売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02386 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業では、販売が堅調な自動車業界が全体をけん引し、非製造業では、需要が回復している宿泊・飲食サービスが好調を維持したほか、価格転嫁の進展などがあり、企業の景況感は改善いたしました。海外に目を転じますと、中国経済では、ゼロコロナ政策解除を機に、2023年に入り急回復した景気が、春以降は巣ごもり需要の終息などによる世界的な財需要の低迷を受け、減速いたしました。欧州経済については、内需の面では、エネルギーや財価格の落ち着きを受けてインフレ率の騰勢が鈍化し、サービス業を中心とするコロナ禍からの雇用復元の動きにより、家計の購買力を下支えしておりますが、外需の面では、ユーロ圏外向け実質輸出はコロナ前を下回る水準で減少傾向となりました。米国経済においては、非製造業は、事業活動の拡大や新規受注の増加により、経済活動が底堅く推移しております。一方、製造業は、部材のリードタイムの改善など供給制約は緩和しているものの、巣ごもり需要の終息や金融引き締めなどにより、財需要が低迷しております。このように世界経済は、半導体の供給制約の解消で輸送機械関連の生産が増加したものの、デジタル関連財や資本財の生産が不振となり、製造業の景況感はなお低迷が続いているほか、これまで景気を下支えしてきたサービス業の改善ペースも一服し、全体を押し下げるなど、依然として先行き不透明な状況にあります。

 当社グループの主要顧客であります自動車メーカーにつきましては、日本市場では、当第3四半期連結累計期間において、対前年同期比で、生産台数、販売台数ともに上回る状況となりました。海外におきましても、半導体の供給制約の緩和などを受け、当第3四半期連結累計期間の対前年同期比で、中国市場、欧州市場、米国市場をはじめ各国の市場で、生産台数、販売台数ともに上回る状況となりました。

 このような状況の中、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比16.9%増の2,737億7千9百万円となりました。

 利益面では、原材料価格や電気代の高騰などを受けたものの、減価償却費や人件費などの固定費の増加の抑制に努めたことにより、営業利益は前年同期比23.7%増の315億1千3百万円となりました。経常利益は円安が進み為替差益が発生したことにより、前年同期比19.1%増の346億4千2百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比26.3%増の234億8百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

各セグメントの売上高は、外部顧客に対するものであります。

 

① 合成樹脂成形品事業

合成樹脂成形品事業は、国内においては、自動車の生産活動が持ち直したことなどを受け、増収となりました。海外におきましても、欧州、米国及び韓国などにおいて自動車の生産台数が持ち直したことや、半導体の供給制約の緩和などを受けたこと、為替が円安に向かったことなどを受け、全体として増収となりました。利益面においては、原材料価格や電気代の高騰などを受けたものの、減価償却費や人件費などの固定費の増加の抑制に努めたことにより、増益となりました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の合成樹脂成形品事業の売上高は前年同期比17.6%増の2,476億2千2百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年同期比23.4%増の310億4千6百万円となりました。

 

② ベッド及び家具事業

ベッド及び家具事業は、国内・海外ともにホテル向け需要が高まり、加えて国内においては販売店向け・輸出向けが順調に伸び、海外においても中国を中心に卸・小売向けが伸びて、円安による為替影響もあり、増収増益となりました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間のベッド及び家具事業の売上高は前年同期比10.4%増の261億5千7百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年同期比7.2%増の43億9千9百万円となりました。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの主要なマーケットである自動車産業については、グローバル・ベースでは感染症の沈静化に伴い過去数年間の低迷期から脱却しつつあり、また、半導体等の部品不足も回復傾向にありますが、地政学上の様々な変化も起きていることから、顧客要求も多様化、複雑化しております。

 そのため、当社グループが更に飛躍・成長するには、これらの課題及びニーズに的確に対応しグローバル・ベースでの顧客満足度を向上させることが重要であります。

 その課題達成に向けて、各ユーザーのニーズを的確かつ迅速に対応し得る商品と生産工程に関わる技術の構築、働き方の改善、人材育成及びニフコ流JOB型人事体系の構築、セキュリティの確保とIT活用の推進を考慮した情報システムの構築に注力するとともに、グローバル各社の予実管理を更に強化し、海外地域統括制の導入による地域内拠点間の協力体制の構築、現地での迅速な意思決定の推進等を図っております。

 また、当社では他社の知的財産権を尊重し、当社の商品が他社の知的財産権を侵害しないよう開発段階から特許調査を行うことで他社の知的財産権に対する侵害回避に努め、知的財産に関する訴訟リスクの低減を図っております。なお、当期におきましては、知的財産権に関する問題で第三者から訴訟を提起された事案はございません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、28億3千3百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループでは、日系自動車メーカーを中心に各国自動車メーカーに対する売上比率が高い水準にあり、これら自動車メーカー向け製品の需要については経済状況により影響を受けますが、主要市場である日本、米国、中国のうち日本国内における自動車の販売については長期的に見ると減少傾向にあります。

 そのため、グローバル化を進めておりますが、特に米国あるいは中国の経済状況が不調に陥った場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響が及ぶことが予想されます。

 また、当社グループは、原油価格及びナフサ等の石油製品の価格が高騰し、その期間が長期に及ぶ場合には原材

料価格の上昇により、経営成績に影響が生じる可能性があります。

 なお、当社グループは、取引先からの価格値引き要請に対して生産コストの削減等の努力をしておりますが、予想以上に値引き要請が強い場合、経営成績に重要な影響を受ける場合があります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資産・負債及び純資産の状況

 当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ208億6千6百万円増加して、3,800億1千7百万円となりました。主な増加要因としては、売掛金が81億6千6百万円、有形固定資産が28億9千1百万円それぞれ増加しております。また、現金及び預金が54億3千4百万円増加したことなどによるものです。

 当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ84億3千9百万円減少して、1,245億8千3百万円となりました。主な減少要因としては、支払手形及び買掛金が38億1千9百万円増加したものの、1年内返済長期借入金が71億4千9百万円、短期借入金が29億2百万円それぞれ減少したことなどによるものであります

 当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ293億6百万円増加して、2,554億3千3百万円となりました。主として利益剰余金が119億9千8百万円増加したこと、及び円安により為替換算調整勘定が136億4千7百万円増加したことなどによるものであります。この結果、自己資本比率は66.4%、1株当たり純資産は2,540円23銭となりました。

 

② 資金需要

当社グループの運転資金は、主に製品製造過程に供される原材料や部材の購入のほか、製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、人件費、物流費、研究開発費であります。これらの必要資金は、利益の計上から生み出した内部資金により賄っております。

 設備投資資金については、その投資に際し、投資採算及びキャッシュ・フローを重視し実施しております。これら設備投資の資金は、原則として減価償却費及び利益の計上から生み出された内部資金の一部を充当することとしておりますが、国内、海外での積極的な設備投資については、状況に応じて社債発行及び外部借入で調達することとしております。

 

③ 財務政策

当社グループは、健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力等により、運転資金及び設備投資資金を調達し、将来のための投資及びM&A資金などについては、長期で低利な条件での調達を実施しております。

 これにより当社グループの調達手段の多様化及び低コストでの長期安定資金の調達が実現し、更に資本コストの引き下げ効果及び、設備投資効果と相俟って、今後も財務体質は引き続き安定して推移するものと考えております。

 

(7)経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識については、「(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」並びに「(5) 経営成績に重要な影響を与える要因」において説明したとおりであります。

 今後の方針については、当社グループのビジネスがますますグローバル化していく中で、各市場及び顧客ごとのニーズをくみ上げた事業展開を図ることにより優良企業として長期的な観点から企業価値を高めていきます。