売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E30481 Japan GAAP

売上高

2,391.5億 円

前期

2,707.5億 円

前期比

88.3%

時価総額

737.3億 円

株価

19 (07/12)

発行済株式数

3,880,388,022

EPS(実績)

-11.42 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

749.1万 円

前期

725.4万 円

前期比

103.3%

平均年齢(勤続年数)

48.9歳(22.3年)

従業員数

2,701人(連結:4,507人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、海外製造子会社1社、海外販売子会社7社及び国内子会社1社で構成されており、主な事業内容は、ディスプレイ及びその関連製品の開発、設計、製造及び販売事業です。

ディスプレイは、電子機器の出力装置として文字、写真、動画等の画像を表示する電子部品です。当社グループが手掛けるディスプレイは、主として車載機器、スマートウォッチ、スマートフォンに搭載されています。

なお、当社グループの事業は、ディスプレイ事業の単一セグメントであるため、事業別セグメント情報の記載を省略しています。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

(2024年3月31日時点)

 

※画像省略しています。

 

 

24/06/24

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(以下「当期」といいます。)における当社グループの経営環境は、半導体等の部材不足の緩和や円安によるプラス効果があったものの、従前よりの厳しい競争状況に加え、世界的なインフレによるエネルギー費・部材費・加工費の高止まりが続く、厳しい状況となりました。

こうした状況のもと、当社グループは、事業ポートフォリオの抜本的な変革を推進するとともに、固定費削減、アセットライト化による基礎的収益力の向上に取り組みました。この取組みの一環として、2023年8月には、ディスプレイの高性能化への対応が限定的であるa-Si技術を採用する鳥取工場について、2025年3月までに生産終了することを決定いたしました。なお、2023年3月に生産を終了した旧東浦工場につきましては、2024年4月1日に同工場の建物の譲渡を完了しております。

これらの施策に加え、技術基盤を価値創造の源泉とする成長戦略「METAGROWTH 2026」に基づき、収益性の抜本的改善を目指した事業ポートフォリオの変革を推進しました。本成長戦略においては、「世界初、世界一」の独自技術をベースとした「6つの成長ドライバー」を定め、これら成長分野の強化に取り組みました。また、これら成長ドライバーに関連する知的財産権の積極活用にも取り組みました。

成長ドライバーの中でも、当社が2022年5月に世界で初めてマスクレス蒸着及びフォトリソ方式による量産技術を確立した次世代OLED「eLEAP」は、その性能と環境性の高さから顧客から強い引き合いをいただいており、2025年3月期下期から茂原工場にて量産を開始する予定です。

また、eLEAP事業拡大のため、株式会社JOLEDからOLEDディスプレイに関する従業員及び知的財産権を含む技術開発ビジネスを承継するための事業譲渡契約を2023年5月に締結し、同年7月に事業譲受を完了しました。さらに、中国安徽省蕪湖市の蕪湖経済技術開発区と2023年9月にeLEAPの事業立ち上げに関する覚書を締結し、現在は2024年10月末までの関係当局からの許認可取得と蕪湖経済技術開発区との最終契約締結に向けて協力して取り組んでおります。これら取り組みを通じて「METAGROWTH 2026」の拡大と加速化を目指してまいります。

 

上記の結果、当期の売上高は、前期比31,593百万円減少11.7%減)の239,153百万円となりました。

旧東浦工場での2023年3月を以ての生産停止や茂原工場における液晶パネル生産能力の縮減により製造固定費を削減いたしましたが、売上高の減少、研究開発費の増加、及びエネルギー費・部材費・加工費の価格転嫁の遅れ等により、営業損失は34,145百万円(前期は44,386百万円の損失)となりました。

営業外損益では、旧東浦工場の建物の譲渡予定先との間で締結した2023年4月1日から2024年3月31日を対象期間とする業務委託契約に基づき業務受託料3,514百万円を営業外収益に計上したほか、同工場の維持費用として資産保全費用2,574百万円を営業外費用に計上いたしました。また、為替相場の変動により為替差益1,723百万円を営業外収益に計上いたしました。これらの結果、経常損失は33,188百万円(前期は42,924百万円の損失)となりました。

また、特別損失として減損損失11,115百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は44,313百万円(前期は25,818百万円の損失)となりました。

なお、キャッシュ収益指標であるEBITDAは、マイナス28,221百万円(前期はマイナス36,198百万円)となりました。

 

 

アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。

 

分野別売上高

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

金額

割合

金額

割合

金額

増減率

車載

134,555

49.7%

133,216

55.7%

△1,339

△1.0%

スマートウォッチ・VR等

60,500

22.3%

73,522

30.7%

13,021

21.5%

液晶スマートフォン

75,689

28.0%

32,414

13.6%

△43,275

△57.2%

 

(車載)

計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなる当分野の当期売上高は、133,216百万円(前期比1.0%減)となり、全売上高に占める割合は、前期の49.7%から55.7%に上昇いたしました。

円安による増収効果が、不採算製品からの戦略的撤退に伴う売上の減少を補い、前期とほぼ同水準の売上高となりました。

 

スマートウォッチ・VR等

スマートウォッチやVR機器等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイのほか、特許収入等を含む当分野の当期売上高は、73,522百万円(前期比21.5%増)となり、全売上高に占める割合は、前期の22.3%から30.7%に上昇いたしました。

スマートウォッチ用OLEDディスプレイは、旺盛な顧客需要を背景に前期比74%の大幅増収となりました。VR機器用高精細液晶ディスプレイは、顧客需要の急減により下期の販売が失速いたしましたが、通期では増収となり、当分野全体でも前期比増収となりました。

 

(液晶スマートフォン)

当分野はノンコア事業と位置付けてあり、当期売上高は、32,414百万円(前期比57.2%減)となり、全売上高に占める割合は、前期の28.0%から13.6%に低下いたしました。

エンジニアリングリソース等の経営資源をコア事業の次世代製品へ集中させるため、戦略的に当分野の縮小を進めてきたことから前期比減収となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、その性能、構造、形式、販売条件等は一様ではないこと、受注生産形態をとらない製品も多いこと等から、販売価格による生産額の集計は行っておりません。また、当社グループの生産体制は、主として国内の生産拠点で担っている前工程、海外の製造子会社による後工程に区分して管理されております。

そのため、前工程及び後工程の生産量の単純合計がそのまま連結ベースの生産量ともならないことから、生産実績を金額又は数量で示すことはしておりません。

 

② 受注実績

当社グループは顧客から提示された生産計画に基づく見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社のグループは単一セグメントであるため、アプリケーション分野別に記載を行っております。

 

 

(単位:百万円)

アプリケーション分野

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

車載

133,216

△1.0

スマートウォッチ・VR等

73,522

21.5

液晶スマートフォン

32,414

△57.2

合計

239,153

△11.7

 

 

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額

割合(%)

金額

割合(%)

Apple Inc.グループ

83,226

30.7

66,443

27.8

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比1,292百万円増加223,989百万円となりました。これは、茂原工場のeLEAP量産用設備を中心とする設備投資に伴う建設仮勘定16,017百万円の増加、原材料及び貯蔵品3,815百万円の増加、並びに現金及び預金3,118百万円の増加の一方で、売掛金11,634百万円減少、液晶ディスプレイ資産の一部に係る減損損失11,115百万円の計上があったこと等によるものです。

負債合計は、前連結会計年度末比40,062百万円増加138,327百万円となりました。これは主に、いちごトラストからの短期借入33,500百万円と、上記eLEAP量産用設備投資等に伴う未払金8,819百万円の増加によるものです。

純資産は、前連結会計年度末比38,769百万円減少し、85,661百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金44,313百万円の減少によるものです。

上記の結果、自己資本比率は38.1%となり、前期末比で17.6ポイント低下いたしました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少による収入増加や減損損失の計上(加算項目)等の一方で、税金等調整前当期純損失43,793百万円の計上により、17,576百万円の支出(前期は65,665百万円の支出)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に上記eLEAP量産用設備投資を含む固定資産の取得による支出と、株式会社JOLEDからの事業譲受に伴う1,000百万円の支出により13,433百万円の支出(前期は9,777百万円の収入)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと固定資産の取得による支出の合計)は、29,669百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、主にいちごトラストからの短期借入金33,500百万円により、32,901百万円の収入(前期は27,685百万円の収入)となりました。

これらの結果及び為替の影響により、当期末における現金及び現金同等物の残高は28,725百万円となり、前期末に比べ2,971百万円増加いたしました。

 

② 資金需要及び資金調達の状況

当社グループの主な資金需要は、生産、販売活動に必要な運転資金、先端技術の開発や生産性及び品質の向上を目的とした研究開発費及び設備投資です。他方、当社グループでは、過年度に実施した大規模な設備投資や事業環境の急速な変化等の結果、当期純損失の計上が継続していることから、これらの資金需要が自社グループのキャッシュ・フローで賄えておらず、当連結会計年度まで数年にわたりフリー・キャッシュ・フローの赤字が継続しております。そのため、当社グループは、後述の財務戦略の基本的な考え方に沿って、適宜資金調達を検討してまいります。

 

③ 財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、将来の成長のための設備投資等の資金需要に対応しつつ、流動性リスクを軽減し、経営の安定化を図るため一定の手許流動性を維持することが肝要だと考えており、手許流動性の水準を考慮するにあたっては、連結売上高1.0か月分を目安に、手許現預金及び追加ファイナンスによって賄う方針です。

また、事業活動を支える資金調達及び資金管理に関しては、安定的に資金確保し、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)改善によるキャッシュ・フロー創出、グループ内CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)等による資金効率化によって財務体質を強化することを目標として取り組んでいます。また、世界的なインフレ高進やサプライチェーンにおけるリスクの継続に備えた手許資金確保の重要性に鑑み、今後も資金需要に応じた機動的な借入実施、いちごトラストによる第13回新株予約権の行使要請(調達総額最大約1,734億円)のほか、低効率資産の売却及び営業債権等の流動化も含め、引き続き適時適切な資金調達策を講じてまいります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。