売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E34335 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第1四半期連結累計期間(2023年10月1日から2023年12月31日まで)におけるわが国経済は、インバウンド需要の復調や雇用・所得環境の改善など、緩やかな回復の動きが見られました。一方で、世界的な金融引き締めによる景気の下振れリスクの高まりや国際情勢の不安定化などから、国内外における経済的な見通しは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループの属する情報サービス産業においては、コロナ禍で加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、アナログ的な事務作業のデジタル化や、オンプレミスで運用されているレガシーシステムのクラウド化など、業務効率化・企業競争力強化のためのIT投資は旺盛な状況となっております。テレワークやWeb会議の普及等、コロナ禍を通じて加速したデジタルサービスの「新たな価値」が社会的に当たり前となった一方で、企業のDX化の進捗は十分に進んでいるとは言えず、今後、IT企業の役割はますます重要になっていくことが予想されます。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査(2023年11月分速報)」によりますと、情報サービス産業の2023年11月売上高は前年同月比で4.6%増の1兆2,373億円となっており、引き続き、市場全体として拡大傾向に進むと思われます。また、DX時代の人材戦略としてリスキリングが重要視されており、デジタル技術の力で企業価値を創造できる能力やスキルの再開発が必要となってきております。

 このような環境の中、当社グループにおいては、中長期的視点から事業利益の創出に取り組むための新たな3ヶ年計画「中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)」と、中長期ビジョン「Vision2028」(2028年9月期目標:売上高100億円・営業利益10億円)を策定し、元請け案件や受託案件の獲得拡大に対する取り組みや顧客企業のセキュリティ課題解決に対する取り組み、生成系AIや仮想空間を活用した技術開発への取り組み等、各施策を積極的に遂行してまいりました。さらに、当社グループが提供している教育サービス業務で蓄積した研修ノウハウの活用や、社内での技術共有を進めることで、より規模の大きな案件や難易度の高い案件を確保するために必要な技術力の強化、プロジェクトマネージャー(注1)の育成やコンサルティング力の強化を進めてまいりました。

 これらの結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は1,624百万円(対前年同期比11.3%増)となりましたが、福岡オフィスの増床移転(福岡事業所の開設)に加え、採用強化及び社員の待遇面向上に伴う人件費の増加等により、営業利益100百万円(同11.0%減)、経常利益100百万円(同11.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は66百万円(同11.0%減)となりました。

 

(注1)「プロジェクトマネージャー」とは、プロジェクトの計画、遂行に責任を負うプロジェクトの管理者のことをいいます。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 なお、各セグメントの業績数値には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

(システムインテグレーション事業)

 業務用システムの設計・開発及び構築、運用保守の各工程を、当社グループにて提供できる体制(ワンストップ体制)を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。IT通信業・金融業・流通業・医療・官公庁等の幅広い業種に対応しており、業務用アプリケーションの設計開発業務、インフラシステムの設計構築業務、業務用アプリケーション・インフラシステムの運用保守業務等を行っております。

 当第1四半期連結累計期間においては、加速化する企業のDX推進を背景に、サーバリプレイス、基幹システムリプレイス、クラウドストレージ導入に伴うデータ移行、標的型メール訓練サービス(注2)などの案件が増加傾向となりました。グループ全体のエンジニア稼働率につきましては、常に100%に近い数字で推移しており、高稼働を維持しております。さらに、ビジネスパートナー(注3)を積極的に活用することで、より多くの案件に対応しております。

 

 当社ホームページへの問い合わせ件数につきましても、引き続き増加傾向となっており、元請け案件の獲得にも繋がっております。特に、楽々WorkflowⅡ(注4)や楽々Framework3(注5)、COMPANY(注6)などの問い合わせが増加傾向となりました。

 これらの結果、システムインテグレーション事業の売上高は1,527百万円(前年同期比11.1%増)、セグメント利益につきましては303百万円(同1.2%減)となりました。

 

(注2)「標的型メール訓練サービス」は、株式会社ブロードバンドセキュリティと協業し、提供しているサービスです。

(注3)「ビジネスパートナー」とは、外注先企業に在籍しているエンジニアのことをいいます。

(注4)「楽々WorkflowⅡ」は、本格的なワークフローも簡単・スピーディに実現し、グローバルにも対応した電子承認・電子決裁システムです。(住友電気工業株式会社の登録商標です。)

(注5)「楽々Framework3」は、システム開発の費用・リスクを大幅に削減できる純国産ローコード開発プラットフォームです。(住友電気工業株式会社の登録商標です。)

(注6)「COMPANY」はクラウド型統合人事システムで、株式会社Works Human Intelligenceが製造・販売している製品です。

 

(教育サービス・セキュリティソリューション事業)

 当該事業は、自社で開発した商材を基に、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修業務を行う教育サービス分野と、セキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行うセキュリティソリューション分野をサービス領域として提供しております。

 

 教育サービス分野については、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修実施の各工程を当社グループにて提供できる体制を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。当社連結子会社のアスリーブレインズ株式会社が当該分野を担っております。

 当第1四半期連結累計期間においては、新規研修の研究開発を行うとともに、新入社員向け研修の提供により繁忙期となる4月~6月に向けた講師の育成強化を図りました。中堅社員向け研修では、ネットワークやサーバ・クラウド関連研修の受講者数が増加傾向となりました。また、昨年から提供を開始した「ChatGPT(注7)研修」及び「生成系AIサービス『Google Bard(注8)/Microsoft Bing(注9)』が2時間でまるっとわかる実践セミナー」についても、引き続き好評をいただいております。生成系AIの市場はさらに拡大することが予想されていることから、教育サービス分野にとどまらず、システムインテグレーション事業へ波及する可能性もあり、今後、新しい付加価値を生み出すイノベーションが期待されます。

 また、顧客企業においてはDX化のためのIT人材確保や育成が重要になってきているとともに、リスキリングの重要性も叫ばれていることから、当社グループが提供するIT教育サービスの需要は、今後ますます増加していくものと見込んでおります。

 

 セキュリティソリューション分野については、主に、金融機関やクレジットカード会社、保険会社など、監査やセキュリティに対して厳格な業界を対象に、サーバやデータベースを操作したログを取得するセキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行っております。当社連結子会社のウイーズ・システムズ株式会社が当該分野を担っております。

 自社製品として、重要システムからの情報漏洩リスクを防ぐIT運用統制ソフトウェアツール群「WEEDS Trace」(注10)を販売しており、さまざまな情報システムのログを収集する主要製品をベースに、顧客の目的に応じて、必要な機能やライセンスの提供を行っております。当第1四半期連結累計期間につきましては、公共法人向け及び地方銀行向けのライセンス販売が好調となりました。

 

 これらの結果、教育サービス・セキュリティソリューション事業の売上高は104百万円(前年同期比20.5%増)、セグメント利益につきましては37百万円(同2.5%増)となりました。

 

(注7)「ChatGPT」は、アメリカの人工知能研究所「OpenAI」が開発したAIチャットボットです。

(注8)「Google Bard」は、米Googleが提供する生成系AIです。

(注9)「Microsoft Bing」は、米Microsoftが提供する生成系AIです。

(注10)「WEEDS Trace」は、当社連結子会社のウイーズ・システムズ株式会社で企画・開発した特権IDの管理・重要情報保護のためのセキュリティソフトウェア製品です。

 

(2)財政状態の分析

①流動資産

 当第1四半期連結会計期間末における流動資産は2,112百万円となり、前連結会計年度末に比べ55百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が102百万円増加した一方、売掛金及び契約資産が43百万円減少したこと等によるものであります。

②固定資産

 当第1四半期連結会計期間末における固定資産は696百万円となり、前連結会計年度末に比べ19百万円減少いたしました。これは、主に投資その他の資産のその他が16百万円増加した一方、繰延税金資産が32百万円減少したこと等によるものであります。

③流動負債

 当第1四半期連結会計期間末における流動負債は1,255百万円となり、前連結会計年度末に比べ38百万円増加いたしました。これは、主に買掛金が22百万円、短期借入金が200百万円増加した一方、未払法人税等が75百万円、賞与引当金が141百万円減少したこと等によるものであります。

④固定負債

 当第1四半期連結会計期間末における固定負債は291百万円となり、前連結会計年度末に比べ4百万円減少いたしました。これは、主に長期借入金が16百万円減少した一方、退職給付に係る負債が9百万円増加したこと等によるものであります。

⑤純資産

 当第1四半期連結会計期間末における純資産は1,262百万円となり、前連結会計年度末に比べ1百万円増加いたしました。これは、主に利益剰余金が2百万円増加したことによるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 該当事項はありません。