E05196 Japan GAAP
当第3四半期連結累計期間における業績全般の概況
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の連結売上高、連結営業利益はともに順調に推移して おり、また各事業における新型コロナウイルスの影響は軽微に留まりました。
前年同期と比較すると、国内事業においては、CRO(医薬品開発受託機関)事業は、モニタリングを中心に高稼働が継続していること、SMO(治験施設支援機関)事業は、新型コロナウイルスの流行による、地方の医療機関への訪問制限や被験者の来院減少などの影響が徐々に低減してきていること、また、CSO(医薬品販売事業受託機関)事業はDI業務※や医薬向けコントラクトMR(契約医薬情報担当者)で新型コロナウイルス関連業務を開始したことに加え、他のサービスも順調に進捗しており、増収増益となりました。
海外事業において、Global Research 事業は、受注の競争環境が厳しく減収減益となりました。益新事業は前第1四半期、中国において製造ラインを一時的に停止しました。その後再開し増収となりましたが、中国における規制強化への対応費用が発生しています。
この結果、連結売上高は、対前年同期比10.4%増の53,531百万円となりました。
連結営業利益は、売上高が増加したことによる増益に加え、コスト構造改革を推進し管理面での費用削減を進めた効果が表れ、対前年同期比66.3%増の5,280百万円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、営業利益が増加した一方、その他事業に属する連結子会社において、不正関連損失883百万円を特別損失に計上したことにより、対前年同期比9.0%増の2,263百万円となりました。
※DI(drug information/おくすり相談室)業務:医薬品の最新情報を医療関係者向けに提供するコールセ ンター業務
セグメント別の業績は次の通りです。
セグメントの状況
当社グループは主として以下の5セグメント(国内3、海外2)にて事業を展開しています。
① CRO事業
CRO事業は主にイーピーエス㈱、EPクルーズ㈱及び、㈱EPメディエイトにて展開しています。同事業では、トータルソリューションサービスを提供するEPSプラットフォームの構築を目指し、バーチャル治験の体制(Virtual Go)構築や、アカデミアなどとの共同研究を通した知見の獲得など、新たなサービスの確立を含めた取り組みを行っています。
また、2021年6月30日において、情報技術(IT)に強みを持つCROである株式会社CACクロア(現:株式会社EPクロア)の買収が完了し、安全性情報管理支援ノウハウや、システム開発力を総合的に駆使することで、幅広い安全性情報業務支援を展開することを目指します。
売上高は前年同期と比較して2,664百万円増の24,421百万円(12.2%増)、営業利益は2,237百万円増の5,005百万円(80.8%増)となりました。
主な業務別の状況は以下の通りです。
[治験・PMS業務]
複数の取引先とのアライアンス契約による受注が想定を上回って進捗しており、モニタリング業務やデータサイエンス業務を中心に高稼働率が続いているほか、データサイエンス業務において、低採算案件に対する業務効率化などの効果が表れ、増収増益となりました。
[臨床研究業務]
多様化する臨床研究に対して体制強化及び上流工程からの支援サービスの拡充と営業強化に取り組んでいます。医師主導治験を含めたアカデミア案件を中心に引合いが順調であり、また臨床研究におけるモニタリング業務が、高い稼働率を維持しており、原価削減の効果もあり増収増益となりました。
[医療機器、その他業務]
非医薬品のCRO事業を強化するため、医療機器業務と機能性食品のCROとの連携を図っています。前年同期と比較すると、医療機器業務が市場の拡大とともに、堅調に売上を伸ばしています。また、機能性食品関連業務は、機能性表示食品などの受注が増加し、前年同期と比較して増収増益です。
② SMO事業
SMO事業は、㈱EP綜合にて展開しています。
同事業では試験依頼者への新しいサービスを含めた提案営業やアライアンス契約による受注の確保、症例集積性のよい優良施設に対するリソースの集中などの地域戦略を積極的に行っています。
売上高は前年同期と比較して318百万円増の10,280百万円(3.2%増)となりました。営業利益は327百万円増の1,562百万円(26.6%増)となりました。
業務面においては、必須文書など治験関連文書の電子化によるIRB(治験審査委員会)の遠隔審査体制の推進により、試験の効率化を図り生産性を向上させています。さらに、医療機関に配置したSDM※が試験データの集中管理を行うことでCRC(治験コーディネーター)の負荷を軽減し、迅速な症例集積と試験コストの低減を図る新しいビジネスモデルを展開しています。前年同期と比較すると、引合いが好調で多くの案件が稼働しています。新型コロナウイルスの流行による、地方の医療機関への訪問制限や被験者の来院減少などの影響が、徐々に低減してきていることや、人員の適正配置や管理コストの抑制などの施策を推し進めたことから増益になりました。
※SDM(Site Data Manager):CRCが被験者・医療スタッフとの対応や症例集積に集中するために、SD Mとして治験モニター(CRA(Clinical Research Associate))を医療機関に配置し、データの精査やシステムへの入力などを専属で担当する。
③ CSO事業
CSO事業は㈱EPファーマライン、㈱EPフォース及び㈱ESリンクにて展開しています。
売上高は前年同期と比較して1,015百万円増の9,648百万円(11.8%増)、営業利益は前年同期と比較して478百万円増の1,199百万円(66.4%増)となりました。
主な業務別の状況は以下の通りです。
[DI業務]
新型コロナウイルスに関連したサービスを製薬会社に提供開始したこともあり、増収となりました。また、利益面でもこれらの案件により稼働が高まり増益となりました。
[コントラクトMR業務]
近年続いた製薬業界のMR削減に起因するコントラクトMRへの需要低減が収束し、引合いも回復傾向にあります。大型案件の契約期間が満了したものの、新型コロナウイルス関連業務などの案件に人員配置が着実に進み、稼働率を維持したことにより、若干の減収に留まりました。利益面では、高稼働率で推移したことに加えて、リモート活動を促進したことにより増益となりました。
[その他業務]
学術資材作成業務は、WEBセミナーの開催増加に伴って受託業務が増加しました。また、製品販売後調査サポートサービスや医薬品流通管理などの業務が好調に進捗するなどして、増収増益となりました。
④ Global Research 事業
Global Research 事業はEPSインターナショナル㈱とその海外グループ会社で構成されており、日本、中国及びアジア・パシフィック地域でCRO事業を展開しています。
売上高は前年同期と比較して402百万円減の2,262百万円(15.1%減)となりました。営業損失は63百万円(前年同期間124百万円の利益)となりました。
海外から受託する国内試験については、グローバルCROとの競争激化により、新規受託が低調でした。
中国国内事業につきましては、前期買収した中国CROの北京格鋭博医薬研発有限公司(G&P)を中心として、中国市場の拡大に伴い引合いが増加していますが、一部試験の進捗が遅延した影響がありました。
アジア・パシフィック地域においては、海外の提携企業と事業基盤を再編しています。
⑤ 益新事業
益新事業は、EPS益新㈱、益新(中国)有限公司の2つの統括会社及び中国のグループ会社で展開しています。
同事業は、㈱スズケンとの緊密な資本業務提携のもと、医薬品や医療機器を中心とした製品関連事業、国際貿易事業及び周辺サポート関連事業を展開し、一層の収益拡大を図っています。
売上高は前年同期と比較して737百万円増の6,784百万円(12.2%増)、営業損失は145百万円(前年同期間251百万円の損失)となりました。
同事業は、医薬品の製造販売を収益の柱としており、販売チャネルの選別による収益性の強化も取り組んでいます。売上・利益面では、前第1四半期は製造ラインを一時的に停止した影響がありましたが、製造を再開したことにより増収となりました。ただし、中国国内においても新型コロナウイルスの感染発生以降、医療機関への来院患者が減少していることから、販売への影響が続いています。また、中国における医薬品の製造に対する規制強化に対応するため、様々な改善費用が発生しました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、80,518百万円と前連結会計年度末から10,059百万円増加しました。
流動資産では、主に受取手形及び売掛金が2,215百万円、仕掛品が1,403百万円増加したことなどにより4,017百万円増加して49,927百万円となりました。固定資産では、主として有形固定資産が2,192百万円、のれんが3,647百万円それぞれ増加した一方で、投資その他の資産「その他」が803百万円減少したことなどにより6,041百万円増加して30,590百万円となりました。
負債の部においては、主に短期借入金が6,482百万円、その他の流動負債が2,294百万円、その他の固定負債が2,066百万円増加した一方で、未払法人税等が1,438百万円、賞与引当金が2,004百万円減少したことなどにより、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は32,145百万円と8,627百万円増加しました。
純資産の部では、利益剰余金が1,269百万円増加した一方で、資本剰余金が554百万円減少したことなどにより、当第3四半期連結会計期間末における純資産の部は1,432百万円増加して48,372百万円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
該当事項はありません。