売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00920 IFRS

売上高

1.60兆 円

前期

1.52兆 円

前期比

105.6%

時価総額

2.99兆 円

株価

1,652 (07/16)

発行済株式数

1,809,663,075

EPS(実績)

9.42 円

PER(実績)

175.39 倍

平均給与

1,110.4万 円

前期

1,061.8万 円

前期比

104.6%

平均年齢(勤続年数)

42.7歳(16.5年)

従業員数

4,806人(連結:14,754人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社82社、持分法適用会社5社から構成されており、医薬品の研究開発、製造及び販売を主要な事業としています。

当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。

なお、当社グループは、区分すべき事業セグメントが存在しないため、報告セグメントは医薬品事業単一となっています。

 

当社は研究開発、製造及び販売を行っており、各地域の関係会社へ原料及び製品の一部を供給しています。

また、主に以下の関係会社が、研究開発、製造及び販売の各機能を担っています。

機能

主な関係会社の名称

研究開発

アステラス ファーマ グローバル ディベロップメント Inc. (米国)

アステラス インスティチュート フォー リジェネレイティブ メディシン (米国)

アステラス ジーン セラピーズ Inc. (米国)

製造

アステラス アイルランド Co.,Ltd. (アイルランド)

アステラス ファーマ ヨーロッパ B.V. (オランダ)

アステラス製薬 (中国) 有限公司 (中国)

販売

アステラス ファーマ US, Inc. (米国)

アステラス ファーマ GmbH (ドイツ)

北京アステラス医薬有限公司 (中国)

アステラス ファーマ S.A.S (フランス)

アステラス ファーマ S.A. (スペイン)

韓国アステラス製薬株式会社 (韓国)

 

 

以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

 

※画像省略しています。
24/06/20

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」) の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

[財政状態]

当連結会計年度末の連結財政状態計算書の概要及び前連結会計年度末からの主な変動は以下のとおりです。

2023年7月にIveric Bio社を買収して当社の連結子会社にしたことに加え、同社の買収資金に充当するために銀行借入れや、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を行ったことに伴い、資産、負債に大きな変動がありました。

 

総資産は3兆5,696億円 (前連結会計年度末比1兆1,131億円増) となりました。

非流動資産は、2兆3,749億円 (同9,683億円増) となりました。有形固定資産は、2,937億円 (同73億円増) となりました。主に2023年7月にIveric Bio社を買収したことに伴い、のれんは4,187億円 (同903億円増) 、無形資産は1兆4,538億円 (同8,913億円増) となりました。

流動資産は、1兆1,947億円 (同1,448億円増) となりました。現金及び現金同等物は3,357億円 (同412億円減) となりました。

 

資本合計は、1兆5,960億円 (同880億円増) となり、親会社所有者帰属持分比率は44.7%となりました。当期利益170億円を計上した一方で、剰余金の配当1,167億円を実施しました。

 

負債合計は、1兆9,736億円 (同1兆251億円増) となりました。

非流動負債は6,879億円 (同4,654億円増) となりました。第2四半期連結会計期間にIveric Bio社の買収資金に充当するために資金調達を行い、当連結会計年度末の残高は社債2,500億円 (同2,000億円増) 、長期借入金1,977億円 (同1,977億円増) となりました。主にIveric Bio社の買収に伴い、繰延税金負債が453億円増加しました。

流動負債は1兆2,857億円 (同5,597億円増) となりました。第2四半期連結会計期間にIveric Bio社の買収資金に充当するために資金調達を行い、当連結会計年度末の残高はコマーシャル・ペーパー2,850億円 (同2,100億円増) 、短期借入金1,354億円 (同1,354億円増) 、1年以内返済予定の長期借入金519億円 (同519億円増) となりました。 その他の流動負債は4,765億円 (同938億円増) となりました。

 

 

[経営成績]

<連結業績 (コアベース) >

当連結会計年度の連結業績 (コアベース) は下表のとおりです。売上収益は増加した一方、コア営業利益及びコア当期利益は減少しました。
 

 

[連結業績 (コアベース) ]

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2023年3月期)

当連結会計年度

(2024年3月期)

増減額

(増減率)

売上収益

1,518,619

1,603,672

85,053

(5.6%)

売上原価

288,353

292,485

4,132

(1.4%)

販売費及び一般管理費

630,272

740,110

109,838

(17.4%)

研究開発費

276,128

294,187

18,059

(6.5%)

無形資産償却費

38,436

98,820

60,383

(157.1%)

無形資産譲渡益

212

9,735

9,523

(-)

持分法による投資損益

1,260

△3,165

△4,425

(-)

コア営業利益

286,902

184,641

△102,262

(△35.6%)

コア当期利益

224,619

150,981

△73,638

(△32.8%)

基本的1株当たりコア当期利益 (円)

123.42

84.19

△39.22

(△31.8%)

 

 

売上収益

・主要製品の前立腺がん治療剤XTANDI、尿路上皮がん治療剤PADCEV、急性骨髄性白血病治療剤XOSPATAの売上が拡大しました。PADCEVは、特に米国及び欧州で売上が大きく拡大しました。

・当連結会計年度に米国で発売となった閉経に伴う血管運動神経症状治療剤VEOZAH (2023年5月発売) と地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療剤IZERVAY (2023年9月発売) も売上収益に貢献しました。

 

以上の結果、売上収益は1兆6,037億円 (前連結会計年度比5.6%増) となりました。

 

 

コア営業利益/コア当期利益

売上総利益は、1兆3,112億円 (同6.6%増) となりました。売上原価率は、製品構成の変化等により前連結会計年度に比べ0.7ポイント低下し、18.2%となりました。

・販売費及び一般管理費は、7,401億円 (同17.4%増) となりました。成熟製品における費用の削減 (同約80億円減) があった一方で、為替の影響 (同443億円増) やVEOZAHに関連する費用の増加 (同約400億円増) 、更にIveric Bio社の買収による影響 (同約310億円増) により、総額として増加しました。なお、XTANDIの米国での共同販促費用を除いた販売費及び一般管理費は、5,452億円 (同19.9%増) となりました。

・研究開発費は、2,942億円 (同6.5%増) となりました。主に、為替の影響 (同125億円増) やIveric Bio社の買収による影響により、総額として増加しました。

・無形資産償却費は、988億円 (同157.1%増) となりました。Iveric Bio社の買収で獲得したIZERVAYの無形資産償却費が増加の主な要因となりました。

 

以上の結果、コア営業利益は1,846億円 (同35.6%減) 、コア当期利益は1,510億円 (同32.8%減) となりました。

 

<連結業績 (フルベース) >

当連結会計年度の連結業績 (フルベース) は下表のとおりです売上収益は増加しましたが、営業利益及び当期利益は減少しました。

 

フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」等が含まれます。当連結会計年度における「その他の収益」は87億円 (前連結会計年度:36億円) となりました。

「その他の費用」として、第4四半期連結会計期間において、遺伝子治療プログラムAT808の資産価値の見直しに伴う無形資産の減損損失 (399億円) 、エベレンゾの将来計画の見直しに伴う無形資産の減損損失 (164億円) 、ゾルベツキシマブの条件付対価の公正価値の増加 (80億円) を計上しました。また、Iveric Bio社の買収に伴う権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払 (334億円) (注) を第2四半期連結会計期間に計上したことや、グローバルでの組織改革に伴う一時費用 (254億円) 等の影響で、当連結会計年度における「その他の費用」は1,678億円 (前連結会計年度:1,575億円) となりました。

 

(注) 第3四半期連結会計期間において、新たな事実が判明し追加的な分析を行ったため、当該株式報酬に係る支払を遡及修正しています。

 

[連結業績 (フルベース) ]

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2023年3月期)

当連結会計年度

(2024年3月期)

増減額

(増減率)

売上収益

1,518,619

1,603,672

85,053

(5.6%)

営業利益

133,029

25,518

△107,511

(△80.8%)

税引前利益

132,361

24,969

△107,392

(△81.1%)

当期利益

98,714

17,045

△81,669

(△82.7%)

基本的1株当たり当期利益 (円)

54.24

9.51

△44.73

(△82.5%)

 

 

 

 

包括利益

205,277

205,583

307

(0.1%)

 

 

 

<主要製品の売上>

 

 

 

(単位:億円)

 

前連結会計年度

(2023年3月期)

当連結会計年度

(2024年3月期)

増減率

XTANDI

6,611

7,505

13.5%

PADCEV

444

854

92.1%

XOSPATA

466

551

18.3%

VEOZAH (注)1

73

IZERVAY

121

ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ

1,886

1,981

5.0%

プログラフ (注)2

1,988

2,031

2.2%

 

(注) 1.VEOZAH:欧州ではVEOZAの製品名で承認取得

2.プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む

 

<XTANDI>

・全ての地域で売上が拡大し、ポジティブな為替の影響を除いても前連結会計年度と比較してグローバルで2桁近く成長しました。

・米国において、2023年11月に承認を取得した「生化学的再発のリスクが高いM0 CSPC (非転移性去勢感受性前立腺がん) 」も売上の拡大に貢献しました。

 

<PADCEV>

・全ての地域で売上が拡大し、グローバル売上は前連結会計年度と比較して大きく増加しました。

・米国において、2023年12月に承認を取得した「局所進行性または転移性尿路上皮がん患者を対象とした一次治療としてのペムブロリズマブ併用療法」での処方が拡大し、売上の伸長に貢献しました。 

 

<XOSPATA>

・発売している全ての地域で売上が拡大しました。

 

<VEOZAH>

2023年5月の発売以降、売上は拡大しているものの当初の想定を下回りました。

 

<IZERVAY>

2023年9月の発売以降、売上は想定を上回って拡大しました。

 

<ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ>

・為替のポジティブな影響もあり、グローバルの売上は拡大しました。

 

プログラフ

・為替のポジティブな影響もあり、グローバルの売上は拡大しました。

 

 

<地域別売上収益の状況>

地域別の売上収益は下表のとおりです。全ての地域において、売上が増加しました。

 

 

 

 

(単位:億円)

 

前連結会計年度

(2023年3月期)

当連結会計年度

(2024年3月期)

増減率

日本

2,623

2,701

3.0%

米国

6,524

6,631

1.6%

エスタブリッシュドマーケット

3,598

4,156

15.5%

グレーターチャイナ

800

885

10.6%

インターナショナルマーケット

1,433

1,591

11.0%

 

(注) 第1四半期連結会計期間から、インターナショナルマーケットに含まれていた一部の国のコマーシャル区分をエスタブリッシュドマーケットに変更しています。前連結会計年度の金額は当該変更を反映しています。

 

エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ 等

グレーターチャイナ:中国、香港、台湾

インターナショナルマーケット:中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、ロシア、韓国、

オーストラリア、輸出売上 等

 

[セグメント情報]

当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。

 

② キャッシュ・フローの状況

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,725億円 (前連結会計年度比1,553億円減) となりました。

Iveric Bio社の買収に伴う権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払334億円がありました。

・法人所得税の支払額は381億円 (同314億円減) となりました。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△8,458億円 (同7,613億円支出増) となりました。

Iveric Bio社等の買収に伴い、子会社の取得による支出が7,850億円 (同7,850億円増) ありました。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、6,141億円 (前連結会計年度は1,956億円の支出) となりました。

・第2四半期連結会計期間にIveric Bio社の買収資金に充当するために資金調達を行ったことに伴い、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーは3,243億円の増加 (前連結会計年度は150億円の減少) 、社債の発行及び長期借入れによる収入が4,723億円 (前連結会計年度比4,223億円増) ありました。

・配当金の支払額は1,167億円 (同163億円増) となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,357億円 (前連結会計年度末比412億円減) となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

1) 生産及び仕入実績

当連結会計年度における生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額 (百万円)

前連結会計年度比

(%)

医薬品事業

2,061,016

128.9

合計

2,061,016

128.9

 

(注) 金額は、販売価格に基づいています。

 

2) 受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額 (百万円)

前連結会計年度比

(%)

医薬品事業

1,603,672

105.6

合計

1,603,672

105.6

 

(注) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額 (百万円)

割合 (%)

金額 (百万円)

割合 (%)

McKesson Group

259,992

17.1

243,433

15.2

Cencora Group

166,934

11.0

175,018

10.9

 

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

[キャッシュ・フロー]

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

[財務政策]

当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。

成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、コマーシャル・ペーパー及び借入金による資金調達を行い、また流動性リスクに備えるため取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有のさまざまなリスクを伴っています。事業展開にあたっては、必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性の維持に努めます。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。