売上高

利益

資産

キャッシュフロー

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バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

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最終更新:

E37146 

売上高

14.4億 円

前期

13.1億 円

前期比

109.6%

時価総額

21.5億 円

株価

449 (05/02)

発行済株式数

4,778,400

EPS(実績)

7.11 円

PER(実績)

63.11 倍

平均給与

635.0万 円

前期

596.1万 円

前期比

106.5%

平均年齢(勤続年数)

39.2歳(5.1年)

従業員数

78人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようになり、あらゆる企業や自治体の持続的な成長や業務品質の向上に貢献することを目指しております。

また、当社データを活用することで、企業は過剰な商品数を市場に投下することがなくなり、在庫削減や廃棄ロスの削減によってコスト効率が向上し、大量生産・大量消費時代からの脱却、顧客や社会のサステナビリティに貢献することを目指しております。

 

一般的には、日本の小売市場は消費者ニーズが多様化し、海外市場と比較して多数の商品が毎日のように上市されては消える特徴を持っていると認識されております。またPOSシステムやポイントカードが普及していることから、購買データをマーケティングに活用する素地は整っていると考えられます。
 しかし、小売業や消費財メーカーが実際にビッグデータやテクノロジーをマーケティングに有効活用するためには多くの課題が存在しております。

 

データ活用は、①データ、②テクノロジー、③活用するためのノウハウ、この3領域が揃ってはじめて可能になります。企業のデジタル活用支援サービスとしては、AIやコンサルティング、システム構築など専門領域に特化する企業が多い中で、当社の特徴は、この3領域のいずれにおいても顧客企業に価値を提供できる力を備えてきたことにあります(注)。

 

(注)①当社が取り扱う小売業の「データ」は合算して全国約6,500万人、売上金額の合計は年間約4.8兆円の規模に達しております。

②「テクノロジー」はGoogle、SAP、ニールセン、オラクルデータクラウドなどグローバルプラットフォーマーとテクノロジー領域でのパートナー認定取得や協業が進展しております。

③「活用するためのノウハウ」は教育プログラムとして外部に提供し、高校から大学院まで全国の教育機関におけるデータ活用の実践教育を支援しております。

 

これにより、AIの活用等において指摘されるコールドスタート問題(注)のように、いずれかの領域が不足してデータ活用ができていなかった企業に対してもサービスを提供することが可能であります。

 

(注)コールドスタート問題:AIなどテクノロジーを導入してもデータが準備できずに活用が進まない事例が散見される問題

 

(1)   事業の概要

当社は主たる事業として、ドラッグストア及びスーパーマーケットなど全国の小売業の顧客ID付きPOSデータ(以下ID-POSデータという)を活用した分析及び開示支援ツールを提供するなど、データマーケティングに関わるサービス提供を行っております。

 

当社のサービスは、メーカー向けソリューション、リテール向けソリューション、あらゆる産業向けソリューションに分かれております。

メーカー向けソリューションにおいては「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」「POS分析クラウド」等のサービスを提供しており、リテール向けソリューションにおいては「ショッピングスキャン」等のサービスを提供しております。

あらゆる産業向けソリューションにおいては、消費者購買に関わるデータや分析レポート、AI等のサービスを提供しております。

 

(2)   当社の変遷

当社の前身はID-POSデータの将来性に着目して2000年に三菱商事株式会社の新規事業として立ち上げられた企業であります。設立後10余年は小売業のサポートを主たる業務内容として事業を展開しており、2006年3月期以降は、毎年の売上高の減少トレンドの中、コスト削減に注力することで黒字を維持する縮小均衡の経営状況にありましたが、小売業の消費財メーカーへのデータ外販支援までの広範なサポートを行うことで、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が生まれる前から、そのサービスの原型を志向していた企業に位置づけられていました。

2012年に現行の経営体制への変更とともに、当社のメイン事業は「消費財メーカー向けデータマーケティング事業となり、小売業はデータ基盤を構成する重要な事業パートナー」と定義し、連携するID-POSデータを拡大し、提供するソリューションの価値向上を図りながら持続的な売上成長を目指す成長路線へと経営方針を転換しました。

取締役会の過半数以上を社外取締役に変更し、監査等委員会設置会社へ移行してコーポレート・ガバナンスを強化、第三者割当増資による資本増強を行い、データを管理・保管するシステムインフラや分析機能を刷新し、プライバシーマーク認証に基づくデータガバナンスを強化しました。また、人材を積極的に採用しながらデータ活用人材への育成を強化し、「データと知恵で未来をつくる」を企業理念(パーパス)に掲げて、小売業や消費財メーカーへのソリューション提供のみならず、あらゆる産業を対象とした消費者ビッグデータに基づくマーケティングソリューションの提供へ、ビジネスモデルも発展を遂げております。

 

図表 当社の売上推移

 

※画像省略しています。

 

(注)CVS(コンビニエンスストア)売上:当社は、2010年より大手CVSへのデータ外販支援事業(データ開示システムの開発およびシステム運用業務の受託)を9年にわたり展開しておりましたが、M&AによるCVS親会社の方針転換(同業務のグループ内製化)により、同社との取引を終了いたしました(売上影響が大きいことから個別に記載いたしております)。

 

(3)   サービスの具体的な内容

「ショッピングスキャン」は、小売業の商品ごと、店舗ごとの購買行動を簡易に分析できる小売業向けのID-POSデータ分析ツールであります。
 小売業は、ポイントカードの利用に伴って日々蓄積される自社の購買データを分析することで、ファンが付いている商品や買い合わせ傾向などを分析し、売場や販促などのマーケティングに活用しております。

 

また、「ショッピングスキャン」のデータ開示機能(注)により、小売業は堅牢なデータガバナンスを確保しながら消費財メーカーへのマーケティングデータの販売が可能となり、消費財メーカーは「ショッピングスキャン」にアクセスして小売業における顧客の購買データを分析し、小売業との商談資料に活用しております。このような製販が同じデータを分析して、アイデアを合わせて最適な販売施策を検討するデータ開示の取り組みは、大手小売業を中心に導入が進んでおります。

 

 

(注)データ開示機能:小売業から消費財メーカーへのデータ外販および各種分析をフルサポートする機能で、企業間で個別に行ってきたデータの送受信・ならびにその付随業務を当社で一元対応することで、各種マスタデータの管理やデータ精製などの煩雑なメンテナンス業務も企業個々で行う必要がなくなることから、小売業、消費財メーカーそれぞれの業務効率・費用効率向上を可能とするものであります。

 

当社は「ショッピングスキャン」のような分析ツールを提供するだけでなく、小売業や消費財メーカー向けのデータ活用セミナーの開催やサポートデスクの設置などデータ活用支援をあわせて提供することで、現場のデータマーケティングを活性化し、小売業から消費財メーカーへのデータ外販収益の最大化にも貢献しております。

 

「ショッピングスキャン」のサービス提供形態は下記の通り、データ活用セミナーの開催やサポートデスク設置などデータ活用支援サービス(一部ケースにおいては入金管理を含む)と組み合わせて、年間契約にて小売業に提供しております。

 

※画像省略しています。

また、小売業が自社データで分析できる購買は、自社の店舗に来店された顧客の購買行動に限定されるため、「店舗の商圏内に居住しながら来店されない消費者を理解し、来店いただけるようにしたい」「ターゲットとする消費者に効果的にアプローチしたい」「自社の店舗では取り扱っていない商品でも、市場においてファンが付いて売れ行きが伸びている商品を把握して仕入を検討したい」というニーズは解決できません。

仮に小売業のレシートデータを誰かが集めたとしても、データは企業により、同じ商品でも「タンサンインリョウ」「タンサン飲料」「炭酸飲料」というように多様な名称でデータ管理されており、分類についても「飲料分類」「炭酸分類」「炭酸水分類」など多様なため、同一の小売業毎の分析は可能でありますが、別々の小売業のデータを合算して全国や地域など市場全体で消費者分析を行うことは難しいのが現状です。

 

このため当社では、全国の小売業から集信する「大量かつバラバラな仕様のデータ」を全体での分析を可能とする「標準化されたデータ」に精製し、全国、地域、商圏といった範囲で生活者の購買行動の実態や変化を分析できる消費者購買データベースを構築して、小売業、消費財メーカー、政府・自治体、メディアなど幅広いマーケティング用途に活用できるサービスに変えて提供しております。その主要なサービスが「イーグルアイ」であります。

大量データを集めて分析する難しさに加えて、データの標準化など精製プロセスに多大な労力がかかることが当社ビジネスモデルの模倣困難性となっております。

 

「イーグルアイ」は、全国および地域単位での消費者の購買動向を早期かつ精緻に把握することを目的とした分析ツールであります。データベースが購入者属性と紐づいたID-POSデータであり、データベースの規模が大きいことから、単なる商品の売れ行きに留まらず、顧客の購買行動に関わる様々な指標データを導き出せるほか、二日前の購買まで検出できる速報性を実現しております。

また、消費者マーケティングに関わる定番の分析機能を搭載しており、調べたい情報を簡単な操作でスピーディーに手元で取り出せるため、資料作成時間の大幅削減も見込めるものであります。さらに、インターネット環境があれば低コストで導入できる利便性に加えて、サポートデスクを開設し、導入後も安心して活用いただける体制が整えられており、商品開発・顧客のターゲティング・販売促進・事業戦略など、消費財メーカーの様々なニーズに対応可能なソリューションであります。

 

「イーグルアイ」のサービス提供形態は下記の通りであります。年間契約のSaaSとして消費財メーカーなどの企業に提供しており、2023年3月末時点で「イーグルアイ」導入企業数は約130社となり、1企業で約500IDのユーザーにご使用いただくなど、活用が広がった事例もあります。

 

※画像省略しています。

 

当社が提供する主なサービスは、以下の通りであります。

 

サービス名

(主な契約形態)

サービス内容

ショッピングスキャン

(年間契約)

インターネットを通じて、小売業向けに、自社のID-POSデータやPOSデータの分析ツールを提供するサービス。小売業が自社データを消費財メーカーに開示できる(自社データの分析を外販する)機能を搭載。

イーグルアイ

(年間契約)

インターネットを通じて、消費財メーカー向けに、消費者の全国や地域の購買行動を詳細に分析できるツールを提供するサービス。

データマーケティングのプロフェッショナルにも対応する定番分析メニューを搭載。

ドルフィンアイ

(年間契約)

インターネットを通じて、ユーザーが知りたい商品のカテゴリーや地域を選択するだけで、消費者の購買情報が表示されるツールを提供するサービス。

消費財メーカー、小売業、教育機関、メディアなど幅広い企業や組織に提供。

ウレコン

(無償)

全国各地域における消費財500カテゴリーの上位100商品の購買情報をグラフで可視化し、まとめて一覧表示してユーザーへ情報提供するインターネットサービス。

POS分析クラウド

(年間契約)

消費財メーカーなどの企業が社内のPOSデータやID-POSデータを分析するために、データ精製、蓄積、管理、分析など機能一式をクラウドシステムとして提供するサービス。

KURASHI 360

(案件により決定)

全国各地域の生活者のID-POSデータに、嗜好価値観や自動車など生活者の消費行動に関わる多様なビッグデータ、政府・自治体などが提供するオープンデータをかけ合わせて、地域毎の生活者のタイプや購買傾向の状況、変化などを読み解き、数値化された「暮らしに関わる地域毎のマーケティングデータ」として提供するサービス。

KURASHI AI

(案件により決定)

販促など具体的な施策にデータを活用するために、暮らしに関わるマーケティングデータを分析するAIを提供するサービス。

「顧客のファン化を促進する」「チラシやダイレクトメールなど販促の効果を向上させる」「品揃えを最適化して売上を向上させる」など目的に応じたAIを提供。

 

 

(4)   事業の構造

かねてより、日本の消費財メーカーは様々な小売業から購買データを購入し、それらの分析に基づき、各小売業に対して販促提案を行っています。但し、入手する購買データの内容は商品名や店舗情報など情報の質が小売業毎に異なるため、消費財メーカーにとってその活用は各小売業への個別対応に留まっているのが現状であります。

昨今のデジタル活用ニーズの高まりから、各消費財メーカーでは自社内に独自のデータ活用システムを構築しようとする動きが顕著となっていますが、購買データに関して商品・店舗などそれぞれの情報を整備し、各小売業から入手する情報の質と精度を、設定した範囲内に揃えていくことが絶対条件となります。日本市場では日々、多数の新製品が上市され、また製造中止となり、新店・閉店などの情報を反映していくことも必要であり、小売業各社から入手する購買データの整備に加えてこれらの情報管理作業は膨大となります。

 

こうした作業を消費財メーカーが独自に行うことは困難を極めますが、たとえそれが可能となったとしても、消費財メーカー各社が個別に対応することは、多大な活動の重複を生み出すだけで、日本の産業界にとって極めて非効率な状況となります。POSデータ、ID-POSデータ、さらには他のビッグデータとのかけ合わせとデータの多面化が進むなかで、小売業と消費財メーカーとを結ぶ購買データプラットフォーム企業の存在の必然性はますます高まっております。

 

このような環境下におきまして、当社の事業として、データガバナンスとセキュリティを確立しながらデータを提供価値に変えて成長する仕組みを構築しました。当社は、以下のようなビジネスコアの確立を進めております。

 

① 小売業の購買データを、競合他社を凌駕するレベルで集信

② データ精製機能、データガバナンスに基づく蓄積・管理機能、マーケティングに必要な分析機能とともに、当社を経由してSaaSなどで、小売業や消費財メーカーなど企業に一括供給

③ 他の購買データやオープンデータとかけ合わせながら、「顧客の見える化」「ロイヤル顧客や売上の伸びしろの分析」「AI等を活用した多様なマイクロサービスの創出」「オンライン・オフラインの垣根のない(顧客への)さまざまな販促手段へのデータ連携」を、よりわかりやすく、具体的に提供できるビジネスプラットフォームを提供

 

ビジネスコアを確立することで、企業個々のデータおよびデータを活用するテクノロジーの整備、地域からグローバルまでのサービスの拡大、教育・研修ニーズへの対応まで深耕し、事業拡大を図ること、また、データ活用支援の対象として消費財から観光業、外食産業等の新領域に横展開することで、成長の持続性と費用効率の向上を図ることが、当社が事業成長において目指す姿であります。

 

現時点で、産業界に上記のビジネスプラットフォームを完結させた企業は存在しませんが、当社が先鞭をつけることで、小売業・True Data・消費財メーカーの3業態それぞれが質・量・コスト効率すべてについて現状を大きく凌駕するwin-win-winの環境を形成することを目標にしております。

 

図表 事業系統図

 

※画像省略しています。

 

 

大量データを蓄積・保管・分析し、競争力の高いソリューションをクライアントに提供するためには、テクノロジー面で以下の機能を担保することが必須であります。

   拡張性・処理性能の向上(膨大なデータ量と外部ツールへの連携)

②   安全性(世界レベルのセキュリティ対応)

③   先進テクノロジー(先進テクノロジーを用いたソリューション・分析メニュー)

 

このため、当社はテクノロジー面では自社開発にこだわらず、GoogleやSAPなどのグローバルIT企業、ニールセンなど最先端の分析アルゴリズムを持つグローバルマーケティング企業とアライアンスを組み、テクノロジーの世界的な進化を取り込む仕組みを構築しております(※)。さらに当社は、データやソフトウエア、データ活用ノウハウを向上させるための人材などテクノロジーを競争力あるソリューションに変えるための経営資源に投資を行う等、競争力向上に向けた投資の最適化を図っております。

 

※ 当社はAIなど製品のパフォーマンスをIT企業と競うのでなく、クオリティの高い製品を選別して採用し、その製品に当社データとプログラムを実装したソリューションとすることで、高い付加価値をお客様に提供しております。

 

 

※画像省略しています。

 

当社は提供するサービスのクオリティを高めることが、当社サービスを継続的に活用いただける成果につながり、持続的に事業成長する力を安定化させていく土台になると考えております。

 

 

(5)  ID-POSデータの特性、多様な消費者ビッグデータとのかけ合わせ

POSデータは従来、「商品」の売れ行きを見る購買データとして、日本のみならずグローバルで一般的に利用されております。

ID-POSデータは、ポイントカードなどIDに紐づけたPOSデータ、すなわち「人」を軸とした購買データであり、単なる商品の売れ行きに留まらず、性別や年代別などを切り口とした属性分析、商品を継続して購買する顧客の割合を示すリピート率分析、他の商品から買い替えた顧客の状況を示すスイッチング分析、その商品と一緒に買われている商品を示す併買分析など、マーケティングにおいて購買行動を精緻に分析できるデータとしての強みがあります。

 

図表 POSデータ、ID-POSデータの特性

※画像省略しています。

 

 

また、デジタルトランスフォーメーション時代のデータマーケティングは、消費者を多様なビッグデータで理解して、顧客の最大価値獲得に貢献していく時代に入っております。

ID-POSデータは、消費者ビッグデータの代表格としてグローバルに活用が拡大しており、多様な消費者ビッグデータをかけ合わせる結節点としての活用が進んでまいりました。ID-POSデータに多様な消費者ビッグデータをかけ合わせて、データから顧客の購買の傾向やライフスタイルのタイプなどを分析し、最適なマーケティングに活かす取り組みが始まっております。

図表 消費者ビッグデータのかけ合わせ

 

※画像省略しています。

 

図表 ビッグデータの社会的価値の変遷

※画像省略しています。

 

23/06/22

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a 経営成績の状況

当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大状況に左右されつつも、感染対策の緩和が徐々に進んだこともあり、個人消費は緩やかな回復がみられました。一方で、当事業年度にわたって続いた円安基調、ウクライナ情勢や大国間の政治的緊張等に伴う資源高やグローバルサプライチェーンの停滞などが輸入物価を押し上げる要因となってきました。これによって国内でも幅広い品目にわたる物価上昇が続いていることや、日本銀行の金利政策の一部見直しもあり、景気の動向は先行き不透明な状態が続いています。

 当社は、全国に広がるドラッグストアやスーパーマーケット等の小売店における消費者購買ビッグデータを、小売企業や消費財メーカーがマーケティングに活用するためのソリューションの提供を主力事業としています。当社の事業領域はビッグデータを用いた社会構造変革や企業のデジタルトランスフォーメーションというメガトレンドの追い風を受け、中長期的な成長が見込まれております。当社においてもこのような追い風を受けつつ、小売企業や消費財メーカーの顧客企業の開拓・深耕が一層進み、大きな成長トレンドが継続しております。

 当事業年度においては、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の販売拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し新規取引先開拓のための取り組みを進めてまいりました。これらの主力サービスは、クラウド上のサービス提供に対して月次課金型の使用料を受け取るビジネスモデルであり、ベースとなるストック型の安定的な収益を確保しております。加えて、当社の強みである消費者購買ビッグデータの更なる活用を目指し、アナリティクスや広告領域等の新規領域の開拓にも注力してまいりました。

 

 以上の結果、当事業年度における当社の売上高は1,440,271千円(前事業年度比9.6%増)となり、営業利益は76,034千円(前事業年度比238.0%増)、経常利益は73,258千円(前事業年度比223.1%増)、当期純利益は33,996千円(前事業年度比119.5%増)となりました。

 

 なお、当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております

 

b 財政状態の状況
(資産の部)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ19,425千円減少し1,278,029千円となりました。流動資産は、現金及び預金等が増加し、1,079,983千円と前事業年度末に比べ63,092千円増加いたしました。固定資産は、主にソフトウエアの減価償却が進んだことによる無形固定資産の減少により、193,332千円と前事業年度末に比べ79,690千円減少いたしました。繰延資産は、株式交付費の償却が進んだことにより減少し、4,713千円と前事業年度末に比べ2,827千円減少いたしました。

 

(負債の部)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ64,447千円減少し307,637千円となりました。流動負債は、消費税等の納付により未払消費税等が減少するなど、271,137千円と前事業年度末に比べ34,122千円減少いたしました。固定負債は、主に「オンプレミスからクラウドへの構造転換」の推進による新基幹システム開発に要した長期借入金の返済が進み、36,499千円と前事業年度末に比べ30,325千円減少いたしました。

 

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ45,021千円増加し970,391千円となりました。利益剰余金が33,996千円増加したほか、ストック・オプションの行使により資本金が5,512千円増加し、さらに資本剰余金も5,512千円増加いたしました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は879,046千円と、前事業年度末に比べ31,669千円増加いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況及び変動要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末における営業活動により獲得した資金は138,659千円となりました。これは主に、税引前当期純利益37,075千円及びソフトウエア等の減価償却費を122,401千円計上した一方で、売上債権の増加5,174千円及び前払費用の増加25,654千円などがあったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末における投資活動により減少した資金は87,656千円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出12,404千円、無形固定資産の取得による支出43,431千円及び投資有価証券の取得による支出31,820千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末における財務活動により減少した資金は19,335千円となりました。これは、長期借入金の返済による支出30,360千円があった一方で、新株の発行による収入11,025千円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

生産実績と同様の理由により、受注状況に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

第23期事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

 

サービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

メーカー向けソリューション

832,167

109.9

リテール向けソリューション

312,199

101.1

あらゆる産業向けソリューション

295,903

119.5

合計

1,440,271

109.6

 

(注) 1.当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、取扱データ分野別に記載しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①   重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。

経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

 

②   経営成績等分析
(売上高)

当事業年度の売上高は前事業年度に比べ126,436千円増加し、1,440,271千円となりました。

 当社ストック型売上の主力サービスのうち、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の販売拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し、新規取引先開拓のための取り組みを進めてまいりました。加えて、当社の強みである消費者購買ビッグデータの更なる活用を目指し、アナリティクスや広告領域等の新規領域の開拓にも注力してまいりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は新基盤システムの減価償却費等により、前事業年度に比べ10,781千円増加し、675,243千円となりました。

この主な内訳は、労務費125,163千円、減価償却費115,192千円、データセンター使用料136,563千円であります。

以上の結果、当事業年度における売上総利益は前事業年度に比べ115,655千円増加し、765,028千円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は人件費(給与手当等)の増加等の影響により、前事業年度に比べ62,114千円増加し、688,994千円となりました。

この主な内訳は、給与手当343,086千円、役員報酬51,102千円であります。

以上の結果、当事業年度における営業利益は76,034千円(前事業年度は22,493千円)となりました。

(経常利益)

当事業年度における営業外収益は870千円(前事業年度は1,518千円)を計上しております。これは、主に雑収入であります。当事業年度における営業外費用は3,646千円(前事業年度は1,341千円)を計上しております。これは主に株式交付費償却であります。

以上の結果、当事業年度における経常利益は73,258千円(前事業年度は22,670千円)となりました。

(特別損失及び当期純利益)

当事業年度における特別損失は36,182千円となりました。これは、投資有価証券評価損となります。

以上の結果、税引前当期純利益は37,075千円(前事業年度は22,670千円)となりました。

また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は3,078千円(前事業年度は7,184千円)であります。

以上の結果、当事業年度における当期純利益は33,996千円(前事業年度は15,485千円)となりました。

 

③   財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当社の資金需要のうち主なものは、システムの運用費及び人件費となっております。当社の資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行うこととしております。また、資金の流動性については、当事業年度における現金及び現金同等物の残高が、前事業年度末より31,669千円増加し、879,046千円となっており、流動比率は398.3%と高い水準となっております。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念の下、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようになり、あらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。当社保有のビッグデータとオープンデータや協力企業が保有するデータ等、ビッグデータ同士をかけ合わせるプロジェクトが進行中であり、小売業、消費財メーカーだけでなく、金融・保険、広告等、業種や企業規模に関わらず当社データの活用は広がっております。

 

そのため、現在、経営指標のうち成長性については売上高の対前期増加額、収益性については営業利益の対前期増加額を設定しております。当事業年度における当社の売上高は、前期比で126,436千円(前期比9.6%)増加し1,440,271千円となりました。営業利益は、前期比で53,540千円(前期比238.0%)増加し76,034千円となりました。

この要因といたしましては、「イーグルアイ」が順調に成長し、その売上が前期比で74,028千円(11.3%)増加し729,623千円となり、月額課金のストック型売上が伸長したことによります。

また、「ショッピングスキャン」につきましては、分析対象となる小売業の購買データ(一年間に集信された購買データの合計金額)が、4兆8,309億円となりました。