売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01767 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

 新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和により、経済活動の正常化が進みましたが、資源価格の高騰による物価上昇、各国でのインフレ抑制に向けた金融引き締め、中国経済の停滞に加えて、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学的リスクの高まりにより、依然として、先行き不透明な状況が続いております。

 このような環境下、OKIグループは、新たに中期経営計画2025を策定するとともにマテリアリティをアップデートしました。そして、マテリアリティと事業の関係をより明確にするため、「安心・便利な社会インフラ」「働きがいと生産性向上」「地球環境の保全」の3つの貢献分野を設定し、社会インフラを止めず、その維持に貢献する企業として、3つの貢献分野での社会課題の解決につながる価値の提供に取り組んでおります。

 当第3四半期連結累計期間の業況は、売上高は2,866億円(前年同期比300億円、11.7%増加)となりました。部材調達難による生産減影響の改善やエンタープライズソリューション事業の大型案件等の物量増により増収となりました。

 利益面につきましては、人件費や成長投資による固定費の増加があったものの、増収等により営業利益は58億円(同106億円良化)となりました。なお、第1四半期連結会計期間に計上した中国向けATM債権に対する貸倒引当金戻入額43億円による一過性収益を除いても前年同期比増益となりました。

 経常利益は、為替差損益の良化等により、48億円(同127億円良化)となりました。

 親会社株主に帰属する四半期純利益は、20億円(同136億円良化)となりました。

 

事業別の外部顧客に対する売上高及び営業利益は、次のとおりであります。

なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

<パブリックソリューション事業>

 売上高は638億円(前年同期比18億円、3.0%増加)、営業利益は6億円(同12億円良化)となりました。通信キャリア向け案件は第2四半期に引き続き減少しましたが、道路、消防、防災及び特機は堅調であり、セグメント全体では前年比増収増益となりました。

 

<エンタープライズソリューション事業>

 売上高は1,155億円(前年同期比380億円、49.0%増加)となりました。サプライチェーン影響の改善、大型案件等により、前年比大きく増収となりました。

 営業利益は、105億円(同131億円良化)となりました。物量増や貸倒引当金戻入額による一過性収益により、前年比増益となりました。

 

<コンポーネントプロダクツ事業>

 売上高は534億円(前年同期比89億円、14.3%減少)、営業損失は3億円(同17億円悪化)となりました。IoTは部材価格の高騰影響が減少したことにより利益が改善しましたが、プリンターにおいて、海外での需要停滞等による減収影響が大きく、セグメント全体では前年比減収減益となりました。

 

<EMS事業>

 売上高は536億円(前年同期比8億円、1.5%減少)、営業利益は8億円(同5億円、39.5%減少)となりました。半導体市場の回復遅れや中国経済の減速によるFA・ロボット向け市場での需要減による影響が第3四半期で拡大したことにより、前年比減収減益となりました。

 

<その他>

 売上高は3億円(前年同期比1億円、20.4%減少)、営業損失は7億円(同11億円悪化)となりました。

 

②財政状態

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に対して143億円増加の4,047億円となりました。自己資本は、その他の包括利益累計額が68億円良化したこと等により、前連結会計年度末に対して71億円増加の1,062億円となりました。その結果、自己資本比率は26.2%となりました。

 資産では主に、棚卸資産が101億円増加しております。

 負債では主に、借入金が増加しており、前連結会計年度末1,180億円から82億円増加し、1,262億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前四半期純利益を計上したことにより、13億円の収入(前年同期144億円の支出)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出があったことにより、131億円の支出(同136億円の支出)となりました。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローとをあわせたフリー・キャッシュ・フローは118億円の支出(同280億円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入れによる収入があったことにより、27億円の収入(同262億円の収入)となりました。

 以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額による増加12億円により、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末の375億円から296億円となりました。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間のOKIグループ(当社及び連結子会社)の研究開発活動の金額は、8,825百万円であります。

 主な研究成果として、信越化学工業株式会社が独自改良したQST®基板(注1)からOKIのCFB®技術(注2)を用いてGaN(窒化ガリウム)機能層のみを剥離し、異種材料基板へ接合する技術を開発しました。本技術によりGaNの縦型導電が可能となり、大電流を制御できる縦型GaNパワーデバイスの実現と社会実装への道が大きく開けました。

 なお、本取組みは将来事業の創出に向けた新規領域であり、既存の報告セグメントに含まれない事業であります。

(注)1.QST基板:Qromis社(米国カリフォルニア州、CEO Cem Basceri)により開発されたGaN成長専用の複合材料基板。2019年に信越化学工業株式会社がライセンス取得。

   2.CFB:Crystal Film Bondingの略。OKIが開発した、結晶膜を成長基板から剥離し異種材料基板へ接合する技術。