売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00967 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

なお、前第2四半期連結会計期間において行われた企業結合に係る暫定的な会計処理が前連結会計年度に確定しており、前第3四半期連結累計期間の各数値については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額によっております。

 

(1)Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 『Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題』」について、「Ⅲ.2024年3月期の計画」に関する記載は、2023年11月9日公表の「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に伴い次のとおりです。

 

Ⅲ.2024年3月期の計画

①2024年3月期の見通しについて

2024年3月期につきましては、PCR検査をはじめとする新型コロナウイルス感染症関連検査の減少に加え、ベース事業に係る検査業務量の回復が当初の想定よりも大幅に遅延していること等により、下記のとおりとなる見込みです。

単位:億円

(四捨五入)

2023年3月期実績

2024年3月期予想

(2023年5月12日公表値)

(2023年11月9日公表値)

売上高

2,609

2,450

2,400

EBITDA※1

431

360

250

営業利益

234

140

40

ROE

10.8%

4.0%

0.0%

ROIC※2

7.0%

4.1%

1.2%

※1 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

※2 ROIC=NOPAT(営業利益-みなし法人税)/ 投下資本 [(純資産+有利子負債(リース債務含む)
+その他の固定負債)の期首・期末残高の平均]

 

②2024年3月期計画の骨子

本中期計画の4年目にあたる2024年3月期について、「Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題 Ⅱ.中期計画「H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~」の概要」に記載のとおり、重要テーマに取り組んでまいります。

・LTS事業における収益性の改善

2023年7月に、あきる野セントラルラボラトリーにおいて一般検査に係る一部報告遅延が発生したものの、検査体制の再整備等を行った結果、報告遅延は解消しております。当該報告遅延対応に伴い、固定費削減施策とその効果発現が一部後ろ倒しとなるものの、引き続き検査オペレーションの抜本的な効率化等による収益性の改善に取り組んでまいります。また、株式会社メディパルホールディングスとの合弁会社である株式会社メディスケットによるシェアリング・ロジスティクスの推進により、集荷・物流に係るコスト最適化効果の発現を加速させてまいります。

・CDMO事業の強化

CDMO事業における中長期な需要拡大を見据え、グローバルでの主要拠点における生産体制を強化するとともに、パートナーとの開発を推進してまいります。

 

(2)経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況

①経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における世界経済は、長期化するウクライナ情勢に加え、中東情勢の緊迫化など、先行き不透明な状況が継続しております。

わが国においては、2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症が感染症法上の分類における5類感染症へ移行し、経済活動は正常化へ向かっておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染者数が再び緩やかに増加していることや、世界情勢の緊迫化を背景とした原材料価格やエネルギー価格の高騰など、先行きに注視が必要な状況が続いております。

このような環境の中、当社グループといたしましては2022年10月より稼働を開始しているH.U. Bioness Complexを中心とした業務効率改善によって収益性を向上させ、安定的な事業継続性を実現するための経営基盤の強化に取り組むとともに、アフターコロナを見据えたベース事業の成長に注力しております。

当第3四半期連結累計期間の売上高は177,511百万円(前年同四半期比11.7%減)となりました。主な減収要因は検査・関連サービス事業および臨床検査薬事業における新型コロナウイルス関連検査数の減少です。

利益では、主に検査・関連サービス事業および臨床検査薬事業における新型コロナウイルス関連売上高の減収により減益となりました。その結果、営業損失は1,147百万円(前年同四半期は営業利益23,683百万円)、経常損失は2,863百万円(前年同四半期は経常利益23,208百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3,345百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益18,845百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

イ.検査・関連サービス事業

売上では、がんゲノムを始めとした遺伝子関連検査を含むベース事業は伸長したものの、新型コロナウイルス関連検査売上高が減少したことにより減収となりました。これらの結果、売上高は109,959百万円(前年同四半期比11.8%減)となりました。利益では、収益性改善施策による効果の発現があった一方で、新型コロナウイルス関連売上の減収に伴う減益や原材料費の増加等により、営業損失は8,563百万円(前年同四半期は営業利益2,654百万円)となりました。

 

ロ.臨床検査薬事業

売上では、円安の好影響もあり、CDMO・原材料供給事業を中心としてベース事業は伸長したものの、主に新型コロナウイルス関連製品の売上高が減少したことにより減収となりました。これらの結果、売上高は46,427百万円(前年同四半期比16.5%減)となりました。利益では、新型コロナウイルス関連製品の減収に伴う減益やグループ内取引の減少に伴う利益減により、営業利益は11,043百万円(前年同四半期比52.9%減)となりました。

 

ハ.ヘルスケア関連サービス事業

売上では、滅菌関連事業、在宅・福祉用具事業ともに伸長した結果、売上高は21,125百万円(前年同四半期比2.3%増)となりました。利益では、人件費の増加があったものの、主に在宅・福祉用具事業の収益性改善等により、営業利益は938百万円(前年同四半期比13.6%増)となりました。

 

 

②財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ13,848百万円減少し、284,076百万円となりました。その主な要因は、投資その他の資産その他の増加2,888百万円および建物及び構築物(純額)の増加1,743百万円があった一方、流動資産その他の減少9,814百万円、現金及び預金の減少3,783百万円、ソフトウェアの減少3,058百万円および有形固定資産その他(純額)の減少1,913百万円があったためであります。

当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ6,972百万円減少し、140,905百万円となりました。その主な要因は、1年内償還予定の社債の増加10,000百万円および長期借入金の増加4,000百万円があった一方、流動負債その他の減少6,563百万円、社債の減少3,900百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少3,700百万円、賞与引当金の減少2,724百万円、未払法人税等の減少1,542百万円、支払手形及び買掛金の減少1,116百万円および電子記録債務の減少903百万円があったためであります。

当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ6,875百万円減少し、143,171百万円となりました。その主な要因は、為替換算調整勘定の増加3,210百万円があった一方、配当金の支払7,151百万円および親会社株主に帰属する四半期純損失3,345百万円があったためであります。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.0%増加し、50.4%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,783百万円減少し、40,402百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は9,375百万円(前年同四半期19,188百万円の獲得)となりました。その主な要因は、減価償却費15,181百万円、法人税等の還付額6,901百万円および持分法による投資損失1,844百万円があった一方、その他の流動負債の減少額5,554百万円、税金等調整前四半期純損失3,236百万円、賞与引当金の減少額2,813百万円および仕入債務の減少額2,180百万円があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は9,159百万円(前年同四半期24,859百万円の使用)となりました。その主な要因は、有形固定資産の売却による収入1,135百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出6,398百万円および無形固定資産の取得による支出4,187百万円があったためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は4,575百万円(前年同四半期10,854百万円の使用)となりました。その主な要因は、社債の発行による収入6,100百万円および長期借入れによる収入4,000百万円があった一方、配当金の支払額7,123百万円、長期借入金の返済による支出3,700百万円およびファイナンス・リース債務の返済による支出3,235百万円があったためであります。

 

(3)株式会社の支配に関する基本方針について

当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則(2006年法務省令第12号)第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社取締役会は、当社株式の買付提案等を受け入れるかどうかは、最終的には、当社株主のみなさまの判断に委ねられるべきものであり、当社株主のみなさまが適切な判断を行うためには、当社株式の買付け等が行われようとする場合に、当社取締役会を通じ、当社株主のみなさまに十分な情報が提供される必要があると考えます。

そして、対価の妥当性等の諸条件、買付けが当社グループの経営に与える影響、買付者による当社グループの経営方針や事業計画の内容等について当社株主のみなさまに十分に把握していただく必要があると考えます。

しかし、当社株式の買付け等の提案の中には、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が会社の有する本来の企業価値・株主共同の利益に照らして不十分または不適切であるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れをもたらすものも想定されます。

このような企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある不適切な大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。

当社は、2007年5月23日に開催された当社取締役会において、以上の内容を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針とすることを決定いたしました。

 

Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み

当社では、中期経営計画の着実な実行、安定的かつ継続的な株主還元、およびコーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じて、企業価値・株主共同の利益の向上に取組んでいます。以下に掲げるこれらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現に資するものと考えています。なお、以下に掲げる取組みは、その内容から、株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことは、明らかであると考えています。

 

1)中期経営計画の実行を通じた企業価値・株主共同の利益の向上の取組み

当社グループを取り巻く事業環境は、高齢化や先端的医療の導入等による医療費の伸長が見込まれる中、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制により、国内臨床検査市場は今後も厳しい状況が継続するものと見込まれます。一方、医療費の抑制策が進む中、病院および病床再編に伴う在宅医療や予防医療のニーズの拡大、先進医療技術の向上やIT技術の進展など新たな成長の機会があり、事業環境の様相は刻々と変化しております。

また、新型コロナウイルス感染症流行以降、生活者の行動変容や患者様の受診抑制傾向からの回復鈍化等、足元の環境変化にも適切な対応が求められております。

一方、海外臨床検査市場においては、新興国を中心に成長しているものの先進国では社会保障費抑制による低成長が継続しております。また、各国の制度変更等による薬事関連コストが増加する等、厳しい事業環境が継続しております。

このような事業環境の中、当社は、将来の飛躍的かつ持続的な成長に向けて、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を2020年9月に策定いたしました。本中期計画の概要は、「(1)Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

2)安定的かつ継続的な株主還元を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み

当社では、将来の経営環境の変化とM&A・研究開発など将来の成長機会への投資に備え、必要な内部留保を充実させながら、配当を中心に株主のみなさまに安定的かつ継続的な利益還元を図っていくことを目標としています。

 

 

3)コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み

当社では2005年6月より委員会設置会社(現・指名委員会等設置会社)に移行し、監督と執行を明確に分離し、業務執行を迅速に展開できる執行体制を確立しております。コーポレート・ガバナンス体制の観点からは、取締役9名のうち7名の社外取締役を東京証券取引所の定めに基づく独立役員とし、法令に従って監査委員会、報酬委員会、指名委員会を設置してさらなる経営の透明性確保、公正性の向上を目指した取組みを継続しています。インセンティブ・報酬の観点からは、企業価値・株主共同の利益を向上させることを最重要課題と位置付け、執行役に対する業績連動型報酬制度を導入するとともに、業績との連関が高くない退職慰労金制度を廃止し、また株主のみなさまと執行役その他従業員の利益を共有化する目的から株式報酬制度を導入しております。これら執行役・取締役に対する報酬は有価証券報告書、事業報告にて開示しております。その他、株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けた施策として、株主のみなさまが適切な議決権行使をしていただく時間を確保する目的から招集通知を株主総会の3週間以上前に発送するとともに、議決権電子行使の電子投票システムの導入やプラットフォームへの参加など、さまざまな施策を実施しています。さらに、株主総会の日程は、いわゆる株主総会集中日を回避して設定するとともに、当日ご出席いただけない株主のみなさまに対して、事前のご質問をお受けするとともにインターネットによるライブ配信を実施しています。なお、第73回定時株主総会につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、前回までの応募抽選制から制限なしの通常開催とさせていただきました。また、これら適切なガバナンス体制の維持・強化の重要性から、内部統制システムの基本方針を定め、監査委員会による監査体制の強化、子会社・関連会社を含めた管理規程の整備を進め企業集団における業務の適正を確保するための体制を構築するなど、さらなる整備強化を進めております。

 

Ⅲ.上記の取組みが上記Ⅰの基本方針に沿うものであり、株主共同利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由

上記の取組みは、当社の財産を最大限に活用し、収益の維持・向上に必要な内部留保の確保と株主のみなさまへの利益還元の適正な配分を図り、また、適切なコーポレート・ガバナンス体制の維持・強化を図るものであり、当社の企業価値および株主共同の利益の向上に資するものであります。したがいまして、上記の取組みは、基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(4)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、8,071百万円であります。当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

グループ研究開発機能を強化しつつ、外部企業・研究機関との連携も進めることで、新たな医療・ヘルスケア関連技術および画期的な検査技術に関する研究開発を鋭意進めてまいります。

 

(5)主要な設備の状況

当第3四半期連結累計期間における主要な設備の状況に重要な変更はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第3四半期連結累計期間における当社グループの資金調達方針については、重要な変更はありません。

なお、当第3四半期連結会計期間末における総額20,000百万円のコミットメントラインの借入実行残高はありません。