売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00985 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における国内医療用医薬品業界は、薬価改定(中間年改定)が2023年4月に実施されたものの、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に移行したことから、患者さんの受診行動が同感染症拡大前の水準に回復し、医療用医薬品市場は1桁台前半の成長率で推移しました。

当社グループは、創業100周年を迎えた今年度、新たに策定した長期ビジョン「Vision 110(2023年度~2032年度)」及び中期経営計画「Vision 110 -Stage1-(2023年度~2025年度)」を開始しました。その初年度となる2024年3月期は、経営方針に「事業体制の刷新と新たな取り組みによる成長」を掲げ、事業活動として①創薬体制の刷新 ②パイプラインの拡充 ③新薬の普及最大化 ④コスト競争力の向上に積極的に取り組んでいます。

当第3四半期連結累計期間における売上高は、薬価改定(杏林製薬㈱7%台)の影響はあったものの、新薬の成長により、新医薬品等(国内)の売上高は前年同期を大幅に上回る実績で推移しました。後発医薬品の売上高も増加し、全体の売上高は87,267百万円と前年同期比6,560百万円(前年同期比8.1%増)の増収となりました。

利益面では、売上原価率は上昇したものの売上増加により売上総利益は前年同期に対して1,259百万円増加しました。他方、販売費及び一般管理費が前年同期に対して1,496百万円増加(研究開発費は1,446百万円減少)した結果、営業利益は、前年同期比237百万円減の4,465百万円(前年同期比5.0%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益として投資有価証券の売却益991百万円等を計上し、特別損失として希望退職プログラム(詳細は2023年9月29日公表のプレスリリースをご覧ください)に関わる費用871百万円等を計上した結果、3,914百万円(前年同期比10.6%減)となりました。

当第3四半期連結累計期間の業績

売上高

87,267百万円

(前年同期比

8.1%増

営業利益

4,465百万円

(前年同期比

5.0%減

)

経常利益

5,053百万円

(前年同期比

5.3%減

)

親会社株主に帰属する
四半期純利益

3,914百万円

(前年同期比

10.6%減

 

 

売上高の状況につきましては、以下のとおりです。

〔新医薬品等(国内)〕

薬剤費の抑制を目的として継続的に実施される薬価改定等の施策により、国内医療用医薬品事業を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。このような環境に対応し持続成長すべく、杏林製薬㈱は新薬比率の最大化を中期経営計画の重点戦略の一つに掲げており、営業部門では「新薬の普及最大化」を目指して、積極的な活動を展開しています。当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行するなか、MRによる訪問面談を各医療機関の意向に沿って行うとともに、デジタルプロモーションの効果的な活用により複合的な情報提供を実施することで営業力の補完・強化を図り、新薬の成長加速に取り組みました。その結果、主力製品である過活動膀胱治療剤「ベオーバ」、ニューキノロン系抗菌剤「ラスビック」、喘息治療配合剤「フルティフォーム」、アレルギー性疾患治療剤「デザレックス」の売り上げが増加するとともに、2023年5月に処方日数制限解除となった咳嗽治療薬「リフヌア」も売上増加に寄与しました。また気道粘膜調整・粘液調整剤「ムコダイン」については、厚生労働省からの要請もあり供給量の増加に努めた結果、前年同期を上回る実績で推移しました。同製品については、引き続き増産体制の構築を推進します。他方、長期収載品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」等の売り上げは減少しました。

診断事業に関わる取り組みとしては、2023年3月期に新発売した体外診断用医薬品(新型コロナウイルス核酸検出キット、インフルエンザウイルス核酸キット)の拡販に注力しました。また百日咳菌核酸キットについて、体外診断用医薬品として製造販売承認を取得しました。今後とも呼吸器・性感染症領域等において、GeneSoC専用の研究用試薬及び体外診断用医薬品の開発・販売を推進し、これらの製品を通して感染症の予防・診断・治療への貢献に積極的に取り組みます。

以上の結果、新医薬品等(国内)の売上高は60,587百万円(前年同期比12.1%増)となりました。

 

〔新医薬品(海外)〕

新医薬品(海外)の売上高は291百万円(前年同期比45.3%減)となりました。

 

〔後発医薬品〕

安定供給不安への対応に最大限注力するとともに、新規追補収載品の売上拡大に努めた結果、前年同期を上回る実績で推移し、売上高は26,388百万円(前年同期比1.0%増)となりました。

品質確保の取り組みについては、杏林製薬㈱、キョーリンリメディオ㈱、キョーリン製薬グループ工場㈱の全てのグループ会社が一丸となり、GMPなどの法令遵守の徹底を図るとともに、品質管理体制のより一層の強化に努めています。今後とも信頼性の確保に最大限注力し、高品質で安心・安全な製品を提供していきます。

※医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準

 

(2)財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して2,896百万円増加し、178,942百万円となりました。このうち、流動資産は120,501百万円と前連結会計年度末と比較して1,471百万円の増加となりました。主な増減要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少3,285百万円、商品及び製品の増加545百万円、仕掛品の増加5,712百万円、原料及び貯蔵品の減少486百万円、流動資産のその他の減少771百万円等によるものです。また、固定資産は58,440百万円と前連結会計年度末と比較して1,425百万円の増加となりました。主な増減要因は、有形固定資産の増加2,942百万円、無形固定資産の減少273百万円、投資有価証券の減少1,676百万円等によるものです。

負債総額は、前連結会計年度末と比較して1,781百万円増加し、52,365百万円となりました。主な増減要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加10,000百万円、未払法人税等の減少1,755百万円、賞与引当金の減少1,064百万円、流動負債のその他の増加5,032百万円、長期借入金の減少10,150百万円等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して1,115百万円増加し、126,576百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の増加890百万円、自己株式の処分等による増加316百万円、その他有価証券評価差額金の減少432百万円、退職給付に係る調整累計額の増加293百万円等によるものです。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費は5,710百万円(前年同期は7,156百万円)となりました。

当社グループは、医療ニーズに応える価値の高い新薬を継続的に提供し、人々の健康に貢献することが使命だと考えています。杏林製薬㈱は、疾患研究から見出された新規作用機序による創薬に加え、革新的な技術により新たな価値を創出する創薬にも取り組んでいます。これまで注力してきた低分子創薬のみならず、新たなモダリティとして核酸創薬や外部の革新的な技術の活用を積極的に推進することで創薬基盤を強化し、疾患研究との組み合わせによって価値の高い新薬を生み出す創薬イノベーションに挑戦しています。

また導入による開発パイプライン拡充を最重要課題と位置付けており、資金及び人的資源を最大限投入することによりライセンス・アライアンス機能を強化し、早期に開発パイプラインの拡充を図るべく活動しています。

当第3四半期連結累計期間における国内外開発の進捗状況としましては、臨床試験の相移行はありませんでしたが、杏林製薬㈱が開発中の間質性肺疾患治療薬「KRP-R120」、過活動膀胱治療薬「KRP-114VP(ベオーバの小児適応)」などは着実に進展しています。また耳鳴治療用アプリ「KRP-DT123」について、医療機関による特定臨床研究が2023年9月に開始されました。

 

(6)従業員の状況

①連結会社の状況

当第3四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。

 

②提出会社の状況

当第3四半期累計期間において、提出会社の従業員数は前事業年度末から1,333名増加し、1,450名となりました。この従業員数の増加は、旧杏林製薬㈱を吸収合併したことによるものです。