売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E30481 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

第3四半期連結累計期間(以下「当第3四半期累計期間」といいます。)の当社グループを取り巻く事業環境は、半導体等の部材不足の緩和や円安によるプラス効果があった一方、世界的なインフレによる部材・エネルギー費の高止まりにより、期初予想のとおり厳しい状況となりました。足元では、欧米を中心とする金融引き締めの継続や地政学的リスクの高まりにより世界景気の不確実性が増しており、事業環境は予断を許さない状況が継続するものと思われます。

このような状況のもと、当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」に基づき、引き続き事業モデルの改革と収益向上へ向けた取り組みを継続いたしました。この一環として、株式会社JOLEDからOLEDディスプレイに関する従業員及び知的財産権を含む技術開発ビジネスを当社連結子会社JDI Design and Development合同会社が承継する旨の事業譲渡契約を本年5月に締結し、7月に当該事業譲受を完了いたしました。

また、本年9月に中国の蕪湖経済技術開発区との間で締結した、次世代OLED「eLEAP」を用いた事業の立ち上げに関する覚書について、建設予定の工場を基板サイズの大きいG8.7に一本化する旨の内容修正に12月に合意し、関係当局からの許認可取得及び2024年3月までの最終契約締結に向けて協議を継続しております。当社は、当該最終契約締結後速やかに同経済開発区において事業会社の設立、eLEAP量産工場の建設を行い、顧客からのeLEAPへの期待に対応してまいります。なお、当社は、中国のディスプレイメーカー惠科股份有限公司(以下「HKC」といいます。)との間で、次世代OLEDディスプレイ技術の推進と工場建設を含む戦略提携覚書を本年4月に締結し、当初本年6月に予定していた最終契約締結を本年9月末までの間に延長して協議を進めましたが、当社の経営戦略に鑑み、本年9月に当該覚書を両社合意のもと解除いたしました。HKCとは、引き続き車載ディスプレイ事業における協業について協議を継続することを合意しております。

 

第3四半期累計期間の売上高は、コア事業(車載、及びスマートウォッチ・VR等)において前年同期比4.8%増となりましたが、経営資源を成長事業へ集中すべく撤退に向けて戦略的に縮小を進めているノンコア事業(液晶スマートフォン)において57.7%の大幅減となったことから、全体では、前年同期比13.3%減180,374百万円となりました。なお、液晶スマートフォンについては、一部顧客から生産継続の強い要請があることから来期も当面生産を継続することといたしました。一方、ノンコア事業としての位置付けは変更せず、将来的には撤退する方針です。

利益面では、円安効果、生産性向上、固定費削減、OLED事業の黒字化等による利益押上げ効果が生じた一方、売上高の減少、部材・加工費・エネルギー費の高騰等により、EBITDAはマイナス22,981百万円(前年同期はマイナス16,002百万円)、営業損失は27,664百万円(前年同期は22,380百万円の損失)、経常損失は26,448百万円(前年同期は20,988百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失は37,984百万円(前年同期は17,384百万円の損失)となりました。

第3四半期累計期間の対米ドル平均為替レートは143.3円でした。

 

アプリケーション分野別の売上高の状況は次のとおりです。

 

(車載)

計器クラスターやヘッドアップディスプレイ等の自動車用ディスプレイからなる車載分野の当第3四半期累計期間の売上高は、98,294百万円(前年同期比1.3%減)となりました。全売上高に占める割合は前年同期の47.9%から54.5%に上昇しました。

不採算製品からの戦略的撤退に伴う販売の減少等により、前年同期比でわずかな減収となりました。

 

スマートウォッチ・VR等

スマートウォッチやVR機器等の民生機器用ディスプレイ、医療用モニター等の産業用ディスプレイのほか、特許収入等を含むスマートウォッチ・VR等分野の当第3四半期累計期間の売上高は、56,577百万円(前年同期比17.6%増)となりました。全売上高に占める割合は前年同期の23.1%から31.4%に上昇しました。

新モデル向けのスマートウォッチ用OLEDディスプレイ及びVR機器用高精細液晶ディスプレイの販売増加により、前年同期比増収となりました。

 

(液晶スマートフォン)

スマートフォン、タブレット用の液晶ディスプレイを含む液晶スマートフォン分野の当第3四半期累計期間の売上高は、25,502百万円(前年同期比57.7%減)となりました。全売上高に占める割合は、前年同期の29.0%から14.1%に低下しました。

エンジニアリングリソース等の経営資源をコア事業の次世代製品へ集中させるため、戦略的に当分野の縮小を進めてきたことから前年同期比減収となりました。なお、上記のとおり、当分野を引き続きノンコア事業として位置付ける一方、顧客からの強い要請に応え、来期も当面液晶スマートフォンの生産を継続する予定です。

 

②資産、負債及び純資産の状況

第3四半期末における資産合計は、前期末(2023年3月31日)比6,125百万円減少216,571百万円となりました。これは主に、2025年3月期からの茂原工場でのeLEAP量産用を主とする設備投資により建設仮勘定が15,356百万円増加した一方、販売の減少により売掛金が14,341百万円減少したこと、液晶ディスプレイ資産の一部に係る減損損失10,997百万円の計上によるものです。

負債合計は、前期末比30,755百万円増加129,020百万円となりました。これは主に、Ichigo Trust(以下「いちご」といいます。)から24,000百万円の短期借入を実施したこと、上記eLEAP量産用を主とする設備投資の未払金が8,128百万円増加したことによるものです。

純資産合計は、前期末比36,881百万円減少87,550百万円となりました。これは主に、四半期純損失の計上により利益剰余金が37,984百万円減少したことによるものです。

上記の結果、自己資本比率は40.3%となり、前期末に比べて15.5ポイント悪化しました。

 

③キャッシュ・フローの状況

第3四半期累計期間末における現金及び現金同等物は27,548百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,794百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、11,235百万円の支出(前年同四半期累計期間は37,568百万円の支出)となりました。これは、税金等調整前四半期純損失37,357百万円、及び売掛金の減少に伴う収入16,971百万円(前年同四半期累計期間は5,088百万円の収入)等によるものです。前年同期との比較では、税金等調整前四半期純損失の増加、棚卸資産の増加額の縮小等により、支出の減少となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、11,373百万円の支出(前年同四半期累計期間は11,573百万円の支出)となりました。これは、主に上記eLEAP量産用設備投資を含む固定資産の取得による支出10,281百万円及び事業譲受による支出1,000百万円等によるものです。前年同期との比較では、固定資産の取得による支出の増加の一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出の剥落により、支出の減少となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、23,487百万円の収入(前年同四半期累計期間は27,650百万円の収入)となりました。これは、短期借入による収入24,000百万円、及びリース債務の返済による支出486百万円によるものです。前年同期との比較では、主に短期借入による収入の減少により、収入の減少となりました。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

第3四半期累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

第3四半期累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題に重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

第3四半期累計期間の研究開発費の総額は8,066百万円であります。

なお、当第3四半期累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。