売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E30481 Japan GAAP

売上高

2,707.5億 円

前期

2,959.5億 円

前期比

91.5%

時価総額

776.1億 円

株価

20 (04/23)

発行済株式数

3,880,388,022

EPS(実績)

-6.65 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

725.4万 円

前期

618.1万 円

前期比

117.4%

平均年齢(勤続年数)

47.8歳(21.5年)

従業員数

2,834人(連結:4,776人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、海外製造子会社1社、海外販売子会社等7社で構成されており、主な事業内容は、ディスプレイ及び関連製品の開発、設計、製造及び販売事業です。

ディスプレイは、電子機器の出力装置として文字、写真、動画等の画像を表示する電子部品です。当社グループが手掛けるディスプレイは、主としてスマートフォン、車載用機器、ウェアラブル機器、VR機器等に搭載されています。

なお、当社グループの事業は、ディスプレイ事業の単一セグメントであるため、事業別セグメント情報の記載を省略しています。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

(2023年3月31日時点)

 

※画像省略しています。

 

 

23/06/26

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(以下「当期」といいます。)における当社グループを取り巻く経営環境は、従前よりの厳しい競争状況に加え、スマートフォン用ディスプレイの有機EL(OLED)へのシフト、半導体等の部材不足、世界的なインフレに起因する民生機器出荷台数の減少や部材・エネルギー・輸送費のコスト上昇等、これまで以上に厳しい状況となりました。

こうした状況のもと、当社グループは、収益改善に向けて経営効率の一層の向上を図るため、引き続きアセットライト化による固定費の削減・変動費化を進めたほか、2022年5月に策定した成長戦略「METAGROWTH 2026」に基づき、脱過当競争・脱コモディティ化に向けて取り組みました。アセットライト化の一環としては、2022年5月に生産性とコスト競争力において大型ガラス基板の工場に劣る東浦工場(愛知県知多郡)での生産を停止することを決議し、2023年3月にこれを完了したほか、2022年10月には中国の連結製造子会社SEの全株式譲渡を決議し、同年12月に当該株式譲渡の手続きを完了いたしました。

脱過当競争・脱コモディティ化に向けては、競争環境が非常に厳しいスマートフォン事業の大幅縮小を決定するとともに、「METAGROWTH 2026」において、「世界初、世界一」の独自技術をベースとした「6つの成長ドライバー」を定め、これら成長分野の強化に取り組みました。中でも、当社が2022年5月に世界で初めてマスクレス蒸着及びフォトリソ方式による量産技術を確立した次世代OLED「eLEAP」は、その性能と環境性の高さから顧客及び他のディスプレイメーカーからの高い関心を得ております。当期第4四半期にはeLEAPの初受注を獲得しており、2024年から量産出荷を開始する予定としております。また、この技術を他企業にもライセンス提供すべく、複数の候補企業と協議を進めました。

これらの取組みの効果の発現は当期において限定的でしたが、2024年3月期以降に段階的に発現する見通しであり、取組みの継続により中長期的に大きな成果に結びつくものと考えております。

上記の結果、当期の売上高は、前期比25,200百万円減少8.5%減)の270,746百万円となりました。売上高の減少に加え、高騰した部材・エネルギー・輸送費の価格転嫁に遅れが生じたことにより、営業損失は44,386百万円(前期は8,576百万円の損失)、経常損失は42,924百万円(前期は7,964百万円の損失)となりました。また、特別利益として、中国の連結製造子会社の株式売却に伴う関係会社株式売却益13,471百万円、いちごによる貸付金債権の放棄に伴う債務免除益15,000百万円を計上したほか、特別損失として、減損損失2,803百万円、及び事業構造改善費用5,884百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は25,818百万円(前期は8,096百万円の損失)となりました。

なお、営業利益(損失)に営業費用である減価償却費及びのれん償却額を加算して算出したEBITDAは、マイナス36,198百万円(前期はプラス161百万円)となりました。

 

アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。

 

分野別売上高

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

金額

割合

金額

割合

金額

増減率

モバイル分野

117,632

39.8%

75,689

28.0%

△41,943

△35.7%

車載分野

106,919

36.1%

134,555

49.7%

27,636

25.8%

ノンモバイル分野

71,394

24.1%

60,500

22.3%

△10,893

△15.3%

 

 

 

(モバイル分野)

スマートフォン、タブレット用のディスプレイを含むモバイル分野の当期売上高は、75,689百万円(前期比35.7%減)となり、全売上高に占める割合は、前期の39.8%から28.0%に低下しました。

当分野では、世界的なスマートフォン出荷台数の減少に伴う需要減に加え、米国主要顧客向け液晶ディスプレイの需要減少トレンドの継続、当社におけるスマートフォン用ディスプレイ事業の戦略的縮小により、前期比大幅減収となりました。

 

(車載分野)

計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなる車載分野の当期売上高は、134,555百万円(前期比25.8%増)となり、全売上高に占める割合は、前期の36.1%から49.7%に上昇しました。

当期は、中国の新型コロナ政策により生じたサプライチェーンの混乱や半導体等の部材不足による自動車メーカーでの生産制約の影響を受けましたが、旺盛な需要と、前期における半導体不足による自社での大幅な生産制約の反動もあり、前期比大幅増収となりました。この結果、車載分野の売上高は過去最高となり、全売上高に占める割合は、通期で初めてモバイル分野を超過しました。

 

(ノンモバイル分野)

ウェアラブルやVR等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイのほか、特許収入等を含むノンモバイル分野の当期売上高は、60,500百万円(前期比15.3%減)となり、全売上高に占める割合は前期の24.1%から22.3%に低下しました。

物価高やメーカーの製品価格値上げの影響等によりVR機器及びウェアラブルデバイス用ディスプレイの需要が減少し、前期比減収となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件等は一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いこと等から、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、海外の製造子会社による後工程に区分して管理されております。

そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。

 

② 受注実績

当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社のグループは単一セグメントであるため、アプリケーション分野別に記載を行っております。

 

 

(単位:百万円)

アプリケーション分野

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

モバイル

75,689

△35.7

車載

134,555

25.8

ノンモバイル

60,500

△15.3

合計

270,746

△8.5

 

 

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額

割合(%)

金額

割合(%)

Apple Inc.グループ

104,265

35.2

83,226

30.7

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比35,578百万円減少222,696百万円となりました。これは、主に損失の計上による現金及び預金の減少、モバイル及びノンモバイル分野の売上高の減少に伴う売掛金の減少、有償支給取引の減少に伴う未収入金の減少等によるものです。

負債合計は、前連結会計年度末比87,242百万円減少98,265百万円となりました。これは、主にいちごへの第三者割当増資による86,680百万円の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)及びいちごによる15,000百万円の債権放棄等に伴う借入金73,680百万円の減少によるものです。

純資産合計は、主に親会社株主に帰属する当期純損失25,818百万円の計上による利益剰余金の減少及び中国の製造連結子会社SE売却による当社連結対象からの除外に伴う為替換算調整勘定の減少の一方、いちごに対する第三者割当の方法による86,680百万円の増資により、前期末比51,663百万円増加124,431百万円となりました。

上記の結果、自己資本比率は55.8%と前連結会計年度末に比べて改善しました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失21,893百万円の計上及び棚卸資産の増加等により、65,665百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、税金等調整前当期純損失の拡大等により、43,992百万円の支出増加となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出8,630百万円の一方、中国の製造連結子会社SE株式の譲渡に伴う収入(子会社株式の売却による収入)18,208百万円により、9,777百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、子会社株式の売却による収入の増加により、9,681百万円の収入増加となりました。

この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計)は、74,296百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の増加による収入28,000百万円等により、27,685百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、株式の発行による収入が剥落した一方、短期借入金の増減による収支が純減から純増へ転じたことにより、12,916百万円の収入増加となりました。なお、当連結会計年度に非資金取引として、86,680百万円相当の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を実施しております。

これらの結果及び為替の影響により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は25,754百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,185百万円減少しました。

 

② 資金需要及び資金調達の状況

当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資です。他方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることから、これらの資金需要が自社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで数年にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。そのため、当社グループは、後述の財務戦略の基本的な考え方に沿って、適宜資金調達を検討してまいります。

 

③ 財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、安定収益の確保と着実な成長を目的として、計画的かつ機動的な財務戦略を立案し、実行しております。

事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、安定的に資金確保し、CCC(キャッシ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化によって財務体質を強化することを目標として取り組んでいます。また、事業展開においては、現地のカントリーリスクに伴うサプライチェーンの混乱による受注減少のリスク等、不測の事態が発生することも想定し、政府系金融機関による各種支援メニューや民間金融機関によるアセットファイナンス及びプロジェクトファイナンスの組成等、その都度最適な資金調達方法を検討しております。

また、当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが肝要だと考えております。手許流動性の水準を考慮するにあたっては、連結売上高1.0か月分を目安に、手許現預金及び追加ファイナンスによって賄うこととしております。

更に、手許現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、金融投資家等からの借入金等を通じて、適宜必要な資金を確保する方針です。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。