売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01769 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)の世界経済は、欧米各国の中央銀行による金融引き締めやロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化、中国における不動産市場の停滞による経済活動の減速懸念等、先行き不透明な状況が続いております。

国内経済においては、円安を背景とした好調なインバウンド消費等により緩やかな回復基調にあります。しかしその一方で、ロシアへの経済制裁の影響等によるエネルギー価格高騰や、物価上昇による個人消費の低迷等、経済活動の鈍化も懸念されております。

このような状況の中、当社グループは、2022年度から始まった第2期中期経営計画「Next Stage 24」に基づき、インフラの進化を安全・快適のソリューションで支え、国内外の社会的課題を解決するとともに、コロナ禍後における事業環境変化への適応を推進してまいります。

当第3四半期連結累計期間の経営成績といたしましては、受注高は77,808百万円(前年同期比1.9%減)、売上高は57,105百万円(前年同期比6.3%増)となりました。損益面につきましては、営業利益は1,395百万円(前年同期比15.0%増)、経常利益は2,151百万円(前年同期比8.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は667百万円(前年同期比15.5%減)となりました。

 

  事業の概況をセグメント別に申し上げますと、次のとおりであります。

 

[交通運輸インフラ事業]

「鉄道信号」では、国内市場においては、鉄道事業者各社向けにATC(自動列車制御装置)や連動装置、CBTC(無線式列車制御装置)等の受注・売上がありました。

また、新たな取り組みとしては、九州旅客鉄道株式会社様香椎線において2020年12月より自動列車運転装置の実証運転を行っておりましたが、その結果が良好であったため、2024年3月より、自動運転での運行を予定しております。操縦業務の自動化や機械化により、安全性向上や運転士養成コストの削減、労働人口減少等の社会課題に対する解決が期待されております。

海外市場においては、台湾やインド等で鉄道信号システムの受注・売上がありました。

道路交通安全システムを中心とする「スマートモビリティ」では、交通管制システムやパーキングメーターの受注・売上がありました。当社は、自動車や自転車、歩行者が危険情報等を相互に通知するシステムの研究開発を目的として、2023年11月に設立されたスマートモビリティインフラ技術研究組合に参画いたしました。今後も既存の交通インフラと連携する製品、技術を提供してまいります。

結果といたしましては、受注高は36,996百万円(前年同期比26.2%減)、売上高は28,248百万円(前年同期比1.2%減)となりました。また、損益面につきましては、セグメント利益は1,347百万円(前年同期比20.1%減)となりました。

 

 

[ICTソリューション事業]

駅務ネットワークシステムを中心とする「AFC」では、国内市場においては、各種ホームドアや券売機、改札機、駐車場機器等の受注・売上がありました。今後の取り組みとしては、DX化を軸とした固定費削減・顧客力向上を観点に製品開発を行い、MaaS社会実現にむけた取り組みを推進してまいります。

海外市場においては、バングラデシュやエジプト等でAFCシステムやホームドアの受注・売上がありました。

ロボティクスおよびセンシングを中心とする「R&S」では、ホームドアや建機・農機に搭載する3D距離画像センサや危険物の有無を短時間で探知できるX線手荷物検査装置等の受注・売上がありました。当社はフェールセーフの基本思想のもと、これまでの経験等で培ったセンサ、画像分析等のコア技術に最新のロボティクス技術を融合させ、人とロボットが協働する未来社会の実現に向けた取り組みも推進しております。

結果といたしましては、受注高は40,811百万円(前年同期比40.0%増)、売上高は28,856百万円(前年同期比14.9%増)となりました。また、損益面につきましては、セグメント利益は2,612百万円(前年同期比25.2%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少9,786百万円等がありましたものの、棚卸資産の増加11,915百万円、時価の上昇等による投資有価証券の増加2,096百万円、現金及び預金の増加1,364百万円等により、前連結会計年度末に比べ6,720百万円増加の152,739百万円となりました。

 負債は、短期借入金の増加3,384百万円、電子記録債務の増加1,686百万円等により、前連結会計年度末に比べ5,915百万円増加の62,583百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金の配当による減少1,684百万円等がありましたものの、その他有価証券評価差額金の計上1,890百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上667百万円等により、前連結会計年度末に比べ805百万円増加の90,156百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は9,729百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,364百万円の増加となりました。

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加等がありましたものの、主に売上債権の減少により、1,281百万円の資金の増加(前年同期は1,523百万円の資金の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却等がありましたものの、有形・無形固定資産の取得等により、1,635百万円の資金の減少(前年同期は2,397百万円の資金の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等がありましたものの、主に短期借入れによる資金の増加により、1,753百万円の資金の増加(前年同期は3,592百万円の資金の増加)となりました。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,794百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

(5) 対処すべき課題

2022年度から中期経営計画「Next Stage 24」をスタートしており、新商品・新商材の社会実装を加速させ、コロナ禍後におけるお客様との価値共創、国際事業の拡充と収益力向上、ソフトウエアファースト時代の設計力・ものづくり力の強化を図るとともに、ESG経営を推進し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

<重点課題1>「コロナ禍後における顧客との価値共創」
 顧客の構造改革を支えるソリューションビジネスの拡大に向け、鉄道・自動車の自動運転、キャッシュレスサービス、CBM、駅ホーム監視システム、ロボット等の省力化に資する開発を推進し、本格的な事業化に向けた社会実装の加速に取り組みます。

 
<重点課題2>「国際事業の拡充と収益力向上」
 案件履行から保守・メンテナンス、延伸案件と市場開拓による継続的な事業展開へと、メガシティに根付いた事業展開による収益力向上を目指すと共に、海外現地化を進め、グローバル対応力強化を図ります。

 
<重点課題3>「ソフトウエアファースト時代の設計力・ものづくり力の強化」
 脱炭素、ソフトウエアファーストに対応した商材開発の強化とグループベースでの設計・生産体制の確立を図ると共に、標準化・内製化の推進と設備投資による生産性向上などにより、QCD最適化を目指します。

 

 <その他>「持続的な価値創造に向けたESG経営の推進」

  脱炭素化に向けた温室効果ガスの削減やTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures/気候関連財務情報開示タスクフォース)への参画、価値創造の原動力としてのダイバーシティの推進やすべての事業活動を通じたサステナビリティの推進などにより、企業価値向上を目指します。

 また、法改正への適切な対応等によるコンプライアンス強化、グループリスクマネジメント強化とBCP再構築にも取り組んでおり、2023年6月23日開催の第140回定時株主総会をもって監査等委員会設置会社に移行し、コーポレートガバナンス強化に努めております。