E01661 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済全体としては、急激な金融引き締めが概ね最終局面を迎え、今後は金融引き締めに起因する減速局面を経て、巡航速度の成長軌道へと回帰することが見込まれます。
地域別に見ると米国経済は、底堅い雇用環境が下支えとなり、堅調に推移しているものの、今後は利上げ効果が顕在化し、またコロナ禍での財政支援の剥落に伴う成長減速が見込まれます。欧州経済は、物価高と金融引き締めに伴う内需の低迷により、停滞が続くものの、今後、消費の持ち直しと脱炭素等に対する財政支援を背景に、緩やかな持ち直しが見込まれます。中国経済は、政府目標並みの成長率を維持しながらも、不動産市況や若年層の雇用問題、外需減速等の下押しによる成長の鈍化が見込まれます。一方、日本経済は、物価高や海外経済の減速などの下押し要因からの回復が一巡したものの、引き続き賃金上昇および設備投資の拡大に伴う緩やかな景気回復が見込まれます。
以上を踏まえ、今後の世界経済の先行きは、利上げの累積効果・政策サポート剥落による反動、中国の不動産問題、地政学リスクの高まり等の不確実性を伴いつつも、巡航速度の成長軌道へと回帰するものと見込まれます。
このような経済情勢を受け、当社グループの事業環境としては、
① カーボンニュートラル事業については、全世界的に、脱炭素化や経済安全保障上のレジリエンス強化の観点から、政府支援で民間投資を後押しする動きが強まっております。燃料アンモニアに関しては、複数のFS(事業化調査)/Pre-FEED(概念設計)が進捗しており、一部案件では、今年度末から来年度以降に複数案件のFEED(基本設計)開始が見込まれます。SAF(持続可能な航空燃料)に関しては、世界的な市場規模の拡大を見据えた日揮株式会社との国内アライアンスにおける早期実績作りに向け注力しています。CO2資源化に関しては、燃料としてのメタノールの需要増加が今後期待され、国内市場においては、国内元売り会社が海外で合成燃料を製造し、輸入する動きがみられます。地熱に関しては、PT Geo Dipa Energiとインドネシアにおける地熱の包括利用に関する共同研究を推進し、社会実装に向け注力します。
② 既存事業については、海外では、各種の設備投資計画が再開に向け動き始めております。肥料案件は人口増加に伴う堅調な需要増が見込まれ、石油化学案件については、中国で大規模なコンプレックスが相次いで稼働開始し石油化学製品の需給が緩和した一方、世界のエチレン市場は今後も安定した成長が見込まれており、引き続き設備投資が見込まれます。インフラ市場においては、東南アジアやブラジルで、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、再生可能エネルギーやガス火力、バイオマス、廃棄物等の発電事業分野等で設備投資が見込まれます。一方、国内では、高機能化学品の需要の回復が見込まれます。
当第3四半期連結累計期間の実績は、次のとおりとなりました。連結受注高は、タイ向け石油化学プラント、インドネシア向け排ガス利用の火力発電所等を受注し、1,447億円(前年同四半期比18.9%増)、持分法適用関連会社の2件のFPSOの持分相当の受注を含めた総受注高は4,419億円、総受注残高は6,285億円となりました。完成工事高は、複数の国内向けバイオマス発電所と石油化学プラント、中国向け化学プラント等の複数プロジェクトの進捗により、1,893億円(前年同四半期比33.3%増)となりました。利益面では、営業利益54億円(前年同四半期比21.8%増)、経常利益51億円(前年同四半期比60.1%増)、税金費用控除後の親会社株主に帰属する四半期純利益30億円(前年同四半期比102.4%増)となり、前年同四半期比では増収増益となりました。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、現金預金、未収入金の増加等により、前連結会計年度末から256億円増加し、2,820億円となりました。負債については、支払手形・工事未払金等が増加した一方、未成工事受入金が減少したこと等により、前連結会計年度末から199億円増加し、2,271億円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末から57億円増加し、548億円となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2,004百万円であります。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループおよび当社に従業員の著しい増減はありません。
当第3四半期連結累計期間における当社および当社の連結子会社の受注実績・売上(完成工事高)実績は次のとおりであります。
(注) 1 期中完成工事高は、外貨建受注工事高のうち期中完成工事高に係る為替差分(前第3四半期連結累計期間 6,394百万円、当第3四半期連結累計期間6,542百万円)を含んでおります。
2 次期繰越工事高は、前期以前に受注した工事の契約変更等による調整分(前第3四半期連結累計期間
△4,242百万円、当第3四半期連結累計期間△5,987百万円)を含んでおります。
3 ※印は、外貨建契約に関する為替換算修正に伴う増減額を示しております。
(参考情報) 当連結会計年度における持分法適用関連会社の当社持分相当の期中受注工事高は297,242百万円、
次期繰越工事高は273,462百万円であります。
(8) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。また、前連結会計年度末において計画中または実施中の主要な設備の新設、除却等はなく、当第3四半期連結累計期間において新たに確定した主要な設備の新設、除却等の計画はありません。
なお、当社は2024年1月25日開催の取締役会において、保有資産の有効活用および更なる成長に向けた新しい働き方の実現、カーボンニュートラルも含めた新技術・事業への投資の加速のため、当社が保有する以下の資産の譲渡を決定いたしました。2024年1月31日付で関連売買契約を締結しております。土地の譲渡予定日は、2024年3月27日、建物および構築物の譲渡予定日は、2024年12月31日であります。
譲渡資産の概要
※本譲渡資産を信託設定した上で、同信託設定に基づく信託受益権を譲渡する予定です。
(9) 資本の財源および資金の流動性に関わる情報
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源および資金の流動性に関わる情報に重要な変更はありません。