売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01717 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

当第3四半期連結累計期間における世界経済は、総じて景気の減速感が強まることとなりました。米国では、継続的な金融引き締めにより企業の設備投資意欲が減退しており、製造業を中心に景況感が悪化しています。欧州ではインフレ圧力が緩和し消費者マインドが回復傾向にありますが、世界経済の減速とコスト増を背景に企業収益が低調に推移しています。中国においても、国内消費の低迷、輸出の減速、不動産不況等の要因により景気の減速傾向が続いています。一方、我が国においては、インバウンド需要の増加や価格転嫁の進展、原材料価格の高騰が一服したこと等から製造業、非製造業共に企業収益が改善傾向にあり、雇用や所得環境も回復しています。しかしながら、2024年元日に発生した能登半島地震の影響や海外経済の減速等により、先行きの不透明感は払拭できない状況となっています。

当社グループが関わる情報通信・エレクトロニクス関連市場においては、ChatGPTに代表される「生成AI」の商用利用が徐々に始まっています。本格的な活用フェーズへの移行を控え、大容量のデジタルデータを処理できるハイパースケールデータセンターの建設が世界で進むこととなりました。自動車関連市場においては、中国の2023年の生産台数が3000万台を突破し、輸出台数は日本を抜いて世界最多となりました。電気自動車へのシフトが進み、市場を構成する国や企業の位置づけが大きく変容しつつあります。

 

こうした中で当社グループは、進行中の中期経営計画『マスタープラン2022』に基づき、「顧客接点の活性化」、「新製品・新技術開発の加速」、「ものづくり力の強化」、「経営基盤の強化」の各施策の遂行に努めました。

「顧客接点の活性化」に向けては、精機事業、光製品事業の両セグメントにおいて、国内外の展示会への出展やホームページの活用等を通じて新しい顧客と出会う機会を数多く作り、商談数を増やすことに注力しました。

「新製品・新技術開発の加速」に向けては、より幅広い領域で社会の進歩発展に貢献できる企業グループとなるべく、開発中の案件の概要と進捗状況を当社グループ内で共有するほか、引き続き技術力の研鑽に取り組みました。

「ものづくり力の強化」に向けては、材料コストの上昇や災害の発生等、不安定な調達環境下においても常に継続的に安定した購買活動を行えるよう取引先との関係強化に努めると共に、中国大連の子会社では市場環境の変化に対応して人員削減を実施し、より競争力のある生産体制の構築に努めました。

「経営基盤の強化」に向けては、前連結会計年度に新設した「サステナビリティ推進室」を中心に温室効果ガスの排出削減活動に取り組んだほか、ペーパーレス化の推進やクラウドの活用等を通して、有事の際にも事業活動を継続できる体制の構築と業務効率の向上に取り組みました。また社内でウォーキングイベントを開催する等、健康経営にも注力し、昨年8月には健康保険組合連合会より健康優良企業に認定され、「銀の認定」を取得しました。

 

こうした結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は11,845,885千円(前年同四半期比8.2%減)となりました。損益面では、付加価値の高い製品の売上が減少したことや、売上高減少の影響により固定費を吸収できず、原価率が上昇することとなりました。販売費及び一般管理費の削減に努めたものの、営業利益は642,989千円(前年同四半期比44.2%減)となりました。経常利益は、為替差益や投資不動産賃貸料等の営業外収益を計上した結果791,532千円(前年同四半期比40.6%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は中国大連の子会社で実施した人員削減に伴う退職金等の事業再編損を特別損失に計上した結果397,487千円(前年同四半期比57.8%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

①  精機関連

精機関連では、自動車向けや電子機器向けの精密成形品や、成形品を効率的に量産するための高品質な金型、高い寸法精度が要求される金属部品等を顧客に提供しております。当第3四半期連結累計期間は、電気自動車への需要の高まりを受けて、電気自動車向けのインバーター用部品やこれらを成形するための金型等の売上高が増加しました。電子機器向けの金属プレス成形品は、中国製スマートフォンの一部の需要に底打ち感がありますが、売上高は依然として低調に推移しました。

これらの結果、当第3四半期連結累計期間の精機関連の売上高は6,492,738千円(前年同四半期比1.5%増)となりました。売上高の増加に伴い、営業利益は445,708千円(前年同四半期比11.8%増)となりました。

 

②  光製品関連

光製品関連では、光通信用部品や同部品の製造工程、検査工程で使用する機器・装置、光電界センサーや光伝送装置、超小型樹脂レンズ等を顧客に提供しております。光通信関連市場は前連結会計年度の下期以降ブレーキがかっています。これを受けて光通信インフラ関連の新規設備投資が滞り、光通信用部品や同部品の製造機器・測定装置の売上は減少することとなりました。一方、足元では生成AIの利用が拡大していること等を背景に、データセンターの建設が増加傾向にあり、光コネクタや光コネクタの製造機器、測定装置等の需要が持ち直しつつあります。

これらの結果、当第3四半期連結累計期間の光製品関連の売上高は5,353,146千円(前年同四半期比17.7%減)となりました。売上高の減少に伴い、営業利益は197,280千円(前年同四半期比73.8%減)となりました。

 

 (財政状態の状況)

当第3四半期連結会計期間末の総資産は31,732,659千円となり、前連結会計年度末から389,808千円増加いたしました。流動資産は22,060,400千円となり、前連結会計年度末から301,744千円増加いたしました。その主な要因は、受取手形及び売掛金が増加したこと等に因ります。固定資産は9,672,259千円となり、前連結会計年度末から88,064千円増加いたしました。その主な要因は、連結子会社の不二電子工業株式会社がインドの自動車部品メーカー、RADIANT POLYMERS Pvt. Ltd.に出資し、投資有価証券が増加したこと等に因ります。

当第3四半期連結会計期間末の負債合計は4,809,812千円となり、前連結会計年度末から57,318千円減少いたしました。その主な要因は、買掛金や未払法人税等が減少したこと等に因ります。

当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は26,922,846千円となり、前連結会計年度末から447,127千円増加いたしました。その主な要因は、為替換算調整勘定が増加したこと等に因ります。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

 

(3) 研究開発活動

当社グループの研究開発活動の内容は、新しい事業領域に向けた新技術や新製品の開発と、既存事業のベースとなる精密金型技術や精密成形技術の開発、既存事業領域における製品改良、生産技術の改善に分類できます。

新しい事業領域に向けた新技術や新製品の開発は、精機関連・光製品関連の両セグメントにおいて実施しており、当第3四半期連結累計期間において発生した研究開発費は110,041千円となりました。

また、当第3四半期連結累計期間に、当社グループの精機関連・光製品関連の両セグメントのベースとなる精密金型技術や精密成形技術の開発に要した費用は88,728千円となり、既存事業領域における製品改良や生産技術の改善に要した費用は148,920千円となりました。

これらにより、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動費用の総額は347,691千円となりました。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。