E32811 Japan GAAP
(1)経営成績等の状況の概要
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、まん延防止等重点措置の終了を受けて経済社会活動に緩やかな回復の兆しがみられる状況となりましたが、外国為替市場における円安の進行や原材料価格の高騰、ウクライナ情勢などの地政学的リスクによる世界経済への影響も懸念され、景気は依然として先行き不透明な状況となっております。
国内大手メーカーでは、先行き不透明な状況下で当社の扱うマニュアル関連への積極的な投資は控える傾向にありますが、各メーカーがレジリエンス、グリーン、デジタルを主軸に課題解決を進めているなか、これらの課題を解決するツールとして、「本当に使えるもの」「無駄な経費・工数のかからない」品質の高いマニュアルに注目され、当社の使命と市場ニーズとの整合性が見出されております。このような経済環境の下、当社では、付加価値の
高い製品・サービスの提供に積極的に取り組んでまいりました。
しかしながら、2021年11月9日付「特別調査委員会の設置及び2022年3月期第2四半期決算発表の延期に関するお知らせ」のとおり、当社は、会計処理の適切性につき外部からの指摘を受け、特別調査委員会の設置及び2022年3月期第2四半期決算発表を延期し、2022年1月27日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会の調査の結果、当社において、売上の前倒し事案及び架空売上事案による会計不正が多数発見され、同日付「2022年3月期第2四半期報告書の提出未了及び当社株式の上場廃止の見込みに関するお知らせ」のとおり、2022年3月期第2四半期報告書を、延長承認を受けた法定提出期限までに提出することができず、上場廃止見込みとなり、2022年2月28日付「当社株式の上場廃止に関するお知らせ」のとおり、同日、上場廃止となりました。
上記の一連の会計不祥事及び上場廃止等に伴う信用不安によって、上場企業等の大手企業を中心として、当社の財務基盤を不安視した顧客離れが起こりました。
以上の結果、当中間連結会計期間における業績は、売上高179,618千円、経常損失110,752千円、親会社株主に帰属する中間純損失839,201千円となりました。
当中間連結会計期間の業績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
なお、当中間連結会計期間より中間連結財務諸表を作成しているため、前中間連結会計期間との比較を記載しておりません。
①MMS事業
MMS事業においては、上記のとおり、「e-manual」サービスの導入促進及びコンサルティング案件の獲得を積極的に図った結果、売上高137,333千円、セグメント利益6,004千円となりました。
②MOS事業
MOS事業においては、既存顧客への是正提案をした結果、売上高42,285千円、セグメント損失1,659千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末と比較し218,006千円増加し、1,821,284千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動による資金の減少は96,603千円となりました。これは、法人税等の還付額163,057千円等による資金の増加があり、税金等調整前中間純損失845,764千円の計上等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動による資金の増加は315,867千円となりました。これは、子会社株式の売却による収入327,111千円等による資金の増加があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動による資金の減少は1,256千円となりました。これは、リース債務の返済による支出1,256千円によるものであります。
生産、受注及び販売の実績
生産実績
当中間連結会計期間の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当中間連結会計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
MMS事業(千円) |
42,261 |
- |
MOS事業(千円) |
17,624 |
- |
合計(千円) |
59,855 |
- |
(注)金額は、製造原価によっております。
受注実績
当社の取引は、受注から売上計上までの期間が比較的短く、また、企画・構成、編集、制作及び翻訳の途中で仕様変更・内容変更が発生する場合もあるため、受注実績の記載を省略しております。
販売実績
当中間連結会計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当中間連結会計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
MMS事業(千円) |
137,333 |
- |
MOS事業(千円) |
42,285 |
- |
合計(千円) |
179,618 |
- |
(注)当中間連結会計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、当中間連結会計期間より中間連結財務諸表を作成しているため、前中間連結会計期間については記載を省略しております。
相手先 |
当中間連結会計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年9月30日) |
|
金額(千円) |
割合(%) |
|
アンシスジャパン株式会社 |
57,770 |
32.1 |
住友重機械工業株式会社 |
19,270 |
10.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
下記文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
当中間連結会計期間末の総資産は2,768,139千円となり、前連結会計年度末に比べて2,031,808千円の減少となりました。
(流動資産)
流動資産は2,747,508千円となり、前連結会計年度末に比べて1,096,503千円の減少となりました。
(固定資産)
固定資産は20,630千円となり、前連結会計年度末に比べて935,304千円の減少となりました。
(流動負債)
流動負債は2,053,312千円となり、前連結会計年度末に比べて746,022千円の減少となりました。
(固定負債)
固定負債は3,243千円となり、前連結会計年度末に比べて133,511千円の減少となりました。
(純資産)
純資産合計は711,583千円となり、前連結会計年度末に比べて1,152,274千円の減少となりました。
(2) 経営成績の分析
① 売上高
売上高は179,618千円となりました。
② 売上原価、売上総利益
売上原価は59,885千円となりました。この結果、売上総利益は119,732千円となりました。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は232,058千円となりました。この結果、営業損失は112,325千円となりました。
④ 営業外収益、営業外費用及び経常利益
営業外収益は1,719千円となり、営業外費用は146千円となり、この結果、経常損失は110,752千円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する中間純利益
税金等調整前中間純損失は845,764千円となり、法人税、住民税及び事業税の計上により、親会社株主に帰属する中間純損失は839,201千円となりました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、登録スタッフであるマニュアルのテクニカルライター・翻訳者等への外注費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に「e-manual」や「GRACE VISION®」のソフトウェア開発等の無形固定資産への投資等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
なお、当中間連結会計期間末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は4,514千円、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は1,821,284千円となっております。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「世界一の‘'わかる”を創り出す企業」を目指すという経営目標のもとで、マニュアルを通じて、メーカーとユーザー、人と人、企業と人をつなぐコミュニケーションビジネスを展開し、形や常識とされる既成概念に捉われず、「解る」・「理解できる」を追求することで、当社に心底傾倒し、お客様自身の体制をも変化させていただけるような、絶大なる支持を得られるように事業展開を行っております。
具体的には、国内・国外のメーカーを中心に、産業機械などの工業製品や会計システムなどの情報サービスソフトウェアに付随する操作系マニュアル、運用系マニュアルや、各企業における業務系マニュアルまで、お客様の目的に合致した技術マニュアルをコアに、各種マニュアルの管理・配信・閲覧.制作を支援する「e-manual」の企 画、導入コンサルティング及び運営のサービスを提供するMMS事業と、エンドユーザーの立場に立って、ユーザーログの分析をベースとしたテクニカルライティング(原稿執筆)を行うとともに、輸出対象国の言語に翻訳(多言語化)する等のサービスを提供するMOS事業を展開しております。
2018年1月には、これまでのテクニカルライティングの手法を踏まえ、読むことも、見ることも、覚える必要もない、従来にはない全く新しい完全誘導型AIマニュアル「GRACE VISION®」を発表して、更なる「解る」・「理解できる」の追求に邁進しています。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社経営陣は、急速な業界環境や経済動向の変化に対応するため、当社事業のあるべき将来像を描き、収益機会を創造し、明確な目標設定を基本とする戦略的事業展開を推進し、これらの変化を的確に捉え、時に先取りして、入手可能な情報に基づき最善の経営意思決定をするように努めております。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、今後の世界経済の先行きへの懸念が非常に高まっております。当社の主要ターゲットである国内大手メーカーは、引き続き厳しい経営環境に置かれておりますが、当社においては、マニュアルのプロとして、ドキュメントコンサルティング、マニュアル制作及び「e-manual」の導入促進とあわせ、「GRACE VISION®」を積極的に販売することにより、技術伝承、人手不足及びコストダウンなど、国内大手メーカーの生産性向上を支援してまいります。
これまでのところ、当社の業績に大きな変調は見受けられません。今後、感染症の影響が長期化した場合は、収益が減少する可能性がありますが、そのような状況下においても、当社は生産性の向上とコストダウン等の対策を実施し、収益減少を最小限に抑えるよう努めてまいります。
なお、今後の解決すべき主たる重点課題及び今後の方針等につきましては、「第2事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の項目をご参照下さい。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
中間連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 注記事項 中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。