E01049 Japan GAAP
当社グループに関する財政状態、経営成績の分析及び検討内容は下記のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年9月30日まで)における日本経済は、コロナ禍からの経済社会活動の正常化が進み、内需の押上げ効果により、景気の緩やかな回復基調が続きました。飲食などのサービスを中心に個人消費が持ち直し、設備投資も増加傾向が続いております。また、円安を背景としたインバウンド需要が堅調に推移し、8月には中国政府による日本への団体旅行解禁に伴い、中国からの訪日客が増加傾向にあります。一方、消費者物価は、政府による物価高対策の延長により伸び率が鈍化するも、実質賃金の低迷の長期化により、個人消費の回復が遅れる可能性があります。さらに世界的な高金利・高インフレが続き、海外経済の減速による景気の下振れ懸念は残っております。
当社グループが主に事業展開しているアジア・米国経済においては、中国では景気回復の動きに足踏みがみられ、成長率は鈍化いたしました。製造業に持ち直しの動きはあるものの、不動産不況の深刻化や雇用情勢の悪化が個人消費回復の足かせとなってきました。政府は景気支援を強化し、第3四半期に入って個人消費が持ち直す一方、不動産市場の低迷は続いております。それ以外のアジア経済では、回復基調が続いております。米国においては、高止まりする市場金利やインフレ率による景気後退懸念が残るものの、個人消費は引き続き堅調に推移しております。
日本の化粧品市場においては、百貨店・専門店に加え、ドラッグストアなどのマス市場での化粧品売上も着実に回復しております。さらに、インバウンドの増加も、化粧品需要の回復を後押ししております。アジアの化粧品市場においては、中国では、福島原発処理水の海洋放出に対する批判が高まり、売上に影響を及ぼしております。それ以外のアジア各国については、一部地域では弱さがみられるものの、全体では回復基調にあります。米国の化粧品市場は、底堅い個人消費に支えられ、順調に成長しております。
このような市場環境の中、当社グループは中長期ビジョン「VISION2026」を推進しており、「世界で存在感のある企業への進化」を目指しております。当期は「PHASEⅡ:世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」の2年目に入り、基本戦略の下、グローバルな事業展開の促進、事業領域および顧客層の拡大、デジタルコミュニケーションの強化、成長を支える経営基盤の構築に取り組んでおります。
当第3四半期連結会計期間末の流動比率は386.0%、前連結会計年度末に比べ24.2ポイント増加、当座比率は259.3%、前連結会計年度末に比べ9.2ポイントの増加となりました。
資産は、前連結会計年度末に比べ8,569百万円の増加となりました。現金及び預金の増加11,350百万円、商品及び製品の増加6,513百万円、リース資産の増加1,681百万円、受取手形及び売掛金の減少9,506百万円、建物及び構築物の減少1,354百万円、投資有価証券の減少1,307百万円等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ588百万円の減少となりました。支払手形及び買掛金の増加949百万円、電子記録債務の増加1,934百万円、未払費用の増加926百万円、未払金の減少6,090百万円、短期借入金の減少861百万円等によるものであります。
なお、有利子負債残高は11,035百万円、デット・エクイティ・レシオは0.04倍となりました。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績については、韓国および中国での売上が減少した一方、日本や、欧米を中心に展開する「タルト」が実績を牽引したことにより、売上高は前年同期比9.0%増の218,961百万円(為替の影響を除くと前年同期比6.4%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の割合は37.0%となりました。
利益については、原価および販管費の増加以上に増収した結果、営業利益は16,029百万円(前年同期比28.4%増)となりました。しかしながら、為替差益の減少により、経常利益は21,067百万円(同6.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は13,148百万円(同5.0%減)となりました。
a.化粧品事業
化粧品事業においては、ハイプレステージの主力ブランド、「コスメデコルテ」が日本国内では引き続き好調に推移するも、韓国や中国の免税チャネルで苦戦し、8月の福島原発処理水の海洋放出後は大きく影響を受けました。それ以外の主要ブランドでは、「アルビオン」、「ジルスチュアート」や「アディクション」などが伸長いたしました。欧米で展開する「タルト」は、主力商品の売上を伸ばしました。プレステージでは、「雪肌精」や「ONE BY KOSÉ」の回復基調が継続しております。これらの結果、売上高は174,468百万円(前年同期比8.5%増)となり、営業利益は15,794百万円(同2.2%増)となりました。
b.コスメタリー事業
コスメタリー事業においては、「ヴィセ」や、コーセーコスメポート㈱の「クリアターン」などが好調に推移した結果、売上高は42,881百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は3,924百万円(前年同期は266百万円)となりました。
c.その他
その他の事業は、ホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売が増加したため、売上高は1,611百万円(前年同期比23.6%増)となりましたが、営業利益はマーケティングコストの増加により、647百万円(同17.4%減)となりました。
当社グループの資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。
今後の資金使途につきましては、内部留保により財務体質の強化を図る一方、設備投資やM&Aに取り組むことで将来のキャッシュ・フローの創出につなげ、資本効率の向上を図ってまいります。また、一時的な余剰資金の運用につきましても、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行ってまいります。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間に支出した研究開発費の総額は4,778百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に計画した重要な設備の新設、除却等について、重要な変更はありません。また、新たに確定した重要な設備の新設、拡充、改修、除却、売却等の計画はありません。
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。