売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04911 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析 

[事業活動の取り組み状況]

グローバルでのDX等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図り、市場の変化に対応したデジタルオファリングの拡充を進めました。
 NTT Ltd.との海外事業統合により、グローバルでのConnectivity領域のケイパビリティも獲得し、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含めた多様なITサービスの提供に取り組みました。

具体的な取り組みは次のとおりです。

 

<引越しに伴う行政・民間手続きをオンラインで一括して実施できる日本初のサービスを提供開始>

当社グループは、引越しに伴う行政手続きや民間事業者の手続きをオンラインでまとめて実施できるサービスを、石川県加賀市エリアの事業者(インターネット、ケーブルテレビ、新聞、電気、水道)向けに、2023年11月より提供開始しました。

  引越しをする際は、複数の自治体や民間事業者への届出が必要となり、また、人により必要な手続きが異なるため手続き漏れにより必要なサービスが受けられないなどの多くの課題があります。本サービスは、当社グループが提供するパーソナルデータ流通基盤「BizMINT(注1)」を活用して行政や民間の煩雑な引越し手続きを一括で行うことで、利用者の手続き負担の軽減、事業者の業務効率化や自治体における住民サービスの向上を実現します。

  本サービスはBizMINTとデジタル庁が提供するマイナポータル(注2)の「電子申請等API」の連携により、全ての市区町村に対し、オンラインによる転出届の提出と、転入における来庁予定の連絡ができる国内初の民間サービスです。また、厳格な本人確認を実施することでなりすましを防止、申請データについてのトレーサビリティも確保し、利用者にとっての安心安全な手続きを実現します。

今後対象となるエリアや連携する事業者の拡大を図ることで、利用者のさらなる利便性の向上及びサービスの価値向上を進めていきます。

 

<請求書受領から決済までをシームレスにデジタル完結できる新サービスを提供開始>

当社グループは、国内企業向けに、請求書受領から決済までをシームレスにデジタル完結できる「TetraBRiDGE(テトラブリッジ)」を2023年10月より提供開始しました。

インボイス制度の施行開始や2026年に施行予定の手形・小切手電子化等、国内企業は請求及び決済領域のデジタル化を迫られているものの、事務手続きの効率化が進んでいないことが課題となっています。

TetraBRiDGEは、複数の電子請求サービスからの請求書の受領や管理、国内280以上の金融機関からの振込や電子記録債権を用いた決済をシームレスにデジタル完結することで、請求書受領から決済までの事務作業を最大80%程度(注3)効率化できるだけでなく、作業ミスの低減や内部統制の強化を図ることも実現します。TetraBRiDGEは株式会社インフォマートが提供する電子請求サービス「BtoBプラットフォーム請求書」とバンキングサービスとして初めて接続し、以降、電子請求サービスとの接続を順次拡大していきます。

当社グループは、多くの金融機関、電子請求サービス事業者及び会計サービス事業者との積極的な協業を通じて本サービスの提供価値を高め、広く利用されるプラットフォームとすることをめざします。また、金融機関と一体となった普及推進や様々なサプライチェーンへの展開により2028年度末までに2万6千企業への導入をめざします。

 

<米国の大手生命保険会社との戦略的パートナーシップの延長合意>

NTT DATA Servicesは、米国の大手生命保険会社であるNational Life Groupと、戦略的パートナーシップを5年間延長することについて合意しました。

NTT DATA ServicesはNational Life Groupから従前より戦略的パートナーとして位置付けられており、National Life Groupに対して約20年にわたりITアウトソーシング(ITO)全般のサービスを提供し、長期的で良好なリレーションを築いてきました。このようなNTT DATA Servicesとお客様の関係性に加え、NTT Ltd.のデータセンターサービスの品質の高さ、特にLEED GOLD(注4)の認証を取得するなど環境負荷低減の観点ですぐれている点を評価いただいたことにより、ITOサービス更改案件も新たに受注しました。本案件において、NTT DATA Servicesはアプリ、インフラ、データ、セキュリティ等を含むITOサービスを提供し、NTT Ltd.はデータセンターサービスの提供を担うことで、National Life Groupに対してハイクオリティなサービスを提供します。

今後もOne NTT DATAとして総合的なソリューションを訴求し、お客様の業務をITの側面から支援していきます。

 

<米国の大手生命保険会社の生命保険・年金業務に関する大型BPaaS案件を受注>

NTT DATA Servicesは、米国の大手生命保険会社から、今後10年間にわたる生命保険・年金業務のTPAサービス(注5)に関する大型BPaaS案件を受注しました。

NTT DATA Servicesは、お客様に対して、約20年にわたり生命保険・年金業務のTPAサービスを継続して提供しています。これまでのサービス提供実績や業務自動化等のデジタルへの取り組みをお客様から高く評価されており、長期的で良好なリレーションを有しています。今回の案件ではお客様とのリレーション、NTT DATA Servicesの生命保険業界におけるTPAサービスに関する外部評価(注6)の高さを含めた専門性・提供実績や、コンタクトセンターやバックオフィス向けのAIや音声分析技術などの最新技術を取り入れた提案内容を評価いただいたことにより、受注につながりました。

今後もNTT DATA Servicesは培ってきたリレーションと技術力を活かし、お客様の業務効率化を支援していきます。

 

 

(注1)BizMINT

あらゆるパーソナルデータが、複数の事業者・団体間で円滑に連携・活用されるようサポートする、当社グループにて提供している情報流通基盤です。「本人の同意を取得・管理する機能」や、本人が希望しない場合に特定の事業者への連携を制御する「流通制御機能」などを具備し、データが活用される利用者(個人)にとっても、データを扱う事業者にとっても、安心な環境で情報連携が行われる仕組みを提供します。

 

(注2)マイナポータル

政府が運営するオンラインサービスです。子育てや介護をはじめとする行政手続のオンライン申請や行政機関からのお知らせの確認などができます。

 

(注3)最大80%程度

請求書を紙で受領し、各金融機関のインターネットバンキングから都度振込を実施している企業を想定した当社グループ試算値です。

 

  (注4)LEED GOLD

米国グリーンビルディング協会による建物全体の環境性能の認証制度であるLEED(Leadership in Energy and Environmental Design の略)においてGOLDを取得しています。

 

(注5)TPAサービス

Third Party Administrationサービス。保険契約管理等を代行するサービスです。

 

(注6)外部評価

NTT DATA Servicesは「ISG Provider Lens Insurance Services - Life & Retirement Insurance TPA Services - U.S. 2022」において、Leaderポジションを獲得しています。

 

 

 

[連結業績及び各セグメントの取り組み方針・業績]

  当第3四半期連結累計期間における業績につきましては、売上高は、NTT Ltd.連結拡大影響に加え、日本セグメント・欧州における規模拡大及び為替影響等により増収となりました。営業利益は、海外セグメントにおける統合費用・構造改革費用の増加はあるものの、NTT Ltd.連結拡大影響や増収等に伴い増益になりました。

 

・売上高

3,176,162百万円

(前年同四半期比

32.0%増

)

・営業利益

197,060百万円

(同

7.4%増

)

・税引前四半期利益

150,150百万円

(同

13.2%減

)

・当社株主に帰属する四半期利益

83,736百万円

(同

20.8%減

)

 

 

 

 

 

・(参考)受注高

3,566,812百万円

 

 

 

 

 

セグメント別の取り組み方針及び業績は次のとおりです。

 

(日本)

主に日本国内において、各分野で実行される取り組み方針を軸に、世界最先端のベストプラクティスやテクノロジーを活用し、日本の競争力強化に資するサービスを提供していきます。

 

 当第3四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。

・売上高は、中央府省向け案件及び小売・消費財向け案件の規模拡大により、1,246,646百万円(前年同四半期比6.5%増)となりました。

・営業利益は、増収等による増益はあるものの3社体制化に伴うコーポレートスタッフの機能強化等により、121,430百万円(同1.6%減)となりました。

 

日本セグメントにおける各分野の取り組み方針は次のとおりです。

 

・公共・社会基盤

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における行政や準公共分野(医療・教育・防災・モビリティ等)のデジタルサービス拡充などにより、デジタル社会実現に向けた取り組みが加速しています。当社グループは、その実現に向け、Foresight起点で社会の未来を描き、先進技術適用・付加価値提案による『顧客ビジネス深化』、利用者目線での『社会システム創出』に取り組むことにより、事業拡大をめざします。

 

・金融

社会のデジタル化の進展により、生活に密着した金融サービスが次々と登場している中、金融システムには、信頼性と先進性の両立が一層求められています。当社はサステナブルな社会の実現に向けて、安心・安全な金融インフラを永続的に支え続けるとともに、業界をつなぐ新たな金融サービスの創出・拡大をめざします。

 

・法人

2023年4月に法人分野の組織再編を行いました。コンサルティング、ペイメント、テクノロジーそれぞれの専門性を発揮し提供価値向上を担う組織と、インダストリー軸でそれらを束ね、Foresight起点でエンドツーエンドでお客さまに価値提供するインダストリー組織のマトリクス運営を進めます。さまざまなインダストリーのお客さまの、ビジネス変革を加速するビジネスパートナーとして、業界・お客さまのあるべきビジネスの姿をお客さまと描き、それを実現するための企画策定から、先進技術活用力とシステム開発技術力を活用した変革の実現まで、一貫して高い価値を提供していきます。

 

 

(海外)

グローバル全体でのシナジーを生み出すために事業構造の転換をめざし、コンサルティング及びデジタル領域を中心としたオファリングの拡充、既存ビジネス領域での自動化促進等を含めた収益性向上、デジタル人財の拡充及び育成をグローバル一体となって行っていきます。さらに、DXが加速する中で求められるサービスにNTT Ltd.が持つデータセンターやネットワークサービス等のインフラ・Connectivityの強みを加えトータルに提供し、複雑化・多様化するニーズにグローバルレベルで対応していきます。

 

 当第3四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。

・売上高は、NTT Ltd.連結拡大影響、欧州での規模拡大及び為替影響等により、1,958,195百万円(前年同四半期比54.8%増)となりました。

・営業利益は、統合費用・構造改革費用の増加はあるものの、NTT Ltd.連結拡大影響及び増収等による増益により、62,081百万円(同18.3%)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の資産は、主に有形固定資産及び無形資産が為替影響含め増加した結果、6,661,012百万円と前期末に比べ502,818百万円の増加となりました。負債も、有利子負債の増加等により、4,091,985百万円と前期末に比べ330,156百万円の増加となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期利益83,342百万円や減価償却費及び償却費250,919百万円等により、352,909百万円の収入(対前年同四半期比151,363百万円収入増加)となりました。

一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出430,438百万円等により、467,628百万円の支出(同310,641百万円の支出増加)となったことから、当期のフリー・キャッシュ・フローは114,719百万円の赤字(前年同四半期は44,558百万円の黒字)となりました。

また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金等の支出があるものの、有利子負債の調達等により、126,597百万円の収入(対前年同四半期比93,678百万円の収入増加)となりました。

 

(4) 重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積り

 当社グループにおける重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積りについては、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」及び「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6) 研究開発活動

 当社グループは、グローバルでの厳しい競争に勝ち残っていくため、5-10年先を想定した先進技術を見極め、新しい技術によるビジネス価値を創出する「先進技術活用力」の強化に取り組んでいます。また、市場成長率が高い技術領域を当社の注力領域として定め、デジタル時代にふさわしいアジリティを持つシステム開発を実現する「システム開発技術力」の強化にも取り組んでいます。最先端技術に関する知見やノウハウをグローバルで集約・活用し、イノベーションを推進していきます。

更に、日本電信電話株式会社との研究開発連携により、基盤的研究開発テーマについてはその成果を活用し、当社のリソースを応用的研究開発テーマに重点配分しています。

 

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は14,704百万円です。

 

 

(7) 従業員数

①連結会社の状況

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数の著しい増減はありません。

②提出会社の状況

当第3四半期累計期間において、当社の従業員数は前事業年度末から11,008名減少し、1,706名となりました。主な要因は、2023年7月1日付で、当社が営む国内事業を株式会社NTTデータ(2023年7月1日付で株式会社NTTデータ国内事業準備会社より商号変更)に承継させたことにより減少したものです。

なお、従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む従業員数です。

 

この四半期報告書に掲載されているサービス及び商品等は、当社グループ各社あるいは他社等の登録商標又は商標です。

なお、将来に関する記述は、当社グループが当四半期連結会計期間の末日時点で把握可能な情報から判断する一定の前提に基づいており、今後様々な要因によって記載内容とは異なる可能性があることをご承知おきください。