E01896 Japan GAAP
前期
627.8億 円
前期比
99.8%
株価
739 (04/26)
発行済株式数
34,536,302
EPS(実績)
3.47 円
PER(実績)
212.69 倍
前期
551.8万 円
前期比
99.4%
平均年齢(勤続年数)
45.5歳(20.8年)
従業員数
1,608人(連結:2,436人)
当社グループは、当社、親会社、子会社11社および当社と継続的で緊密な事実上の関係のある関連当事者1社で構成されております。当社、子会社は、乾電池・充電池およびエレクトロニクス関連の素材・部品とそれらの応用製品の製造および販売を主な事業内容としております。当社の親会社であります富士通株式会社は、当社の普通株式20,295千株(議決権比率58.89%)を保有しており、当社は同社に対し、当社製品を納入しております。また、当社の関連当事者であります富士通キャピタル株式会社は、親会社の子会社であり、当社は同社より資金を調達しております。
各事業における当社および主要な関係会社の位置付けは、次のとおりであります。
2023年3月31日現在
(注) 1.前連結会計年度において、非連結子会社であったFDKエコテック株式会社の全株式を株式会社リサイクルクリーンへ譲渡いたしました。
2.当連結会計年度において、連結子会社であったFDK販売株式会社の全株式を中鋼天源股份有限公司へ譲渡いたしました。
事業の系統を図示すると概ね次のとおりであります。
(注) 1.※は連結子会社であります。
2.前連結会計年度において、非連結子会社であるFDKエコテック株式会社の全株式を株式会社リサイクルクリーンへ譲渡いたしました。
3.当連結会計年度において、連結子会社であったFDK販売株式会社の全株式を中鋼天源股份有限公司へ譲渡いたしました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境につきましては、新型コロナウイルス(COVID-19)に伴なう行動制限が緩和され、経済活動の正常化で個人消費や設備投資の持ち直しの動きが見られたものの、電子部品や樹脂部品の調達難や原材料価格の高騰、物流混乱の常態化に加え、ウクライナ情勢の長期化や急激な物価上昇による需要減少など景気の先行きが不透明できわめて厳しい状況で推移しました。
このような状況のなか、当社グループは当連結会計年度が最終年度となる中期事業計画「R1」に掲げた目標の達成に向けて、現行ビジネスの安定化と利益ある成長に向けた取り組みを推し進めてきました。部品調達難・物流混乱下においてもお客様への確実な製品供給に努めるとともに技術VEによるコスト削減、徹底的な経費削減など原材料価格高騰に対するレジリエンスの強化と販売価格の見直し、新規深耕開拓に取り組みました。また、ニッケル水素電池は大型蓄電池向けニッケル水素電池用極板や電源バックアップ用途向け高出力ニッケル水素電池の出荷、アルカリ乾電池はウルトラマンおよびウルトラセブンをデザインした乾電池の発売や連続放電性能を高めた新製品の開発、ミニ四駆ジャパンカップへの継続協賛など商品開発・販売促進に努めました。さらに、新電池として開発を推し進めているニッケル亜鉛電池はサンプル出荷を開始し、水素/空気二次電池は太陽光充電を想定した実験やパートナー先との協議を実施いたしました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、電池事業の売上高はリチウム電池が円安効果も加わって増加したことや設備関連ビジネスも増加したものの、ニッケル水素電池の海外向け売上減とアルカリ乾電池の2021年3月期に実施した海外製造子会社株式譲渡に伴なう海外向け売上減により、事業全体として減収となりました。電子事業の売上高は各種モジュールやスイッチング電源などが増加したことにより、事業全体として増収となりました。この結果、売上高は前連結会計年度に比べ13億28百万円(2.2%)増の627億84百万円となりました。
損益面につきましては、電池事業は経費削減に加えて為替による利益増があったものの、原材料価格や水道光熱費高騰の影響や売上減により、減益となりました。電子事業は為替による利益減がありましたが、各種モジュールの売上増による利益増により、増益となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ12億94百万円減少の7億89百万円、経常利益は1億22百万円の為替差益を営業外収益として計上したものの、前連結会計年度に比べ11億17百万円減少の8億51百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は鳥取県からの補助金収入2億円を特別利益として計上したものの、減損損失の計上や法人税等の計上により前連結会計年度に比べ4億22百万円減少の3億18百万円となりました。
(注)1.ウルトラマンおよびウルトラセブンは株式会社円谷プロダクションの登録商標です。
2.ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
電池事業
電池事業はリチウム電池と設備関連ビジネスが増加したものの、ニッケル水素電池とアルカリ乾電池が減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。
製品別につきましては、ニッケル水素電池は、販売価格の見直しや円安効果もあったものの、海外の市販・工業用途向けが在庫調整やお客様側での部品調達難による所要減により、前連結会計年度を下回りました。アルカリ乾電池は、2021年3月期に実施した海外製造子会社株式譲渡による海外向けや国内同業他社向けが減少したことにより、前連結会計年度を下回りました。リチウム電池は、国内外で部品調達難による所要減がありましたが、セキュリティ・スマートメータ用途向けが堅調に推移し、さらに販売価格の見直しや円安効果も加わったことにより、前連結会計年度を上回りました。設備関連ビジネスは、販売機種の変化などにより、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ9億19百万円減少の421億63百万円、セグメント損失は1億83百万円(前連結会計年度は12億21百万円のセグメント利益)となりました。
電子事業
電子事業は各種モジュールやスイッチング電源などが増加したことにより、前連結会計年度を上回りました。
製品別につきましては、各種モジュールは、モビリティ・タブレット用途向けが増加したことにより、前連結会計年度を上回りました。スイッチング電源は、半導体装置用途向けが堅調に推移し、前連結会計年度を上回りました。
この結果、当事業全体の売上高は、前連結会計年度に比べ22億47百万円増加の206億20百万円、セグメント利益は9億72百万円(前連結会計年度は8億61百万円のセグメント利益)となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ2億26百万円(0.5%)増の471億30百万円となりました。流動資産は前連結会計年度に比べ1億72百万円(△0.5%)減の318億22百万円、固定資産は前連結会計年度に比べ3億99百万円(2.7%)増の153億7百万円となりました。流動資産減少の主な要因は、材料入手難による生産遅延や原材料価格の高騰、電子部品や樹脂部品の調達難に伴なう戦略的な先行手配などにより、原材料及び貯蔵品や仕掛品などの棚卸資産が増加する一方、受取手形及び売掛債権が減少したことによるものです。固定資産増加の主な要因は、有形固定資産が4億46百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ5億9百万円(△1.5%)減の339億33百万円となりました。流動負債は前連結会計年度に比べ5億22百万円(△1.7%)減の309億28百万円、固定負債は前連結会計年度に比べ12百万円(0.4%)増の30億5百万円となりました。流動負債減少の主な要因は、支払手形及び買掛金等の仕入債務が増加した一方で、未払金や未払法人税等が減少したことによるものです。固定負債増加の主な要因は、退職給付に係る負債が減少した一方で、長期前受収益などのその他固定負債が3億6百万円増加したことによるものです。
なお、有利子負債残高は、主にリース債務の返済により前連結会計年度に比べ1億16百万円減の122億23百万円となりました。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ7億36百万円(5.9%)増の131億96百万円となりました。純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が3億18百万円、為替換算調整勘定が2億60百万円、退職給付に係る調整累計額が1億65百万円、それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払や退職給付に係る負債の減少などによる現金及び現金同等物(以下「資金」という)の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上、売上債権の減少などにより27億83百万円の資金増加(前連結会計年度は21億77百万円の資金増加)となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、リチウム電池の製造設備増設をはじめとする有形固定資産の取得による支出などにより29億78百万円の資金減少(前連結会計年度は39億20百万円の資金減少)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、ファイナンス・リース債務や短期借入金の減少などにより1億16百万円の資金減少(前連結会計年度は27億80百万円の資金減少)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における資金の期末残高は期首残高より1億92百万円減少し、25億71百万円となりました。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結売上高は、627億84百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。電池事業のニッケル水素電池とアルカリ乾電池の売上減があったものの、電池事業のリチウム電池、設備関連ビジネスや電子事業の各種モジュールやスイッチング電源の売上増により、前連結会計年度を上回りました。連結営業利益は、各種モジュールの売上増による利益の増加や経費削減、為替による利益の増加がありましたが、大幅な原材料価格や光熱費高騰による利益の減少に加えて、ニッケル水素電池の売上減による利益の減少により、前連結会計年度に比べ12億94百万円減少の7億89百万円となりました。
当社グループは中期事業計画「R1」において、営業利益率やROIC(投下資本利益率)を経営の指標としており、特に営業利益率を主指標としておりました。これは当社グループにおいては本業での収益性の向上が最も重要な課題であると認識しているためであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであることに加え、当社グループ事業の製品の売上は、電池事業においては電池が使用される機器の拡大・縮小や使用数の影響を受け、また、電子事業は主たる顧客であるエレクトロニクス関連のセットメーカーの製品やサービスの売れ行きに影響を受けるなど、当社グループが管理できない要因により大きな影響を受けます。
また、当社電池製品の主要材料であるニッケル、亜鉛、リチウムやレアアース類は需給バランスや投機的要因などにより原材料価格が大きく変動することや、光熱費の価格変動も営業利益に大きな影響を与えます。
さらに、当社グループの売上高の37.9%は海外ビジネスであるため、為替レートの変動により円換算による増減の影響を与えます。この為替変動のリスクに関しては、売上と調達のバランスを取ること、為替予約などにより対処しております。
主にこれらの要因が当社グループの経営成績、事業の収益性に影響するものと認識しております。そのため、当社は、毎月1回受注状況、受注見込み、年間予算との乖離などの最新の業績の状況を把握するとともに、必要な改善の立案、実施を行なっております。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、当社グループは、主に事業の継続性の確保と収益性向上を図るため、その生産設備類の維持・更新や能力増強、生産効率向上を主とした設備投資に加え、新電池の研究開発と量産体制構築に向けた設備投資を継続しており、その財源は営業活動から得られたキャッシュ・フローおよび外部より調達した資金を主としております。
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、次のとおりであります。
電池事業
当連結会計年度における電池事業の売上高はリチウム電池や設備関連ビジネスが伸長したものの、ニッケル水素電池の海外向け売上減と2021年3月期に実施した製造子会社株式の譲渡によるアルカリ乾電池の海外向け売上減により事業全体として減収となり、原材料価格や光熱費高騰の影響や売上減により営業損失となりました。
売上高の確保・拡大のためには需要が伸張する地域、販路、市場、新規機器メーカーへの拡販が必要であるとの認識のもと、新製品開発、マーケティング、営業力の強化に努めております。市販用途向けニッケル水素電池、アルカリ乾電池はコモディティ化が進んでいるため、市販用途向けニッケル水素電池については品質、特性面での差別化、商品力の強化や環境・安全面での訴求をすすめ、売上拡大と利益率の維持・向上を図っており、アルカリ乾電池については国内市販向けビジネスで新規顧客の開拓と既存顧客の深耕で売上拡大と事業規模に合った人員体制により、引き続き付加価値向上に取り組んでおります。
また、電池の主要材料価格の変動に関しては、適切な時期での予約などの施策に加え、材料使用量の低減、より安価な材料へのシフト、リサイクル材の活用などの技術VEとコストダウンを行ない、対応力の強化に努めております。
電子事業
当連結会計年度における電子事業の売上高は前連結会計年度から増加し、営業利益率は前連結会計年度と同じ4.7%となりました。
電子事業については、さらなる事業価値の向上が必要であると認識しており、当連結会計年度においては製品モデル毎の選択と集中を継続する一方、需要が伸張しているモビリティ用途向け各種モジュール・半導体装置用途向けスイッチング電源と新規用途・顧客獲得での売上拡大による付加価値向上を図っております。
経営上の目標の達成状況は、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載した方針にもとづき、当社グループは「Smart Energy Partnerとして、先進技術を結集し、お客様に電気エネルギーを安心して効率的に活用いただき、持続可能な社会の実現と発展に貢献する」というFDKグループ戦略Framework「10年の計」のVisionとそのあるべき姿の実現に向けて当連結会計年度を最終年度とする中期事業計画「R1」を策定し、最終年度の売上高は600億円、営業利益率5.1%、ROIC9.9%、新事業への投資等(累計)55億円を目指しておりました。
2021年3月期と2022年3月期においては、事業譲渡を行なったにも関わらず事業規模が拡大し、営業利益率も2020年3月期1.4%から2021年3月期2.8%、2022年3月期3.4%と伸長しました。一方で、最終年度の当連結会計年度は、売上高が目標を上回ったものの、原材料価格・水道光熱費の高騰など外部環境悪化に対するレジリエンス不足により、営業利益率1.3%、ROIC0.8%と目標には未達となりました。
3年間累計では、ニッケル水素電池とリチウム電池、電子事業の三事業が次なる成長に向けた基盤も併せて構築できたことにより、売上高が目標を上回ることができましたが、営業利益率とROICは上述のとおり2022年3月期後半以降の原材料価格・光熱費高騰の影響による営業利益減により、未達となりました。また、新事業への投資は開発遅延により、13.6億円にとどまりました。
なお、当社グループは、FDKグループ戦略Framework「10年の計」で策定したVisionと10年後のあるべき姿の実現に向けて、2023年4月14日に2024年3月期が初年度となる中期事業計画「R2」を公表いたしました。中期事業計画「R2」の経営成績の目標は、R2期間累計として、売上高2,000億円、営業利益50億円、ROIC5%、営業活動から得られるキャッシュ・フロー130億円、また、「R2」の最終年度である2026年3月期は売上高680億円、営業利益率4.1%の達成に向けて取り組んでまいります。
2024年3月期も原材料価格・光熱費の高騰、電子部品や樹脂部品の調達難など厳しい事業環境が継続する見込みでありますが、これらの課題に対して、伸びる市場と付加価値の高い市場、用途に注力、レジリエンスの強化と販売価格の見直しや新規ビジネスの獲得、深耕開拓に取り組むことにより全社の収益性を上げ、2026年3月期の目標値達成に向けて努めてまいります。
「R2」期間累計でのキャピタル・アロケーション方針は、営業活動から得られるキャッシュ・フロー130億円を財務基盤強化として借入金の圧縮に20億円、成長に向けた投資に20億円、既存ビジネスの強化の設備投資として90億円の配分を計画しております。
<中期事業計画「R2」期間累計目標>
「R2」期間累計のキャピタル・アロケーション方針
営業活動から得られるキャッシュ・フロー130億円
財務基盤強化(20億円)
新電池・DX等成長に向けた投資(20億円)
既存ビジネスの強化(90億円)
<中期事業計画「R2」の最終年度目標>
また、ウクライナ情勢の当社の業績等への影響につきましては、ロシアやウクライナに関連する当社ビジネスは少ないものの、原油や天然ガス高騰により購入部品や光熱費が値上がりしており、今後対象部品の拡大やさらなる値上げ、入手難の影響有無について引き続き情報収集に努めてまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。
なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、注記事項、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表、注記事項、重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。