売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E36312 Japan GAAP

売上高

7.67億 円

前期

7.28億 円

前期比

105.4%

時価総額

10.9億 円

株価

701 (03/28)

発行済株式数

1,550,800

EPS(実績)

24.50 円

PER(実績)

28.61 倍

平均給与

467.2万 円

前期

494.0万 円

前期比

94.6%

平均年齢(勤続年数)

36.0歳(4.5年)

従業員数

39人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社は、「独自の技術とノウハウを開発し、地域社会にとって価値のある新しいインターネットサービスを提供する」を企業理念として掲げており、この理念に基づき、インターネットユーザーの位置情報を活用した、効果的なウェブマーケティングを実現するサービスや不正アクセスを防止するサービスの開発・提供に取り組んでおります。

 

 当社は、IPアドレス*1を活用したデータベース「SURFPOINT™」を構築し、その運営及び利用による各種サービスの提

供を行うIP Geolocation事業と、IPアドレスの売買の仲介を行うIPアドレス移転事業の2つのセグメントを運営してお

り、各事業の特徴は以下のとおりです。

 

<IP Geolocation事業>

 IPアドレスに、位置情報、組織属性、回線情報、気象情報等100種類以上のデータを組み合わせた当社のデータベー

スである「SURFPOINT™」を維持管理し、これをベースに顧客のサイト閲覧者の属性に合う各種サービスをSaaS*2又は

API*3で提供しております。それらのサービスは、インターネットユーザーの位置情報を把握する技術であるIP

Geolocation(位置情報認識技術)を土台としたサービスであり、顧客のニーズに応じて、ジオターゲティング、企

業分析、不正アクセス防止・セキュリティ対応、インターネット広告プラットフォームの提供に大別されます。

 

※画像省略しています。

 

(1)「SURFPOINT™」について

 「SURFPOINT™」は当社の各種サービスの土台となるデータベースです。当社は、IPアドレスの利用環境の変化に対応

して自動分析プログラムを常時稼働させており、ネットワーク環境を熟知した専門調査員(ネットトレーサー)が、情

報の分析・検証を行っております。このようにしてデータベースの精度を高めているほか、顧客の利用の際に対象デー

タ範囲の絞り込みや、特定の属性データの取得を可能とするために、適宜組み合わせる情報の種類を増やしてより精緻

なバージョンへの更新を行っております。また、顧客のニーズに応じて「SURFPOINT™」の中から必要とされるデータを

販売しております。

 

※画像省略しています。

 

(2)ジオターゲティング

 ウェブサイト閲覧者のいる地域を特定し、顧客のウェブサイトの表示をその地域に合った内容のものにしたり、広告

や告知内容を地域別に表示し、閲覧者に一番近い顧客の店舗やアクセスルートを示すことを可能にしております。閲覧

者のウェブサイトからの離脱を防ぎ、効果的な販売促進のためのウェブサイト作りに貢献するツールとして、当該機能

を顧客に提供しております。

 

(3)企業分析

 ウェブサイト閲覧者が属する企業等団体の業種、規模から場合によっては企業名を判別し、効果的なマーケティング

を実施するために必要なデータを提供しております。アクセス分析ツールとの連携により、顧客のウェブサイトに訪問

した企業を可視化することで、営業活動の効率化に役立つデータを提供しております。また、国内、海外の主要なマー

ケティングオートメーションツール*4との連携を可能としており、「SURFPOINT™」を搭載した当社のアプリケーション

である「どこどこJP」によって連携先の機能を補完し、アクセス分析に組織名(法人名)・組織URL・業種・従業員数等

の分析軸を加えることができ、いわばBtoBアクセス解析ツールにカスタマイズできる機能を提供しております。

 

(4)不正アクセス防止・セキュリティ対応

 インターネット上の不正やなりすまし等の詐欺行為を検出することにより、不正アクセスから顧客のアカウントを守

る機能を提供しております。また、ウェブサイトへのアクセスが正しい権利を持ったユーザーからのものか否かを判別

し、当該コンテンツの配信管理を行うことが可能です。これらの特徴によって、複数の金融機関、コンテンツ配信事業

者、その他不正アクセスの防止を望む企業や団体が、当社の顧客となっております。

 

 

(5)インターネット広告プラットフォームの提供

 IPアドレスの活用によって閲覧者の選別・絞り込みが可能な配信サービスである「どこどこad」プラットフォームを提供しております。これは業種・規模・従業員数・社名等の企業属性、気温・天気等の気象情報、利用されている回

線、都道府県、市区町村といったターゲティングの切り口で選択したサイトの閲覧者に対してバナー広告を配信するも

のです。

 「どこどこad」プラットフォームは、当社の「SURFPOINT™」を利用することにより、インターネット広告の配信効果

の最大化を目指し、最適な人や場所に広告を配信するプラットフォームを提供しております。

 

(6)当社の提供するアプリケーションの内容

 上記のサービスを実現するため、当社は次のアプリケーションを提供しております。

① 「どこどこJP」

  「SURFPOINT™」をウェブサイトやアプリケーション上で利用できるサービスで、その用途はマーケティングからセ

 キュリティまで幅広く、IPアドレスから利用者の地域を認識するエリアターゲティングの技術や、ウェブアクセス解

 析、金融や証券分野でのオンライン取引時における不正アクセス対策、デジタル配信される映像や音楽等の著作権管

 理に役立てられています。

② 「らくらくログ解析」

  簡単な操作でウェブアクセス解析を行うことのできるツールであり、基本的なアクセス解析機能に加えて、ウェブ

 サイトを訪問した企業のリスト化や経路分析等の本格的な解析も可能なサービスとなっております。

③ 「IPひろば」

  IPアドレスやドメイン名を入力して検索ボタンをクリックするだけで簡単に位置情報や組織情報を調べることがで

 きるサービスで、検索結果として都道府県名や市外局番、接続回線情報を表示します。ウイルスの発信元調査やネッ

 ト犯罪の初期調査にも活用されております。

④ 「どこどこad」

  IPアドレスから判定される位置情報、企業情報、気象情報、回線情報等で、配信する対象の絞り込みやターゲティ

 ングができるインターネット広告配信サービスであります。現在提供している主なターゲティングメニューは次のと

 おりです。

 ・BtoBターゲティング(上場・非上場の区分、資本金区分、従業員区分、売上高区分、業種区分等により対象となる

  配信先企業を絞り込みます)

 ・回線ターゲティング(特定のインターネット回線、インターネットサービスプロバイダを経由した先のユーザー向

 けに広告配信をします)

 ・気象ターゲティング(天気、気温、湿度、紫外線量により配信先を絞り込みます)

 ・どこどこJP連携データターゲティング(「どこどこJP」との連携により、「どこどこJP」にリクエストが来たIPア

 ドレスに対して広告配信をします)

 ・エリアターゲティング(接続元のIPアドレスから地域を判定し、都道府県、市区町村や郵便番号を指定し広告配信

 をします)

 ・Wi-Fiスポットターゲティング(特定のWi-Fiスポットに接続しているユーザーに対して広告配信をします)

 

(7)web制作・各種受託開発

 各種ウェブサイト制作等のウェブマーケティングサポートや、自治体向けの観光アプリ等の受託・開発及びwebベー

スでの非接触型スタンプラリーのサービスである「てくてくスタンプ」の提供を行うシティプロモーション*5を支援す

るサービスも提供しております。

 

(説明事項)

(*)1.IPアドレスとは、インターネットにつながっているネットワーク上の機器を識別するために割り当てられ

ている識別子で、インターネット上でのいわば住所のような役割を担っています。数字の羅列から構成されており、IPv4規格では32ビットの2進数で表記されています。

2.SaaSとは、クラウド経由で提供されるソフトウエアのことを指します。

3.APIとは、プログラムから当該ソフトウエアを操作するためのインターフェイスのことを指し、ソフトウ

エアの一部をウェブ上で公開して他のソフトウエアの機能を埋め込んで利用できるようにしたものです。

4.マーケティングオートメーションツールとは、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化す

るツール(ソフトウエア)であり、見込顧客の固有情報や、見込顧客から収集した各種情報の一元管理、購買意欲の高い見込顧客の絞り込み等の活動を自動的に行うことができるものです。

5.シティプロモーションとは、自治体が行う宣伝活動・広報活動・営業活動のことを指します。

 

<IPアドレス移転事業>

 法人や各種団体等が保有しているものの使用せず余っているIPアドレスを、必要とする企業等へ売却仲介を行うサー

ビスを行っております。

 

 以上、述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

 

23/09/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりで

あります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 流動資産は前事業年度末と比較して26,558千円減少し、655,633千円となりました。これは主に、売掛金が12,343千円増加した一方、現金及び預金が37,239千円減少したことによるものであります。

 固定資産は前事業年度末と比較して14,182千円増加し、47,734千円となりました。これは主に、投資有価証券が18,450千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 流動負債は前事業年度末と比較して45,604千円減少し、141,300千円となりました。これは主に、未払金が7,031千円増加した一方、未払法人税等が29,283千円、その他に含まれる未払消費税等が12,266千円、前受金が8,623千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 純資産合計は前事業年度末と比較して33,228千円増加し、559,727千円となりました。これは主に、当期純利益の計上等により利益剰余金が22,963千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の緩和等、各種政策の効果により緩やかに持ち直しております。その一方で、世界的なインフレ加速や急激な為替の変動、また、資源・エネルギー価格の高騰など、先行きは依然として不透明な状況であります。

 当社はIP Geolocationのデータプロバイダーとして、BtoBマーケティング、金融不正検知、動画・ゲーム配信制御、アドテクノロジーといった様々な用途に活用でき、また、企業が抱える様々な課題を解決できるサービス及びデータを提供しております。

 当社の主要事業であるIP Geolocation事業は、「SURFPOINT™」「どこどこJP」「らくらくログ解析」「どこどこad」「web制作・各種受託開発」「てくてくスタンプ」の6サービスから構成され、これら全てのサービスの基礎となる「SURFPOINT™」は、日本国内で唯一当社が保有する、43億個のIPv4アドレスをカバーし、現在はIPv6アドレスのカバーも開始しているIP Geolocationテクノロジーです。このデータベースは1つのIPアドレスに対し、「位置情報」「企業情報」「環境情報」「その他外部情報」等、100項目以上のデータ項目を紐づけ、ネットトレーサー(専門調査員)により日次更新されており、年間数千時間の調査・分析、複数のナショナルクライアント様や大手ISP様からのフィードバック情報をもとに、常に最新で高精度の品質保持のため独自フローを採用し常に高い精度を保っております。

 当事業年度におきましては、営業体制及び技術体制の強化に向けた人的投資の推進を図りました。しかしなが

ら、その進捗に遅れが生じたことから、当初予定していたほどの増収には至りませんでした。引き続き、来期の売上高増加に結び付けるべく、人材教育による各部門の体制強化を推進し、積極的な営業活動及び新機能開発を含む開発活動を進めてまいります。

 なお、投資有価証券のうち、実質価額が著しく低下したものについて減損処理を行い、投資有価証券評価損

43,050千円を計上しております。

 この結果、当事業年度の売上高は767,480千円(前事業年度比5.4%増)、営業利益は116,130千円(同25.4%

減)、経常利益は117,304千円(同19.5%減)、当期純利益は37,991千円(同61.8%減)となりました。

 セグメント別の状況は次のとおりであります。

 

(IP Geolocation事業)

 「SURFPOINT™」「らくらくログ解析」は、既存の取引先に安定的な利用をしていただき堅調に推移いたしました。「どこどこJP」は、2023年1月に価格改定を行ったほか、同年6月に新機能として「B2Bアクセス企業解析レポート」の提供を開始いたしました。しかし、その他追加機能開発やサービスアップグレードができず、また、イベント出展などによるプロモーション活動が十分にできなかったことから、売上高は前事業年度を下回る結果となりました。「どこどこad」は、2023年春に行われた第20回統一地方選挙の広告需要を取り込むことができました。しかし、前事業年度中に行われた衆議院選挙時の売上高を上回ることができず、前事業年度以上の売上高を確保することができませんでした。「web制作・各種受託開発」は、自治体案件を中心に前事業年度並みの売上高を確保することができ、「てくてくスタンプ」は、主に自治体主催のwebスタンプラリーへの導入が推進でき、前事業年度以上の売上高を計上することができました。

 このようにIP Geolocation事業は人的投資に見合う収益を確保できない結果となりましたが、「どこどこJP」を中心としたサブスクリプションサービスにつきまして、技術面においては新機能追加を中心としたサービスアップデートの継続実施、営業面においては各種イベント出展による認知度の向上や無料相談会の実施などによる解約低減策を実施し、顧客数の増加を図ってまいります。

 これらの結果、当事業年度における同事業の売上高は709,136千円(前事業年度比3.3%増)、セグメント利益は61,586千円(同47.5%減)となりました。

 

(IPアドレス移転事業)

 第1四半期会計期間中に仲介をした大口案件をはじめ、ケーブルテレビ局を中心に複数案件の仲介を行うことができたことにより、当事業年度における同事業の売上高は58,344千円(前事業年度比41.2%増)、セグメント利益は54,543千円(同41.9%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較して37,239千円減少し、557,409千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、42,103千円の収入(前年同期は101,247千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益74,254千円に対し、増加要因として、減価償却費の計上4,676千円、棚卸資産の減少3,984千円、前払費用の減少9,313千円、未払金の増加7,031千円があり、減少要因として、売上債権の増加12,343千円、未払消費税等の減少12,266千円、前受金の減少8,623千円、法人税等の支払額65,410千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、71,514千円の支出(前年同期は22,099千円の収入)となりました。これは主に、減少要因として投資有価証券の取得による支出61,500千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、7,827千円の支出(前年同期は198,996千円の収入)となりました。これは、増加要因として、新株予約権の行使による収入7,200千円、減少要因として、配当金の支払額15,027千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、記載しておりません。

 

b.受注実績

 当社の提供する主要サービスは、顧客の申込み又は契約締結から売上計上までの期間が短期間であるため記載

しておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年7月1日

    至 2023年6月30日)

金額(千円)

構成比(%)

前年比(%)

IP Geolocation事業

709,136

92.4

3.3

IPアドレス移転事業

58,344

7.6

41.2

合計

767,480

100.0

5.4

(注)1.セグメント間の取引は発生しておりません。

   2.当社では相手先別の販売実績において総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先は存在しな

     いため、主要な相手先の販売実績の記載は省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づいて、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。

 

a.売上高

当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ39,544千円増加し、767,480千円となりました。セグメント別の内訳としては、IP Geolocation事業が709,136千円(前年同期比3.3%増)、IPアドレス移転事業が58,344千円(前年同期比41.2%増)となっております。IP Geolocation事業においては、「SURFPOINT™」「らくらくログ解析」は、既存の取引先に安定的な利用をしていただき堅調に推移いたしました。「どこどこJP」は、2023年1月に価格改定を行ったほか、同年6月に新機能として「B2Bアクセス企業解析レポート」の提供を開始いたしました。しかし、その他追加機能開発やサービスアップグレードができず、また、イベント出展などによるプロモーション活動が十分にできなかったことから、売上高は前事業年度を下回る結果となりました。「どこどこad」は、2023年春に行われた第20回統一地方選挙の広告需要を取り込むことができました。しかし、前事業年度中に行われた衆議院選挙時の売上高を上回ることができず、前事業年度以上の売上高を確保することができませんでした。「web制作・各種受託開発」は、自治体案件を中心に前事業年度並みの売上高を確保することができ、「てくてくスタンプ」は、主に自治体主催のWebスタンプラリーへの導入が推進でき、前事業年度以上の売上高を計上することができました。IPアドレス移転事業においては、第1四半期会計期間中に仲介をした大口案件をはじめ、ケーブルテレビ局を中心に複数案件の仲介を行うことができました。

 

b.売上原価、売上総利益

当事業年度の売上原価は、自治体案件の複数受注に伴う外注費の増加等により、前事業年度に比べ43,685千円増加し、272,058千円となりました。

この結果、当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ4,141千円減少し、495,421千円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当事業年度の販売費及び一般管理費は、積極的な採用活動を行ったことに伴う採用広告費の増加により、前事業年度と比べて35,495千円増加し、379,291千円となりました。

この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ39,637千円増加し、116,130千円となりました。

 

d.営業外収益、営業外費用、経常利益

当事業年度の営業外収益は1,174千円となり、これは主に育児休業支援に関する助成金収入の計上、講演料謝礼の計上によるものであります。

この結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べ28,465千円減少し、117,304千円となりました。

 

e.特別損失

当事業年度の特別損失は43,050千円となり、これは投資有価証券評価損の計上によるものであります

 

f.当期純利益

以上の結果、当事業年度の法人税等合計は36,263千円となり、また、法人税等調整額は136千円となり、当期純利益は、前事業年度に比べ61,384千円減少し、37,991千円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社は、資金の源泉と流動性を安定的に確保することを基本方針としております。現状、新規拠点の設置やソフトウエア開発は、内部留保の資金によって賄っており、資金の源泉は営業活動によるキャッシュ・フロー及び過年度の財務活動によるキャッシュ・フローによるものであります。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、目標とする経営指標として売上高と、安定的に推移する当社の主力事業でありますIP Geolocation事業の売上高及び同事業の売上高成長率を掲げています。当事業年度の売上高は767,480千円となり、前事業年度末と比較し39,543千円増加しました。このうち、IP Geolocation事業の売上高は709,136千円であり、同事業の売上高成長率は3.3%となりました。売上高の増加は主にIP Geolocation事業の売上高の増加によります。IP Geolocation事業の売上高と同事業の売上高成長率の上昇は、警察庁の位置情報検索システムライセンスの落札により「SURFPOINT™」の売上高が好調だったこと、及び官公庁向けアプリケーションの開発受注やwebベースでの非接触型スタンプラリーのサービスである「てくてくスタンプ」の受注が好調だったことにより、「web制作・各種受託開発」が堅調に推移したことによります。

今後もこの3つの指標を目標として経営を行うことにより、企業の成長性及び効率性の確保を図ります。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績は、取引先のニーズ、当社データベースへの情報の集積状況、人材の確保、競合先等、様々な要因による影響を受ける可能性があります。このため、当社事業を取り巻く環境に注視し、営業努力及び開発・運用の体制強化、内部統制システムの強化等によりこれらのリスク要因に対応していきます。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針について

今後の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束の兆しが見えてきているものの、ロシアによるウクライナへの侵攻の影響による世界的な穀物及びエネルギー価格の上昇や、欧米各国のインフレと急激な円安の影響等により、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

当社を取り巻く環境は、より効果的なマーケティングの手法を求めたり、自社サイトへの不正なアクセスをいかに検知し、それらに対応するかを考えたり、コンテンツ等の配信を正しく安全に行うためのツールを欲したりといった法人各社の様々なニーズがますます高まる一方で、それらに対応できる多様なサービスが生まれており、競争は激しさを増してきております。こうした中で、当社としましては、中期計画(2022年6月期からの3事業年度)の損益計画にも盛り込んでありますが、IPアドレス移転事業については大口商談が成約すれば収益への貢献度が高いものの、競争が激化していることもあり、収益の多寡と予算の精度において見通しが十分にたてづらく、第25期につきましては当事業年度と同程度、その後は毎期10百万円程度で推移するものとしています。

IP Geolocation事業では、過去の推移から、「SURFPOINT™」、「らくらくログ解析」、「IPひろば」については、毎期一定の金額で推移するものとしています。

「どこどこJP」、「どこどこad」、「web制作・各種受託開発」については、顧客のニーズに合わせて複数のサービスを提案し、適宜当社でウェブサイトの改修等を請け負うことも提案することで、成約率を高め、顧客単価を引き上げていきます。また、自治体に数多く接触し、DX対応や域内経済・観光促進に関係する提案等を積極的に行い、「web制作・各種受託開発」の収益を増大させる営業を行ってまいります。

顧客のニーズを汲み取りながら適切なサービスを販売する直接販売の利点を活かし、顧客との信頼関係を構築することで、長期取引につながるものと考え、顧客の属性やニーズに適した営業体制や営業手法の確立に加え、営業人員個々の営業スキルの向上にも努めてまいります。

開発に係る業務では、当社事業の土台となるデータベースである「SURFPOINT™」の精度をより高いレベルで維持管理していくために、すでに取り込んである情報について専門調査員(ネットトレーサー)による詳細な調査とデータ反映を今後も日々継続してまいります。

さらに、新しいインターネットの通信方法に関する規格であるIPv6に対する対応のため外部の研究会等に積極的に参画し、データベースのIPv6アドレスデータベースの充実及び対応サービスの拡充を図ってまいります。