売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05265 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化社会が及ぼす人手不足等の社会課題の蓄積やコロナ禍を起因としたライフスタイルの変遷など、目まぐるしく変化していく社会情勢への適応力が一層求められる大きな変革期を迎えています。

このような環境の中、当社グループでは、2023年3月期より新たな経営理念体系「ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)」を策定いたしました。そして、”未来の子供たちのために、より良い社会づくりの視点で、人々と共に「安心」「安全」「笑顔」の日々をつくる。”をミッションとして掲げ、2025年3月期を目標に更なる成長を見据えて策定した中期経営計画「Re-Growth 2025」の着実な遂行に、注力してまいりました。なお、中期計画上の数値目標(売上高、営業利益等)は2023年11月10日に取り下げております。

当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、受注契約の増加に加え、経済活動の正常化により主要3事業における需要回復が一段と進んだことで、売上高は引き続き堅調に推移し大きく増収を達成しております。一方で、利益面においては、引き続き収益性の改善に努めたものの、主に原材料価格の高騰によるコスト上昇への対策に依然として課題が残るなど営業減益となりました。

 

当第3四半期連結累計期間における主な経営成績は次のとおりであります。       (単位:百万円)

 

前第3四半期
連結累計期間

当第3四半期
連結累計期間

前年同期比増減

前年同期比

売上高

90,860

96,412

5,552

106.1%

営業利益

3,640

3,401

△238

93.4%

経常利益

3,454

3,506

52

101.5%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

2,773

2,047

△725

73.8%

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。                    (単位:百万円)

 

売上高

営業利益又は営業損失

当第3四半期

連結累計期間

前年同期比増減

前年同期比

当第3四半期

連結累計期間

前年同期比増減

前年同期比

フードサービス事業

41,112

1,998

105.1%

1,291

△328

79.7%

車両運行サービス事業

18,586

1,015

105.8%

1,806

141

108.5%

社会サービス事業

34,508

2,299

107.1%

2,035

△56

97.3%

その他

2,625

254

110.8%

335

75

129.1%

消去・全社費用

△420

△16

△2,067

△71

合計

96,412

5,552

106.1%

3,401

△238

93.4%

 

 

(フードサービス事業)

大手同業他社との競争激化や慢性的な人員不足に加え、足元においては原材料価格の高騰が継続するなど、事業環境は依然として厳しい状況が続いております。

社員食堂を中心とするコントラクトフードサービス部門では、オフィス、工場セグメント店舗を中心に喫食数が回復に向かう一方で、リモートワーク等の新しい働き方を取り入れる契約先も多く、職場における食事提供についても新しいサービスに対する期待が高まってきております。このような中、様々な食事提供サービスや在宅勤務等の増加によって減少した食数に対応したローコストオペレーションモデルの提案活動に加え、積極的なイベントや宴会等の新規案件獲得が奏功するなど、順調に推移いたしました。

病院・高齢者施設・保育給食を中心とするメディカルフードサービス部門では、新型コロナウィルス感染症の5類移行後、高齢者施設は回復傾向となりましたが、病院施設における回復見通しが、想定より鈍化傾向で推移しており、引き続き材料費の抑制等コストコントロールの強化に努めました。また、保育給食においては、オイシックス・ラ・大地社との協業モデルの構築に向け、ミールキットを活用したテストマーケティングを実施することで、クロスセルによる営業活動の強化を図ってまいりました。

以上の結果、売上高は、既存店の回復が進んだことで増収となりましたが、営業利益においては、材料費の高騰および労務コストの上昇による原価率の悪化が影響し、減益となりました。

(車両運行サービス事業)

民間法人においては、ノンコア業務をアウトソーシングする流れが継続しており、特に車両運行管理業務については、役員送迎車や社員送迎バス等がその対象となっております。また、地方自治体においては財政再建と地域活性化のため、新たな交通体系の整備や学校統廃合におけるスクールバス需要等のニーズが高まっております。

このような環境のもと、役員車両部門及び一般車両部門においては、安定収益が見込める公共法人への営業活動として、需要が高まっているデマンドシステム及びスクールバスの提案に積極的に取り組んでおります。そして、受注が好調に推移しているWEBプロモーションによる販促を一層強化したほか、クロスセル営業の推進など新規契約の獲得に向けた営業体制の強化を図ってまいりました。

旅客運送部門においては、地方自治体に対してデマンドバスを含めた地方交通体系の提案や、高速乗合バスの新たな取り組みとして、2023年12月より、千葉県(津田沼)、東京都(東京駅・町田)と関西(大阪・京都)を結ぶ高速乗合バス新規路線の常時運行を開始するなど、売上構造の安定化を図ってまいりました。

これらの結果、臨時便の減少や燃料単価上昇の影響を受けたものの、期首からの増車に加え、運行時間の延長や休日運行の稼働等が順調に推移し、引き続き増収増益となりました。

(社会サービス事業)

政府が掲げる「地方創生」政策のもと、地方創生の推進に向けた施策に政府・地方自治体一丸となって取り組んでおり、地方自治体においては財政健全化と地域活性化のため、自治体が提供するサービスを民間に委託するニーズは高まっております。さらに、住民サービスの効率的な運用を目指した施設の統合が進められるとともに、少子高齢化による行政サービスのコストアップと人手不足が、行政サービスのアウトソーシング市場を確実に伸長させる要因となっております。

このような環境の中、成長ドライバーとして特に力を入れている学童保育・児童館・子育て支援受託業務においては、多様化する子育てニーズに応えるべく、培ってきたノウハウを駆使したコンテンツ開発がご好評いただくなど、多くの自治体からの案件を受託しております。そして、受託数は順調に拡大し、前年同期比で265箇所増加いたしました。

施設管理・図書館運営および学校給食受託業務においては、新たにPFIを活用した学校給食センターの運営を開始したほか、自治体および家庭の課題解決の一環として、学童への夏季や冬季等の長期休業期における給食調理提供に向けたテスト運用を実施いたしました。また、行政支援経験を活かしたサービスによる施設の安全性や利便性、図書館アプリの導入等による運営効率の向上を推進してまいりました。

以上の結果、売上高は運営施設数の増加が大きく寄与し、増収を達成いたしました。一方で、営業利益においては減益となりましたが、上・下期の不均衡が一定程度解消する見込みであり、セグメント計画に変更はありません。

 

(ESG/SDGsへの取り組み)

当社グループは、環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)のESGに関する様々なステークホルダーの要請に対応し、かつDX(Digital Transformation)を活かした経営改革・事業改革を実践するために、地球環境対応、労働と人権に配慮した働き方改革・お客様満足度向上・地域社会への貢献といった社会課題やガバナンスへの対応などを進めてきております。

2021年10月に取締役会に直属するSDGs委員会を設立し、経営理念、経営目標、経営戦略の達成のために事業活動を通してSDGsの達成に寄与することを目指しております。2022年5月のSDGs委員会において、SDGs経営方針を“『未来の子供たちのために、より良い社会づくりの視点で、人々と共に「安心」「安全」「笑顔」の日々をつくる。』というミッションのもと、社員エンゲージメントへの投資により生産性を高めてその成果を還元し、顧客・パートナー企業との協創でイノベーションを進め、社会価値と経済価値が好循環するCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を目指します。”といたしました。また、2023年9月に開示した統合報告書においてもSDGs経営の推進を説明しております。

当社グループの事業は、社員が生み出す、安心、安全、そして笑顔などの「価値」をお客様や取引先様へ提供することで幸せを育む事業であり、ジェンダー平等や多様性に配慮した社員一人ひとりの可能性を育み、「人を育み、幸せを最大化する社会課題解決企業」として持続可能な社会づくりに貢献してきております。

当社グループは、事業活動を通じて競争優位性を確立し、事業基盤を強化するとともに、人や社会、環境、そして株主に広く還元をしてまいります。

(ESG/SDGsに関する主な活動事例)

総合サービス企業として、全国の企業、学校等にて食事提供業務を行うフードサービス事業と、「社会に貢献する自立した女性の育成」を教育目標とする学校法人山崎学園 富士見中学校高等学校は、一般社団法人セイラーズ フォー ザ シー日本支局の協力のもと、2023年11月24日(金)より、週1回以上のペースで定期的にブルーシーフード※1を活用したメニュー1品の提供を開始いたしました。今後も三者で連携し、継続的かつ長期的なブルーシーフードメニューの提供、食堂内での啓発ポスター掲示やパンフレットの配布等でSDGs活動を推進します。

また、全国の民間企業の役員車、および自治体の公用車、貸切バス等の車両運行を行う車両運行サービス事業は、2023年10月1日より、北海道積丹町の公共交通車両であるコミュニティバス計3台の運行を開始しました。当コミュニティバスは、民間バス会社の町内路線バス撤退により、積丹町が町民の移動手段の確保として、廃止ルート(美国⇔余別間)を活用しながら、神岬地区と美国地区にバス停を追加し、新たな移動手段として運行を開始する3台のコミュニティバスです(通称「しゃこバス」、1日最大往復5便、定時運行と予約運行あり)。なお、公共施設、学童保育、自治体業務の受託運営等を行う社会サービス事業は、2020年4月より同町との包括業務を受託しております。

事業を通じて社会課題解決の実現をミッションとする当社グループでは、今後もSDGs経営を推進し、産学が一体となった取り組みを積極的に展開していきます。

※1:ブルーシーフード…カツオやカレイなど、資源量が比較的豊富で、生態系を守りつつ、管理体制の整った漁業により漁獲されている持続可能な水産物。

(健康経営への取り組み)

当社は、社内の健康経営を推進するべく、従業員の健康維持・増進を支える部署横断型の「健康経営推進プロジェクト」を設置しております。2023年3月に「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に3年連続で選定されております。

当社グループは、財産は「人」であると考え、性別、国籍、障がいの有無にかかわらず、異なる個性や能力を持った「人」が活躍できるダイバーシティ経営を推進しており、今後も「人」を重要視した経営を続けていくとともに、すべての従業員が働き甲斐があり、かつ安心して働ける環境整備に継続して努めてまいります。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,677百万円増加し35,872百万円(前連結会計年度末比8.1%増)となりました。流動資産においては、3,421百万円増加し27,705百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が1,681百万円、現金及び預金が1,547百万円増加したことによります。固定資産においては、744百万円減少し8,167百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が1,081百万円減少したことによります。

当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,066百万円増加し22,036百万円(前連結会計年度末比5.1%増)となりました。流動負債においては、2,941百万円増加し21,581百万円となりました。これは主に、未払金が902百万円、1年内返済予定の長期借入金が750百万円、未払費用が565百万円増加したことによります。固定負債においては、1,875百万円減少し455百万円となりました。これは主に、借入金の返済により長期借入金が1,875百万円減少したことによります。

当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1,610百万円増加し13,835百万円(前連結会計年度末比13.2%増)となりました。これは主に、配当により資本剰余金が533百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益2,047百万円を計上したことによります。

以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント増加し38.6%となりました。

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

(6)研究開発活動

特記すべき事項はありません。