売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01138 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①当第3四半期連結累計期間の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日まで)におけるわが国の経済は一部に足踏みもみられますが緩やかに回復しています。しかし、世界的な金融引き締め等を背景とした世界経済の下振れが、わが国の経済を下押しするリスクとなっています。

このような事業環境の中、当社グループは「新共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」を実現していくための最初の3年間の経営課題である、中期経営課題(WILL2030 STAGE1)に基づき、「日本住設事業」「海外住設事業」の2つの事業で構成される「グローバル住設事業」と「セラミック事業」で構成される「新領域事業」の2つの事業軸で活動を推進しています。

当社は、「きれいと快適」「環境」を両立するTOTOらしい商品を「サステナブルプロダクツ」と位置付け、これらの商品をグローバルで普及させることにより、地球環境に配慮した、豊かで快適な社会の実現に貢献しています。

その結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が5,247億6千5百万円(前年同四半期比0.5%減)、営業利益が329億9百万円(前年同四半期比24.5%減)、経常利益が375億6千9百万円(前年同四半期比20.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が264億9千4百万円(前年同四半期比27.0%減)となりました。

総資産は、前連結会計年度末に比べ、331億6千5百万円増加しました。主な内容は、その他有形固定資産が建設仮勘定の増加等により237億5千万円の増加、投資有価証券が82億1千2百万円の増加、受取手形、売掛金及び契約資産が52億7千6百万円の増加、現金及び預金が131億8百万円の減少となっています。

また、負債は、前連結会計年度末に比べ、18億8千5百万円減少しました。主な内容は、支払手形及び買掛金が79億1百万円の減少、未払法人税等が36億7千万円の減少、その他固定負債が繰延税金負債の増加等により89億8千3百万円の増加となっています。

 

②セグメントの業績

セグメントごとの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。

 

a.グローバル住設事業

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が4,984億9千9百万円(前年同四半期比1.9%増)、営業利益が272億9千3百万円(前年同四半期比5.9%減)となりました。

 

<日本住設事業>

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が3,583億5千2百万円(前年同四半期比2.6%増)、営業利益が204億7千3百万円(前年同四半期比14.2%増)となりました。

 

当社グループにおいては、住宅用途ではリモデルは増収、新築は減収となりました。パブリック用途では職人不足などによる工期ズレが続き減収となりました。

2018年度から取り組む「あんしんリモデル戦略」を進化させデジタルを活用した提案や情報発信などを拡充しています。リモデルの全ての工程において、お客様の不安やお困りごとに応える取り組みを加速させています。

また、TOTO、DAIKEN、YKK APは、2022年にアライアンス20周年を迎え、新たなメッセージ「暮らしの中に笑顔を。」を発信しました。人と社会へ貢献するわたしたちの約束として「グリーンリモデル」を中心に据え、お客様の暮らしの想いを叶えるライフスタイルの提案「十人十家」の推進と共に新たなリモデル価値提案活動を推進しています。

当社グループが創り出した清潔なトイレ文化を世界へ発信していくことに加え、衛生的な空間に対応した高付加価値商品の提案・開発を強化しています。

 

<海外住設事業>

(中国大陸事業)

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が624億8千8百万円(前年同四半期比2.1%減)、営業利益が30億5千5百万円(前年同四半期比52.2%減)となりました。

 

当社グループにおいては、長引く不動産市況低迷の影響を受けています。引き続き、不動産市場の動向や消費者の購買行動の変化などに注視しつつ、事業活動を推進していきます。

加えて、更なるブランド価値向上を目指し、「ネオレスト」「ウォシュレット」のプロモーション強化を通じて普及拡大に努めています。

また、成長市場から成熟市場へと変わりつつある当該市場においては、顕在化しつつあるリモデル需要の取り込み等、新たな需要を掘り起こしていきます。

 

(アジア・オセアニア事業)

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が316億1千4百万円(前年同四半期比0.4%減)、営業利益が36億2千7百万円(前年同四半期比25.1%減)となりました。

 

当社グループにおいては、ベトナムにおける不動産市況悪化の影響を受けています。引き続き、当該市場での販売力を強化すると共に、世界の供給基地としてベトナム、タイを中心とした生産体制を充実させ、日本発の高級ブランドとしての認知度を活かした事業活動を推進しています。

各地域の市場成長に合わせて、5スターホテルや高級コンドミニアムなどの著名物件及び個別散在物件の受注強化のため、販売網の強化や積極的なプロモーション展開による「ネオレスト」「ウォシュレット」の普及、アフターサービス体制の整備に取り組んでいます。

 

(米州事業)

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が423億7千1百万円(前年同四半期比5.3%増)、営業利益が13億9千7百万円(前年同四半期比63.8%増)となりました。

 

米国におけるインフレ進行、金利上昇等による不動産市況悪化の環境下においても、「ネオレスト」「ウォシュレット」の売上は堅調に推移しています。引き続き温水洗浄便座認知層の拡大及び「ネオレスト」「ウォシュレット」の拡販を進めていくと共に、市場環境、消費者の購買行動の変化を注視しながら事業を推進していきます。

当社グループにおいては、中高級市場において清潔機能を中心に価値伝達を強化し、商品優位性によってブランド価値を高め、競合他社との差別化を図っており、「ウォシュレット」をはじめ、高い節水性能(洗浄水量3.8L)を有する節水便器及び「ネオレスト」などの快適性、デザイン性がお客様に評価されています。

ショールーム展示の拡充やホームページの充実、eコマースの整備など、お客様接点の強化や効率的な供給体制づくりを推進しています。

 

(欧州事業)

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が36億7千2百万円(前年同四半期比9.9%減)、営業損失が12億6千1百万円(前年同四半期は営業損失10億7百万円)となりました。

 

ドイツにおける暖房工事関連の国策が当社グループにも影響を及ぼしていますが、引き続き欧州のお客様の嗜好に沿うデザイン性の高い商品の販売やショールーム展示を通じて価値訴求の取組みを強化しています。2023年3月に実施された世界最大級の住宅設備展示会「International Sanitary and Heating 2023」において、欧州トップブランド以外で初めてメインの単独会場「Forum0」に出展しブランド価値訴求を行った結果、お客様より高い評価と多くの関心を寄せる声を頂いています。

ドイツ、フランス、イギリスを中心に、販売チャネルの構築及び著名物件の獲得を進めており、販売代理店におけるショールーム展示の質の向上や、施工店の開拓・拡大に注力しています。「ネオレスト」や「ウォシュレット」など差別化商品の認知度が向上し、ホテルなどの高級現場における商品の採用が進んでいます。

 

b.新領域事業

 

<セラミック事業>

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が260億5千7百万円(前年同四半期比30.7%減)、営業利益が76億6千4百万円(前年同四半期比53.6%減)となりました。

 

半導体市場の調整局面に伴う市況悪化の影響で、半導体の製造装置に採用されている当社セラミック製品の売上も減少しました。

TOTOオンリーワン商品の開発・価値提案、スマートファクトリーの更なる進化、グローバルサプライチェーン等による強固な事業基盤構築で、DX(デジタルトランスフォーメーション)による社会変革を支えています。

 

③その他

<社外からの評価について>

・ESG投資指標に選定

世界の代表的なESG投資指標である「Dow Jones Sustainability Indices」 の「World Index」の構成銘柄に選定されました。同銘柄への選定は12回目・6年連続となります。また、アジア・太平洋地域版の「DJSI Asia Pacific」の構成銘柄にも15年連続で選定されています。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

[株式会社の支配に関する基本方針について]

①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えています。

当社は、1917年の創立以来、一貫して「社会の発展への寄与」を理念とする経営を行ってまいりました。水まわりを中心とした豊かで快適な生活文化創造にあたっては、たゆまぬ研究開発と市場開拓を行い、必要な設備や人財育成に長期的投資を行うことによって、日本市場の中で、「環境配慮」を実現する節電・節水技術の開発、「清潔・快適」「ユニバーサルデザイン」を実現する素材開発、「安心・信頼」を実現するビフォア・アフターサービス体制など、総合的な事業活動による価値の創造と提供を図ってまいりました。現在では、日本市場で築いた事業モデルを活かし、米州・アジアをはじめとする世界の水まわり市場の積極開拓により、一層の価値向上を図る一方、日本の水まわり市場において確固たる地位を築いたことによる供給責任にも応えています。創立以来、長きにわたり、広く社会の発展に寄与し続けたことが、現在の当社の企業価値ひいては株主共同の利益につながっています。

当社は、公開会社として、当社株式の自由な売買を認めることは当然のことであり、特定の者又はグループによる大量買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かの最終的な判断は、当社株式を保有する株主の皆様に委ねられるべきものと考えています。しかしながら、当該大量買付行為が、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、必要かつ相当な手段を採ることによって当社の長期的な株主価値を確保することが必要であると考えています。

 

②基本方針の実現に資する取組み

(ⅰ)社是・企業理念及び中長期経営計画

当社グループは、社是「愛業至誠:良品と均質  奉仕と信用  協力と発展」とTOTOグループ企業理念「私たちTOTOグループは、社会の発展に貢献し、世界の人々から信頼される企業を目指します」に基づき、広く社会や地球環境にとって有益な存在であり続けることを目指して企業活動を推進しています。

当社の企業価値の源泉は、①高品質な製品を提供し続けてきた高度な生産技術力、②ユニットバス・ウォシュレットなどの新たな生活文化の創造に寄与する商品やネオレスト・ハイドロテクト等の環境配慮商品を創造してきた研究開発力、③お客様の多様なニーズにきめ細やかに対応できる高品質かつ豊富な商品群、④お客様に安心・安全・信頼の証として認知された企業ブランド、⑤取引先との良好かつ長期的なパートナーシップに基づく販売力、⑥前記①~⑤の維持・発展を担う当社グループ社員にあります。

当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させるため、2021年度から始まる10カ年の「新共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」を策定しました。

TOTO WILL2030を実現するための最初の3年間(2021年度~2023年度)を「中期経営課題(WILL2030 STAGE1)」として具体的な目標を定め、環境変化に対応していきます。

WILL2030 STAGE1では、事業活動と「TOTOグローバル環境ビジョン」をより一体化させ、更なる企業価値向上を目指します。

その戦略フレームは、企業活動のベースとなる「コーポレートガバナンス」と時代の変化に先んじるための「デジタルイノベーション」があり、「グローバル住設事業」「新領域事業」の2つの事業軸と、全社最適視点で横串を通す3つの全社横断革新活動です。

 

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループは、経営の客観性・透明性を高め、経営責任を明確にすることによって、ステークホルダーの皆様の満足を実現し、企業価値を永続的に向上させることが企業経営の要であると考えます。

当社のコーポレート・ガバナンス体制につきましては、当社ウェブサイト(https://jp.toto.com/company/profile/governance/corporate)に記載のとおりです。

 

③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

当社は、上記の基本方針のもと、2006年4月28日開催の取締役会において「当社株式の大量買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入いたしました。その後、直近では2016年6月29日開催の当社第150期定時株主総会の決議により更新(以下、更新後の買収防衛策を「本プラン」といいます)いたしましたが、本プランの有効期限である、2019年6月25日開催の第153期定時株主総会の終結の時をもって本対応方針を継続しないことを、2019年4月26日開催の取締役会において決議いたしました。

なお、当社は本プラン廃止後も、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見などを開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。

 

④上記各取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

上記②及び③に記載の取り組みは株主共同の利益を確保し、向上させるための取り組みであり、上記①の基本方針に沿うものであります。これらの取り組みは、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的としたものではありません。

 

(3)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、168億4千万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。