E05037 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
< 資産 >
当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末より3,263百万円増加して48,729百万円となりました。
流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が減少したものの、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末より3,346百万円増加しました。
固定資産は、投資その他の資産が増加したものの、無形固定資産、有形固定資産が減少し、前連結会計年度末より82百万円減少しました。
< 負債 >
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末より2,959百万円減少して17,339百万円となりました。
流動負債は、買掛金、賞与引当金の減少などにより、前連結会計年度末より2,477百万円減少しました。
固定負債は、長期借入金、契約負債の減少などにより、前連結会計年度末より481百万円減少しました。
< 純資産 >
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、事業分離における移転利益6,663百万円を計上したことに伴う利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末より6,222百万円増加して31,389百万円となりました。
② 経営成績の状況
当期は、世界情勢に対する懸念や海外でのインフレ抑止としての利上げ影響による円安などによりエネルギー資 源や物価の上昇が継続しましたが、国内では経済活動も活発化してきており緩やかながらも景気は持ち直しの動きが続きました。
そのような中、企業は事業変革に向けデジタル技術を用いたDX推進、働き方の変化に伴うクラウドや生成AIの利活用促進、サイバー攻撃に対応するためのセキュリティ対策の拡充といった取り組みを行ってきました。これにより国内企業におけるDX投資の需要は堅調に推移してきました。
特に、生成AIの一種であるChatGPTが注目を浴びる等、コスト削減や業務効率化、新たな働き方を創造するための最先端技術を活用した動きはさらに活発化しております。当社においても、社内利用やお客様との共同実証実験を通じて得られたノウハウを反映した回答精度を高めるコア技術により、さまざまなビジネス用途において業務効率化を目指していきます。
また、セキュリティ対策が脆弱な部分を狙ったサイバー犯罪は依然として増加傾向にあり、政府は2023年度中に業務委託先の企業に米政府基準のサイバーセキュリティ対策を義務付けるなど、自社のみならずサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ対策の必要性も顕在化しています。
当社を含めたICT関連企業は、DX推進とそれに伴うセキュリティ対策の支援を通じて、大きな社会の変化に対応することが求められています。
このような経営環境の中、ICTサービス事業は堅調に推移し、前年同期と比較して各区分の業績は以下のとおりとなりました。
・通信
ソフトバンク㈱向けのベンダーマネジメント案件の減少や同社の投資抑制影響により減収となったものの、当社におけるシステム開発の効率化や利益率の低いベンダーマネジメント案件の売上高構成比が下がったため利益率は改善しました。
・エンタープライズ
注力顧客やそのグループ会社へのクラウド構築案件が増加したほか、自社サービスのマネージドセキュリティサービス(MSS)が順調に進捗したことにより増収増益となり利益率も改善しました。
・公共
農林水産省が掲げるDX戦略案件の増加により増収増益となりました。また、自治体情報セキュリティクラウドなどの運用案件が増加したことにより売上総利益率も改善しました。
・個人
ECサイト運営代行における㈱ノートンライフロックとの契約変更の影響、及び当第3四半期よりフォントワークス㈱が連結から除外されたことにより、減収減益となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における業績は、以下のとおりとなりました。
なお、売上総利益は第3四半期連結累計期間として過去最高となりました。また、フォントワークス㈱の株式等譲渡の影響により親会社株主に帰属する四半期純利益も過去最高となりました。
(注)EBITDA=営業利益+のれん償却費(販売費及び一般管理費)+減価償却費
なお、当社の報告セグメントは「ICTサービス事業」の単一セグメントとしておりますが、「ICTサービス事業」を構成する各マーケットの内容及び業績については、< 区分の説明 >をご参照ください。
< 第4次中期経営計画の進捗 >
当社グループは、2023年3月期~2025年3月期の3年間を対象期間とした第4次中期経営計画を定め、取り組みを進めています。
①経営の基本方針
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに~技術の力で、未来をつくる~」ことをミッションに掲げ、多様な働き方と挑める環境で先進技術と創造性を磨き、社会に新しい価値を提供し続ける企業を目指しております。そしてこの経営理念の下、「日本企業の競争力を高めるクラウドコンサル&サービスカンパニー」となることを長期ビジョンとして定めております。
また、当社グループは持続可能な社会の実現に向け、事業・企業活動を通じてさまざまな社会課題に取り組んでおり、サステナビリティ活動を推進するためのテーマとして6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
サステナビリティとマテリアリティの詳細については、当社ホームページをご参照ください。
https://www.softbanktech.co.jp/corp/sustainability/
当社グループは、ICTサービスの提供を通じて豊かな情報化社会の実現に貢献してまいります。
②重点テーマ
第4次中期経営計画における重点テーマの進捗は以下のとおりです。
< 3つの重点テーマ >
・顧客のDXを支援するセキュリティ&運用サービスの提供(押し上げる力)
・顧客の変革を実現するデータを活用した共創型DXの推進(引き上げる力)
・DX人材の育成・創出のためのコンサルティング&IT教育(推進する力)
お客様の業務効率化やDX推進において生成AIの活用が多くの場面で検討されるようになってきました。
一方、お客様よりセキュリティとプライバシーに関するリスク管理や生成AIの回答の正確性や利便性についての導入課題が多く寄せられていました。当社は、セキュアに生成AIを活用できる Azure OpenAI Service と連携するコア技術を開発し、社内利用やお客様との実証実験を実施してまいりました。そこで得られたノウハウを活用しセキュアな環境で手軽に生成AIを利用できるサービスを開発し、「dailyAI マイデータ活用プラン」をリリースしました。お客様のお手持ちのファイルから分析や要約を指示することが可能で、ファイル内のデータ分析、規約や仕様書等の誤字脱字チェック・修正、外国語への翻訳等、さまざまな用途に利用できます。ユーザー単位ではなく企業単位のトークン数に応じた従量課金制となっており、手軽に多くのユーザーに生成AIを利用いただくことが可能となっています。今後は社内のクラウド上にあるドキュメントに対して検索を行い、社内データに基づく回答を実現させる「dailyAI 社内データ検索プラン」の提供も予定しております。今後、手元データや社内データの分析と生成AIの融合により、業務効率化や生産性向上を支援する利便性の高いサービスの提供を目指してまいります。
また、当社はデータ活用の前提となるクラウド環境とそのセキュリティ対策が重要であると考えております。特にセキュリティ対策の重要性は近年ますます高まってきており、当社ではセキュリティ対策の設計/構築やその後の監視運用までワンストップでお客様へ提供しておりますが、クラウド活用などに伴うIT資産の増加や設定不備などを含む脆弱性の管理など、日々のリスクマネージメント強化をテーマに、「MSS for VRM(脆弱性管理)」や「クラウドパトロール」を開発し提供してまいりました。このようにセキュリティ事業へ注力してきた結果、㈱アイ・ティ・アールが発行した「ITR Market View:エンドポイント・セキュリティ対策型/情報漏洩対策型SOCサービス市場2023」において、「SIEM運用分析サービス/マネージドXDRサービス市場」及び「Microsoft 365運用監視サービス市場」の2分野で、2022年度ベンダー別売上金額シェア1位を獲得し、2年連続シェア1位となりました。同レポートによると、「SIEM運用分析サービス/マネージドXDRサービス市場」における当社の国内シェアは20.4%、「Microsoft 365運用監視サービス市場」における当社の国内シェアは37.8%で、2023年度も高いシェアを維持すると予測されており、今後もお客様の事業継続に貢献できるようセキュリティサービスの拡充を図ってまいります。
引き続き3つの重点テーマに注力しお客様のDX実現に向けて貢献することで、第4次中期経営計画を着実に実行してまいります。
③目標とする経営指標
当社グループは、2023年3月期~2025年3月期の第4次中期経営計画において、クラウド・セキュリティ&サー ビスを注力事業に設定し、事業の拡大と企業価値のさらなる向上を図ってまいります。第4次中期経営計画の最終 年度である2025年3月期の経営指標として「営業利益71億円」「営業利益率9%台」「クラウド・セキュリティ& サービス売上高500億円超」を掲げ、取り組みを推進しています。
< サステナビリティへの取り組み >
ソフトバンクグループは「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループとなるために、デジタルの社会実装を推進することで、あらゆる社会課題の解決を目指しています。また、ソフトバンクグループは脱炭素社会の実現を目指し、グループ全体の事業活動に伴う温室効果ガス排出量を2030年度までに実質ゼロにする「2030年度カーボンニュートラル達成」をグループ目標として設定しております。当社においても、社会課題への取り組みを重要な経営課題と認識しており、2030年度カーボンニュートラル達成の実現に向けて、取り組みを推進してまいります。
環境への取り組みにおいては、「クラウド」「セキュリティ」の強みを活かすことが重要であると考えております。マテリアリティの「クラウドを活用した、地球環境への貢献」では、電気効率の高いデータセンターで提供されるクラウドサービスの活用を推進することで、温室効果ガスの排出削減への貢献に取り組みます。また、マテリアリティの「先進技術による、アクセシビリティ促進とデータ利活用推進」では、お客様のDX推進及び安全性の高いデータ利活用によって、温室効果ガス排出量、消費電力など環境関連データの可視化を通じて、温室効果ガス削減やエネルギー効率化の支援を行います。
当社は、「2030年度カーボンニュートラル達成」という目標の下、グループ全体で温室効果ガス排出量の削減に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。そして、6つのマテリアリティ解決に向けてサステナビリティ経営を推進し、社会へ新たな価値を提供し続けることで、持続的成長を実現してまいります。
< 区分の説明 >
当社の報告セグメントは、「ICTサービス事業」の単一セグメントとしており、「ICTサービス事業」を構成する主要な区分の内容及び業績については、次のとおりです。
また、各区分の前年同期の金額は現在の計上方法に則して算出しております。
「個人」を構成しているフォントワークス㈱について、当社の保有する全株式を2023年9月1日付で譲渡しまし たが、当連結会計年度の同社の実績は、第2四半期連結累計期間の末日までを計上しております。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
なお、最近の業績動向を踏まえ、2023年7月19日に公表しました2024年3月期の連結業績予想を下記のとおり修正しております。
(注)1株当たり当期純利益につきまして、2023年7月19日の業績予想開示時点では前期末の期中平均株式数を用いて算出しておりましたが、直近の実績値に伴う開示をすべきとの判断となり、2023年7月27日の短信開示時点より同決算期内の期中平均株式数を用いて算出しております。
当期において、主に連結子会社であるサイバートラスト㈱の業績予想の修正の影響で、売上高・営業利益・経常利益が前回発表予想を下回る見通しとなりましたので、通期連結業績予想を修正いたします。 一方、フォントワークス㈱の株式等譲渡の影響により、親会社株主に帰属する当期純利益については前回発表予想を上回る見通しとなりましたので、通期連結業績予想を上方修正いたします。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、160百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。