売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01090 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における経済環境について、米国では、個人消費や労働市場は引き続き復調傾向が継続しているものの、2024年以降の政策金利見通しが引き上げられる等、今後の動向について注視する必要があります。欧州では、経済活動の低迷が顕在化してきており、インフレ対策として金融引き締めが継続される等、景気復調へは不透明感があります。わが国では、新型コロナウィルス感染症の感染症法上の分類が引き下げられたこと、また各種政策の効果もあり景気は緩やかに回復しているものの、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、金融資本市場の変動等に注視する必要があります。

 このような状況のもと、当社グループは2021年を起点とする5ヵ年の中期計画「中計'21」を策定し、その中で掲げた各種経営指標を実現するため、これまで培ってきた得意分野や独自性、研鑽してきた機能別組織機能、変革・強化を図ってきたガバナンスやコンプライアンス体制をベースに置きながら、取り巻く変化に迅速、かつ柔軟に適応する力を当社グループ全体で強化することに取り組みました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は409,221百万円(前年同期比58,790百万円増、16.8%増)、営業利益は50,324百万円(前年同期比18,932百万円増、60.3%増)、経常利益は64,489百万円(前年同期比19,201百万円増42.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は56,768百万円(前年同期比11,999百万円増、26.8%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。

① タイヤ事業

 北米市場における市販用タイヤについては、OPEN COUNTRY A/T Ⅲ(オープンカントリー・エーティースリ

ー)、NITTO RECON GRAPPLER A/T(ニットー リコングラップラー・エーティー)、OPEN COUNTRY R/T TRAIL(オープンカントリー・アールティー・トレイル)など当社が強みとしている大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤ、更に全天候型タイヤの新商品CELSIUS Ⅱ(セルシアス・ツー)などの重点商品を中心とした販売に注力したことにより、第1四半期から継続して販売量が堅調に推移し前年度を上回りました。また、売上高は値上げや重点商品の拡販による商品ミックスの改善もあり、販売量以上に前年度を大きく上回りました。

 欧州市場における市販用タイヤについては、ロシア・ウクライナ情勢に伴うロシアや周辺地域への販売停止の影響を受けたことで販売量は前年度を下回りました。一方、売上高は欧州各国での値上げや商品ミックス改善により、前年度を大きく上回りました。

 国内市場における市販用タイヤについては、国内需要の減少から販売量は前年度を下回りました。一方、今期2度の値上げ効果や、新商品PROXES Sport 2(プロクセス・スポーツ ツー)、 PROXES Comfort Ⅱs(プロクセス・コンフォート ツーエス)や OPEN COUNTRY(オープンカントリー)シリーズなど重点商品の拡販を受けて売上高は前年度を上回りました。

 新車用タイヤについては、半導体不足が緩和し自動車メーカーの生産が回復基調となり、販売量が前年度を大きく上回りました。また、売上高も原材料市況高騰の一部を価格に反映できたため、前年度を大きく上回りました。

 その結果、タイヤ事業の売上高は374,163百万円(前年同期比54,049百万円増、16.9%増)、営業利益は50,278百万円(前年同期比16,539百万円増、49.0%増)となりました。

 

② 自動車部品事業

 自動車部品事業については、半導体不足が緩和し自動車メーカーの生産が回復基調となり、また原材料市況高騰の一部を価格に反映できたため、自動車部品事業の売上高は35,045百万円(前年同期比4,795百万円増、15.9%増)と前年度を大きく上回り、営業利益は46百万円(前年同期は2,346百万円の営業損失)となりました。

 

③ 当社免震ゴム問題に係る製品補償対策費

 2015年12月期において、出荷していた製品の一部が国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない等の事実が判明いたしました。

 当第3四半期決算において、製品補償対策費193百万円(主として、免震ゴム対策統括本部人件費等)を特別損失として計上しております。

 

(2)財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は652,962百万円となり、前連結会計年度末に比べ54,072百万円増加しました。これは、主として、受取手形及び売掛金や有形固定資産等が増加したことによります。

 また、負債は271,084百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,889百万円減少しました。これは、主として、社債の発行により社債が増加した一方で、コマーシャル・ペーパーが減少したことによります。なお、有利子負債は120,668百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,768百万円減少しました。

 当第3四半期連結会計期間末の純資産は381,877百万円となり、前連結会計年度末に比べ60,962百万円増加しました。これは、主として、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金、円安の影響により為替換算調整勘定が増加したことによります。

 この結果、自己資本比率は58.5%となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更及び新たに定めたものはありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、当第3四半期連結累計期間において、その内容に重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は9,220百万円であります。

 当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、次のとおりであります。

 

〔タイヤ事業〕

国内市販用タイヤについては、国内のさまざまな気象条件や路面状況での走行にバランス良く対応したSUV向け本格オールテレーンタイヤ「OPEN COUNTRY A/T Ⅲ(オープンカントリー・エーティースリー)」のホワイトレター商品22サイズを9月より発売(一部サイズは11月発売予定)しました。SUVの市場拡大とともに多様化するユーザーニーズに合わせて、OPEN COUNTRYシリーズのラインアップ拡充を行なってきました。特にタイヤサイド部のブランド名や商品名を白い文字で立体的に表記した「ホワイトレター」を採用した商品が高い支持をいただいております。

トラック・バス用タイヤについては、スタッドレスタイヤ「M939(エムキュウサンキュウ)」を8月より国内市場で発売しました。国内における昨今の気象の特長や運送業界を取り巻く社会課題から、高いアイス性能と耐摩耗性能を両立し、さらに低メンテナンス性を向上させたスタッドレスタイヤが求められるようになりました。「M939」は、タイヤトレッド面のブロック内に細かい溝を高密度に配置しアイス路面でのグリップ力を確保しながら、路面接地時にブロックが過度に動かないようにすることで偏摩耗の発生を抑制しました。これにより、当社従来品(M929)比で推定摩耗ライフを7%向上、偏摩耗の発生を45%低減しました。また、非降雪路面での走行も考慮し、転がり抵抗の低減も実現した商品となっております。