための大型案件を受託し、加入者が企業型確定拠出年金の数多い投資信託の中から効率的に自らの投資目標、リスク許容度に合う投資オプションを選択できるシステムを提供しました。大手証券会社には、富裕層へ向けた世界分散投資により、豊かな老後・円滑な相続を実現するためのオンラインファンドラップシステムを提供しました。これは現代ポートフォリオ理論と我国の複雑な税体系を融合したシステムの完成により実現したものであり、生保に傾斜した事業ポートフォリオの分散を実現することとなりました。

  岸田政権が推進する国家戦略には、「AI活用戦略」と「資産運用立国の実現」が挙げられますが、現在推進している当社グループの戦略にとって追い風の環境になると捉えております。AI活用戦略については、昨年後半より新NISA制度での活用に向けた証券投資・資産管理のための総合提案アプリであるW2C ( Wise Wealth to Customer)を開発しました。ChatGPTのプロンプトに入力すると文字ベースの答えをアバターが語るというというシステムですが、これまでは文字ベースの回答からアバターが回答するまでのタイムラグがありました。これを改善するためにインタラクティビティを追求したAIアプリを活用することで、新NISAを含む投資と税務の領域でコールセンターのアドバイザーと同様に税務と投資の2つの領域を統合した回答が可能になりました。

  もう一つの「資産運用立国の実現」に沿った取り組みである、金融機関のレガシーシステムのDX化に関する戦略については、生命保険会社向けの営業支援システムの生産性向上に向けたプロジェクトが拡大したことに加え、新契約システムのクラウド移行等のプロジェクトも受注しました。また、銀行からも専用端末を使用したレガシーシステムを刷新してDXするプロジェクトを受注し、売上高の拡大に貢献しました。一方、個人のゴールベースプランニングのDX化に関する戦略については、銀行・信託銀行向けに相続・財産承継領域におけるシステムの高度化や退職後の豊かな老後を実現するために世界分散投資を実現する確定拠出年金アプリ等の開発を継続的に受託しています。

 

なお、当社グループはシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(売上高)

  生命保険会社向けにレガシーシステムのクラウド化・ライフプラン再構築プロジェクトが引続き好調であるとともに、岸田政権が推進する資産運用立国のアクションプランに基づき銀行・証券会社が強化するゴールベースプランニングシステム、確定拠出年金プラットフォームやポートフォリオ分析システム、さらに新NISA制度の個別銘柄提案システム等を提供しました。その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は4,274,988千円(前年同四半期比7.7%増)と第2四半期連結累計期間としては過去最大の売上高を計上しました。

(営業利益)

 当第2四半期連結累計期間の売上高が増加した中で、受託開発事業のプロジェクトの管理徹底により製造原価の増加額を抑制したことにより、売上総利益が1,048,748千円(前年同四半期比23.8%増)と前年同四半期に比べ増加した一方、販管費及び一般管理費は704,588千円(前年同四半期比5.6%増)に留まった結果、営業利益は344,159千円(前年同四半期比91.6%増)となりました。

(経常利益)

  営業外収益として、受取利息及び配当金を10,567千円計上しました。また、営業外費用として、支払利息を8,881千円計上した結果、経常利益は347,750千円(前年同四半期比84.4%増)となりました。

(親会社株主に帰属する四半期純利益)

 ソフトウエアの減損損失41,772千円、法人税等合計を91,745千円計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は185,718千円(前年同四半期比54.2%増)となりました。

 

 

② 財政状態
<資産>

 当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて207,005千円増加し、5,752,953千円となりました。
(流動資産)
 当第2四半期連結会計期間末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて325,773千円増加し、3,882,999千円となりました。これは主として売掛金及び契約資産が596,776千円増加した一方で、現金及び預金が294,163千円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
 当第2四半期連結会計期間末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて118,768千円減少し、1,869,953千円となりました。これは主として無形固定資産のその他に含まれるソフトウエア仮勘定が191,529千円減少した一方で、投資有価証券が77,597千円増加したこと等によるものであります。

 

<負債>
 当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて4,525千円増加し、2,401,182千円となりました。
(流動負債)
 当第2四半期連結会計期間末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて16,821千円減少し、1,861,646千円となりました。これは主としてその他に含まれる未払消費税等が38,869千円減少した一方で、未払法人税等が17,104千円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
 当第2四半期連結会計期間末における固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて21,346千円増加し、539,536千円となりました。これは主として長期借入金が25,040千円増加したこと等によるものであります。

 

<純資産>
 当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて202,480千円増加し、3,351,770千円となりました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益を185,718千円、剰余金の配当を42,940千円、その他有価証券評価差額金の増加54,041千円計上したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて294,163千円減少し、1,571,991千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、174,269千円の支出(前年同四半期は365,960千円の収入)となりました。これは主として税金等調整前四半期純利益277,464千円、減価償却費194,560千円、売上債権の増加596,776千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、93,668千円の支出(前年同四半期は201,338千円の支出)となりました。これは主として差入保証金の差入による支出50,414千円、無形固定資産の取得による支出21,050千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、26,225千円の支出(前年同四半期は3,638千円の支出)となりました。これは主として長期借入れによる収入300,000千円を計上した一方で、長期借入金の返済による支出283,309千円、配当金の支払額42,916千円を計上したこと等によるものであります。

 

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第2四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は16,257千円であります。