E01782 Japan GAAP
前期
151.1億 円
前期比
109.2%
株価
1,837 (04/25)
発行済株式数
9,856,107
EPS(実績)
140.57 円
PER(実績)
13.07 倍
前期
609.4万 円
前期比
100.6%
平均年齢(勤続年数)
42.6歳(18.8年)
従業員数
265人(連結:1,677人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(帝国通信工業株式会社)及び子会社16社により構成されており、抵抗器、前面操作ブロック(ICB)、スイッチなどの電子部品の製造販売を主要事業とし、その他機械・設備等の製造販売等を行っております。当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けとセグメントとの関連は、下記のとおりであります。
なお、次の部門は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
〈電子部品〉
〔生産体制〕
国内生産は、当社及び当社の生産体制と一体となっている国内子会社が行っております。海外生産は、タイ、中国、ベトナムで海外子会社が行っております。
〔販売体制〕
国内販売は、概ね当社が行っております。海外販売は東南アジア、北米、中国において各々の海外販売子会社が担当し、その他地域は概ね当社が行っております。
以上述べた電子部品の概要は次のとおりであります。
〈その他〉
機械設備等の販売会社及び環境対応素材の製造販売会社の国内連結子会社2社、ビル及び家屋の清掃会社の非連結子会社1社があります。
連結子会社のセグメントとの関連は次のとおりであります。
(電子部品)……会社総数 以下の子会社及び当社を含め 14社
(その他)……会社総数 2社
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスによる行動制限緩和や、中国におけるゼロコロナ政策解除等、社会経済活動の正常化が進み、景気回復への期待が高まったものの、インフレ抑制に向けた欧米での政策金利引き上げにより、先行きの不透明感が増し景気回復にブレーキをかけることとなりました。一方で、半導体、電子部品や原材料等の供給難やサプライチェーンの混乱は緩和しつつありますが、長期化するロシア・ウクライナ情勢により資源価格の上昇やコロナ禍で抑制されていた需要回復により物価上昇は継続しており、依然として予断を許さない状況が続いています。
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の規制緩和による社会経済活動の正常化が進み、堅調に推移するも、円安による物価上昇圧力が強まり、天然資源、食料品やエネルギー価格高騰の影響から、回復は緩やかなものとなりました。
当社グループの属するエレクトロニクス業界においては、自動車電装市場やアミューズメント市場向けなどにおいて、半導体・部材不足やサプライチェーンの混乱の緩和に伴い、各社とも挽回生産を計画したものの、本格的な回復には至りませんでした。
このような状況の中当社グループは、2021年5月に策定した中期5ヵ年計画の第2ステップにあたる今期は、その目標達成に向けて、医療や産業機器分野への拡販を推し進め、既存領域の拡大を図り、また、非接触センサー開発などにより、顧客ニーズを捉えた新製品の展開を行ってまいりました。その結果、特に医療分野においてはまだ比率は低いものの、着実に成果が出てきております。
加えて、次期中期経営計画の課題となる新領域の確立の取組を進めており、5G関連の製品開発の強化による通信・公共分野の開拓や、当社技術「センサー」+新規開拓テーマ「水」+SDGs「社会貢献活動」をにらんで、社会課題解決への取組強化の為、防災、医療・ヘルスケア、介護分野の開拓を進めており一部で試験的な供給を開始いたしました。さらに製造工場のDX化に向けた設備投資を進め、独自のI.o.T機能を持たせた製造ラインの導入・拡大や、省人化、無人化など生産性向上とコストダウンを継続的に行い、競争力強化を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は164億93百万円(前年同期比9.2%増)となりました。営業利益は16億1百万円(前年同期比5.7%減)、経常利益は21億92百万円(前年同期比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億85百万円(前年同期比12.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
電子部品事業においては自動車電装市場やカメラ関連市場、アミューズメント市場等全体的に半導体等の供給不足が改善されてきており、当連結会計年度は前連結会計年度と比較し、アミューズメント市場向けや医療ヘルスケア向けが大きく伸び、自動車電装向け、生活家電向けも順調に推移いたしました。
この結果、電子部品の売上高は159億64百万円(前年同期比9.7%増)となり、営業利益は15億19百万円(前年同期比9.0%減)となりました。
その他の事業においては環境対応緩衝材が医療機器向けや自動車電装向けに順調に推移しましたが、半導体関連市場向けは顧客の生産調整の影響を受けました。また、機械設備の製造販売は低調でした。
この結果、その他事業の売上高は5億28百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益は82百万円(前年同期比713.2%増)となりました。
財政状態の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ12億18百万円増加し、303億6百万円となりました。その内訳は、流動資産が12億62百万円増加し190億74百万円、固定資産が43百万円減少し112億32百万円となっております。
負債は前連結会計年度末に比べ1億29百万円減少し、46億9百万円となりました。その内訳は、流動負債が2億31百万円減少し26億62百万円、固定負債は1億1百万円増加し19億46百万円となっております。
これらの結果、純資産は前連結会計年度末に比べ13億48百万円増加し256億97百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の81.9%から82.9%となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、16億34百万円(前年同期は17億88百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益20億43百万円(前年同期は20億30百万円)、減価償却費8億21百万円(前年同期は7億75百万円)、仕入債務が4億42百万円減少(前年同期は2億45百万円の増加)したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5億34百万円(前年同期は7億57百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得に8億60百万円(前年同期は5億92百万円)、投資有価証券の償還により4億0百万円獲得したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7億50百万円(前年同期は6億48百万円の使用)となりました。これは配当金の支払い6億37百万円(前年同期は4億92百万円)などによります。
この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、6億2百万円増加(前年同期は6億67百万円の増加)し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は81億12百万円(前年同期は75億10百万円)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は、電子部品事業においては、半導体、電子部品や原材料等の供給難やサプライチェーンの混乱は緩和しつつあり、中国におけるゼロコロナ政策解除等経済活動の正常化による上振れなど、景気回復の期待が高まったものの、ロシア・ウクライナ情勢や米中関係における緊張の継続など地政学リスクや、インフレの継続、米国・欧州における金融引き締めによる景気後退リスク等、先行きは不透明な状況の継続が想定されます。
そのような中、電子部品事業においては自動車電装市場やカメラ関連市場、アミューズメント市場等全体的に半導体等の供給不足が改善されてきており、当連結会計年度は前連結会計年度と比較し、アミューズメント市場向けや医療ヘルスケア向けが大きく伸び、自動車電装向け、生活家電向けも順調に推移いたしました。
一方、その他の事業においては、環境対応緩衝材が医療機器向けや自動車電装向けに順調に推移しましたが、半導体関連市場向けは顧客の生産調整の影響を受けました。また、機械設備の製造販売は低調でした。
連結売上高は前連結会計年度と比べ9.2%増加し164億93百万円となり、営業利益は前連結会計年度と比べ5.7%減少し16億1百万円となりました。
当社グループの主要セグメントである電子部品事業を地域別に分析いたしますと、日本では、第4四半期に一部の客先で半導体入手難がぶり返したものの、全体的には好調なアミューズメント需要に引っ張られた形ですが、自動車電装向け前面操作ブロックや産業機器向け機構部品も順調に推移しました。この結果、売上高は79億72百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益は2億円96百万円(前年同期比67.0%減)となりました。
アジアでは、第1四半期に発生した上海ロックダウンの影響で落ち込んだ受注は、第2四半期以降順調に回復し、アミューズメント市場向けやデジタルカメラ向け前面操作ブロック等が好調に推移いたしました。この結果、売上高は77億11百万円(前年同期比11.3%増)、営業利益は11億44百万円(前年同期比44.3%増)となりました。
北米では、自動車電装向けやプロ用オーディオ向けは、顧客においてコロナ禍による過剰発注をした結果、在庫調整により低調に推移しました。この結果、売上高は2億81百万円(前年同期比7.2%減)、営業利益は17百万円(前年同期比37.0%減)となりました。
経常利益については、後半に円安が進行し前連結会計年度は1億57百万円の為替差益が当連結会計年度は3億48百万円の為替差益となり、前連結会計年度と比べ8.4%増加し21億92百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ12.4%減少し13億85百万円となりました。
2021年5月に策定した中期5ヵ年計画の取組施策により、既存領域の拡大や顧客ニーズを捉えた新製品開発を実行し、一部新製品の拡販を開始し、加えて、医療・ヘルスケア分野への取り組みを強化した結果、医療・ヘルスケア向けの売り上げ拡大と、新たな引き合いも増えており既存領域が確実に拡大しております。また、既存市場への製品の横展開、顧客業界のニーズ・トレンドを捉えた新製品開発を進め、既存領域の拡大を目指しております。特に車載分野におけるEV化でも継続使用が見込まれる製品に関しては、確実に横展開が見込まれており、加えて、カメラレンズ向けの当社独自の製品の横展開も図っております。
そのうえで、中期5ヵ年計画を第1、第2、第3ステップの3段階に分け、段階毎の売上高・営業利益の目標値を再設定、既存領域の拡大を目指しており、中期5ヵ年計画第2ステップは基礎となる地固めの年と位置づけ、その着実な実行のための人的投資や設備インフラ投資等による体制強化を図り、将来の事業拡大を見据え積極的な投資計画を策定し、当初2023年度(2024年3月期)中期計画売上高160億円、営業利益14億円から売上高165億円、営業利益15億円に修正いたしました。さらに新領域の拡大を目指す2024年度~2025年度を第3ステップとし、売上高180億円、営業利益17億円を目指してまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、顧客の設計、製造が外部のOEMやODMといわれる第三者に委託するケースが発生する等により、受注成約に大きな影響を与える要因となり、また、顧客商品の市場販売状況についても、当社グループの売上高に大きく影響を与えます。
また、ロシアによるウクライナ侵攻の動向、インフレの継続、米国・欧州における金融引き締めによる景気後退リスク、世界的な半導体不足による顧客における生産計画調整の継続や在庫調整、新型コロナウイルス感染症収束後の市場ニーズの変化や供給問題、エネルギー価格や原材料価格の上昇、為替変動の動向等により、当社グループの将来の業績に影響を与える懸念があります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性として、当連結会計年度末において有利子負債残高が41百万円ありますが、この有利子負債は非連結子会社からの借入金であります。これは当社グループでは財務体質の健全性を堅持し、継続的に効率よく事業投資が行えるよう本社にて資金管理を行い、グループ内の資金を効率よく活用するようにしているためです。
当社グループの資金需要は主に製造費用、販売費用、設備投資や研究開発費用等であり、これらは日常の営業活動によって得られた資金で賄っております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見積りに反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報に基づいて検証等を行っております。
①棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産について、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
④固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。