E00816 IFRS
(1) 財政状態に関する説明
(単位:億円)
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前連結会計年度末 |
2023年12月期 第3四半期末 |
増減 |
資産 |
9,399 |
10,041 |
642 |
非流動資産 流動資産 |
3,977 5,422 |
4,227 5,814 |
250 392 |
負債 |
1,771 |
1,919 |
149 |
資本 |
7,628 |
8,121 |
493 |
親会社所有者帰属持分比率(%) |
81.2% |
80.9% |
△0.3% |
◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ642億円増加し、10,041億円となりました。
・非流動資産は、欧州エスタブリッシュト医薬品事業の合弁化に伴い、持分法で会計処理されている投資が増加したことに加えて、為替の円安影響によるのれんの増加等により、前連結会計年度末に比べ250億円増加し、4,227億円となりました。
・流動資産は、売却目的で保有する資産の減少等がありましたが、現金及び現金同等物の増加等により、前連結会計年度末に比べ392億円増加し、5,814億円となりました。
◎ 負債は、契約負債の減少によるその他の非流動負債の減少等がありましたが、営業債務及びその他の債務や未払法人所得税の増加等により、前連結会計年度末に比べ149億円増加し、1,919億円となりました。
◎ 資本は、配当金の支払いによる減少等がありましたが、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上や為替影響による在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度末に比べ493億円増加し、8,121億円となりました。この結果、当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.3ポイント減少し、80.9%となりました。
※画像省略しています。
(2) 経営成績に関する説明
① 業績の概況
当社グループは、グローバルに事業を展開していることから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用していますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しています。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しています。
(単位:億円)
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2022年12月期 第3四半期 |
2023年12月期 第3四半期 |
増減 |
増減率 % |
売上収益 |
2,838 |
3,061 |
223 |
7.9% |
コア営業利益 |
609 |
609 |
0 |
0.0% |
税引前四半期利益 |
604 |
643 |
39 |
6.5% |
親会社の所有者に帰属する四半期利益 |
492 |
536 |
43 |
8.8% |
<期中平均為替レート>
通貨 |
2022年12月期 第3四半期 |
2023年12月期 第3四半期 |
増減 |
米ドル(USD/円) |
126円 |
137円 |
11円 |
英ポンド(GBP/円) |
160円 |
170円 |
10円 |
ユーロ(EUR/円) |
135円 |
148円 |
13円 |
当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日から9月30日までの9か月間)の売上収益は3,061億円(前年同期比7.9%増)、コア営業利益は609億円(同0.0%増)となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は536億円(同8.8%増)となりました。
◎ 売上収益は、北米を中心としたグローバル戦略品の伸長に加え、技術収入の増加により増収となりました。なお、売上収益に係る為替の増収影響は139億円となりました。
◎ コア営業利益は、海外売上収益の増収及び技術収入の増加により売上総利益が増益となったものの、販売費及び一般管理費や研究開発費の増加により前年同期並みとなりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は42億円となりました。
◎ 親会社の所有者に帰属する四半期利益は、RTA 402の開発中止決定に伴う減損損失の計上等によるその他の費用の増加がありましたが、欧州エスタブリッシュト医薬品事業の合弁化に伴う子会社株式売却益及び残存持分評価益の計上等によるその他の収益の増加により増益となりました。
② 地域統括会社別の売上収益
(単位:億円)
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2022年12月期 第3四半期 |
2023年12月期 第3四半期 |
増減 |
増減率 % |
日本 |
1,092 |
1,070 |
△23 |
△2.1% |
北米 |
759 |
929 |
170 |
22.4% |
EMEA |
480 |
457 |
△23 |
△4.7% |
アジア/オセアニア |
225 |
260 |
35 |
15.4% |
その他 |
281 |
345 |
63 |
22.5% |
売上収益合計 |
2,838 |
3,061 |
223 |
7.9% |
(注)1.One Kyowa Kirin 体制(日本・北米・EMEA・アジア/オセアニアの4極の地域(リージョン)軸、機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しています。
2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等です。
3.その他は、技術収入及び受託製造等です。
※画像省略しています。
※画像省略しています。
<主要製品の売上収益(日本)>
(単位:億円)
|
2022年12月期 第3四半期 |
2023年12月期 第3四半期 |
増減 |
増減率 % |
ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」 |
132 |
103 |
△29 |
△21.7% |
ダーブロック |
44 |
69 |
24 |
54.4% |
ジーラスタ |
227 |
232 |
5 |
2.3% |
ロミプレート |
75 |
87 |
12 |
15.9% |
クリースビータ |
64 |
74 |
10 |
16.0% |
◎ 日本の売上収益は、2022年4月及び2023年4月に実施された薬価基準引下げの影響等を受け、前年同期に比べ減少しました。
・ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、薬価基準引下げ及び競合品浸透の影響を受け、売上収益が減少しました。
・腎性貧血治療剤ダーブロックは、2020年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。
・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタは、前年同期並みの売上収益となりました。
・慢性特発性血小板減少性紫斑病治療剤ロミプレートは、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血を適応症とする承認を2019年に取得し、市場浸透により売上収益が増加しています。
・FGF23関連疾患治療剤クリースビータは、2019年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。
<主要製品の売上収益(海外)>
(単位:億円)
|
2022年12月期 第3四半期 |
2023年12月期 第3四半期 |
増減 |
増減率 % |
Crysvita |
787 |
957 |
170 |
21.6% |
Poteligeo |
161 |
199 |
38 |
23.8% |
Nourianz |
45 |
55 |
10 |
22.9% |
Gran |
64 |
52 |
△12 |
△19.2% |
◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前年同期を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、順調に売上収益を伸ばしています。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2018年の発売以来、売上収益を伸ばしています。
・パーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)は、2019年の発売以来、売上収益を伸ばしています。
◎ EMEAの売上収益は、グローバル戦略品が伸長したものの、エスタブリッシュト医薬品の売上収益の減少により前年同期を下回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2020年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしています。
・エスタブリッシュト医薬品事業のGrünenthal社との合弁化に伴い、8月より13ブランドの売上収益が製品売上から売上ロイヤルティ及びライセンス利用料に移行したため、Abstral等のエスタブリッシュト医薬品の売上収益が減少しました。
◎ アジア/オセアニアの売上収益は、前年同期を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2022年11月に販売を開始したオーストラリアを中心に、売上収益を伸ばしています。
・好中球減少症治療剤Gran(日本製品名:グラン)は、中国の一部の地域で始まった集中購買制度*の影響を受け売上収益が減少しました。
* 中国で医療費削減を目的に2018年に導入された医薬品調達プログラム(VBP:Volume-Based Procurement)。入札により2-5社程度の企業だけに供給が委託される一方、価格は大幅に下落します。
<その他の売上収益>
◎ その他の売上収益は、前年同期を上回りました。
・AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティが増加しました。
③ コア営業利益
※画像省略しています。
◎ コア営業利益は、北米を中心としたグローバル戦略品の売上収益の伸長及び技術収入の増収に伴う売上総利益の増加があったものの、4月27日からの北米でのCrysvita自社販売開始に伴う人件費等の増加に加え、第Ⅲ相国際共同治験を実施中のKHK4083の開発進展等に伴う研究開発費の増加があったため、前年同期並みとなりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は42億円となりました。
(3) キャッシュ・フローに関する説明
(単位:億円)
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2022年12月期 第3四半期 |
2023年12月期 第3四半期 |
増減 |
増減率 % |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
355 |
843 |
487 |
137.1% |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△134 |
△125 |
9 |
△6.9% |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△279 |
△314 |
△35 |
12.4% |
現金及び現金同等物の期首残高 |
3,351 |
3,392 |
41 |
1.2% |
現金及び現金同等物の四半期末残高 |
3,328 |
3,823 |
495 |
14.9% |
◎ 当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の3,392億円に比べ431億円増加し、3,823億円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
◎ 営業活動によるキャッシュ・フローは、843億円の収入(前年同期は355億円の収入)となりました。主な収入要因は、税引前四半期利益643億円に加えて、減価償却費及び償却費155億円、連結子会社からの外貨建預り金の換算差額等の為替差損益120億円、減損損失及び減損損失戻入益93億円です。一方、主な支出要因は、子会社株式売却益及び残存持分評価益148億円、法人所得税の支払額57億円です。
◎ 投資活動によるキャッシュ・フローは、125億円の支出(前年同期は134億円の支出)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出130億円や無形資産の取得による支出94億円です。一方、主な収入要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入78億円、関係会社社債の償還による収入20億円です。
◎ 財務活動によるキャッシュ・フローは、314億円の支出(前年同期は279億円の支出)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額290億円です。
※画像省略しています。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社グループは、研究開発活動へ資源を継続的かつ積極的に投入しています。多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出すプラットフォームを築く技術軸と、これまで培った疾患サイエンスを活かしつつ有効な治療法のない疾患に"only-one value drug"を提供し続ける疾患軸の両方を進化させ、競合優位性の高いパイプラインを構築し、Life-changingな価値をもつ新薬をグローバルに展開することを目指しています。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は512億円であり、主な後期開発品の各疾患領域における進捗は、次のとおりです。(◆は当第3四半期連結会計期間の進捗)
腎領域
KHK7580(日本製品名:オルケディア)
・中国及び韓国において二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とする販売承認申請中です(中国:2022年7月申請、韓国:2022年11月申請)。
KHK7791(日本製品名:フォゼベル)
◆9月に日本において透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善を適応症とする製造販売承認を取得しました。
がん領域
KRN125(日本製品名:ジーラスタ)
◆7月に日本において自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員を適応症とする承認事項一部変更承認申請を行いました。
免疫・アレルギー疾患領域
KHK4827(日本製品名:ルミセフ)
・日本において全身性強皮症を予定適応症とする承認事項一部変更承認申請中です(2021年12月申請)。
◆8月に日本において掌蹠膿疱症を適応症とする承認事項一部変更承認を取得しました。
その他
AMG531(日本製品名:ロミプレート)
◆9月に日本において再生不良性貧血を適応症とする承認事項一部変更承認を取得しました。
開発パイプライン一覧
※画像省略しています。
※画像省略しています。
※画像省略しています。
※画像省略しています。
※画像省略しています。
(注)2023年9月30日からの主な進捗は、次のとおりです。
・腎領域のKW-3357(日本製品名:アコアラン)は妊娠高血圧腎症の開発中止を決定しました。