売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02802 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

  ①財政状態及び経営成績の状況

   当第3四半期連結会計期間の財政状態及び当第3四半期連結累計期間の経営成績は次のとおりであります。

a. 財政状態

当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末と比較して83億31百万円(6.4%)減少し、1,211億31百万円となりました。これは主に商流移管による売上高の減少に伴い、受取手形、売掛金及び契約資産が89億79百万円減少したためであります。

固定資産につきましては、前連結会計年度末と比較して40百万円(0.2%)減少し、163億96百万円となりました。これは主に政策保有株式縮減を目的とした売却により、投資有価証券が7億65百万円減少したためであります。

以上のことから、当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比較して83億72百万円(5.7%)減少し、1,375億28百万円となりました。

負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末と比較して96億11百万円(14.2%)減少し、581億62百万円となりました。これは主に売上債権の減少に伴う運転資本の減少により、短期借入金が28億55百万円減少したためであります。

また、固定負債が前連結会計年度末と比較して19億14百万円(13.4%)増加し、161億77百万円となりました。これは主に繰延税金負債が8億28百万円増加したためであります。

以上のことから、当第3四半期連結会計期間末における負債の部全体では前連結会計年度末と比較して76億97百万円(9.4%)減少し、743億39百万円となりました。

また、純資産は前連結会計年度末と比較して6億74百万円(1.1%)減少し、631億88百万円となりました。これは主に配当金の支払い等により利益剰余金が16億17百万円減少したためであります。

 

b. 経営成績

 当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・ハマス紛争などの地政学リスクにより、国際情勢の不確実性が高まっております。更に各国のインフレ抑制のための金融引き締めにより、世界経済は景気停滞局面が続いております。

 我が国の経済については、物価高や海外経済の減速など景気下押し要因があるものの、賃上げによる個人消費の持ち直しや、円安を追い風にした訪日外国人旅行者数増加によるインバウンド需要の拡大、活発な設備投資など、景気回復の期待感が続いております。

 当社グループが主力事業を展開するエレクトロニクス業界においては、スマートフォン・PC・民生等の需要は低調な状況が継続しており、産業機器関連や一部車載関連においても顧客の在庫調整が進んできております。一方で、EV関連のパワーデバイス・DX(デジタルトランスフォーメーション)関連・GX(グリーントランスフォーメーション)関連・生成AIサーバ関連等は引き続き好調に推移しております。

 このような状況のもと、当社グループの電子部品事業においては、車載関連用途のICは一部の製品で続いていた供給難も解消され、国内自動車向けは堅調な需要に支えられ、商流移管による減少の影響を除くと、販売が増加しました。一方で民生機器をはじめとする他の分野では中国市場の低迷と顧客の在庫調整が続いており、商流移管の影響もあり、対前年同期比で減収となりました。

 電子・電気機器事業においては、パッケージ用PCBなどへの設備投資は先送りの傾向が出ており、顧客において在庫調整が進んでおりますが、真空・理化学関連において前年度の先行手配の受注残を出荷できたことなどにより、対前年同期比で増収となりました。

 

 工業薬品事業においては、主に中国の景気低迷により化粧品原料の需要が回復せず、対前年同期比で減収となりました。

 

 この結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は1,403億73百万円(前年同期比19.8%減)となりました。

 損益面につきましては、当第3四半期連結累計期間の連結売上総利益は206億27百万円(同17.3%減)となり、連結販売費及び一般管理費として142億88百万円(同2.3%増)を計上した結果、連結営業利益は63億38百万円(同42.3%減)、連結経常利益は59億43百万円(同44.0%減)となり、特別利益として投資有価証券売却益1,346百万円、特別損失として貸倒引当金繰入額1,148百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は40億8百万円(同46.3%減)となりました。

 また、1株当たり四半期純利益は214円13銭となり、前年同四半期より177円94銭減少いたしました。

 

 報告セグメント別の概況につきましては、以下のとおりです。

[電子部品事業]

 電子部品事業では、車載関連用途のICが国内向けを中心に引き続き堅調に推移しましたが、テレビ等の民生機器分野やPC・スマートフォンなど情報通信・モバイル分野を中心に中国・欧州など各国の景気低迷の影響を受けました。また、大手半導体メーカー製品の商流変更による減収に加え、前年度における連結売上総利益の押し上げ要因となった円安進行による為替影響も当第3四半期連結累計期間は軽微でありました。

 その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,113億50百万円(前年同期比24.5%減)となり、販売減少に伴う利益額の減少等の要因により、セグメント利益は47億60百万円(同44.8%減)となりました。

 

[電子・電気機器事業]

 電子・電気機器事業では、真空・理化学関連機器では長納期化対策の先行手配や前年度受注分の出荷などにより販売が増加しました。また半導体関連においても部品長納期化による納期遅延分や一部顧客の設備増強などによる装置が納入できたことにより、販売が伸長しました。

 その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は202億64百万円(前年同期比14.6%増)となりましたが、次世代装置の開発費用の増加等により、セグメント利益は14億66百万円(同15.2%減)となりました。

 

[工業薬品事業]

 工業薬品事業では、石油精製・石油化学分野における国内販売は比較的堅調でしたが、海外向けは石油石化・紙・パルプ分野ともに需要の停滞が続いております。また化粧品基剤においても主力の化粧品原料販売が中国経済の停滞により需要が回復していないことに加え、中国の自国ブランド化粧品の台頭により販売が減少し、対前年同期比で減収となりました。

 その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は84億25百万円(前年同期比11.1%減)となり、原材料費の高騰及び販売減少に伴う利益額の減少などにより、セグメント利益は1億62百万円(同82.1%減)となりました。

 

[その他の事業]

その他の事業では、当社の業務・物流管理全般の受託事業と太陽光発電事業を行っております。当第3四半期連結累計期間の売上高は8億37百万円(前年同期比10.5%減)、太陽光発電事業において修繕費を計上したことにより、セグメント利益は4百万円(同97.7%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは60億96百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは7億82百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは76億87百万円の支出、現金及び現金同等物に係る換算差額が3億36百万円の増加となったため、現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比較して4億70百万円減少し、当第3四半期末は162億80百万円となりました。

 

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、業績動向に加えて、取引状況によって変動する売上債権、棚卸資産及び仕入債務等の運転資本にも影響を受けます。当第3四半期連結累計期間においては、棚卸資産の増加額35億88百万円等の支出要因がありましたが、売上債権の減少額119億16百万円、税金等調整前四半期純利益61億35百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは60億96百万円の収入となりました。なお、前年同四半期には、棚卸資産の増加額137億67百万円等により、134億3百万円の支出となっておりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動として、主に新規事業に係る投資や工業薬品事業における製造及び研究設備の更新等の資本的支出を行っております。当第3四半期連結累計期間においては、有形固定資産の取得による支出4億96百万円等の支出要因がありましたが、政策保有株式縮減に伴う投資有価証券の売却による収入16億98百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは7億82百万円の収入となりました。なお、前年同四半期には有形固定資産の取得による支出3億62百万円等により、3億98百万円の支出となっておりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動として、当社グループの営業活動に必要な資金は主に金融機関からの借入による調達を行っております。また、2021年4月より開始している中期経営計画「Change & Co-Create 2024」では、株主への還元方針として、配当と自己株式の取得による「総還元性向100%」を目標としております。当第3四半期連結累計期間においては、長期借入による収入61億円等の収入要因がありましたが、短期借入金の返済による支出(純)36億円、配当金の支払額54億53百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは76億87百万円の支出となりました。なお、前年同四半期には短期借入金による収入(純)149億円等により、116億8百万円の収入となっておりました。

 

③半導体市況の当社グループへの影響

 新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークや巣ごもり消費の拡大により、2020年度第4四半期(2021年1月~3月)から世界的な半導体不足が表面化しました。当第3四半期連結累計期間においては、産業機器関連や一部車載関連においても顧客の在庫調整が進んできており、PC、スマートフォン及び民生機器向け等については需要の減少により供給過剰状態になっていると見られます。

 当社グループでは、最終製品の需要動向に注視しながら適正な在庫水準の維持に努めておりますが、半導体製品の取引価格やサプライチェーンにおける在庫水準の変動、及び顧客企業の生産計画の変更等、市場動向の変化が今後の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は、2億74百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。