売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E36896 


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間(2024年1月1日~2024年3月31日)における我が国の経済情勢は、ウクライナ及びロシア情勢や原材料価格の上昇、円安の進行等により企業を取り巻く環境の先行きは不透明な状況が続いておりますが、各種政策の効果や個人消費の回復などにより緩やかに持ち直していくことが期待されております。このような状況下、日本企業は更なる付加価値の向上やビジネス機会の創出、生産性の向上、それらを実現するテクノロジーの活用などに積極的に取り組んでおり、デジタルを活用した事業戦略の策定や実行、改善といった「デジタルトランスフォーメーション(DX)」のニーズは今後さらに高まっていくものと推察されます。

そうした中、当社グループは様々な業界の主要企業に対し、新規事業の開発や既存業務の変革からデジタルマーケティング、UI/UXの改善まで一連のDX支援サービスを提供できる強みを持って、ソリューション横断での案件を多数受注し、コンサルタントによる顧客企業の事業推進を手掛けてまいりました。また、2022年4月より新たに「DX×HR事業」、2022年10月からは「DX×テクノロジー事業」を展開し、それぞれ人材採用・組織構築及びシステム開発の領域に支援サービスを拡充しております。前連結会計年度には、産業医のマッチングサービスを主軸に企業の人事労務部門に豊富な顧客・案件ネットワークを保有する株式会社Dr.健康経営と、エンジニア派遣事業を営む株式会社アルトワイズがM&Aにより当社グループに加わり、DX×HR事業・DX×テクノロジー事業の更なる強化を図ってまいりました。

また2024年1月には、今後新たな株式取得や新規事業の立ち上げを通じて更なる事業領域の拡大・当社グループ全体の継続的な企業価値向上を図っていくことを見据え持株会社体制に移行し、商号を株式会社プロジェクトホールディングスと改めました。

なお、適時開示にて公表しております2023年9月8日付「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」及び同年9月13日付「代表取締役および取締役の異動(辞任)に関する経過報告」のとおり、前連結会計年度に当社共同創業者であり前代表取締役副社長グループCOOの伊藤翔太氏が辞任しております。前代表取締役副社長は主に投資・M&Aの領域を担当しておりましたため、辞任による既存事業の顧客への大きな影響はありませんでしたが、不祥事による代表者の辞任を招いた組織への不信感を主因とする従業員の離職が一定数発生したことが、短期的には業績の押し下げ要因として影響するものと考えております。

当第1四半期累計期間は、前第4四半期連結会計期間からデジタルトランスフォーメーション事業において売上総利益率が低下し(詳細は後述)、DX×テクノロジー事業においては営業人員の離職の影響で売上が減少したことに伴い売上総利益が減少しました。さらに、当第1四半期累計期間より人材育成の強化・組織の立て直しを目的として外部人材の活用や研修の充実を図ったことで、外注費(販管費)が前第4四半期連結会計期間比で23.3%増加しました。

また当社は、株主の皆さまへの還元及び株主の皆さまとの対話の強化、株主管理のDX促進を目的に、当第1四半期累計期間に株主優待制度を新設しました。株主優待制度により、当社株式の投資魅力をより一層高めるとともに、株主様のデータベースを活用したPR情報・決算情報等の配信など、より効果的な株主様との対話を実現し、企業価値の向上・事業拡大に資する取り組みを検討しております。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は1,439,296千円(前年同期比3.7%減)、営業損失は22,649千円(前年同期は228,151千円の利益)、経常損失は27,783千円(前年同期は224,928千円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は24,277千円(前年同期は136,295千円の利益)となりました。

各セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

 

(デジタルトランスフォーメーション事業)

「デジタルトランスフォーメーション事業」においては、事業会社における新規事業開発や既存業務の変革などを支援する「コンサルティングサービス」、広告代理店と事業会社の間に立ち、デジタルマーケティングの全体戦略の策定や実行推進を支援する「マーケティングサービス」、自社モニターを活用したユーザーテストソリューション「UIscope」によるスマートフォンアプリやWebページのUI/UX評価を行う「UIscopeサービス」を提供しております。

過去の支援実績、業務品質を評価いただけている既存クライアントからの追加発注と同時に、新規クライアントの獲得にも成功している状況です。また、クライアントがDXの特定領域にのみ課題を抱えることは少ないと当社グループは認識しており、例えば入り口はUI/UXについてのご相談であっても、結果的に領域をまたがるDXの課題解決のためのより本質的な提案を行う余地があるケースも多いことから、新規クライアントについても領域横断での提案を行うことによって、顧客単価向上により一層の売上高を拡大させる余地があると判断しております。当社グループの提供サービスの性質上、一度受注すれば中長期的に継続支援させていただくことが多く、前連結会計年度の売上に占めるストック売上(6か月以上の連続受注を獲得したクライアントからの売上のうち、スポットの性質が強い広告出稿やユーザーテスト等を除いたもの)の比率は93.1%となっております。

他方、中長期的な事業成長にはコンサルタント数の拡大が主要なドライバーとなる認識を踏まえ、継続的に人材採用に取り組んでおり、当第1四半期連結累計期間には14名の中途入社社員が新たに入社しております(2024年4月1日付でさらに新卒40名、中途13名が入社)。採用は計画対比でも順調に進捗している一方で、先述のとおり前連結会計年度に前代表取締役副社長グループCOOの伊藤翔太氏が辞任した経緯も影響して離職率が高位に推移しており、当事業に従事する従業員数は前第4四半期連結会計期間から減少し、付随して売上高も前第4四半期連結会計期間比で減少となりました。

その中で前連結会計年度の振り返りを踏まえ、給与テーブルを含む人事評価制度の刷新や外部人材も活用した育成の強化などの施策を当第1四半期連結会計期間から開始しており、当該施策に係る費用の増加や、従業員数が減少した中で獲得案件の一部を外部パートナーを活用してこなしたことにより外注費(原価)が増加したことを主因として、売上総利益率が前第4四半期連結会計期間比で低下しました。

これらの結果、当第1四半期連結累計期間の「デジタルトランスフォーメーション事業」におけるサービスごとの売上高は、コンサルティングサービスが951,255千円(前年同期比1.0%減)、マーケティングサービスが110,998千円(前年同期比43.5%減)、UIscopeサービスが8,448千円(前年同期比78.4%減)の計1,070,702千円(前年同期比10.5%減)となり、セグメント利益は237,138千円(前年同期比42.9%減)となりました。

 

(DX×テクノロジー事業)

「DX×テクノロジー事業」においては、IT企業などに対し、プログラミングスキルを有するエンジニア人材が顧客企業に常駐し、システム開発業務やソフトウエアテスト業務を提供する「テクノロジーサービス」を株式会社プロジェクトテクノロジーズ・株式会社アルトワイズの2社体制で提供しております。顧客企業のエンジニア人材に対するニーズは引き続き強いと認識しておりますが、前連結会計年度にプロジェクトテクノロジーズ社において営業担当の離職が発生し、主に外部パートナーを活用していた案件の取引が複数終了したことを主因として、当事業の売上高は減少して推移しました。エンジニアの働きやすい環境づくりに強みを持ち、エンジニア採用が順調に推移しているアルトワイズ社への合流を進め、立て直しを図っているところとなります。

この結果、当第1四半期連結累計期間の「DX×テクノロジー事業」における売上高は、244,094千円(前年同期比10.3%増)となり、セグメント損失は9,688千円(前年同期は6,544千円の利益)となりました。

 

 

(DX×HR事業)

「DX×HR事業」においては、テクノロジー領域を中心として、クライアントのニーズに応じた採用代行や人事評価制度コンサルティングなどの「HRソリューションサービス」及び、産業医のマッチングサービスを主軸に企業の健康経営を支援する「ヘルスケアサービス」を提供しております。テクノロジー領域の企業の人材採用等の動きは引き続き活発であること、ストレスチェック制度の義務化や働き方改革関連法の施行といった法整備などを受け、需要環境は好調と捉えておりますが、当社グループにおいて中核事業となるデジタルトランスフォーメーション事業の立て直しを優先して取り組んだ中、当事業の売上高は前四半期比で減少しました。

これらの結果、当第1四半期連結累計期間の「DX×HR事業」における売上高は、HRソリューションサービスが91,904千円(前年同期比19.2%増)、ヘルスケアサービスが32,594千円(前年同期は連結開始前)の計124,499千円(前年同期比61.4%増)となり、セグメント利益は2,929千円(前年同期比88.2%減)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ856千円減少し、3,595,640千円となりました。これは主に、現金及び預金が64,966千円減少した一方、受取手形及び売掛金が10,744千円、未収消費税が51,384千円増加したこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ245,923千円増加し、2,284,907千円となりました。これは主に、建物が306,634千円増加した一方、のれんが58,782千円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は5,882,242千円となり、前連結会計年度末に比べ、244,036千円増加となりました。

 

(負債)

当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ387,760千円増加し1,592,782千円となりました。これは主に、未払金が387,862千円増加したこと等によるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ122,013千円減少し、1,658,639千円となりました。これは主に、長期借入金が117,013千円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は3,251,421千円となり、前連結会計年度末に比べ、265,747千円増加となりました。

 

(純資産)

当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21,711千円減少し2,630,821千円となりました。これは主に、利益剰余金が42,877千円減少したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は44.6%前連結会計年度末は46.9%)となりました。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題は特にありません。

 

(4) 研究開発活動

該当事項はありません。