株式会社LTTバイオファーマ

医薬品バイオ創薬

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00982 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 (1)経営成績等の状況の概要

 当中間会計期間末における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当中間会計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

 

a.財政状態

 当中間会計期間末の資産合計は、前事業年度末と比較して562,963千円増加して4,777,886千円となりました。当中間会計期間末の負債合計は、前事業年度末と比較して43,530千円減少して168,912千円となりました。当中間会計期間末の純資産合計は、前事業年度末と比較して606,493千円増加して4,608,974千円となりました。

 

b.経営成績

 当社の当中間会計期間の売上高は、中国生物製薬(シノバイオ)との業務提携契約、中国での事業開発に関する日本の創薬ベンチャーとの支援業務委託契約、及び北京泰德製薬股份有限公司との包括的支援契約に基づく報酬等により37,931千円(前年同期2,032千円)となりました。販売費及び一般管理費の研究開発費は、前期から引き続きPC-SOD(LT-1001)のCIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)を対象とする試験費用等により270,624千円(前年同期比9.9%減)、販売費及び一般管理費のその他は86,531千円(前年同期比45.3%減)となったため、営業損失は332,824千円(前年同期は営業損失457,116千円)となりました。また受取配当金は2022年12月期に属する配当金1,147,392千円が計上されたことにより、経常利益は853,795千円(前年同期比79.5%増)、中間純利益は736,250千円(前年同期比79.7%増)となりました。

 なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント業績の記載は省略しております。

 

 創薬事業における現在開発中のパイプラインの状況は次のとおりであります。

 

 「PC-SOD(LT-1001)」における、ライセンス先の北京泰徳製薬による心筋梗塞を対象とする開発については、前事業年度に第Ⅱ相臨床試験が終了し、当中間会計期間においては、次の臨床試験へ向けて中国当局との交渉を行うと共に、同社は本剤の販売・製造へ向けての準備を行っております。一方、当社によるCIPN(化学療法誘発性末梢神経障害)におきましては、2022年1月に開始したオキサリプラチン(大腸がんなどの治療の第一次選択薬)によるCIPNに対する第Ⅱ相臨床試験が2022年11月に目標症例数に達し、当中間会計期間の2023年7月には治験薬投与が終了しました。本年9月には症例検討会を開催しましたので、年内には結果の概要が判明する予定です。

 ノーベルファーマ株式会社との共同開発では、既承認薬(LT-5001)を別の疾患に適応拡大(DR)することを目指しており、一つの臨床試験において統計的有意差を持って有効性を確認することができましたので、前事業年度において第Ⅲ相臨床試験を開始しました。2023年6月には治験薬投与が終了し、現在結果の解析を行っております。また、2023年5月には、別の疾患(非開示)に対するLT-5001の医師主導第Ⅲ相臨床試験を開始しました。

 「ドライアイ治療薬(LT-4002)」は、後期第Ⅱ相臨床試験を終了しており、現在は今後の開発を共同で進めるパートナーを探しております。

 「新型コロナウイルス感染症治療薬(LT-4012)」は、試験管内ではウイルスの増殖をほぼ完全に抑え、動物実験では新型コロナウイルス依存の個体死を抑制しました。当中間会計期間においては、最適な投与プロトコールを検討すると共に、LT-4012を有機化学的に修飾し効果を高める研究も進めました。

 「肺線維症治療薬(LT-4010)」は、当社のDR技術と武蔵野大学の肺線維症研究を活かした共同研究により見出された肺の線維化を改善する新しいメカニズムの既承認薬です。当中間会計期間においては、肝臓の線維化に対する効果を調べると共に、ライセンス活動に注力しました。

 当社が牽引してきたDR研究は多くの製薬企業が注目する創薬戦略となり、競争も激化しております。当社は独創的なスクリーニング系が重要であると考え、アカデミアとの連携を強化しております。

 一方、我が国のDR創薬においては、既存適応の薬価が低い場合採算が取れないために開発を断念しなければならないケースが多くあります。そこで、①新製剤・新投与ルートを開発する、②米国で開発を行うという戦略を新たに立案し、その実施へ向けた活動を当中間会計期間に開始しました。

 尚、前事業年度に開始した既承認薬ライブラリのリニューアルは対象薬が2000種程度と膨大であることもあり進捗が若干遅れておりますが、当社の重要な財産ですのでCEO自ら陣頭指揮をとり作業を進めております。

 

 以上、主要なパイプラインの研究開発状況につきましては「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載しております。

 

「事業開発活動」

 当社は、「ポートフォリオ型創薬ベンチャー」を目指しております。これは、自社研究開発に絞り込むのではなく、資金力を活用して環境や状況に応じて外部の経営資源を有効に活用し、安定的にリターンを獲得する事業戦略です。

 ライセンス活動に関しましては、新型コロナウイルス感染症の影響でしばらく参加出来なかった海外のライセンス会議(BIO International Convention 2023 Boston)に当中間会計期間に出席しました。

 また当社が独自に開発した既承認薬ライブラリをアカデミアに提供し共同でDR研究を行う事業を強化するため、既承認薬ライブラリだけでなく研究費も当社が提供するという取り組み(通称:DRグラント)を推進しております。

 医薬品開発は単独の企業で医薬品を開発するのではなく、複数の企業が技術・ノウハウ・資金などの財産を出し合って共同で医薬品を開発することが求められている一方、創薬ベンチャーの中には有望なパイプラインを持っているにもかかわらず、様々な理由で製薬企業へのライセンスが成功せず開発が頓挫している企業が多くなっています。当社はDR/DDSに関する技術やノウハウ・資金・中国企業とのパイプなどを活かした共同医薬品開発を積極的に推進し、当中間会計期間は10を超える創薬ベンチャーと議論を行いました。

 

「中国関連事業」

 当中間会計期間においても包括的支援契約を延長し、北京泰徳製薬によるPC-SOD製造を支援したり、北京泰徳製薬が新たに発売する医薬品のプロモーションのために日本の専門医へのヒアリングを支援したりしました。また、2023年7月には、同社を通じて北京市開発区からの要望を受け、湘南アイパークへの表敬訪問を実現しました。

 また中国生物製薬(シノバイオ)とは2022年12月に事業提携契約を締結しました。当中間会計期間においては前事業年度に引き続き、シノバイオの3つの重点疾患領域における日本の優れた医薬品を当社で調査し提案しました。また、中国でのビジネス展開を目指す日本の創薬ベンチャーと中国での事業開発に関する支援業務委託契約を締結し、同社のパイプラインに関して中国での開発や中国企業とのライセンス契約に対する支援業務を行うことになりました。

 このようにシノバイオとの強固なパイプを活かした新しいビジネス(日中間の医療橋渡しビジネス)は当社にしかできない独自のもので、近い将来当社の売上を大きく向上させると期待しています。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較して561,506千円増加し、2,935,682千円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、660,966千円となりました(前年同期は454,390千円の資金を得られました)。これは、利息及び配当金の受取額が1,157,507千円発生したことが主な要因であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は、27,265千円となりました(前年同期は95,233千円の資金の使用がありました)。これは投資有価証券の取得による支出が371,377千円、投資有価証券の償還による収入が400,000千円であったことが主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、126,725千円となりました(前年同期は227千円の資金の使用がありました)。これは配当金の支払126,725千円が要因であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の業務は、業務の性格上、生産実績として把握することが困難であるため、その実績は記載しておりません。

 

b.受注実績

 当社の売上高(事業収益)は、北京泰德製薬の包括的支援契約に基づく報酬等であり、受注生産は行っておりませんのでその実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

 当社は単一セグメントであり、その実績は以下のとおりであります。

セグメントの名称

当中間会計期間

(自  2023年4月1日

 至  2023年9月30日)

前年同期比(%)

創薬事業(千円)

37,931

1866.1

合計(千円)

37,931

1866.1

 (注)前中間会計期間及び当中間会計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前中間会計期間

(自2022年4月1日

至2022年9月30日)

当中間会計期間

(自2023年4月1日

至2023年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

中国生物製薬有限公司
(Sino Biopharmaceutical Limited)

-

-

18,000

47.5

北京泰德製薬股份有限公司

1,032

50.8

16,431

43.3

A社

800

39.4

-

-

あすか製薬株式会社

200

9.8

-

-

(注)A社との契約において秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせていただきます。

 

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間末において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の中間財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この中間財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。また、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。

 

②当中間会計期間の財政状態の分析

(資産の部)

 当中間会計期間末における資産合計の残高は、前事業年度末と比較して562,963千円増加して4,777,886千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が561,506千円増加したこと等によるものであります。

(負債の部)

 当中間会計期間末における負債合計の残高は、前事業年度末と比較して43,530千円減少して168,912千円となりました。この主な要因は、未払金が31,099千円減少したこと等によるものであります。

(純資産の部)

 当中間会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して606,493千円増加して4,608,974千円となりました。この主な要因は、繰越利益剰余金が604,382千円増加したことによるものであります。

 

③当中間会計期間の経営成績の分析

(売上高)

 当中間会計期間の売上高は、37,931千円(前年同期2,032千円)となりました。この主な要因は、シノバイオとの業務提携契約、国内創薬ベンチャーとの支援業務契約によるものであります。

(営業損失)

 当中間会計期間の営業損失は、332,824千円(前年同期は営業損失457,116千円)となりました。この主な要因は、販売費及び一般管理費のその他が減少したことによるものであります。

(経常利益)

 当中間会計期間の経常利益は、853,795千円(前年同期比79.5%増)となりました。この主な要因は、受取配当金の増加等によるものであります。

(中間純利益)

 当中間会計期間の中間純利益は、736,250千円(前年同期比79.7%増)となりました。この主な要因は、経常利益が増加したことによるものであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の事業資金は北京泰德製薬の配当金によりそのほとんどが賄われており、キャッシュ・フローの状況につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。