売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05239 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年7月1日から2024年3月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、物価上昇や令和6年能登半島地震の経済に与える影響や金融資本市場の変動の影響など、当社グループのお客様を取り巻く環境は注意が必要な状況にあります。当社グループが事業を展開するアジア地域の経済は、中国での景気の持ち直しに足踏みがみられますが、各国では回復の動きがみられます。

 

 当社グループは当連結会計年度である2024年6月期を初年度とする第14次中期経営計画(3か年)を策定いたしました。また本計画のグループ基本方針を「Data + Technology企業としてのNew Portfolioへ - 新たな価値発揮の創出-」としております。人口減少・高齢化社会、そして、デジタル社会の進展を機会ととらえ、社会的ロスをなくし、便利で豊かな社会の実現に向けてマーケティングインテリジェンス(以下MI)、ビジネスインテリジェンス(以下BI)の単体機能提供からMIとBIを融合させたサービスを提供する企業=Data+Technology企業として、新たな価値発揮を創出してまいります。

 

 マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、国内は既存事業の伸長及び新規事業によるドメインの拡張に加え、CXマーケティングプラットフォーム確立に向けた推進、SCIの刷新、及び株式会社リサーチ・アンド・イノベーションの次世代リサーチの拡販による黒字化を目指しております。

 海外はGlobal Future Lab(※1)との連携等によるマーケティング及び営業体制の強化、事業基盤確立を推進しております。

 

 マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、ヘルスケアにおける意思決定パートナーの実現に向けて、リアルワールドデータなどを通じて得られる事実ベースのデータに、医療消費者の意識や行動のデータを加えることで、生活者の理解をより深めてまいります。また、高い専門性(プロフェッショナル)をもつ人材を育成することで、お客様の課題解決に貢献するソリューションを提供してまいります。また、営業体制強化についても継続して推進してまいります。

 

 ビジネスインテリジェンス事業においては、10年先も選ばれ続けるDXパートナーの実現に向けて、これまで培ったデータ解析力やユーザービジネスに対する理解を強みとしたデータの価値創造に取り組んでまいります。また、現在取り組んでいるデータ活用ソリューションを発展させ、業界共通ソリューションを確立・提供することで、顧客のビジネス変革を支援してまいります。

 

 さらに、当社グループの中長期的な成長戦略の一環として、株式会社NTTドコモ(以下ドコモ)との資本業務提携を発表し、2023年10月に公開買付けが成立しております。経営の自主性・独立性を重視した上で、両社の連携を深めていくため、当社グループは上場を維持したままでのドコモの連結子会社となりました。この資本業務提携により、ドコモが有する約1億人(※2)の顧客基盤と豊富な行動データを、当社グループが持つデータ収集から集計・分析・可視化等のデータハンドリング力を通じて、データの価値の最大化に取り組んでまいります。また、両社が持つデータとその価値化を掛け合わせることによるシナジー効果を発揮していくことで、今後の大きな成長を見込むとともに社会課題の解決に貢献してまいります。

 2024年2月に早期のシナジー創出を図るため「シナジー戦略部」を発足させ、5つのシナジー(※3)の実現を目指して、双方メンバーが参加する各分科会の設置やセールス連携、データ連携に係る分科会を設置し、相互理解や事業計画の具体化などの検討を進めております。

 

 グループ全体としては、一部顧客の予算引き締めの影響により計画水準を下回るものの、主力パネル調査は堅調に推移しており、消費財メーカーおよびヘルスケアのリサーチ事業で業績の回復が見られております。一方、引き続き取り組んでいる主力事業の業容拡大を見込んだ体制強化に伴う人件費・経費増と領域拡大を目指した投資の増加や、ドコモとの資本業務提携に関連する費用の発生が、当社グループの業績に影響を与えておりますが、これまで通り、安定的な財務基盤に基づく資本政策の強化、グループ間連携のビジネス創出、人的資本を始めとした非財務資本増加のための施策実施、及びサステナビリティの強化等を推進しております。

 この結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高48,348百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益3,308百万円(同18.2%減)、経常利益3,554百万円(同15.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,394百万円(同36.5%減)となりました。

 

 事業分野別の状況は次のとおりであります。

 

①  マーケティング支援(消費財・サービス)事業

 マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高31,586百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益1,352百万円(同28.3%減)の増収減益となりました。

 当事業では、主力事業であるパネル調査は堅調に推移しました。一方でカスタムリサーチは前年同水準で推移したものの、特定のお客様のマーケティング予算引き締めの影響を受け、計画を下回る水準で進捗しております。販売拡大に向け新規/休眠顧客・窓口の掘り起こしを強化しており、お客様からの受注・引合いは回復傾向にあります。コミュニケーション分野は前年を下回る水準で推移しております。

 海外事業はタイ、シンガポールは好調に推移しております。引き続き販売拡大の為に、各国での着実な案件獲得、及び拠点間連携を推進してまいります。

 投資活動においては、CXマーケティングプラットフォームの確立、及びSCIの刷新に向けて計画通り進捗しております。

 利益面については、投資費用の増加、及び売上拡大を見込んだ人員体制強化などにより費用が増加した一方で、売上計画未達によりコスト増を吸収できず減益となっております。

 

②  マーケティング支援(ヘルスケア)事業

 マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高10,757百万円(前年同期比1.8%減)、営業利益1,407百万円(同14.2%減)の減収減益となりました。

 当事業では、株式会社インテージヘルスケアの主力事業であるリサーチ事業において、昨年同期の大型案件の反動減の影響があったものの、医療領域のカスタムリサーチは回復基調にあり前年同水準で推移しました。CRO(医療品開発業務受託機関)につきましては、前年を下回る水準で推移しておりますが、学会への参画やwebページを活用した営業活動などにより新たな案件創出を推進してまいります。

 株式会社協和企画においては、新薬上市案件と大型案件の獲得に伴い売上が伸長しており、引き続き粗利率の改善に取り組んでおります。

 利益面については、CROの売上減少の影響を受けて減益となっております。

 

③  ビジネスインテリジェンス事業

 ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高6,003百万円(前年同期比8.8%増)、営業利益548百万円(同5.4%増)の増収増益となりました。

 当事業では、株式会社インテージテクノスフィアにおいて、旅行業界を中心としたSI案件の受注残が順調に積み上がり前年を上回る水準で推移しました。また、DX支援領域や健康情報領域も堅調に推移しております。

 株式会社ビルドシステムについても前年を上回る水準で推移しております。

 利益面については、売上の増加により増益となっております。

 

※1 Global Future Lab:海外の事業拡張を目指し、マーケティング及び新サービス開発を推進する組織

※2 2024年3月末時点

※3 5つのシナジー

  ① 日用消費財メーカーに向けたID ベースかつ一気通貫型の生活者中心マーケティング支援

  ② 流通小売におけるバリューチェーントータル支援

  ③ 顧客満足度(CS)、従業員満足度(ES)領域における新規事業領域への進出

  ④ 耐久消費財メーカー・サービス企業に向けた生活者中心のフルファネルマーケティング支援

  ⑤ ヘルスケア関連産業における社会課題解決力の強化

 

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,176百万円増加し、29,589百万円となりました。これは、現金及び預金が1,512百万円、仕掛品が429百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が4,916百万円増加したことなどによるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ151百万円減少し、17,826百万円となりました。これは、投資その他の資産におけるその他が194百万円増加したものの、無形固定資産におけるその他が255百万円、有形固定資産におけるリース資産が125百万円減少したことなどによるものです。

この結果、総資産は3,024百万円増加し、47,415百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,447百万円増加し、14,249百万円となりました。これは、賞与引当金が802百万円減少したものの、短期借入金が1,975百万円、流動負債におけるその他が1,091百万円増加したことなどによるものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ466百万円減少し、1,118百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が304百万円、リース債務が84百万円、長期借入金が73百万円減少したことなどによるものです。

この結果、負債合計は1,980百万円増加し、15,367百万円となりました。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,043百万円増加し、32,048百万円となりました。これは、利益剰余金が778百万円、為替換算調整勘定が140百万円増加したことなどによるものです。

 

 

(2) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間において研究開発費は発生しておりません。