売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E35578 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当第2四半期連結累計期間における経済環境は、好調な企業収益や、物価上昇及び人材不足を背景とした継続的な雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の回復などにより、国内の経済環境は緩やかに改善した一方で、ウクライナ情勢の長期化、イスラエル情勢の深刻化、各国の金融政策の動向などに対する懸念が存在し、先行き不透明な状態が続きました。

このような市場環境の中、当社グループは、パーパスを「笑顔につながる、まだ見ぬアイデア実現の母体となる」、提供価値を「デザインとエンジニアリングの力で、挑戦を支える」と定義した上で、「挑戦を、楽しもう。」をブランドスローガンに掲げ、挑戦的な文化を醸成し、ITを軸とした様々な挑戦を積極的に進めていく企業を目指しております。

また当社は、Great Place to Work® Institute Japanが世界共通の基準で従業員の意識調査を行う、2024年版「働きがいのある会社」ランキングにおいて、4年連続で働きがいのある会社として認定されました。様々なライフイベントに応じた柔軟な働き方を実現するための各種制度を設け、性別や国籍を問わない採用活動により、多様性のある組織づくりを推進しております。さらに、人材育成のための研修などの成長支援を通じて、挑戦を積極的に行う文化の醸成に取り組んでおります。

当社グループの事業展開としては、企業や教育、医療の現場において活用が進むモバイル端末を、一元的に管理・運用するためのソフトウェアサービスをSaaS(Software as a Service)として提供する「CLOMO事業」を主軸事業とし、CVCやM&Aを通じた投資活動によって当社グループの持続的な成長の実現及びスタートアップ企業における新たな価値創造への挑戦を支える「投資事業」を運営しております。

また、当社グループは、2023年10月に10KN JOINT STOCK COMPANYの全株式を取得し、完全子会社化するための株式譲渡契約を締結いたしました。同社は、ベトナム(ハノイ市)に拠点を置く開発会社であり、豊富な経験と高い開発スキルを有する若きエンジニアを数多く揃え、日本企業向けのシステム、WEB、アプリケーション等の受託開発案件も手掛けております。同社を迎えいれることで、当社グループの中長期的な開発リソースを強化するとともに、さらなる事業拡大を目指してまいります。なお、ベトナム当局の認可取得後、2024年1月以降に登記及び連結子会社化の完了を予定しております。

当第2四半期連結累計期間の経営成績については、主軸事業であるCLOMO事業において新規顧客の獲得が進み、導入法人数が堅調に増加した結果、売上高が前年同期比で増加しました。費用面については、前連結会計年度において製品開発力の増強を目的に、新たに開拓した委託先企業と積極的に開発投資を進めたことで、ソフトウエア製品のリリースが増加した結果、減価償却費を中心とした売上原価が前年同期比で増加しました。また、当連結会計年度においては、企業の持続的成長を目的に新卒人材を中心とした採用計画を進めており、中途採用に係る人材紹介費用等が減少したものの、M&Aに係る諸費用等が発生したことにより、販売費及び一般管理費が前年同期比で増加しました。

このような取り組みの結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高1,425,640千円(前年同期比8.4%増)、営業利益333,376千円(前年同期比6.7%増)、経常利益331,244千円(前年同期比6.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益222,445千円(前年同期比5.0%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

 

① CLOMO事業

CLOMO事業においては、2010年から提供を開始したモバイル端末管理ソフトウェアサービス「CLOMO MDM」及びモバイル端末向けアプリサービス「CLOMO SECURED APPs」(以下、CLOMOサービスとする。)を事業の主軸に、クラウドを利用したB to BのSaaS事業をサブスクリプションの形で提供しており、2023年12月に公表されたMDM市場(自社ブランド)シェアにおいて、2011年度から13年連続でシェアNo.1を達成しました(注1)。

当第2四半期連結累計期間においては、引き続き、既存の販売パートナーとの連携を一層強化するとともに、全国各地の新たな販売パートナーの開拓を推進しております。また、主要な販売パートナーである株式会社NTTドコモが提供するMDMサービス「あんしんマネージャーNEXT(注2)」に対して、2022年9月よりCLOMO MDMのOEM提供を開始しており、自社ブランド製品としての販売に加え、OEM製品の展開にも取り組んでおります。このような顧客基盤の拡大に向けた取り組みの結果、前第2四半期連結累計期間の純増導入法人数286社に対して、当第2四半期連結累計期間の純増導入法人数は822社と、2.9倍に成長しており、新規顧客の獲得が堅調に進んでおります。

また、ARPU(注3)向上を目的としたオプションサービス拡充戦略の一環として、2023年9月よりTeamViewerジャパン株式会社との協業を開始し、同社が提供するリモートアクセスツール「TeamViewer Remote」の提供を開始しました。近年、モバイル端末の活用方法は多様化しており、例えば、店舗等に備え付けられている無人のモバイル端末の管理や、離れたオフィスで発生したITトラブルへの対応など、モバイル端末へのリモート接続が必要となる場面が増加しております。TeamViewer Remoteは高いセキュリティレベルを維持した上で、各種モバイル端末へリモート接続し、遠隔からモバイル端末の操作を可能とするサービスであり、今後はCLOMO MDMとの連携機能をリリースすることで、さらなる利便性の向上を図る予定です。

さらに、2023年12月にはCheck Point Software Technologies Ltd.が開発するモバイルセキュリティソリューション「Harmony Mobile」の提供を開始しました。Harmony Mobileは、悪意のあるアプリやネットワーク・OS攻撃からモバイル端末を包括的に保護し、多角的な防御を可能にする、モバイル端末向けセキュリティソリューションです。CLOMO MDMと合わせて使うことで、高度な脅威に対応したモバイル端末管理が可能となり、企業における安心・安全なモバイル端末の活用をサポートします。このように、MDMの周辺サービスをオプションサービスのラインナップに取り入れることで、クロスセルによるARPUの向上に注力しております。

カスタマーサクセス活動においては、2023年12月に第7回CLOMOユーザーミーティングを開催し、新たに提供を開始したオプションサービスの製品紹介のほか、CLOMO MDMや各種オプションサービスの活用事例など、モバイル端末の管理・活用に有益なナレッジの共有を行いました。

製品開発においては、CLOMOサービスのPC資産管理市場でのシェア獲得に必要となるWindows端末向けの機能強化のほか、他社製品との連携など、顧客のニーズに応えるための機能改善に引き続き注力しました。また、継続的にOS開発元とのパートナーシップ強化に取り組んでおり、Google LLCが提供するパートナープログラム「Android Enterprise Partner Program(注4)」において、CLOMOサービスの導入実績の多さや製品力の高さ、そして導入支援や導入後のサポートを担当するスタッフがAndroid Enterpriseに関する豊富な知識を有していることについて評価され、Gold Partnerとして認定されました。

これらの取り組みにより、導入法人数は5,751社(前連結会計年度末に比べ822社、16.7%増加)に達しました。

この結果、売上高は1,425,640千円(前年同期比8.4%増)、営業利益は341,286千円(前年同期比6.6%増)となりました。

なお、サービス別の内訳は次のとおりであります。

CLOMO MDM

売上高

1,306,356

千円

SECURED APPs

売上高

76,532

千円

その他

売上高

42,750

千円

 

 

 

② 投資事業

投資事業は2022年6月期より開始しており、2021年11月にベンチャーキャピタル子会社として株式会社アイキューブドベンチャーズを設立いたしました。また、2022年1月に当該子会社を通じてアイキューブド1号投資事業有限責任組合を設立し、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として投資活動を実施しております。

主な投資対象はモバイル、SaaS、セキュリティ等、当社事業領域と親和性の高い企業、社会課題解決型企業及び当社グループが本社を置く九州の地場で活動している企業としております。また、当社グループの新たな市場領域への進出及び収益源の創出を図るべく、M&Aを通じた新事業開発にも積極的に取り組んでおります。

当第2四半期連結累計期間においては、引き続き幅広い情報ソースを活用した投資先の開拓を進めております。2023年10月には新たに1社へ投資を行い(注5)、当社グループのCVCファンドを通じた累計投資先社数は6社となりました。

この結果、営業損失は7,909千円(前年同期は営業損失7,721千円)となりました。

 

(注)  1.出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/)」2011~2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号: https://mic-r.co.jp/micit/2023/)」2014~2022年度出荷金額・2023年度出荷金額予測。

2.株式会社NTTドコモが提供しているモバイル端末管理サービスです。主に、社員・生徒に貸与したデバイスに対して紛失・盗難時に有効な「ロック/初期化」機能や、「カメラ制御」「利用可能アプリの制限」などのセキュリティ機能、「アプリ配信」などのデバイス管理業務効率化機能を備えています。

3.Average Revenue Per Userの略称であり、導入法人数当たりの平均月間単価。

4.Google LLCが提供するプログラムで、パートナー企業によるAndroid Enterpriseの仕様に則した製品やサービス、ソリューションの開発、販売などの支援を目的としています。

5.アイキューブド1号投資事業有限責任組合の決算日は連結決算日と異なっており、当第2四半期連結累計期間においては、同組合の2023年9月30日に終了する四半期累計期間の財務諸表を連結しております。そのため、当該投資につきましては当第2四半期の連結財務諸表には反映されておりません。

 

 

(2) 財政状態の状況

当第2四半期連結会計期間末における財政状態については次のとおりであります。

 

 (資産)

総資産は3,631,036千円となり、前連結会計年度末に比べ231,624千円の増加となりました。これは主に有価証券が500,000千円、投資その他の資産が244,478千円、売掛金が38,771千円、ソフトウエア仮勘定が20,823千円、その他流動資産が10,767千円増加し、現金及び預金が537,032千円、ソフトウエアが45,669千円減少したことによるものです。

 

 (負債)

負債は990,173千円となり、前連結会計年度末に比べ164,268千円の増加となりました。これは主に契約負債が81,546千円、未払法人税等が53,399千円、その他流動負債が38,671千円増加し、買掛金が18,172千円減少したことによるものです。

 

 (純資産)

純資産は2,640,863千円となり、前連結会計年度末に比べ67,356千円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上に伴い利益剰余金が222,445千円増加し、剰余金の配当に伴い利益剰余金が158,765千円減少したことによるものです。この結果、自己資本比率は72.5%(前連結会計年度末は75.5%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,518,945千円となり、前連結会計年度末に比べ537,032千円の減少となりました。

当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は517,549千円(前年同期は得られた資金166,299千円)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益331,244千円、減価償却費165,594千円、売上債権の増加額38,771千円、仕入債務の減少額18,142千円、契約負債の増加額81,546千円、営業活動その他の増加額51,766千円、法人税等の支払額67,008千円によるものです。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は896,544千円(前年同期は使用した資金265,280千円)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出500,000千円、無形固定資産の取得による支出140,377千円、その他の投資活動による支出251,347千円によるものです。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は158,037千円(前年同期は使用した資金103,584千円)となりました。これは主に、配当金の支払額158,627千円によるものです。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更はありません。

 

 

(6) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は6,579千円であり、CLOMO事業に係るものであります。

なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。