売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E01782 Japan GAAP

売上高

152.2億 円

前期

164.9億 円

前期比

92.3%

時価総額

209.6億 円

株価

2,127 (07/12)

発行済株式数

9,856,107

EPS(実績)

138.28 円

PER(実績)

15.38 倍

平均給与

608.2万 円

前期

613.3万 円

前期比

99.2%

平均年齢(勤続年数)

42.2歳(19.3年)

従業員数

273人(連結:1,571人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(帝国通信工業株式会社)及び子会社16社により構成されており、抵抗器、前面操作ブロック(ICB)、スイッチ、センサー等の電子部品の製造販売を主要事業とし、その他機械設備等の販売等を行っております。当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けとセグメントとの関連は、下記のとおりであります。

なお、次の部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

〈電子部品〉

〔生産体制〕

 国内生産は、当社及び当社の生産体制と一体となっている国内子会社が行っております。海外生産は、タイ、中国、ベトナムで海外子会社が行っております。

〔販売体制〕

 国内販売は、概ね当社が行っております。海外販売は東南アジア、北米、中国において各々の海外販売子会社が担当し、その他地域は概ね当社が行っております。

 

以上述べた電子部品の概要は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

 

〈その他〉

 機械設備等の販売会社及び環境対応素材の製造販売会社の国内連結子会社2社、ビル及び家屋の清掃会社の非連結子会社1社があります。

 

 

連結子会社のセグメントとの関連は次のとおりであります。

 

(電子部品)……会社総数  以下の子会社及び当社を含め 14社

飯田帝通株式会社

 

固定抵抗器及び前面操作ブロックの製造

須坂帝通株式会社

 

可変抵抗器、同部品及びセンサー部品の製造

福井帝通株式会社

 

可変抵抗器、同部品及び前面操作ブロック等部品の製造

木曽精機株式会社

 

機構部品及び可変抵抗器等部品の製造及び販売

台湾富貴電子工業株式会社

 

可変抵抗器の製造及び販売

シンガポールノーブルエレクトロニクス株式会社

 

可変抵抗器及び前面操作ブロック等の販売

ノーブルU.S.A.株式会社

 

可変抵抗器等の販売

香港ノーブルエレクトロニクス株式会社

 

センサー及び可変抵抗器等の販売

ノーブルエレクトロニクス(タイランド)株式会社

 

可変抵抗器、前面操作ブロック及びプラスチック成型品等の製造

ノーブルエレクトロニクスベトナム株式会社

 

可変抵抗器及び前面操作ブロック、センサー等の製造

ノーブル貿易(上海)有限公司

 

固定抵抗器及び前面操作ブロック、センサー等の販売

ノーブルトレーディング(バンコク)株式会社

 

可変抵抗器及び前面操作ブロック等の販売

富貴電子(淮安)有限公司

 

固定抵抗器の製造

 

 

(その他)……会社総数 2社

帝通エンヂニヤリング株式会社

 

機械設備等の販売

株式会社エコロパック

 

環境対応素材の製造及び販売

 

 

 

24/06/27

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスによる行動制限緩和に伴い経済活動の正常化が進み、米国経済は良好な雇用環境や個人消費に支えられ堅調に推移しましたが、中国経済においては、不動産市況の悪化や消費低迷から景気の減速感が強まりました。また、中東情勢の悪化やウクライナ情勢の長期化から資源・原材料価格高騰による物価上昇により景気回復は鈍化しており、依然として不透明な状況が継続しております。

我が国の経済は、日米の金利差から円安による物価上昇圧力が継続しておりますが、物価上昇に見合う価格転嫁も進んでおり、さらに賃金の上昇基調やインバウンド需要の回復等により景気は緩やかに回復基調となりました。

当社グループの属するエレクトロニクス業界においては、自動車電装市場は、半導体・部材不足やサプライチェーンの混乱の緩和に伴い堅調に推移しましたが、生活家電市場・産業機器市場は市場在庫調整が遅れており、加えて中国における景気減速の影響により受注が減少し、本格的な回復には至りませんでした。

このような状況の中当社グループは、2021年5月に策定した中期5ヵ年計画の第2ステップ最終年度にあたる当期は、その目標達成に向けて、医療・ヘルスケア市場向けにおいては、生体電極に加え電気化学センサー等、技術革新による新分野への展開を図っており、自動車電装市場向けでの既存センサーのシェア拡大を図るとともに、非接触センサーの拡販に努めてまいりました。一方で、次期中期経営計画以降の課題となる新領域の確立を目指し、市場開拓を順調に進めております。製造部門においては工場のDX化に向けた設備投資を進め、独自のI.o.T機能を持たせた製造ラインの導入・拡大や、省人化、無人化等生産性向上と原価低減を継続的に行い、競争力強化を図るとともに生産の最適化や環境問題・BCPの観点から生産地の見直しや、医療・ヘルスケア分野の新技術等に対し、インフラ投資や設備投資等も検討してまいります。

自動車電装市場向けは好調でしたが、生活家電市場向け及び産業機器市場向けの在庫調整が想定以上に遅れており受注低迷が継続し、また、当社の受注を牽引していたアミューズメント市場向けにおいても第4四半期にかけて生産調整による減産や、急速に減速したことによる工場稼働率の低下等の影響から、当連結会計年度の売上高は152億23百万円(前年同期比7.7%減)となりました。営業利益は9億47百万円(前年同期比40.9%減)、経常利益は15億59百万円(前年同期比28.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億62百万円(前年同期比1.6%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

電子部品事業においては、自動車電装市場向けは通年好調を維持しましたが、生活家電市場向け及び産業機器市場向けは顧客の在庫調整が依然として継続しており低調に推移しました。医療・ヘルスケア市場向けは顧客の生産計画の変更の影響を受け低調に推移しました。アミューズメント市場向けは特に後半にかけて顧客の生産調整による減産の影響を受けることとなり、予想を下回る状況となりました。

この結果、電子部品の売上高は146億53百万円(前年同期比8.2%減)となり、営業利益は8億82百万円(前年同期比42.0%減)となりました。

その他の事業においては、環境対応緩衝材は医療機器向け及び半導体関連市場向けに加え、果実や根野菜向け緩衝材の拡販を進め順調に推移しており、機械設備等の販売も堅調に推移しました。

この結果、その他事業の売上高は5億70百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益は92百万円(前年同期比11.7%増)となりました。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ17億79百万円増加し、320億85百万円となりました。その内訳は、流動資産が4億66百万円増加し195億41百万円、固定資産が13億12百万円増加し125億44百万円となっております。

負債は前連結会計年度末に比べ65百万円増加し、46億75百万円となりました。その内訳は、流動負債が4億4百万円減少し22億57百万円、固定負債は4億70百万円増加し24億17百万円となっております。

これらの結果、純資産は前連結会計年度末に比べ17億13百万円増加し274億10百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の82.9%から83.5%となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりとなりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、29億23百万円(前年同期は16億34百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益18億50百万円(前年同期は20億43百万円)、減価償却費7億86百万円(前年同期は8億21百万円)、売上債権が9億21百万円減少(前年同期は2億53百万円の増加)、棚卸資産が5億60百万円減少(前年同期は2億38百万円の増加)したことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は87百万円(前年同期は5億34百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得に5億52百万円(前年同期は8億60百万円)、投資有価証券の償還により2億0百万円獲得(前年同期は4億0百万円の獲得)、投資有価証券の売却により2億60百万円獲得したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は12億72百万円(前年同期は7億50百万円の使用)となりました。これは配当金の支払い6億38百万円(前年同期は6億37百万円)、自己株式の取得により5億2百万円支出(前年同期は0百万円の支出)したことなどによります。

この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、18億30百万円増加(前年同期は6億2百万円の増加)し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は99億42百万円(前年同期は81億12百万円)となりました。

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

 ①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

14,398,523

90.3

その他

550,528

100.4

合計

14,949,051

90.6

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

 

 ②受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

14,338,272

93.6

2,471,092

88.7

その他

459,167

80.7

67,510

37.8

合計

14,797,439

93.1

2,538,603

85.6

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 ③販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

14,653,490

91.8

その他

570,200

107.8

合計

15,223,690

92.3

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績は、電子部品事業においては、半導体、電子部品や原材料等の供給難や、サプライチェーンの混乱は改善しており、生活家電や産業機器市場の市場在庫調整も進み、景気回復の期待が高まるものの、中国経済においては、不動産市況の悪化や消費低迷から景気の減速感が強まり、中東情勢の悪化やウクライナ情勢の長期化から資源・原材料価格高騰による物価上昇により景気回復は鈍化しており、依然として不透明な状況の継続が想定されます。

当社グループの属するエレクトロニクス業界においては、自動車電装市場は、半導体・部材不足やサプライチェーンの混乱の緩和に伴い堅調に推移しましたが、生活家電市場・産業機器市場は市場在庫調整が遅れており、加えて中国における景気減速の影響により、今後の受注動向に関し、依然として予断を許さない状況が続いています。利益面においても、エネルギー価格や原材料価格の上昇、為替変動等の懸念材料があります。

そのような中、電子部品事業においては生活家電市場向けや産業機器市場向けの在庫調整が想定以上に遅れており、受注低迷が継続した結果、当連結会計年度は前連結会計年度と比較し、販売が大幅に減少しました。また、当社の受注を牽引していたアミューズメント市場向けにおいても第4四半期にかけて生産調整による減産の結果、受注減少から前連結会計年度と比較し、販売が微減となりましたが、自動車電装向けは好調に推移いたしました。

一方、その他の事業においては、環境対応緩衝材は医療機器向けや半導体関連市場向けに加え、果実や根野菜向け緩衝材の拡販を進め順調に推移しており、機械設備等の販売も堅調に推移しました。

連結売上高は前連結会計年度と比べ7.7%減少し152億23百万円となり、営業利益は前連結会計年度と比べ40.9%減少し9億47百万円となりました。

当社グループの主要セグメントである電子部品事業を地域別に分析いたしますと、日本では、自動車電装市場向けは、予想を上回る受注となった一方、医療・ヘルスケア市場向け、生活家電市場向け及び産業機器市場向けは、顧客の生産調整による受注減少や、顧客の在庫調整による生産計画の変更等の影響を大きく受けました。この結果、売上高は69億28百万円(前年同期比13.1%減)、営業損失は1億59百万円(前年同期は2億96百万円の営業利益)となりました。

アジアでは、中国の景気低迷を受け、エアコンや給湯器等の生活家電市場向けは低調に推移しました。アミューズメント市場向けは顧客の生産計画の大幅な変更により受注の減少の影響を受けました。その他のアジア地域については、AV機器市場向けが堅調に推移しました。この結果、売上高は75億18百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は9億91百万円(前年同期比13.4%減)となりました。

北米では、景気後退のリスクは後半にかけて徐々に緩和されつつも景気の不透明感は継続しており、顧客の在庫過多の状態は依然としてあることから、プロ用オーディオ市場向け及び産業機器市場向けは低調に推移しました。この結果、売上高は2億6百万円(前年同期比26.6%減)、営業損失は23百万円(前年同期は17百万円の営業利益)となりました。

経常利益については、前連結会計年度に引き続き、為替差益が3億91百万円となりましたが、営業利益が減少した為、前連結会計年度と比べ28.9%減少し15億59百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ1.6%減少し13億62百万円となりました。

2021年5月に策定した、未来のNOBLEを見据えて、「抵抗器のNOBLEから新生NOBLEへの深化と進化」を長期ビジョンとした中期5ヵ年計画の第3ステップ初年度にあたる次期は、その目標達成に向けて、センサー・医療・非接触を合言葉に、医療や産業機器分野への拡販を推し進め、既存領域の拡大を図り、また、非接触センサー開発などにより、顧客ニーズを捉えた新製品の展開を行ってまいります。

そのうえで、中期5ヵ年計画の最終ステップである2024年度~2025年度を第3ステップとし、新領域の拡大を目指し売上高180億円、営業利益17億円を目指してまいります。

加えて、次期中期経営計画以降の課題となる新領域の確立の取組を進めており、医療・ヘルスケア分野の拡大には当社の要素技術の要であるエレメント技術の向上が必須であり、インクや印刷工法の研究及び表面処理技術の高精度化が求められております。それを達成することにより、すでに量産化されている筋電・心電や脳波測定に用いる電極の更なる革新が見込まれます。また、今後の医療・ヘルスケア市場向けにおいては、その場で簡単に利用できるPOCT(Point of Care Testing)用バイオセンサーが望まれていることから、近々量産化を計画しているナトリウムカリウム測定に加え、将来的に様々な物質の測定に使用が見込まれる電気化学センサーの技術確立をすることを、今後の柱の1つとしていきたいと考えております。また、エレメント技術の向上を足がかりとして、インフラビジネス・ウォータ―ビジネス・アグリビジネス等へ進出することを目指しております。

 

さらに、同様に今中期経営計画で掲げた電気自動車やその周辺機器向けの拡販に加え、自動車向け製品の開発を加速し、静電容量方式のセンサーの拡販や量産している製品の無人化生産ラインの導入も見込んでおります。加えて、これらの成長戦略を実現するためには、環境も考慮した、高精度化にも見合う材料や素材の選定や当社の開発技術力及び、生産技術力の向上が不可欠であり、今まで取り組んできている自動化・省人化・無人化にDXやI.o.Tも組み込んだ、一貫生産体制の確立にも取り組んでまいります。

インフラ投資に関しましては、成長戦略の為のエレメント技術の向上を見据えた、研究開発インフラ・設備が必要であることから、2027年度の完成を目標とした本社・研究開発棟の建て替えによる設備強化を計画しており、これにより新製品開発を促進してまいります。また、その新たな研究開発棟により開発された製品の量産については、BCPや既存領域製品の増産対応も念頭に、倉庫スペースも含め既存の工場に新たなる工場建築も今後検討してまいります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、顧客の設計、製造が外部のOEMやODMといわれる第三者に委託するケースが発生する等により、受注成約に大きな影響を与える要因となり、また、顧客商品の市場販売状況についても、当社グループの売上高に大きく影響を与えます。

また、中東情勢の悪化やウクライナ情勢の動向、インフレの継続、米国・欧州における金融引き締め継続による景気後退リスク、顧客における生産計画調整や在庫調整、新型コロナウイルス感染症収束後の市場ニーズの変化や供給問題、エネルギー価格や原材料価格の上昇、為替変動の動向等により、当社グループの将来の業績に影響を与える懸念があります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本の財源及び資金の流動性として、当連結会計年度末において有利子負債残高が45百万円ありますが、この有利子負債は非連結子会社からの借入金であります。これは当社グループでは財務体質の健全性を堅持し、継続的に効率よく事業投資が行えるよう本社にて資金管理を行い、グループ内の資金を効率よく活用するようにしているためです。

当社グループの資金需要は主に製造費用、販売費用、設備投資や研究開発費用等であり、これらは日常の営業活動によって得られた資金で賄っております。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

①棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産について、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。

②繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

 

③退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

④固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。