売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00902 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

当第3四半期連結累計期間の当社グループを取り巻く経済環境は、インフレ等による世界的な需要の減少により欧州・中国経済が停滞する一方、日本経済は、好調な自動車生産やインバウンド需要により、緩やかに回復となりました。

このような経済環境のもとで、当社グループの主要な販売先である輸送業界の自動車向けは、生産拡大により回復基調となりました。一方、情報電子業界の液晶ディスプレイ向けは、生産調整により一部弱含みで推移し、また、物価高を背景とした消費低迷の影響を受け、包装及び建材業界向けが引き続き低迷しました。海外は、中国の景気停滞の影響を受け低調に推移しました。これらの結果、売上高は905億7千8百万円(前年同期比2.4%減)と減収になりましたが、販売価格の改定等により営業利益は35億8千6百万円(同44.2%増)と増益になりました。また、経常利益は39億3千5百万円(同22.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益に政策保有株式の売却益を計上したことなどにより37億4千2百万円(同53.9%増)とそれぞれ増益になりました。

次に報告セグメントの業績についてご報告いたします。

 

(カラー&ファンクショナル プロダクト)

当事業は、顔料・繊維用着色剤・プラスチック用着色剤・コンパウンド・顔料分散体・機能性材料の製造・販売を行っております。

情報電子業界向けの顔料及び分散体の売上高は、期初から好調だった液晶ディスプレイ用途が期末にかけて弱含みで推移しました。輸送業界向けのコンパウンド・着色剤は、自動車生産の持ち直しにより回復基調で推移しました。海外は、中国現地法人の家電OA機器向けのコンパウンド・着色剤が低調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は、493億2千4百万円(同3.7%減)、営業利益は17億5千6百万円(同15.5%減)と減収減益になりました。

 

(ポリマー&コーティング マテリアル)

当事業は、UV・EBコート剤・ウレタン樹脂・天然物由来高分子の製造・販売を行っております。

ウレタン樹脂の売上高は、輸送業界向けは自動車向けが好調に推移した一方、産業資材向けの感熱記録用コーティング剤及び衣料品服飾品向けが低調に推移しました。情報電子業界向けのUVコート剤は、液晶ディスプレイ向けが好調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は、183億2千2百万円(同1.9%増)、営業利益は22億8千5百万円(同56.2%増)と増収増益になりました。

 

(グラフィック&プリンティング マテリアル)

当事業は、グラビアインキ・オフセットインキの製造・販売を行っております。

包装業界向けのグラビアインキは、物価高により食料品向け軟包装用途が低調に推移しました。オフセットインキは、需要減少により低調に推移しました。

これらの結果、当セグメントの売上高は228億7千7百万円(同2.9%減)と減収になりましたが、前期に一過性の新工場移転費用を計上したこと及び海外子会社において販売価格の改定等により損益改善が進んだ結果、営業損失は4億5千4百万円(前年同期は10億7千4百万円の営業損失)と損失が縮小しました。

 

②財政状態

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は1,972億4千1百万円となり、前連結会計年度末と比べ44億7千6百万円増加しました。これは主に「棚卸資産」が減少した一方で、「受取手形及び売掛金」が増加したことによるものであります。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は799億7千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ15億1千3百万円増加しました。これは主に「支払手形及び買掛金」が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は1,172億6千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ29億6千2百万円増加しました。これは主に「自己株式」の取得により減少した一方で、「親会社株主に帰属する四半期純利益」の計上により「利益剰余金」が増加したこと及び「為替換算調整勘定」が増加したことによるものであります。

 

(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等について重要な変更はありません。

 

(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

なお、会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「会社の支配に関する基本方針」といいます。)の内容は以下のとおりであります。

 

1.会社の支配に関する基本方針

創業者 高橋 義博の「自分の生活が好きな色彩によって包まれたいと思うのが私たちの念願」との言葉にもありますように、世界中の「もっと自由に彩りたい」という願いをかなえるために、当社グループは、彩りと機能性を持った素材をさまざまな分野での企業活動を通じて提供し、社会やお客様の願いに貢献することとしております。お客様の声に十分に耳を傾け、これまで培ってまいりました①有機無機合成・顔料処理技術、②分散加工技術、③樹脂合成技術の3つのコア技術を、事業部を通して得られるお客様の具体的な「ニーズ」及びオープンイノベーションでの共同開発や知財戦略に基づく新技術創出などによる「シーズ」により、さらに一層深化させ、お客様のニーズのみならず、ESGなどの社会的なニーズに継続的に貢献してまいることにしております。新規発展分野としてIT・エレクトロニクス 機能性材料、ライフサイエンス・パーソナルケアを、継続発展分野としてモビリティ、パッケージングを定めて開発対象の中心に置き、資金と人財を積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位性の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制を構築し、色材、機能材、合成樹脂、天然物由来高分子など多岐にわたった製品を生産することにより、自動車・電気機器・建材などの部品から日常生活に関連する繊維・パッケージ・情報関連素材まで広範囲な製品に利用・活用されております。

当社は、このような当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社をご支持くださる多数のステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。

当社株主の在り方は、当社株式の市場における自由な取引を通じて決定されるものであり、当社の支配権の移転を伴う大規模な買付提案等がなされた場合であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概に否定するものではなく、これに応じるか否かのご判断も、最終的には株主の皆様のご意思に基づき行われるべきものと理解しております。

しかしながら、近年の資本市場における株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、当社や株主の皆様に対して買付けに係る内容及び代替案等を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、買付けに応じることを株主の皆様に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が不適切であるもの等々、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも想定されます。このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切でないと考えております。

 

2.会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み

当社は、1931年に顔料の製造・販売を目的に創業し、プラスチック時代の幕開けとなった1940年代半ばより、国産化・自社開発に拘りながらプラスチック製品の着色化に貢献、また合成繊維の誕生に合わせて化・合成繊維の原液着色の技術を開発しました。1970年代より海外市場へ展開し、日本企業の海外進出に合わせ、エリアを拡大してまいりました。創業以来培ってきました技術の継承と新規分野の研究開発を背景に、材料特性を熟知した素材メーカーとして、カラー化時代の先取りと様々なユーザーニーズに応える分散・加工等の基本技術と応用展開の結実として、現在、プラスチック用着色剤、印刷インキ、合成樹脂に加えて時代の要請に即した機能性付与製品や情報記録関連の製品、環境配慮型製品まで多様な製品ラインナップを擁し、広範な業界の多数のお取引先から厚い信頼を得ております。

このように、当社は創業以来蓄積してきた「有機無機合成・顔料処理技術」「分散加工技術」「樹脂合成技術」の3つのコア技術を企業価値の源泉とし、お客様を通じて得られる「ニーズ」やオープンイノベーションにおける共同開発や知財戦略に基づく新技術創出の「シーズ」により、3つのコア技術に一層の磨きをかけて、今後も、品質・コスト競争力とブランドの向上に着実に努め、株主の皆様、取引先の皆様、従業員、さらには地域社会等との長年に亘る信頼関係を構築しております。

当社においてその価値の源泉となるものは、創業以来蓄積されてきた技術力、開発力、個々の従業員がその持ち場で地道に積み上げてきた豊富な経験、スキル、ノウハウであり、それらを伸ばして、着実に伝承していく企業風土、文化、経営方針であるものと確信しております。そして、環境や時代の変化に応じて、この企業価値の源泉に真摯に向き合い、改めて研鑽し合うことで、一層の輝きを引き出し、その結果として、企業価値も高まり、ひいては、株主のみならず、取引先、従業員、地域社会等、当社をとりまく全ての方にとっての価値が最大化できるものと考えております。

 

また、当社は、2021年8月に、中期経営計画を公表し、長期的な展望とともに今後3年間に当社が進むべき方向性をお示ししております。

一点目は、長期ビジョン、基本戦略の策定です。10年後のありたい姿として、

①技術力を生かしニッチマーケットで社会に貢献しつづける、

②サステナブル社会の実現に向けた課題解決と新たな価値創造に取り組む、

の2つをミッションとして掲げ、

 

この2つのミッションを達成するための基本戦略として、

 

①技術主導による競争優位性の確保

②サステナブル社会の実現に向けたESG重視の経営推進

③事業基盤の強化のための海外事業の拡大

とし、これらを推進することで、ROE9%以上、ROA5%以上を産み出す利益体制の構築を図り、より一層資本効率を重視した経営を進めることとしました。

 

二点目は、長期ビジョンの実現に向けたロードマップを策定しました。

 

①当初3年間は成長に向けた「種まき」の期間と位置づけ、コロナ禍からの確実な回復と既存事業、技術、海外開拓の基礎を整えることとし、

②5年後までに、成長の基本となる利益体制の構築や新規事業の実現化を図るとともに、

③10年後には収穫を行い、エクセレントカンパニーとしてありたい企業像の実現を目指すこと

といたしました。

三点目は、持続的成長と中長期的な企業価値の創出のための施策について、その方向性を定めたことです。

 

①技術主導による競争優位性の確保

技術マネジメント手法を用いて保有する技術を再評価し、社会的なニーズであるESGへの貢献を最優先課題として、オープンイノベーション、セグメント間のシナジー、知財戦略などを組み合わせ、市場規模、収益性、成長性を評価し、3つのコア技術を深化させた技術開発に取り組むこととしております。また、IT・エレクトロニクス 機能性材料、ライフサイエンス・パーソナルケアの2つを新規発展分野、モビリティ、パッケージングの2つを継続発展分野として開発対象の中心に置き、資金と人財を積極的に投入することを行い、技術主導による競争優位性の確保を目的とした「技術オリエンテッド」体制の構築を目指すこととします。

②ESGを重視した経営による企業価値向上に向けた改革の推進

ESGへの取り組みは、当社を取り巻くサプライチェーン全体への重要な課題として認識し、原材料調達段階から当社製品を使用した製品が廃棄される段階までを含めたライフサイクルにおいて、ESG貢献製品の開発・売上促進、気候変動への取組み、資源循環促進、ステークホルダーを通じた社会貢献の一層の促進、コーポレート・ガバナンス強化への一層の取組みを行います。

③海外事業展開に向けた事業基盤の強化

当社の収益、成長の源泉は、国内、海外双方に存在し、GDP 高成長国での事業展開をバランスよく事業育成していく必要があるとの認識のもとに、「地産地消」の推進を続けます。また成長市場をターゲットに新たな製品の現地生産による市場参入を検討するとともに、これらを目途とした海外拠点の拡充を行います。この中期経営計画を着実に進めることにより、企業価値の一層の向上につなげることができるものと確信しております。

 

3.会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取組み

当社は、会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みとして「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)について、2023年6月29日開催の第120期定時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)において、株主の皆様にご承認いただき継続しております。

本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。

本プランにおける大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関しては、次のとおり一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設けており、大規模買付ルールによって、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、またはその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間、また株主検討期間を設ける場合には取締役会評価期間と株主検討期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。

本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを順守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを順守しなかった場合、順守しても当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当て等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとることがあります。

このように対抗措置をとる場合、その判断の客観性及び合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役または社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に勧告を行うものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。なお、本プランの有効期限は2026年6月に開催予定の当社第123期定時株主総会の終結の時までとします。

本プランは、本株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。継続後の本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(https://www.daicolor.co.jp)に掲載しております。

 

4.本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

本プランは、①買収防衛策に関する指針において定める三原則を充足していること及び経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年(平成20年)6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容も踏まえたものとなっていること、②当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること、③株主総会での承認により発効しており、株主意思を反映するものであること、④独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を重視するものであること、⑤デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策でないこと等の理由から、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものでなく、かつ、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

(6)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、22億1千5百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。