E01032 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う制約が緩和され、訪日観光客の増加による消費の回復が見られるなど、経済活動の正常化が進んでおります。しかしながら、急激な円相場の変動や原材料の価格高騰などが続いており、依然として先行き不透明な状況にあります。
世界経済におきましては、行動制限の緩和により、米国を中心に景気は持ち直しつつあります。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化を背景に、世界的な原材料の価格高騰や物流の混乱が続いております。加えて、パレスチナ・イスラエルにおいても情勢の緊迫化が続いており、長期的な世界経済への影響が懸念されております。
当社を取り巻く業界におきましては、家電分野では、付加価値の高いミラーレスカメラの需要が好調で、当社ではタイや中国でミラーレスカメラをはじめとするデジタルカメラ部品の受注が増加を続けております。自動車関連部品では、半導体不足等を背景とした得意先の生産調整による減産が落ち着き、需要・受注は増加傾向にあります。前期に好調だったプリンター部品におきましては、世界的な需要の減少に伴い、得意先からの受注が減少を続けております。電子ペン部品では、テレワークや在宅勤務の定着を背景に増加傾向にあった需要が落ち着き、受注は減少に転じました。医療機器関連では、高齢化社会を背景とした医療ニーズの高まりに伴い需要は拡大傾向にあり、得意先から安定的に受注を獲得しております。
このような経済環境の中、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が薄れ、デジタルカメラ部品や自動車関連部品では得意先からの受注が増加したものの、世界情勢の緊迫化などを背景とした受注の減少もあり、売上高はほぼ横ばいとなりました。一方で、省人化・省力化を図り、固定費をはじめとした経費削減に努めたことにより、営業利益及び経常利益は増益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益におきましては、法人税等が1億1千8百万円増加したものの、前年度に計上した過年度決算訂正関連費用2億5千4百万円が無くなったため、増益となりました。その結果、当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高は201億2千7百万円と前年同四半期と比べ8百万円(0.0%)の減収となりほぼ横ばいでしたが、営業利益は15億8千7百万円と前年同四半期と比べ1億4千3百万円(10.0%)の増益、経常利益は19億9千7百万円と前年同四半期と比べ1億7千4百万円(9.5%)の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は14億8千3百万円と前年同四半期と比べ2億9千6百万円(24.9%)の増益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① プラスチック成形事業
当セグメントにおきましては、デジタルカメラ部品や自動車関連部品は得意先からの受注が増加傾向にありますが、プリンター部品や電子ペン部品、金型では受注が減少し、売上高はほぼ横ばいとなりました。しかしながら、省人化・省力化を図り、固定費をはじめとした経費削減に努めたことにより、増益となりました。その結果、当第3四半期連結累計期間において、売上高はセグメント間の内部売上高を含めて191億9千1百万円と前年同四半期と比べ2千3百万円(0.1%)の減収となりほぼ横ばいでしたが、セグメント利益(営業利益)は15億7千8百万円と前年同四半期と比べ2億2千2百万円(16.4%)の増益となりました。
② 精密プレス部品事業
当セグメントにおきましては、電子ペン部品や医療機器部品の売上高は堅調に推移しております。デジタルカメラ部品では、受注は回復の兆しがあるものの、売上高は依然低調に推移いたしました。自動車関連部品においては、受注回復に時間を要しており、低調が続いております。また、原材料の値上げにより続いていた付加価値の圧迫は、価格交渉により軽減され始めました。その結果、当第3四半期連結累計期間において、売上高はセグメント間の内部売上高を含めて7億7千2百万円と前年同四半期と比べ9千8百万円(14.6%)の増収となりましたが、セグメント損失(営業損失)は2千1百万円(前年同四半期はセグメント損失(営業損失)1千1百万円)となりました。
③ プリント基板事業
当セグメントにおきましては、設計部門では、得意先からの受注が減少しており、前期に好調だった設計業務の売上高は減収となりました。検査部門におきましても、得意先からの受注減少に伴い減収となりました。その結果、当第3四半期連結累計期間において、売上高はセグメント間の内部売上高を含めて2億3千3百万円と前年同四半期と比べ6千5百万円(22.0%)の減収となり、セグメント利益(営業利益)は3千1百万円と前年同四半期と比べ6千8百万円(68.5%)の減益となりました。
当第3四半期連結会計期間末の財政状態は、流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ8億6千8百万円増加し、188億6千5百万円となりました。現金及び預金が7億1千8百万円、原材料及び貯蔵品が2億8千5百万円それぞれ増加し、その他(流動資産)が1億6千6百万円減少したことなどが主な要因です。
固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ9億7千4百万円増加し、89億1千8百万円となりました。有形固定資産が9億1千8百万円増加したことなどが主な要因です。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ18億4千3百万円増加し、277億8千3百万円となりました。
また、流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3千3百万円減少し、76億1千3百万円となりました。支払手形及び買掛金が1億4千3百万円、短期借入金が5億3千万円それぞれ減少し、電子記録債務が6億2千9百万円増加したことなどが主な要因です。
固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3億5千5百万円増加し、24億2千6百万円となりました。長期借入金が2億5千7百万円増加したことなどが主な要因です。
この結果、負債の部は、前連結会計年度末に比べ3億2千1百万円増加し、100億3千9百万円となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ15億2千1百万円増加し、177億4千3百万円となりました。利益剰余金が9億3千4百万円、為替換算調整勘定が4億2千9百万円それぞれ増加したことなどが主な要因です。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、特に定めておりません。
(3) 研究開発活動
当社グループにおけるセグメント別の研究開発活動は、プラスチック成形事業における当社が所有する金型の設計・加工、プラスチックの成形・組立・加飾の技術開発であります。
当社グループにおきましては、案件ごとに個別プロジェクトを発足し、各部署が連携して技術開発を進めております。プロジェクトの体系では、独立した組織ではなく、費用区分が困難なため、研究開発費としての算出をしておりません。
(4) 生産、受注及び販売の実績
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う制約の緩和が進む一方で、世界情勢の緊迫化などを背景とした需要の減少による影響を受け、当社グループ全体としての受注は減少し、当第3四半期連結累計期間における売上高は前年同期と比べほぼ横ばいとなりました。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループの取り扱い品目は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション、電子ペン部品等であり、個人消費の動向をはじめ全般的な景気動向が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループ内の取引は、基本的に米ドルによる取引であるため為替の動向次第では当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響につきましては、当第3四半期連結累計期間においては先進国を中心とした経済活動の正常化を背景に、得意先からの受注は回復傾向にあります。今後は感染拡大による影響が薄れ、受注の回復に伴い売上高や在庫が増加していくものと考えられます。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループでは、各部署からの最新の情報等を入手し、今後の事業展開の判断材料となるよう毎週取締役及び各部署長による会議を開催しております。また、経営環境の変化に速やかに対応できるよう、主要な部署に取締役を配置しております。
今後におきましても、得意先の要求に対して、高技術化、スピード化で対応できるよう、当社グループ全体で機敏な営業展開に努めるとともに、積極的に新規分野への進出を視野に入れ事業活動を展開してまいります。特に、主力のデジタル家電機器関連、自動車関連部品を中心とした受注及び収益力の拡大を図り、更なる新事業を開拓するため、設備投資等による新技術の開発や業務の効率化を図ります。また、製造のグローバル化に対応するため海外企業間の直接取引を拡大し、連結業績の向上に努めてまいります。