売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05056 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用及び所得環境に改善の動きが見られ、各種政策の効果もあり緩やかな回復傾向が続きました。しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響にも十分注意する必要があります。

このような経済環境のもと受託臨床検査業界におきましては、2年毎に実施されている診療報酬改定年度に当たらず、検体検査に係る保険点数(公定価格)の引き下げはなかったものの、新型コロナウイルス関連(以下、コロナ)の検査数が減少していることに加えて、業者間競争が続いていることから事業環境は引き続き厳しい状況にあります。

こうした中で、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高105,215百万円(前年同期比15.1%減)、営業利益7,737百万円(前年同期比62.1%減)、経常利益8,097百万円(前年同期比60.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益5,210百万円(前年同期比60.9%減)となりました。当社グループにおきましては、既存検査の受託数・売上高は増加したものの、コロナの検査数が減少したことで売上高は減収となりました。また、利益につきましては、コロナの減収に加えインフレに伴う資材コストや人件費の上昇の影響もあり減益となりました。

以下に事業別の概況を報告いたします。

臨床検査事業につきましては、新規獲得を図るとともに、既存ユーザーに対する新規検査項目・独自検査項目・重点検査項目拡販等の深耕営業を実施することで業績の拡大を図りました。しかしながら、コロナの検査数が減少した影響が大きく、臨床検査事業の売上高は前年同期比16.3%の減収となりました。

食品衛生事業につきましては、社会経済活動が回復していることで、新型コロナウイルス流行前の環境に戻りつつあります。このような中、店舗点検や微生物検査等の食品検査の受託数が引き続き堅調に推移したことで、売上高は前年同期比4.0%の増収となりました。

以上の結果、検査事業の売上高は前年同期比15.7%の減収となりました。

医療情報システム事業では、オンプレミス型電子カルテを一定数販売できているものの、2023年9月にオンライン資格確認導入の補助金申請期間が終了したことや、クラウド型電子カルテの販売を一時停止している影響もあり、前年同期比3.0%の減収となりました。なお、クラウド型電子カルテについては、2024年8月頃に販売を再開する予定です。

その他事業につきましては、治験実施医療機関支援(SMO)業務で睡眠障害の大型案件への対応や症例獲得数が増加しました。また、調剤薬局事業で診療報酬(薬価)引き下げの影響はあるものの、インフルエンザ等の流行により発熱外来が増えたことで処方箋枚数が増加し、前年同期比9.2%の増収となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の連結財政状態は、総資産167,583百万円(前期末比1,360百万円減)、純資産127,968百万円(前期末比1,217百万円増)、自己資本比率73.8%(前期末比1.3%増)となっています。

主な増減項目は、次の通りです。

資産の部では流動資産で現金及び預金が8,151百万円、受取手形及び売掛金が921百万円、流動資産その他が1,024百万円、それぞれ減少した一方、固定資産で土地が3,572百万円、有形固定資産その他が5,440百万円、それぞれ増加しています。負債の部では流動負債で賞与引当金が1,475百万円、流動負債その他が953百万円、それぞれ減少しています。純資産の部では利益剰余金が527百万円、自己株式が673百万円、それぞれ増加しています。

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は231百万円であります。

当第3四半期連結累計期間の研究開発成果としては、遺伝性結合組織疾患(HCTD)のNGSパネル解析による検査を2023年5月から受託開始したことが挙げられます。この検査は、信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター(古庄知己センター長)との技術連携で行われております。

HCTDは、皮膚や関節、血管などの結合組織に様々な症状を示す疾患として知られており、5つの疾患(血管型エーラス・ダンロス症候群、古典型エーラス・ダンロス症候群、マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群および家族性大動脈瘤・解離)の診断には遺伝学的検査が有用です。

さらに関連する鑑別疾患としてオスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)の3種類の原因遺伝子や、骨形成不全症の90%以上の症例で原因遺伝子となるⅠ型コラーゲンの遺伝子(COL1A1, COL1A2)の変異、およびⅠ型コラーゲン以外の13種類の原因遺伝子についても一緒にパネル解析します。

これらの疾患で原因と考えられる遺伝子の解析には、遺伝学的検査(D006-4)として8000点もしくは5000点の保険点数を適用させることが可能です。