売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E37978 


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻長期化や中東情勢緊迫化等により国際情勢が一段と不安定化したことで減速傾向が継続しました。また、中国を除き、需給逼迫による物価上昇圧力が根強いことや、欧米を中心に政策金利が高止まりしていることが、経済活動を下押しする結果になりました。このように、世界を取り巻く経済環境は不確実性が高い状況が継続しており、過去と比べても低い成長率にとどまっています。各地域の金融政策の違い等により円相場は円安が続きました。

 

 半導体市場においては、2023年後半になると、生成AIの普及に伴うロジックICの需要が急増するとともに、メモリーやマイクロプロセッサーなどの需要も改善し、市場は回復の兆しが見えつつあります。また、地域別に見ても、2023年後半から米国及び中国を中心に需要が改善しつつあり、2022年後半から1年近く続いた世界的な半導体市場のマイナス成長から緩やかに回復に向かう傾向にあります。また、これまで、スマートフォン、PC、コンシューマ製品等の最終製品の需要低迷に伴う在庫調整が続いていましたが、事務機器等でまだ弱含みな状況はあるものの、全体的な最終製品の需要は改善されてきています。特に、自動運転支援システム(ADAS)/自動運転(AD)やデータセンターなどで使用される最先端の技術を使用した半導体への需要はますます高まってきています。

 

 このような市場環境において、当社グループは、2020年3月期以降、オートモーティブやデータセンター/ネットワークなどの注力分野において、7nmや5nmなど最先端の製造プロセステクノロジーを使用した多くのカスタムSoC商談を獲得してきていること、その一部において開発が完了し量産段階に移行していることから、特に先端テクノロジーでの製品売上が増加し、売上水準の拡大に寄与しています。

 2023年10月には、「2nmプロセスのマルチコアCPUチップレット開発でArm及びTSMCと協業」や「3nm車載プロセスを採用した高度ADAS及び自動運転向けSoCの開発に着手」を公表しました。今後は、2nm以降の最先端プロセスノードやチップレット(die-to-dieの相互接続や2.5D/3Dパッケージング)の開発や設計開発へのAI導入などにも取り組んでいきます。

 

 この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は169,638百万円(前年同期比22.2%増)となりました。製品売上については、中国の5G基地局向け商談における特需が上期で終了したことや、中国のコンシューマ市場向けの製品売上が弱含みではありますが、オートモーティブ、データセンター/ネットワーク、スマートデバイスなどの新規商談の製品開発が完了し、量産段階に移行していることで、先端プロセスを中心に製品売上の増加に寄与しました。また加えて、円安が続いていることも影響して製品売上は141,954百万円(前年同期比28.8%増)となりました。NRE売上については、先端プロセスを使用した開発案件が継続していることで前年同期と同水準で推移し、27,110百万円(前年同期比1.8%減)となりました。

 

[売上高]                       (単位:百万円)

 

前第3四半期連結累計期間

(自2022年4月1日

至2022年12月31日)

当第3四半期連結累計期間

(自2023年4月1日

至2023年12月31日)

製品売上

110,240

141,954

NRE売上

27,617

27,110

その他

984

574

売上高合計

138,841

169,638

 

 製品売上の拡大及び円安影響により売上原価は87,360百万円(前年同期比18.5%増)、先端プロセスを使用した開発案件の増加及び円安影響により販売費及び一般管理費は54,334百万円(前年同期比12.4%増(うち開発費38,255百万円(前年同期比7.7%増)))となり、営業利益は27,944百万円(前年同期比66.8%増)となりました。これに加え、営業外の為替差益の発生により経常利益は29,302百万円(前年同期比60.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は20,300百万円(前年同期比33.1%増)となりました。

 当第3四半期連結累計期間の米国ドルの平均為替レートは143.3円、前年同期比6.8円の円安となりました。

 

 なお、当社グループの事業セグメントは、ソリューションSoCビジネスモデルで開発するSoCを主とする単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は131,710百万円となり、前連結会計年度末に比べ24,357百万円減少しました。これは主に、製品売上の拡大や顧客要望に基づく先行手配が減少したことで棚卸資産や未収入金が減少したことによるものであります。一方で、現金及び預金は、法人税等の支払や配当金の支払はありましたが、ストック・オプションの権利行使による払込や、売掛金の回収が進んだこともあり増加しました。固定資産は45,948百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,070百万円増加しました。主な設備投資は、獲得した商談の製品開発に係るレチクルやIPマクロ等の取得に加え、開発規模拡大に伴うデータセンターの増強であります。

 この結果、総資産は177,658百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,287百万円減少しました。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は51,655百万円となり、前連結会計年度末に比べ30,683百万円減少しました。これは主に、顧客要望に基づく先行手配が減少したことで買掛金や未払金が減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は53,329百万円となり、前連結会計年度末に比べ30,752百万円減少しました。

 

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は124,329百万円となり、前連結会計年度末から14,465百万円増加しました。これは主に、剰余金の配当はあったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益20,300百万円の計上により利益剰余金が増加したことや、ストック・オプションの権利行使による払込によるものであります。

 この結果、自己資本比率は69.98%となり、前連結会計年度末から13.34ポイント増加しております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末より10,792百万円増加し、55,928百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは35,510百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益29,302百万円や、減価償却費9,532百万円に加え、売掛金回収が進んだことで売上債権が8,249百万円減少した一方で、法人税等の支払額10,036百万円によるものであります。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは18,634百万円の支出となりました。これは主に、獲得した商談の製品開発に係るレチクル、テストボード及び開発環境増設のための有形固定資産の取得による支出8,975百万円と、IPマクロ等の無形固定資産の取得による支出9,664百万円によるものであります。

 

 財務活動によるキャッシュ・フローは6,749百万円の支出となりました。これは主に、ストックオプションの行使による収入4,558百万円がある一方で、配当金の支払額11,160百万円によるものであります。

 

 当社は、コミットメントラインの借入枠を従来20,000百万円としておりましたが、世界景気の減速や地政学リスクの更なる高まりなどによる売上変動リスクに対応するため、コミットメントラインの借入枠を2023年7月末から半年間10,000百万円増額しております(全額未使用)。増額分については期日をもって解約となりますが、最新の資金繰り予測で2024年2月以降はコミットメントライン20,000百万円で手元流動性は充分カバーできると判断しております。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、38,255百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析に重要な変更はありません。