売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00703 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を一部変更しており、当第3四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいています。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.事業セグメント」の「(4)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

 

(1) 財政状態および経営成績の状況

当社グループはMissionに「人材能力とコア技術の多様性」を成長の原動力として、高い競争力を有する特徴ある製品・サービスの創出によりお客さま価値を実現し、「人々の豊かな生活」の実現に寄与することを掲げています。

このMissionのもと、2030年のあるべき姿をサステナビリティビジョン(長期ビジョン)とし、バックキャストして2023年に目指すべき中期ビジョンとそこに至るための戦略を第7次中期経営計画として定めています。第7次中期経営計画では、これまでに獲得・構築したグローバルベースの事業基盤を最大限に活用し、シナジーの最大化による成長基盤の確立を目指しています。

当第3四半期連結累計期間におけるグローバル経済情勢は、景気は持ち直しているものの、欧米を中心とした金融引き締めや地政学的なリスクなどによる景気減速の懸念がくすぶり、依然として先行き不透明な状況が継続しています。アメリカでは底堅い個人消費や雇用情勢を背景に景気は回復しましたが、ヨーロッパではインフレや内外需の低迷が重石となり景気が停滞しました。中国では内外需の減少や貿易摩擦の影響により、景気の回復が鈍化しました。わが国の経済については、自動車の生産活動は底堅く推移したものの、低調な外需を受けて、電子部品などの生産活動が減退し、景気回復の動きは緩やかなものとなりました。

このような状況の下、当社の業績については、産業資材事業のモビリティ向けの製品需要が供給制約の緩和を背景に堅調に推移し、メディカルテクノロジー事業の開発製造受託(CDMO)の需要が活発な市場環境の下で拡大しました。一方で、ディバイス事業のタブレット向けの製品需要がコロナ特需の一巡などにより大幅に減少し、産業資材事業の蒸着紙の需要がサプライチェーン在庫の調整長期化により減退しました。製品需要の動向が利益を強く圧迫するなか、メディカルテクノロジー事業ではインフレなどによるコスト増加に対して生産性や効率性の改善に取り組み、収益性が向上しました。

これらの結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は1,238億85百万円(前年同四半期比12.4%減)、利益面では営業損失は4億14百万円(前年同四半期は96億80百万円の営業利益)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は5億75百万円(前年同四半期比95.1%減)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりです。

 

産業資材

産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブル資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。

当第3四半期連結累計期間においては、加飾分野のモビリティ向けの製品需要は堅調に推移したものの、蒸着紙の製品需要はサプライチェーン在庫の調整の影響などにより低迷し、売上高および営業利益は前年同四半期比で減少しました。

 

その結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は510億33百万円(前年同四半期比7.1%減)となり、セグメント利益(営業利益)は19億4百万円(前年同四半期比58.0%減)となりました。

 

ディバイス

ディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でタブレット、業務用端末(物流関連)、モビリティ、携帯ゲーム機などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。

当第3四半期連結累計期間においては、コロナ特需が一巡したことなどにより、タブレットや業務用端末向けなどの製品需要が大幅に減退し、売上高および営業利益は前年同四半期比で減少しました。

その結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は409億85百万円(前年同四半期比28.4%減)となり、セグメント損失(営業損失)は15億25百万円(前年同四半期は65億39百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

 

メディカルテクノロジー

メディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲医療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在は欧米中心に大手医療機器メーカー向けの開発製造受託(CDMO)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。

当第3四半期連結累計期間においては、活発な市場環境の下、主力のCDMOの製品需要が堅調に推移し、売上高は前年同四半期比で伸長しました。インフレなどによるコスト増加に対し、生産性や効率性の改善に取り組み、営業利益は前年同四半期比で増加しました。

その結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は262億55百万円(前年同四半期比11.8%増)となり、セグメント利益(営業利益)は13億8百万円(前年同四半期比764.8%増)となりました。

 

当第3四半期連結会計期間末における総資産は2,279億61百万円となり、前連結会計年度末(2022年12月期末)に比べ22億50百万円減少しました。

流動資産は1,143億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ110億24百万円減少しました。主な要因は、棚卸資産が8億58百万円増加した一方、現金及び現金同等物が94億98百万円、営業債権及びその他の債権が32億33百万円減少したこと等によるものです。

非流動資産は1,135億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ87億73百万円増加しました。主な要因は、為替換算の影響によりのれんが25億67百万円、リースの再測定等により使用権資産が13億54百万円、新規および追加取得等により持分法で会計処理されている投資が31億90百万円、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等により、その他の金融資産が12億71百万円増加したこと等によるものです。

当第3四半期連結会計期間末における負債は1,118億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億20百万円減少しました。

流動負債は489億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ86億33百万円減少しました。主な要因は、借入金が17億65百万円増加した一方、営業債務及びその他の債務が114億32百万円、未払法人所得税等が6億22百万円減少したこと等によるものです。

非流動負債は628億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億13百万円増加しました。主な要因は、社債及び借入金3億59百万円リースの再測定等によりリース負債が11億94百万円、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等により、繰延税金負債が5億74百万円増加したこと等によるものです。

当第3四半期連結会計期間末における資本は1,160億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ45億69百万円増加しました。主な要因は、剰余金の配当等により利益剰余金が21億41百万円減少したことに加え、自己株式の取得等により自己株式が10億56百万円増加した一方、為替換算等の影響によりその他の資本の構成要素が77億54百万円増加したこと等によるものです。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ94億98百万円減少し、448億27百万円となりました。

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は6億76百万円(前年同四半期は79億2百万円の獲得)となりました。これは税引前四半期利益9億98百万円の計上に対して、減価償却費及び償却費として68億58百万円、営業債権及びその他の債権の減少額として55億13百万円、棚卸資産の減少額として14億83百万円計上した一方、営業債務及びその他の債務の減少額として122億69百万円、法人所得税の支払として26億38百万円計上したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は49億30百万円(前年同四半期比3.6%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得として24億89百万円、関係会社株式の取得として30億12百万円支出したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は70億32百万円(前年同四半期は25億58百万円の獲得)となりました。これは主にリース負債の返済による支出として14億81百万円、長期借入金の返済による支出として11億62百万円、自己株式の取得による支出として11億69百万円、親会社の所有者への配当金の支払として29億41百万円計上したこと等によるものです。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(4) 財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針

当第3四半期連結累計期間において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は33億53百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。