売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E32292 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、2023年5月から新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という)の法律上の取扱いが引き下げられ、経済社会活動の制限が取り除かれたことなどを背景に、景気は緩やかに回復いたしました。しかしながら、国内の物価上昇や為替相場での円安の進行のほか、世界的な金融引き締め政策の継続や地政学リスクの拡大などを背景とした景気後退懸念など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 物流業界におきましては、国内ではインフレの進行等を背景に、足元の宅配便需要は不安定な状況が継続しておりますが、コロナ禍を契機に新たな生活様式として幅広い世代でeコマース(以下「EC」という)利用が定着し、宅配便に対するニーズは多様化しております。また、2024年4月から適用される自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制(以下「2024年問題」という)に向けた対応や、急激なインフレの進行等を背景に、当社グループを含む大手事業者を中心に価格改定の動きが進行しております。加えて、「2024年問題」への政府の対策として、2023年6月に関係閣僚会議において「物流革新に向けた政策パッケージ」が策定され、2023年10月には「物流革新緊急パッケージ」が閣議決定されました。このように政府からも、荷主企業、物流事業者、一般消費者が協力して輸送力不足に対応するための環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容を進める方針が示され、持続可能な物流を実現するための取組みが推進されております。また、国際物流市場では、世界経済の減速などに伴い、海上・航空貨物の需要は低調に推移しております。

 当社グループにおきましては、2023年3月期から2025年3月期までの中期経営計画「SGH Story 2024」の2年目として、引き続き、総合物流ソリューションの高度化を推し進め、グループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL(GO Advanced Logistics)」(以下「GOAL」という)を中心に、脱炭素をはじめとした社会・環境課題解決に向けたサービスや、宅配便以外の付加価値を提供するソリューション「TMS(Transportation Management System)」(以下「TMS」という)などの提案営業を積極的に行ってまいりました。また、持続的成長に向けた当連結会計年度の重点的な取組みとして、従業員に対する給与の引き上げやパートナー企業との関係強化などの社内外リソースの強靭化とサービス領域拡張による成長基盤の確立を強化ポイントとして各種施策に取り組んでおります。加えて、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーの活用や環境に配慮した物流施設の開発等、当社グループの温室効果ガス排出量を削減することにとどまらず、効率的な物流サービスの提供によりお客様の環境負荷低減に貢献するなど、サプライチェーン全体を見据えた環境負荷低減の取組みを進めてまいりました。

 このような状況のもと、当社グループの中核事業であるデリバリー事業におきましては、物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、宅配便の取扱個数は減少いたしました。一方で、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みにより、平均単価は上昇いたしました。また、2023年12月から、住友商事株式会社、米国のスタートアップ企業でAIロボティクスソフトウェアの開発等を行うDexterity, Inc.と、今後の輸送力不足に対応する取組みの一環として、物流業界初の「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクトを発足いたしました。ロジスティクス事業におきましては、米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念等は継続しており、海上・航空貨物ともに取扱量が減少いたしました。また、海上・航空運賃につきましては一部では上昇も見られるものの、全体としては底這い状況が継続しております。不動産事業におきましては、計画どおり進捗しております。その他の事業におきましては、前連結会計年度において半導体不足等の影響で不振であった新車販売が回復いたしました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

 前連結会計年度に行われたTrans American及びLocher Evers Internationalとの企業結合について、当第3四半期連結会計期間に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて前連結会計年度末との比較・分析を行っております。

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は3,705億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ360億13百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金が590億34百万円減少した一方で、受取手形、営業未収金及び契約資産が156億29百万円増加したことに加え、前払費用の増加等によりその他流動資産が86億37百万円増加したことによるものであります。固定資産は5,142億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ157億94百万円増加いたしました。主な要因は、2026年度稼働予定の「関西エリア中継センター」に係る設備投資の実行等により建設仮勘定が80億72百万円増加したことに加え、車両運搬具が70億51百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は8,847億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ202億19百万円減少いたしました。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は2,031億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ257億95百万円減少いたしました。主な要因は、未払法人税等が318億50百万円、賞与引当金が68億7百万円それぞれ減少した一方で、預り金が168億11百万円増加したことによるものであります。固定負債は1,038億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ48億22百万円減少いたしました。主な要因は、有利子負債が55億11百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は3,069億31百万円となり、前連結会計年度末に比べ306億18百万円減少いたしました。

 

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は5,778億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ103億99百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益が483億48百万円、為替換算調整勘定が47億50百万円それぞれ増加した一方で、剰余金の配当326億47百万円の実施に加え、自己株式の取得により自己株式が99億71百万円増加(純資産への影響は減少)したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は63.9%となり、前連結会計年度末に比べ2.7ポイント上昇いたしました。

 

ロ.経営成績

(営業収益)

 デリバリー事業におきましては、物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、宅配便の取扱個数は減少したものの、届出運賃の改定や適正運賃収受の取組みにより、平均単価は上昇いたしました。ロジスティクス事業におきましては、米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念等は継続しており、海上・航空貨物の取扱量は減少いたしました。また、海上・航空運賃については一部では上昇も見られるものの、全体としては底這い状況が継続しております。

 この結果、営業収益は9,952億31百万円となり、前年同四半期に比べ10.8%の減少となりました。

 

(営業原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

 デリバリー事業を中心に、各種デジタライゼーションの推進など、お客様の利便性や生産性向上への取組みを継続して行ってまいりました。また、持続的成長に向けた当連結会計年度の重点的な取組みとして、従業員に対する給与の引き上げやパートナー企業との関係強化などの社内外リソースの強靭化とサービス領域拡張による成長基盤の確立を強化ポイントとして各種施策にも取り組んでおります。

 この結果、営業原価は8,766億76百万円(前年同四半期比9.0%減)、販売費及び一般管理費は468億80百万円(同2.3%増)、営業利益は716億74百万円(同32.8%減)となり、営業利益率は7.2%となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益は、受取保険配当金の計上等により34億81百万円(前年同四半期比29.7%減)となりました。営業外費用は、支払利息の計上等により13億34百万円(同1.9%減)となりました。

 この結果、経常利益は738億21百万円となり、前年同四半期に比べ33.0%の減少となりました。

 

(特別損益、税金等調整前四半期純利益)

 特別利益は、固定資産売却益の計上により1億47百万円(前年同四半期比99.7%減)となりました。特別損失は、固定資産除却損の計上等により1億12百万円(同40.7%減)となりました。

 この結果、税金等調整前四半期純利益は738億57百万円となり、前年同四半期に比べ53.8%の減少となりました。

 

(親会社株主に帰属する四半期純利益)

 法人税等263億92百万円(前年同四半期比45.8%減)、非支配株主に帰属する四半期純損失8億83百万円(前年同四半期は非支配株主に帰属する四半期純利益31億83百万円)を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は483億48百万円となり、前年同四半期に比べ55.2%の減少となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

・デリバリー事業

 主要な商品の取扱個数は、次のとおりであります。

商品の名称

前第3四半期連結累計期間

(自 2022年4月1日

至 2022年12月31日)

当第3四半期連結累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

増減

増減率

(%)

取扱個数

(百万個)

1,076

1,049

△27

△2.6

 

飛脚宅配便

(百万個)

1,037

1,012

△24

△2.4

その他

(百万個)

39

36

△2

△7.1

(注)1.取扱個数は、当社グループの主要商品の取扱個数であります。

2.飛脚宅配便は、佐川急便株式会社が国土交通省に届け出ている宅配便の個数であります。

3.その他は、佐川急便株式会社の提供する飛脚ラージサイズ宅配便及びその他の会社の取扱個数であります。

 

 デリバリー事業におきましては、物価調整後の家計消費支出の弱まり等の影響を受け、BtoB・BtoCともに取扱個数が減少いたしました。平均単価は、小型荷物の割合の上昇等による下押し要因があるものの、2023年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みの効果により上昇いたしました。「TMS」については、「GOAL」による提案営業等を継続しておりますが、前連結会計年度に受託した感染症関連案件が剥落した影響等もあり、売上高が減少いたしました。また、2023年4月から、LINE株式会社(現・LINEヤフー株式会社)が運営・開発するコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」において、「配達予定通知」や「お荷物問い合わせサービス」などがご利用いただける佐川急便LINE公式アカウントを開設いたしました。加えて、2023年12月から、住友商事株式会社、米国のスタートアップ企業でAIロボティクスソフトウェアの開発等を行うDexterity, Inc.と、今後の輸送力不足に対応する取組みの一環として、物流業界初の「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクトを発足するなど、各種デジタライゼーションの推進によるお客様の利便性や、生産性向上への取組みも継続して行ってまいりました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は7,844億34百万円(前年同四半期比2.2%減)、営業利益は661億11百万円(同18.1%減)となりました。

 

・ロジスティクス事業

 ロジスティクス事業におきましては、米国での消費者マインドには回復の兆しも見え始めたものの、物価上昇による金融引き締めなどを背景とした景気後退懸念等は継続しており、海上・航空貨物の取扱量は減少いたしました。また、海上・航空運賃については一部では上昇も見られるものの、全体としては底這い状況が継続しております。

 この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は1,634億67百万円(前年同四半期比39.2%減)、営業損失は27億14百万円(前年同四半期は営業利益179億48百万円)となりました。

 

・不動産事業

 不動産事業におきましては、計画どおり進捗しております。

 この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は55億91百万円(前年同四半期比2.2%増)、営業利益は34億10百万円(同11.5%増)となりました。

 

・その他

 その他の事業におきましては、前連結会計年度において半導体不足等の影響で不振であった新車販売が回復いたしました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間における当セグメントの営業収益は417億37百万円(前年同四半期比7.4%増)、営業利益は29億80百万円(同12.9%減)となりました。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの事業活動における運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。設備資金等については、手持資金とのバランスを勘案し、必要に応じて外部から長期借入金で調達しております。

 当社グループは、当社及び国内子会社を対象に、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を利用し、グループ内資金の包括的管理を実施しており、国内子会社において、設備投資等に伴う大規模な資金が必要となる場合は、当社が国内各子会社に長期貸付を行っております。

 海外子会社においては、当社が、投資計画・資金計画に基づいて貸付又は増資引受けを行い、地域に所在する海外各子会社の資金を管理する体制としております。また、外貨資金需要への機動的な対応と調達手段の多様化を目的として、金融機関との間に外貨建の借入枠を設定しております。なお、当社の連結子会社であるEXPOLANKA HOLDINGS PLC及び上海虹迪物流科技有限公司においては、資金調達の一部を金融機関から直接行っております。