売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E30133 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

① 当社グループの経営成績

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減額

増減率

売上高

290億59百万円

312億48百万円

+21億89百万円

+7.5%

営業利益

5億90百万円

3億60百万円

△2億29百万円

△39.0%

経常利益

8億65百万円

5億14百万円

△3億50百万円

△40.6%

親会社株主に帰属する
四半期純利益

4億89百万円

17百万円

△4億72百万円

△96.5%

 

 

当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く経営環境は、想定以上に長引いた新型コロナウイルス感染症によって生じた輸送費の高騰などのさまざまな影響は回復に向かっております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化をはじめとした国際情勢の大きな混乱による電力等のエネルギー価格や原材料等の高騰は依然として続いていることに加え、イスラエル・ガザ紛争という新たなリスク要因が発生しており、景気の先行きは不透明な状況で推移しております。

このような状況のもと、2025年度を最終年度とする中期経営計画「PROTECT×CHANGE」において定めた以下の成長戦略を着実に推進することで企業価値の向上を図ってまいります。

 

セグメント

成長戦略

環境機器関連事業

・海外における事業展開の推進

・ストックビジネスであるメンテナンス事業及び上水エスコ事業の拡大

住宅機器関連事業

・商圏の拡大、新規取り扱い商材の発掘、集中購買制度の導入等による安定事業から成長事業への転化

再生可能エネルギー関連事業

・循環型社会の実現と安定収益確保の強化

・ポストFITを見据えた高付加価値事業の構築・商材の発掘

全社

・IT戦略を実現するための組織強化

・生産性向上ツールとしてITを利活用

 

 

なお、当社は2023年10月20日にスタンダード市場に市場区分が変更されました。

市場区分変更後も上記の成長戦略について、より力強く推進してまいります。創業65周年を迎え、この先も持続可能な価値を当社グループが創造するためには挑戦や変化を恐れない姿勢が必要だと認識しております。グループ従業員全員が「PROTECT×CHANGE」の精神を共有し、技術とアイデアによって世界の環境課題を解決することで世界の人々の生活を支え、「環境を守る。未来を変える。」という企業使命を今後も果たしてまいります。

 

当第3四半期連結累計期間における売上高は312億48百万円(前年同四半期比7.5%増)及び売上総利益は64億59百万円(前年同四半期比6.3%増)となりました。

販売費及び一般管理費60億99百万円であり、前年同四半期比11.2%増と大きく増加しております。主な増加要因及びそれらによって期待される効果等は以下のとおりであります。

 

要因

期待される効果

期待される業績への貢献

人的資本への投資

-ベースアップの実施(*1)

従業員の定着

エンゲージメント向上

従業員の生産性向上

組織の基盤強化に伴う各種施策

-Slack・kintoneなどのITツール導入(*2)

-65周年記念行事の実施

情報格差の解消による業務効率化

部署連携、社内コミュニケー  ションの強化

新たに刷新した理念体系の浸透

従業員の生産性向上

海外事業への投資

-新工場稼働開始に伴う研修のための渡航費用等

-新工場稼働開始に伴う現地スタッフの増員

製品の品質向上

生産能力向上による安定した製品の供給

輸送コストの削減による

利益率向上

M&Aによる成長分野への投資

-株式会社メデア、株式会社アドアシステムの取得(*3)

主要事業の事業力強化

グループの収益性向上

コーポレート・ガバナンスの見直し

-外部機関による取締役会実効性評価の実施

PDCAの実施による取締役会の

機能向上

企業価値向上への貢献

 

*1 2022年4月より定期昇給と合計して平均約6%の上昇率にて実施

  また、当連結会計年度においても2023年4月より定期昇給と合計して平均約5%の上昇率にて実施

*2 全社的な経営戦略を進めるための基盤となる業務効率化の向上を図るためにITツールを活用

*3 株式会社メデア:再生可能エネルギー関連事業(太陽光発電事業)の強化

  株式会社アドアシステム:住宅機器関連事業(空調設備工事)の強化

 

これらの結果、営業利益は3億60百万円(前年同四半期比39.0%減)となり、経常利益は5億14百万円(前年同四半期比40.6%減)となりました。

また、特別損失において製品に関する認定仕様の不適合状態を解消するための費用を1億98百万円計上したことにより親会社株主に帰属する四半期純利益は17百万円(前年同四半期比96.5%減)となりました。

 

② セグメントごとの経営成績

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(環境機器関連事業)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減額

増減率

売上高

150億81百万円

155億17百万円

+4億36百万円

+2.9%

セグメント利益(営業利益)

10億90百万円

9億18百万円

△1億71百万円

△15.7%

 

 

・浄化槽・排水処理システム

浄化槽・排水処理システムの国内売上高につきましては、大型工事案件の進捗状況等の影響及び新型コロナウイルス感染症によって抑圧されていた設備投資需要の回復によって修繕工事の受注が大きかったことに加え、従来より拡充を進めている建物総合管理事業において新たなサービス(産業廃棄物の処理業務)の展開を始めたことが影響し、前年同四半期と比較して増加しております。

海外売上高につきましては大きく減少しており、国別の状況は以下のとおりです。

中国

中国経済の先行きが不透明な状態において、中国全体での設備投資需要が減少しております。当社グループにおいてもその影響を受けており、売上高は前年同四半期と比較して減少しております。

インドネシア

大型案件の施工が進んでいる状況ではあるものの、売上高は前年同四半期と比較してわずかに減少しております。

インド

新工場における製造人材の育成に時間を要していることから引き合いは多くあるものの製造が追いついていない状況ではありますが、売上高は前年同四半期と比較して増加しております。

スリランカ

2022年7月に当時の大統領が国外逃亡したことなどによって経済活動が停滞している状況が続いていたことから、売上高は前年同四半期と比較して減少しております。しかしながら、現在ではガソリン不足や輸入規制等はほぼ解消されていることに加え、新規の開発計画も動き始めていることから引き合いは多く頂いております。

その他

前第2四半期連結累計期間において売上を計上したイラクにおけるJICA支援プロジェクトへの浄化槽等の納入と同等の案件はないことから全体としては減少しております。当該案件は非常に大型の案件であったことから、この影響によって海外売上高全体が大きく減少しております。

 

 

ストックビジネスであるメンテナンス売上につきましては、成長戦略に基づいたメンテナンス契約の拡大を推進しており、堅調に推移しております。

 

なお、材料・外注費等の値上げ要請は引き続き発生しておりますが、認定品であり価格交渉の難しい小型浄化槽につきましては各ハウスメーカーとの間で販売価格に転嫁出来るように努めております。その他の受注生産品目につきましては、積算段階で仕入価格の値上げを考慮することで販売価格への転嫁を進めております。

 

海外事業におきましては、2022年10月にスリランカの小型浄化槽の組立工場、2022年11月にインドの中大型浄化槽の製造工場が完成いたしました。スリランカの組立工場におきましては完成後速やかに出荷を開始しております。

インドの製造工場におきましては、当社が主導となり品質を確認しながら試作品を製造し、2023年2月の初出荷となりました。製造人員の育成に時間を要している状況ではありますが、高品質な製造体制を一刻も早く確立し、安定的に計画どおりの製造が可能となるように進めてまいります。

なお、新工場でも従来の委託生産工場で製造しているカプセル型浄化槽の製造を開始しており、円筒型浄化槽と合わせて安定的な製造体制の実現に向けた取り組みを進めております。非常に多くの引き合いを頂いている中で製造体制の早急な確立が重要であると認識しておりますので、各国の文化・風習等に鑑みた日本式の製造方法に囚われない形での検討も進めてまいります。

 

・地下水飲料化事業

ストックビジネスであるエスコ契約に係る新規契約は増加しております。

近年ではエスコ契約を行わない地下水飲料化装置の販売につきましても顧客ニーズが高まっていることによって売上高は増加しております。この場合も、販売後のメンテナンス契約を締結することでストックビジネスの拡大に貢献しており、新規契約によって増加しております。

 

※エスコ契約:設備費用・運転費用を全て当社が調達し、月々のシステム使用料金を水の使用量に応じて契約先にご負担いただく契約であります。本ビジネスモデルにおける施設の償却は契約期間である10年間の定額法にて実施しており、10年経過後もエスコ契約が継続する場合においては償却費の負担が大幅に減少することとなり、利益基盤の強化に大きく寄与いたします。

 

(住宅機器関連事業)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減額

増減率

売上高

119億27百万円

132億82百万円

+13億54百万円

+11.4%

セグメント利益(営業利益)

2億35百万円

2億3百万円

△31百万円

△13.3%

 

 

・建設関連業者等(ゼネコン・地場建築業者・ハウスメーカー等)向け住宅設備・建築資材等の販売

メーカーにおける海外部品調達難に起因する商品の出荷制限等の影響については解消していることから、住宅設備・建築資材の売上高は前年同四半期と比較して大きく増加しております。しかしながら、前第3四半期連結累計期間において計上のあったDCMグループ向けのLED照明の更新工事が当第3四半期連結累計期間においては仕掛中(当連結会計年度中には売上予定)であることから建設関連業者等向けの売上高は微増という結果でありました。

 

建設関連業者向けの販売につきましては仕入価格及び外注費の値上げを販売価格に全ては転嫁出来ていない状況であり、利益率に大きく影響を及ぼしております。取引量の多い本社主導による仕入価格交渉等を近年強化しており、販売価格及び仕入価格の両輪の対策を講じることで対処してまいります。

 

・ホームセンター向けリテール商材の販売

上記に記載のとおり、ホームセンター向けの主力商品の供給は通常納期に戻っているものの、天候不順や行動制限解除等の影響によってリフォームやDIY需要が減少しております。そのため、ホームセンター向けのリテール商材の販売につきましては前年同四半期と同程度という結果でありました。

 

・住機部門工事(外壁・農業温室・店舗建築・冷凍冷蔵工事・空調設備工事等)

前第3四半期連結累計期間において売上を計上していたホームセンター事業を展開しているDCMグループの店舗建築工事について当第3四半期連結累計期間に同等の案件がありませんでしたが、外壁工事の大型案件(病院の外壁タイル工事や体育館の屋根工事)が好調であったことに加え、第1四半期連結会計期間に買収した子会社の業績を第2四半期連結会計期間の期首より連結に取り込んでいることから増加しております。

 

(再生可能エネルギー関連事業)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減額

増減率

売上高

15億64百万円

19億82百万円

+4億18百万円

+26.7%

セグメント利益(営業利益)

1億91百万円

2億52百万円

+60百万円

+31.8%

 

 

・太陽光発電事業

当事業におきましては、FIT制度は期限が定められた制度であることに加え、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて電力消費量の多い大手企業を中心に電力需要が高まっていることから、新たな事業モデルを構築する必要性があります。それらに対応するためにM&Aによって太陽光発電施設の提案から施工・保守まで一気通貫で担える体制を整えており、2023年3月よりFIT制度を活用した売電事業に加えてPPAモデルによる電力需要家への電力供給を開始しております。

今後の方針としては需要家からの要望が増加しているPPAモデルでの売電のための自社保有施設の整備を整えてまいりますが、2021年10月及び2023年2月に取得した子会社においては、FIT制度を活用した売電事業だけでなく発電施設の販売も行っていたことから、買収後も買収前に契約した施設販売の案件についての売上が計上されている状況であります。

これらの結果、当第3四半期連結累計期間におきましては、FITによる売電を行っているサイトは187件(前年同期比26件増)、PPAによる売電を行っているサイトは11件(前年同期比11件増)という状況であり、施設販売の案件もあったことによって前年同四半期と比較した売上高は大きく増加いたしました。

 

・小形風力発電事業

前第3四半期連結累計期間におきましては、他3社と共同参画しております環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」における売上を計上していたことから、前年同四半期比は減少しております。

なお、FITを利用した小形風力発電に係る売電のための施設について、現在24サイトが稼働しており、引き続き2025年までに総数70サイトの稼働の計画に向けて推進してまいります。

 

・バイオディーゼル燃料関連事業

「B5軽油」の営業強化に引き続き取り組んでいることから契約件数は堅調に増加しており、前年同四半期と比較して売上高は増加しております。

 

※B5軽油:当社グループでは、使用済み天ぷら油を精製したバイオディーゼル燃料である「D・OiL」を製造しております。「B5軽油」は軽油にD・OiLを5%混合したものであり、国の定める軽油の強制規格(法律に基づいて守ることが義務付けられている規格)を満たしており、軽油と同様に安全かつ安心して使用可能です。

 

・水熱処理事業

当該事業では新技術確立に向けた研究開発を行っております。現在、その実験的な試みの一環として新時代のごみ処理を目指して他社との連携を開始しております。

 

※水熱処理:高温高圧状態の水で有機物を処理することで廃棄物等を有効活用することのできる処理方法であり、燃焼を伴わないことからNOx(窒素酸化物)・SOx(硫黄酸化物)・ダイオキシン等の有害物質を処理時に発生させない処理です。

 

(その他の事業)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減額

増減率

売上高

4億85百万円

4億65百万円

△20百万円

△4.2%

セグメント利益(営業利益)

40百万円

28百万円

△11百万円

△29.0%

 

 

家庭用飲料水事業について、廃プラスチックの問題等に鑑みてボトル型ウォーターサーバーから水道直結型ウォーターサーバーへの転換を進めております。そのため、ボトル型ウォーターサーバーの契約数の減少となりましたが、サブスクモデルである水道直結型のウォーターサーバーの契約者数は増加しております。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

 

前連結会計年度

当第3四半期
連結会計期間

増減額

増減率

流動資産

190億38百万円

190億90百万円

+52百万円

+0.3%

固定資産

128億67百万円

153億11百万円

+24億44百万円

+19.0%

資産合計

319億5百万円

344億2百万円

+24億96百万円

+7.8%

 

 

住宅機器関連事業及び再生可能エネルギー関連事業において、成長分野への投資として第1四半期連結会計期間に2社のM&Aを行っており、のれんを計上しております。

また、環境機器関連事業において、海外事業における事業展開の推進を成長戦略に掲げており、インド工場の設備増設を行っており機械装置を取得いたしました。

さらに再生可能エネルギー関連事業において、安定収益確保の強化及びポストFITを見据えた事業の構築を成長戦略に掲げており、FIT設備の増設及びPPAモデルの事業開始を行っており、機械装置及び土地を取得いたしました。

これらの結果、前連結会計年度と比較して固定資産が増加しております。

 

(負債・純資産)

 

前連結会計年度

当第3四半期
連結会計期間

増減額

増減率

流動負債

161億34百万円

170億15百万円

+8億81百万円

+5.5%

固定負債

62億48百万円

80億53百万円

+18億4百万円

+28.9%

純資産

95億22百万円

93億32百万円

△1億89百万円

△2.0%

負債・純資産合計

319億5百万円

344億2百万円

+24億96百万円

+7.8%

 

 

住宅機器関連事業及び再生可能エネルギー関連事業において、成長分野への投資として第1四半期連結会計期間に2社のM&Aを行っております。また、再生可能エネルギー関連事業において、安定収益確保の強化及びポストFITを見据えた事業の構築を進めており、資金調達を借入金にて実施いたしました。

これらの結果、前連結会計年度と比較して流動負債及び固定負債が増加しております。

 

(3) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は54百万円であります。