売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02308 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)業績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年9月30日)における世界経済を概観しますと、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、エネルギー問題、世界的な高インフレ、各国の利上げ政策等、不透明感が続く状況となりました。

米国は政策金利の引き上げによる企業の経済活動の下押しがありましたが、良好な雇用情勢や実質賃金の上昇により個人消費は堅調に推移し、プラス成長を維持しました。欧州は基調的なインフレ圧力からの利上げ継続等を背景に住宅や設備投資が低迷し、物価上昇に伴い個人消費も減少する等、景気の低迷が継続しました。中国経済はゼロコロナ政策の解除を機に急回復をみせたものの、コロナ後に反発した商品、外食や観光といったサービス業におけるリバウンド需要は一巡し、個人消費は伸び悩みました。加えて不動産投資も低迷が続き、景気に減速感が見受けられました。日本はコロナ禍から経済活動の正常化が進み、個人消費や外食、宿泊等のサービス消費が緩やかに回復しました。また雇用情勢は改善し、設備投資も増加基調となりました。

当社グループ関連市場では、レンズ交換式カメラ市場は前年同期比で数量ベースでは微増、金額ベースでは約1割強増となりました。内訳としては、一眼レフカメラは数量ベース、金額ベースとも4割弱減と大幅減となりましたが、ミラーレスカメラは、数量ベース、金額ベースとも約2割増となりました。交換レンズは前年同期比で数量ベースではほぼ横ばい、金額ベースでは高付加価値品への需要の継続により微増となりました。

平均為替レートにつきましては、前年同期比で米ドルは約10円、ユーロは約14円の円安となりました。

このような状況のもと、当社グループの当第3四半期連結累計期間における経営成績は、主力の写真関連事業および車載事業を主とするモビリティ&ヘルスケア、その他事業の販売が好調に推移し、円安進行によるプラス影響もあったことから、売上高は517億83百万円(前年同期比8.5%増)となりました。

利益面につきましては、売上総利益率の高い写真関連事業の販売が好調に推移したことや、原価低減に注力した効果等による売上総利益率の向上により、営業利益は101億82百万円(前年同期比15.9%増)、経常利益は105億15百万円(前年同期比12.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は79億56百万円(前年同期比16.6%増)となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

(写真関連事業)

自社ブランド製品は、ソニーEマウント用が2021年発売の大口径望遠ズームレンズ 35-150mm F/2-2.8 VXD (A058)や大口径標準ズームレンズ28-75mm F/2.8 VXD G2 (A063)等を中心に好調を維持したことに加え、2022年下期発売の超望遠ズームレンズ 50-400mm F/4.5-6.3 VC VXD (A067)や大口径標準ズームレンズ20-40mm F/2.8 VXD (A062)の新製品投入により業績を牽引しました。更に2023年5月に富士フイルムXマウント用大口径超広角ズームレンズ11-22mm F/2.8 RXD (B060)、9月にニコンZマウント用大口径望遠ズームレンズ35-150mm F/2-2.8 VXD (A058)を発売しマウント展開を加速したことにより、ミラーレスカメラ用交換レンズが大幅増収となり、2桁増収となりました。なお、A062、A067が欧州で権威のある写真・映像関連製品の賞「EISAアワード2023」を2機種同時に受賞し、18年連続受賞達成となりました。OEMも市場の堅調な推移等に伴いカメラメーカーへの交換レンズの供給が好調に推移し、増収となりました。

このような結果、写真関連事業の売上高は376億33百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は104億54百万円(前年同期比18.7%増)となりました。

(監視&FA関連事業)

監視やFA/マシンビジョン用レンズは、FA分野は好調ながらも、監視分野ではコロナ禍終息や半導体不足緩和等に伴うカメラメーカーの在庫適正化の動きを受け、当社からのレンズ供給が伸び悩みました。中国においてもウィズコロナへの政策転換後の市場回復が弱く、開発の後ろ倒し等もあり低調に推移し減収となりました。また、カメラモジュールも同様に伸び悩み、TV会議用レンズは2022年における急回復の反動減で、今期は大幅減収となりました。

このような結果、監視&FA関連事業の売上高は77億44百万円(前年同期比11.8%減)、営業利益は6億78百万円(前年同期比41.9%減)となりました。

(モビリティ&ヘルスケア、その他事業)

車載カメラ用レンズは、半導体不足や顧客の在庫適正化等の動きもありましたが、急速に進む安全運転支援システム(ADAS)の普及による旺盛な需要を背景に、センシング用途を中心に好調を維持し、2割以上の大幅増収となりました。一方で、コンパクトデジタルカメラ用やビデオカメラ用レンズは市場の縮小や既存製品の伸び悩み等の影響を受けました。注力分野の医療用レンズでは、当社の強みである極小径や薄膜技術で低侵襲を可能にする製品ラインナップの増加により大幅増収を果たすとともに、今後の事業拡大を見据えて分光・蛍光技術を活かした製品開発を継続し、新規案件の獲得や既存顧客との関係強化を図りました。

このような結果、モビリティ&ヘルスケア、その他事業の売上高は64億5百万円(前年同期比28.7%増)、営業利益は11億77百万円(前年同期比50.8%増)となりました。

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は860億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ104億59百万円増加いたしました。うち、流動資産が76億83百万円増加し、629億89百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が45億44百万円、現金及び預金が11億43百万円、仕掛品10億15百万円増加したことによるものであります。固定資産は27億76百万円増加し、230億26百万円となりました。これは主に、ベトナム新工場建設等に伴う有形固定資産その他(建設仮勘定)10億36百万円、無形固定資産(借地権他)4億95百万円、工具、器具及び備品3億34百万円、機械装置及び運搬具3億13百万円がそれぞれ増加したことによるものであります。

また負債は173億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億83百万円増加いたしました。うち、流動負債が18億80百万円増加し、145億66百万円となりました。これは主に買掛金が23億62百万円増加したことによるものであります。固定負債は5億3百万円増加し、27億98百万円となりました。これは主に繰延税金負債が2億84百万円増加したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ80億75百万円増加し、686億50百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益が79億56百万円、円安が進み為替換算調整勘定が25億70百万円増加したことによるものであります。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

(4)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、44億2百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。