売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00893 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

 当期における世界経済は、供給制約が概ね解消されインフレ率も鈍化の傾向が見られるものの、地政学リスクは依然高まったままで基調的な物価上昇圧力は根強く、欧米を中心に金融引き締めが継続しており、その回復ペースは鈍化しております。そのような状況下、中国においては不動産市況の停滞の影響もありゼロコロナ政策解除後の景気回復は緩慢なペースにとどまっています。欧州においては物価高や利上げによる金融引き締めが景気を下押しする状況が継続しております。その他の地域においては、堅調な内需に支えられ景気は回復基調もしくは持ち直しの動きが見られました。わが国経済は、物価上昇や海外経済の回復ペースの鈍化などの影響を受けつつも、経済活動の正常化を背景に内需を中心に緩やかに持ち直しております。

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上高は4,222億94百万円(前年同期比10.3%増)となりました。営業利益は、人件費等の固定費の増加があったものの、原価低減や販売価格の改善などに取り組んだ結果、413億90百万円(前年同期比71.3%増)となりました。経常利益は為替差損や超インフレ会計による正味貨幣持高に係る損失の計上があったものの、持分法投資利益の増加などにより、441億89百万円(前年同期比53.4%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益やインドの土地売却に伴う固定資産売却益を計上したことなどにより、539億43百万円(前年同期比221.3%増)となりました。

 

 各セグメントの状況は以下のとおりであります。

 なお、第1四半期連結会計期間より、当社グループの経営成績の評価等の検討に使用している主要な経営管理指標を、経常利益から営業利益及び持分法投資損益に変更したことに伴い、セグメント利益も経常利益から営業利益及び持分法投資損益に変更しております。この変更に伴い、前年第3四半期累計期間のセグメント利益も営業利益及び持分法投資損益に変更したうえで比較しております。

 

≪日本≫

 自動車分野では自動車生産台数が前年を上回り、売上は前年を上回りました。工業分野、建築分野、自動車分野(補修用)及び防食分野では、市況は低調に推移するものの販売価格の改善に取り組んだことなどからトータルで売上は前年を上回りました。船舶分野では、外航船修繕向けの数量増加などにより売上は前年を上回りました。利益は一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格の改善に取り組んだことなどから前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は1,230億6百万円(前年同期8.7%増)、セグメント利益は164億7百万円(前年同期比99.4%増)となりました。

 

≪インド≫

 建築分野では販売促進活動を推進するものの、モンスーンの影響による市況の低迷や競争の激化等の影響を受け、売上は前年並みとなりました。一方、自動車生産は安定しており販売価格の改善も寄与し、インド全体の売上は前年を上回りました。利益は、一部の原材料価格が低下してきたことに加え、販売価格の改善に継続して取り組んだことなどから前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は1,052億16百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は124億69百万円(前年同期比37.6%増)となりました。

 

≪欧州≫

 トルコでは、自動車生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだこともあり、売上は前年を上回りました。その他欧州各国においては、主力の工業分野の売上が堅調に推移したことに加え、販売価格の改善などに取り組んだことにより、売上は前年を上回り、欧州全体としても前年を上回りました。利益はインフレの影響による人件費等のコストの増加があったものの、販売価格の改善に加え一部の原材料価格が低下してきたことなどにより、前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は1,028億25百万円(前年同期比22.2%増)、セグメント利益は39億53百万円(前年同期比123.6%増)となりました。

 

≪アジア≫

 中国においては、自動車生産台数は前年を上回ったものの主要顧客の需要は伸び悩み、売上は前年を下回りました。タイ、マレーシア及びインドネシアにおいては、自動車生産の回復に加え、販売価格の改善の取り組みにより売上は前年を上回りました。利益は一部の原材料価格が低下してきたことに加え、持分法投資利益が増加したことで前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は534億16百万円(前年同期比6.0%増)、セグメント利益は87億96百万円(前年同期比65.4%増)となりました。

 

≪アフリカ≫

 南アフリカ及び近隣諸国の経済は慢性的な電力不足や物価高などの影響で回復が遅れており需要が低迷するなか、工業分野の需要の取り込みや販売価格の改善などに取り組んだことにより、売上は前年を上回りました。東アフリカ地域においても、建築分野において拡販に注力して売上は堅調に推移し、アフリカ全体の売上は前年を上回りました。利益は安価品原材料への置換などコスト削減に取り組んだことにより、前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は310億49百万円(前年同期比1.9%増)、セグメント利益は28億62百万円(前年同期比32.4%増)となりました。

 

≪その他≫

 北米では、自動車生産台数が前年を上回り、売上は前年を上回りました。利益については、売上の増加に伴い営業利益が改善したほか、持分法投資利益も増加したことなどにより、前年を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は67億80百万円(前年同期比31.5%増)、セグメント利益は21億66百万円(前年同期比137.9%増)となりました。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の総額は、68億59百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因

 当第3四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について、重要な変更はありません。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

(財政状態の状況)

① 流動資産

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産合計は、3,372億65百万円(前連結会計年度末比174億33百万円増)となりました。流動資産の増加は、現金及び預金などが減少したものの、主に受取手形、売掛金及び契約資産や有価証券などが増加したことによるものであります。

② 固定資産

 当第3四半期連結会計期間末における固定資産合計は、3,460億67百万円(前連結会計年度末比60億54百万円減)となりました。固定資産の減少は、有形固定資産や無形固定資産などが増加したものの、投資有価証券などが減少したことによるものであります。

③ 流動負債

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債合計は、2,342億14百万円(前連結会計年度末比311億17百万円減)となりました。流動負債の減少は、主に短期借入金などが減少したことによるものであります。

④ 固定負債

 当第3四半期連結会計期間末における固定負債合計は、524億円(前連結会計年度末比12億2百万円減)となりました。

⑤ 純資産

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、3,967億18百万円(前連結会計年度末比436億97百万円増)となりました。

 

(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、第3四半期連結累計期間において、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の見直しを行いました。

 当社グループは、成長性と収益性の両立を図りながら、企業価値の向上を目指しております。第17次中期経営計画の最終年度である2024年度の目標として、連結売上高5,500億円、連結EBITDA850億円、調整後ROE13%超を設定しております。