売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E34335 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第2四半期連結累計期間(2023年10月1日から2024年3月31日まで)におけるわが国経済は、インバウンド需要の復調や雇用・所得環境の改善など、緩やかな回復の動きが見られました。一方で、世界的な金融引き締めによる景気の下振れリスクの高まりや国際情勢の不安定化などから、国内外における経済的な見通しは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループの属する情報サービス産業においては、コロナ禍で加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、アナログ的な事務作業のデジタル化や、オンプレミスで運用されているレガシーシステムのクラウド化など、業務効率化・企業競争力強化のためのIT投資は旺盛な状況となっております。テレワークやWeb会議の普及等、コロナ禍を通じて加速したデジタルサービスの「新たな価値」が社会的に当たり前となった一方で、企業のDX化の進捗は十分に進んでいるとは言えず、今後、IT企業の役割はますます重要になっていくことが予想されます。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査(2024年2月分速報)」によりますと、情報サービス産業の2024年2月売上高は前年同月比で9.2%増の1兆2,836億円となっており、引き続き、市場全体として拡大傾向に進むと思われます。また、DX時代の人材戦略としてリスキリングが重要視されており、デジタル技術の力で企業価値を創造できる能力やスキルの再開発が必要となってきております。

 このような環境の中、当社グループにおいては、中長期的視点から事業利益の創出に取り組むための新たな3ヶ年計画「中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)」と、中長期ビジョン「Vision2028」(2028年9月期目標:売上高100億円・営業利益10億円)を策定し、元請け案件や受託案件の獲得拡大に対する取り組みや顧客企業のセキュリティ課題解決に対する取り組み、生成系AIや仮想空間を活用した技術開発への取り組み等、各施策を積極的に遂行してまいりました。さらに、当社グループが提供している教育サービス業務で蓄積した研修ノウハウの活用や、社内での技術共有を進めることで、より規模の大きな案件や難易度の高い案件を確保するために必要な技術力の強化、プロジェクトマネージャー(注1)の育成やコンサルティング力の強化を進めてまいりました。

 これらの結果、当第2四半期連結累計期間における売上高は3,300百万円(対前年同期比10.1%増)となりましたが、福岡オフィスの増床移転(福岡事業所の開設)に加え、採用強化及び社員の待遇向上に伴う人件費の増加等により、営業利益は227百万円(同11.9%減)、経常利益は226百万円(同11.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は151百万円(同11.7%減)となりました。

 

(注1)「プロジェクトマネージャー」とは、プロジェクトの計画、遂行に責任を負うプロジェクトの管理者のことをいいます。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 なお、各セグメントの業績数値には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

(システムインテグレーション事業)

 業務用システムの設計・開発及び構築、運用保守の各工程を、当社グループにて提供できる体制(ワンストップ体制)を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。IT通信業・金融業・流通業・医療・官公庁等の幅広い業種に対応しており、業務用アプリケーションの設計開発業務、インフラシステムの設計構築業務、業務用アプリケーション・インフラシステムの運用保守業務等を行っております。

 当第2四半期連結累計期間においては、加速化する企業のDX推進を背景に、サーバリプレイス、基幹システムリプレイス、クラウドストレージ導入に伴うデータ移行、標的型メール訓練サービス(注2)などの案件が増加傾向となりました。グループ全体のエンジニア稼働率につきましては、常に100%に近い数字で推移しており、高稼働を維持しております。さらに、ビジネスパートナー(注3)を積極的に活用することで、より多くの案件に対応しております。

 

 当社ホームページへの問い合わせ件数につきましても、引き続き増加傾向となっており、元請け案件の獲得にも繋がっております。特に、楽々WorkflowⅡ(注4)や楽々Framework3(注5)、COMPANY(注6)などの問い合わせが増加傾向となりました。

 これらの結果、システムインテグレーション事業の売上高は3,148百万円(前年同期比11.6%増)、セグメント利益につきましては676百万円(同3.3%増)となりました。

 

(注2)「標的型メール訓練サービス」は、株式会社ブロードバンドセキュリティと協業し、提供しているサービスです。

(注3)「ビジネスパートナー」とは、外注先企業に在籍しているエンジニアのことをいいます。

(注4)「楽々WorkflowⅡ」は、簡単な画面作成・柔軟なフロー設定・多言語対応ができる本格的ワークフローシステムです。(住友電気工業株式会社の登録商標です。)

(注5)「楽々Framework3」は、システム開発の費用・リスクを大幅に削減できる純国産ローコード開発プラットフォームです。(住友電気工業株式会社の登録商標です。)

(注6)「COMPANY」はクラウド型統合人事システムで、株式会社Works Human Intelligenceが製造・販売している製品です。

 

(教育サービス・セキュリティソリューション事業)

 当該事業は、自社で開発した商材を基に、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修業務を行う教育サービス分野と、セキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行うセキュリティソリューション分野をサービス領域として提供しております。

 

 教育サービス分野については、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修実施の各工程を当社グループにて提供できる体制を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。当社連結子会社のアスリーブレインズ株式会社が当該分野を担っております。

 当第2四半期連結累計期間においては、新規研修の研究開発を行うとともに、新入社員向け研修の提供により繁忙期となる4月~6月に向けた講師の育成強化を図りました。中堅社員向け研修では、ネットワークやサーバ・クラウド関連研修の受講者数が増加傾向となりました。また、2024年2月に新たにリリースした「Microsoft Copilot for Microsoft 365(注7)体験研修」が好評をいただいております。受講の申し込みに加え、多くのお問い合わせをいただいていることから、先行して2024年9月までの研修スケジュールを確定しております。生成系AIの市場はさらに拡大することが予想されていることから、教育サービス分野にとどまらず、システムインテグレーション事業へ波及する可能性もあり、今後、新しい付加価値を生み出すイノベーションが期待されます。

 また、顧客企業においてはDX化のためのIT人材確保や育成が重要になってきているとともに、リスキリングの重要性も叫ばれていることから、当社グループが提供するIT教育サービスの需要は、今後ますます増加していくものと見込んでおります。

 

 セキュリティソリューション分野については、主に、金融機関やクレジットカード会社、保険会社など、監査やセキュリティに対して厳格な業界を対象に、サーバやデータベースを操作したログを取得するセキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行っております。当社連結子会社のウイーズ・システムズ株式会社が当該分野を担っております。

 自社製品として、重要システムからの情報漏洩リスクを防ぐIT運用統制ソフトウェアツール群「WEEDS Trace」(注8)を販売しており、さまざまな情報システムのログを収集する主要製品をベースに、顧客の目的に応じて、必要な機能やライセンスの提供を行っております。当第2四半期連結累計期間につきましては、公共法人向け及び地方銀行向けのライセンス販売が好調となりました。

 また、2024年1月26日にニュースリリースを掲載しましたとおり、当社連結子会社であるウイーズ・システムズ株式会社は、Broaders 株式会社(韓国ソウル市に拠点をおく「株式会社WEEDS KOREA」がセキュリティ製品の日本市場展開を目的として新たに設立した日本法人)と新たにパートナー契約を締結いたしました。主に「BlackBox Suite」(注9)のローカライズ・販売・導入・運用支援に携わります。このパートナー契約締結については、中長期的に当社グループの業績向上に資するものと考えており、セキュリティソリューション分野の事業領域拡大を目指すとともに、DX推進により、ますます複雑化している日本企業のセキュリティ課題解決に貢献してまいります。

 

 これらの結果、教育サービス・セキュリティソリューション事業の売上高は165百万円(前年同期比13.0%減)、セグメント利益につきましては53百万円(同41.7%減)となりました。なお、当連結会計年度における教育サービス・セキュリティソリューション事業については下期の売上拡大を見込んでおり、通期では前期比で増収増益となる予想をしております。

 

(注7)「Microsoft Copilot for Microsoft 365」は、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)をTeams、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどの各Officeアプリケーションに組み込み、組織内のチームやメンバーの生産性向上や業務効率化を改善するためのツールです。

 

(注8)「WEEDS Trace」は、当社連結子会社のウイーズ・システムズ株式会社で企画・開発した特権IDの管理・重要情報保護のためのセキュリティソフトウェア製品です。

 

(注9)「BlackBox Suite」は、企業内の個人情報や機密情報など、すべてのデータアクセスを監視し、いつ、誰が、どのデータを見たのかを記録することができる情報漏洩対策アプリケーションで、韓国国内のアクセス監視ソフトウェアではシェアNo.1の実績があり、政府・公共機関のみならず、金融、製造、教育など幅広い業態への導入実績を誇っています。

 

(2)財政状態の分析

①流動資産

 当第2四半期連結会計期間末における流動資産は2,079百万円となり、前連結会計年度末に比べ22百万円増加いたしました。これは、主に売掛金及び契約資産が58百万円及び仕掛品が27百万円増加した一方、現金及び預金が55百万円減少したことによるものであります。

②固定資産

 当第2四半期連結会計期間末における固定資産は764百万円となり、前連結会計年度末に比べ48百万円増加いたしました。これは、主に有形固定資産が21百万円、繰延税金資産が11百万円及び投資その他の資産のその他が20百万円増加した一方、のれんが11百万円減少したことによるものであります。

③流動負債

 当第2四半期連結会計期間末における流動負債は1,216百万円となり、前連結会計年度末に比べ0百万円減少いたしました。これは、主に買掛金が43百万円及び未払法人税等が19百万円増加した一方、契約負債が15百万円、賞与引当金が13百万円及び流動負債のその他が27百万円減少したことによるものであります。

④固定負債

 当第2四半期連結会計期間末における固定負債は280百万円となり、前連結会計年度末に比べ15百万円減少いたしました。これは、長期借入金が33百万円減少した一方、退職給付に係る負債が15百万円増加したことによるものであります。

⑤純資産

 当第2四半期連結会計期間末における純資産は1,347百万円となり、前連結会計年度末に比べ87百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が87百万円増加したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ55百万円減少し、1,048百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は99百万円(前年同期は75百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益226百万円、売上債権及び契約資産の増加58百万円、棚卸資産の増加40百万円、仕入債務の増加43百万円、その他負債の減少48百万円、法人税等の支払額68百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は58百万円(前年同期は8百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出31百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は97百万円(前年同期は76百万円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出33百万円及び配当金の支払額63百万円によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 該当事項はありません。